【税理士が解説】合法的に社会保険料を削減する方法9選|中小企業・経営者必見

【税理士が解説】合法的に社会保険料を削減する方法9選|中小企業・経営者必見
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給与の約30%を占める社会保険料を、合法的に削減できる9つの方法を徹底解説します。

社会保険料はなぜ経営者の頭痛の種なのか

社会保険料の負担は年々増加しています。企業の社会保障負担は2000年度の19兆円から2015年には25兆円にまで膨らんでいます。

厚生年金の保険料率は平成16年から段階的に引き上げられ、現在は18.3%となっています。社会保険料としては給与の約30%の金額を、会社と従業員が折半して15%ずつ負担する形になっています。

形としては折半とはいえ、オーナー社長からすると結局約30%を負担していることになります。法人化すると1人社長の会社でも強制加入となるため、創業費としてもかなりきつい負担です。

⚠️ 注意:在職老齢年金制度に要注意

老齢厚生年金は原則65歳以上になると支給されますが、経営者として65歳を超えても働き続け、一定以上の役員報酬をもらっていると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になります。社会保険料を払い続けているのに年金がもらえないというケースが実際に多く発生しています。

こうした背景もあって、社会保険料の適正化への関心が高まっています。以下では、経営者にも従業員にも得になる社会保険料を削減する方法を9つ紹介します。

📝 このセクションのまとめ

  • 企業の社会保障負担は2000年→2015年で19兆円→25兆円に増加
  • 厚生年金保険料率は現在18.3%、給与の約30%が社会保険料として発生
  • 在職老齢年金制度により、一定以上の役員報酬があると年金が支給停止になるリスクあり

方法①:退職金の活用

社会保険料の対象となるのは給与・ボーナス・各種手当などです。一方、退職金は社会保険料の対象外です。つまり退職金には社会保険料がかからないため、これを積極的に活用します。

具体的な活用方法は2つあります。

  • ボーナスの一部を削減して退職金に上乗せする:ボーナスを減らし、その分を退職金の原資として積み立てることで社会保険料を削減できます。
  • 毎月の給与の一部を退職金に上乗せする:例えば給与の中から月2〜3万円を退職金の積立に回すことで、標準報酬月額の等級が下がれば社会保険料を削減できます。

従業員にとっては直近の手取りが減るため不満が出ることも考えられますが、退職金には分離課税・退職所得控除・1/2課税という特別な優遇措置が適用されます。そのため、給与やボーナスで受け取るよりも手残りが多くなります。長い目で見ると得になるということを、従業員にしっかり理解してもらうことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職金は社会保険料の対象外のため、給与・ボーナスの一部を退職金に振り替えることで削減可能
  • 退職金は分離課税・退職所得控除・1/2課税の優遇があり、長期的には従業員の手残りも増える

方法②:協会けんぽから組合健保への切り替え

国が運営している協会けんぽから、業界団体などが運営する組合健保(健康保険組合)に切り替えることで、保険料率を大幅に下げることができます。

保険の種類事業主負担被保険者負担合計
協会けんぽ千分の50千分の50千分の100
IT健保(組合健保の例)千分の42.5千分の42.5千分の85

トータルでは10%以上の負担減になります。具体的な試算として、被保険者の平均標準報酬月額が38万円、ボーナスが7月支給分38万円・12月支給分38万円という事業者の場合、協会けんぽと比べて年間約159万円お得になります。個人1人ひとりで見ても年間約4万円の負担が減ります。

📌 ポイント

IT系企業であれば関東ITソフトウェア健康保険組合(IT健保)などへの加入が可能です。加入8年間で累計約1,000万円の節約になったという実例もあります。社員も同様に恩恵を受けられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 協会けんぽから組合健保に切り替えると保険料率が10%以上下がるケースがある
  • 年間159万円(企業全体)・4万円(個人)の削減効果が見込める試算例あり

方法③:事前確定届出給与の活用

高額な報酬をもらっている役員が、年収を変えずに社会保険料だけを削減できる方法です。

役員への賞与は原則として損金不算入ですが、会計年度の4ヶ月目までに税務署へ届出を行い、その通りに支給すれば損金算入(経費として計上)が認められます。これが「事前確定届出給与」です。

そして、ボーナスに対する社会保険料には上限が設けられています。

保険の種類社会保険料の上限(ボーナス分)
健康保険料1年あたり573万円まで
厚生年金保険料1ヶ月あたり150万円まで

上限を超えた部分には保険料がかかりません。例えば年間のボーナスを900万円に設定した場合、健康保険では327万円分、厚生年金では750万円分の支払い負担がなくなります。

つまり、役員報酬を例えば月額10万円に減額し、その分役員賞与を大幅に増額することで、年間の受取総額はそのままで社会保険料を削減することが可能です。

📌 ポイント:在職老齢年金の復活にも有効

役員報酬を低く抑えることで、冒頭で紹介した在職老齢年金の支給停止問題も解消できます。年収を変えずに社会保険料を削減しつつ、支給停止になっていた年金を復活させられるというメリットもあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 事前確定届出給与を活用し、役員報酬を減らして役員賞与を増やすことで社会保険料を削減できる
  • ボーナスへの社会保険料には上限(健康保険:年573万円、厚生年金:月150万円)があり、超過分には保険料がかからない
  • 在職老齢年金の支給停止解消にも繋がる

方法④⑤:出張旅費規定の整備と借り上げ社宅の活用

【方法④:出張手当の導入】

出張手当とは、出張の際の食事代・交通費・宿泊費以外にかかる雑費などを実費精算するのではなく、あらかじめ決められた額を支払うものです。

  • 法人側のメリット:妥当な額で支給されていれば、本来費用計上が難しい雑費を会社の損金として計上でき、法人税の節税になります。
  • 役員・従業員側のメリット:給与扱いにならないため、所得税・住民税の節税が可能です。
  • 社会保険料のメリット:出張手当は給与扱いではないため、社会保険の算定対象外となり、社会保険料がかかりません。

【方法⑤:借り上げ社宅の活用】

従業員がマンションに住んでいる場合、賃貸契約を個人から法人契約に切り替えて会社で家賃を支払う「借り上げ社宅」にすることで社会保険料を削減できます。

ただし、家賃全額を会社が負担してしまうと社会保険料の削減効果がありません。従業員にも一定額を負担してもらう必要があります。この自己負担額は現物給与価格一覧表をもとに計算します。

例えば東京都の場合、住宅の利益の額は1畳につき2,830円です。マンションの居住部分が30畳あるとすると、30畳 × 2,830円 = 84,500円 が現物給与の額となり、この額を従業員に自己負担してもらえば、社宅家賃に社会保険料はかかりません。

⚠️ 注意:自己負担が不足する場合は保険料対象になる

従業員の負担分が現物給与の計算額に満たない場合(例:5万円しか負担していない場合)、その不足分は報酬額に含まれ、社会保険料の対象になります。必ず計算式に基づいた額を自己負担してもらうことが必要です。

なお、元々の家賃が例えば15万円だとしたら、家賃と自己負担分の差額分を額面給与から差し引くことで標準報酬月額の等級も下がり、社会保険料そのものも削減できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は給与扱いにならないため、社会保険料の算定対象外。法人税・所得税の節税にもなる
  • 借り上げ社宅は現物給与価格一覧表に基づいた自己負担額を設定することで、社会保険料の対象外にできる
  • 東京都の場合、1畳あたり2,830円で計算した額が自己負担の基準額

方法⑥:マイクロ法人の活用

近年話題になっている社会保険料最適化の手法として、個人事業とマイクロ法人(社長1人だけの小さな会社)を併用するという方法があります。

例えば全体で一定の利益がある場合、利益を個人事業で900万円・マイクロ法人で100万円と分けることで、社会保険料を数十万円抑えることも可能です。

📌 ポイント:個人と法人は明確に別の事業であること

個人でやっていた事業を分けることは可能ですが、個人と法人は明確に別の事業であることが必要です。別の事業であれば、法人から給料をもらう形を取ることで法人側の社会保険に加入し、社会保険料を最適化できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業とマイクロ法人を併用し、利益を分散させることで社会保険料を数十万円削減できる可能性がある
  • 個人と法人の事業は明確に別のものである必要がある

方法⑦⑧:4〜6月の残業削減と昇給月の変更

【方法⑦:4月から6月の残業を減らす】

社会保険料は4月から6月の報酬額の平均をもとに算出されます。これを「標準報酬月額」といい、その年の10月から翌年9月までの保険料の天引きに使われます。報酬額には基本給のほか、残業代などの各種手当も含まれます。

つまり、4月から6月の残業が多いと、標準報酬月額が上がり、1年間の社会保険料が高くなります。

状況標準報酬月額の等級月々の増加額年間の増加額
通常時(報酬27.5万円)21等級(28万円)
4〜6月に残業増(等級2つ上昇)23等級(32万円)健康保険+介護保険:4,728円
厚生年金:7,320円
合計:約12,000円
約14万円以上増加

従業員の数が増えるほど影響は大きくなります。4〜6月の残業を減らせるよう業務効率化を図ることが、社会保険料の削減につながります。

【方法⑧:昇給は7月以降にする】

4月に昇給すると等級が上がり、社会保険料の支払額も増加します。仮に報酬が24万5,000円の方が5,000円昇給した場合、等級が1つ上がり、月の社会保険料が約6,000円上がります。

昇給月が4月に設定されているなら、これを7月以降に変更することで、1年間は社会保険料の支払いを抑えることができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 4〜6月の残業が多いと標準報酬月額が上がり、年間14万円以上の社会保険料増につながるケースがある
  • 昇給月を4月から7月以降に変更するだけで、1年間の社会保険料の増加を抑えられる

方法⑨:入社・退職日を月末前日に調整する

社会保険料は月末を基準に考えます。月末に在籍しているかどうかが、社会保険料発生のポイントです。

パターン入社日退職日社会保険料の対象月
パターンA(非効率)3月28日10月31日3月分〜10月分(8ヶ月分
パターンB(効率的)4月1日10月30日4月分〜9月分(6ヶ月分

パターンAとBを比べると、数日の違いだけで2ヶ月分の社会保険料を削減できます。

📌 ポイント:月初入社・月末退職は避ける

入社は月初(1日)を避けて月初以外にし、退職は月末(末日)を避けて月末前日にすることで、社会保険料の発生月を最小化できます。人事担当者はこのルールを徹底するようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険料は月末在籍が基準のため、入社・退職日を数日調整するだけで2ヶ月分削減できる
  • 入社は月初を避け、退職は月末(末日)を避けて月末前日にするのが基本

社会保険料削減の注意点

9つの方法を活用する際には、いくつかの重要な注意点があります。

  • 従業員への説明と同意が必須:給与改定月の変更や入退社日程の調整などルール変更を行う場合は、対象の役員・従業員に説明の上、同意を得ることが重要です。
  • 退職後の国民年金加入に注意:例えば退職日を10月30日にした場合、退職者は10月分を自分で国民年金に加入して納付する必要があります。後々トラブルにならないよう、必ず事前に説明してください。
  • 将来の年金受給額が減額する可能性:社会保険料を削減すると、将来の年金受給額が減額する可能性があります。その点も従業員に十分説明した上で、メリット・デメリット両方を理解してもらって調整することが大切です。

⚠️ 注意:削減と手取り増加はセットで考える

社会保険料を削減した分、手取りは増えるはずです。削減のメリットとデメリット(将来の年金減額リスク)の両方を従業員に正しく伝え、納得の上で進めることが、トラブル防止の観点からも不可欠です。

📝 9つの方法まとめ一覧

  1. 退職金の活用(給与・ボーナスの一部を退職金積立に振替)
  2. 協会けんぽから組合健保(組合健康保険)への切り替え
  3. 事前確定届出給与の活用(役員報酬を減らし役員賞与を増やす)
  4. 出張旅費規定の整備と出張手当の導入
  5. 借り上げ社宅の活用
  6. マイクロ法人の活用(個人事業との併用)
  7. 4月から6月の残業を減らす
  8. 昇給月を7月以降に変更する
  9. 入社・退職日を月末前日に調整する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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