相続・贈与

マンション相続の評価額計算と2024年新ルールを税理士が解説

マンション相続の評価額計算と2024年新ルールを税理士が解説
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2024年からマンションの相続税評価に新ルールが導入され、相続税負担が変わる可能性があります。

マンションの相続税評価額の基本的な考え方

内閣府が公表した令和5年版高齢社会白書によれば、65歳以上の11.8%が分譲マンションに居住しています。高齢の親が元気なうちにマンションの相続について話をしておきたいと考える方も多いのではないでしょうか。

親がマンションを所有している場合、知っておきたいのがマンションの評価方法です。マンションにかかる相続税は2024年から新たな評価方法が導入され、相続税負担が重くなる可能性があります。

📌 ポイント

相続税は時価によって財産を評価しますが、マンションや土地・非上場株式などは国税庁が公表している一定のルールに従って計算した評価額を時価として扱います。マンションの相続税評価額は土地と建物それぞれの評価額を求めて合算することが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 65歳以上の約12%が分譲マンションに居住している
  • マンションの相続税評価額は土地+建物の合算で計算する
  • 2024年から新たな評価方法が導入された

建物部分の相続税評価額の計算方法

マンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じ金額になります。

固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税を計算するときの基準となる金額のことです。固定資産税は不動産の所有者が納付する税金で、地方自治体に納める地方税であるため、地方自治体が税額を算定して毎年6月に納税通知書を発行します。

📌 固定資産税評価額の確認方法

建物の固定資産税評価額は、納税通知書に添付されている課税明細書の「価格」欄で確認できます。例えば課税明細書の価格欄に5,000万円と記載されていたら、マンションの建物部分の相続税評価額は5,000万円となります。

📝 このセクションのまとめ

  • 建物の相続税評価額=固定資産税評価額
  • 金額は納税通知書の課税明細書「価格」欄で確認できる

土地部分の相続税評価額:路線価方式と倍率方式

土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式のいずれかの方法で計算します。

路線価方式

マンションの敷地に路線価が定められている場合は、次の計算式で相続税評価額を算出します。

計算式
マンション全体の敷地面積 × 路線価 × 土地の持分割合 = 土地の相続税評価額

路線価とは、道路に面する標準的な土地の1平米あたりの評価額のことです。国税庁のウェブサイト「財産評価基準書」で確認できます。

路線価図を開くと、道路に数字やアルファベットが割り振られています。例えば「400C」と書かれた道路に面している土地なら、1平米あたり40万円という評価額がベースになります(数字は1平米あたりの評価額を1,000円単位で表示)。

路線価の後につくアルファベット(AからG)は、借地権割合を示しています。

記号借地権割合
A90%
B80%
C70%
D60%
E50%
F40%
G30%

もし土地の所有権ではなく借地権を相続していた場合は、土地の評価額にこの借地権割合をかけて借地権自体の相続税評価額を計算します。借地権が設定された土地を相続する場合は、土地の相続税評価額から借地権の相続税評価額を引いて、借地権部分を除いた土地の価格を計算します。

📌 持分割合とは

持分割合とは、マンション全体に対して区分所有者が所有する権利割合のことです。マンションの売買契約書登記事項証明書の「敷地権の割合」と記載されている部分に「何分の何」と数字で記載されています。

路線価方式による計算例

項目金額・数値
建物の相続税評価額(固定資産税評価額)5,000万円
マンション全体の敷地面積1,000平米
路線価20万円/平米
土地の持分割合700万分の7,500
土地の相続税評価額(1,000㎡×20万円×持分割合)75万円
マンション全体の相続税評価額(建物+土地)5,075万円

倍率方式

路線価が設定されていない土地(道路に面していない地域や郊外の農村地域など)の相続税評価額を計算するための方法が倍率方式です。

計算式
マンション全体の敷地の固定資産税評価額 × 評価倍率 × 持分割合 = 土地の相続税評価額

評価倍率とは、路線価が定められていない土地の価格を算出するために決められた一定の倍率のことで、路線価と同様に国税庁のウェブサイト「財産評価基準書」で確認できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 土地の評価方法は路線価方式と倍率方式の2種類
  • 路線価方式:敷地面積×路線価×持分割合
  • 倍率方式:固定資産税評価額×評価倍率×持分割合
  • 路線価・評価倍率はいずれも国税庁「財産評価基準書」で確認可能

なぜ新ルールが導入されたのか:タワマン節税問題の背景

居住用の区分所有財産に対して、2024年1月以降に発生した相続・贈与などから新ルールが適用されています。

この新ルール導入には、マンションの相続税評価額が実際の取引における時価よりも大幅に低くなるケースについて、税務当局が問題視した背景があります。

マンションの建物の固定資産税評価額は、建物の構造や素材などから計算されており、次のような要素は一切考慮されていません。

  • 立地条件
  • 収益性
  • 築年数
  • 総戸数
  • デベロッパーのブランド力

また、マンションの土地は住人全体で共有しているため、戸建てに比べて1世帯分の土地面積が小さくなります。立地条件が良好な場所であることが反映されにくく、土地部分の相続税評価額も低くなりやすい構造になっています。

⚠️ タワマン節税の実態

特に市場価格が高額な都心の一等地にあるタワーマンションの高層階などでは、相続税評価額が時価の3割〜4割ほどになることもありました。市場価格が1億円で相続税評価額が3,000万円だとすると、現金で1億円持っているよりもその現金でマンションを買った方が7,000万円も財産額を圧縮できるため、相続税の負担も大幅に小さくなります。富裕層を中心にいわゆる「タワマン節税」が流行し、節税対策としてタワーマンションを購入するケースが多発する状態でした。

📝 このセクションのまとめ

  • マンションは構造上、相続税評価額が時価より大幅に低くなりやすかった
  • タワマン高層階では評価額が時価の3〜4割になるケースもあった
  • この差を是正するために2024年から新ルールが導入された

2024年新ルールの内容:評価乖離率・評価水準・区分所有補正率

新ルールでは、評価乖離率評価水準区分所有補正率という3つの数値によってマンションの相続税評価額を計算します。

用語意味
評価乖離率従来の方法で計算した相続税評価額と、理論上の時価との間にどれだけ差があるかを示す数値。数値が大きいほど相続税評価額が時価より低いことを表す。
評価水準相続税評価額が時価の何割程度になっているかを示す数値(評価乖離率をもとに計算)
区分所有補正率評価水準に応じて従来の相続税評価額にかける補正率

新ルールでは、従来の方法で計算したマンション一室の相続税評価額に区分所有補正率をかけて最終的な相続税評価額を算出します。

📌 評価水準が0.6未満の場合の計算イメージ

評価水準が0.6未満の場合、計算式は次のようになります。

従来の相続税評価額 × 評価乖離率 × 0.6 = 新ルールによる相続税評価額

これは「従来の評価額に評価乖離率をかけた金額(=理論上の市場価額)の6割が相続税評価額になる」ということを意味します。

ただし、この新ルールによってタワーマンションなどの相続税評価額が市場価格と同額程度になるわけではありません。市場価格の3割〜4割以下で評価されていたマンションの相続税評価額が、6割程度に増額されるイメージです。

この「6割」は、一般的な相続税評価額が市場価格の約6割である現状を反映した数値と言われています。そのため、マンションの購入による相続税の節税効果が全くなくなったわけではありません

📝 このセクションのまとめ

  • 新ルールは評価乖離率・評価水準・区分所有補正率の3つで構成される
  • 評価水準が0.6未満の場合、理論上の市場価額の6割が相続税評価額になる
  • 時価の3〜4割だった評価額が6割程度に引き上げられるイメージ
  • マンション購入による節税効果が完全になくなったわけではない

居住用区分所有財産とは:新ルールの適用対象

新ルールが適用されるのは居住用の区分所有財産に該当する場合です。居住用の区分所有財産とは、1棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室にかかる区分所有権および敷地利用権のことです。

なお、新ルールの適用対象とならない建物もあります。

📌 新ルールの適用開始時期

この新ルールは2024年1月以降に発生した相続・贈与などに適用されます。それ以前に発生した相続には従来のルールが適用されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 新ルールは居住用区分所有財産(分譲マンションの一室)に適用される
  • 適用開始は2024年1月以降に発生した相続・贈与から
  • 従来の評価方法に加えて新ルールによる計算が追加される

マンション相続は専門家への早期相談が重要

マンションを含む土地や建物の相続税評価額は、計算が非常に複雑になっています。特にマンションの相続税評価額の計算は、新ルールの理解から始めなくてはなりません。

⚠️ 申告期限に注意

相続税の申告・納税は相続開始から10ヶ月以内が期限です。計算が複雑で申告が難しいと感じたら、できるだけ早く相続専門の税理士に相談しましょう。

相続を専門とする税理士事務所の多くは司法書士と連携していますので、相続登記の代行も依頼することができます。相続税の節税対策や申告・納税でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

📝 このセクションのまとめ

  • マンションの相続税計算は土地・建物・新ルールと複雑
  • 申告期限は相続開始から10ヶ月以内
  • 相続専門の税理士事務所では相続登記の代行も依頼できる

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!

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