相続・贈与

夫婦間贈与で贈与税がかかるケースを税理士が解説|おしどり贈与も紹介

夫婦間贈与で贈与税がかかるケースを税理士が解説|おしどり贈与も紹介
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夫婦間でも高額な財産のやり取りには贈与税がかかる場合があります。知らずに損しないための基礎知識を解説します。

夫婦間の財産管理と贈与税の関係

家庭の財産は夫婦で協力して築くものと考えている人は多いのではないでしょうか。しかし、せっかく築いた財産も、管理方法などによっては贈与税・相続税の対象となってしまう場合があります。適切な管理方法を知っていれば、払わなくて済む税金もあるかもしれません。

夫婦として生計を一にしていると、どこからどこまでが自身の財産で、どこからが配偶者の財産かという感覚が薄れてしまいますよね。生活費や子どもの教育費など日々の暮らしに必要なお金についてはそれほど問題にはなりません。

⚠️ 注意

高額な金銭のやり取りや高価なものを譲り渡した際は、生計を一にしている夫婦であっても贈与を行ったものと判断され、贈与税が課される場合があります。

民法では贈与を「双方の同意によって財産権を無償で譲り渡す契約」と定義しています。例え口約束であっても、財産の権利者が渡す意思を示し、もらう側が受け取る意思を示した上で財産の移転を行うと、贈与したとみなされます。そして贈与財産の評価額によっては、受け取った側に贈与税が課されます。

また、相場より著しく低い価格で売買を行った場合でも贈与とみなされ、贈与税の課税対象となることがあるのでご注意ください。

📌 ポイント:贈与税の基礎控除

1年間のうちに受け取った財産の総評価額が110万円を超えると贈与税の対象となります。この110万円が贈与税の基礎控除です。110万円を超える贈与があっても、110万円を差し引いた金額に対して贈与税が課されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 夫婦間でも高額な財産移動は贈与とみなされる
  • 口約束でも財産移転があれば贈与が成立する
  • 年間110万円(基礎控除)を超える贈与に贈与税がかかる
  • 著しく低い価格での売買も贈与とみなされる場合がある

意図せず贈与税が発生する4つの実例

ここでは、夫婦間で起こりやすい「贈与となってしまう」実例を4つ紹介します。

ケース具体例贈与税の扱い
①高額な金銭・財産の移動夫の収入で妻名義の車(150万円)を購入課税対象になる
②へそくりで金融資産を購入生活費の余りで株・投資信託を購入課税対象になる
③口座間の高額送金数百万〜数千万円を夫婦間で送金課税対象になる可能性あり
④出資割合と異なる不動産持分の取得夫75%・妻25%出資で持分を50%ずつに設定差額分が贈与とみなされる

①高額な金銭・財産の移動

先ほども触れましたが、高額な金銭や価値のある財産のやり取りは夫婦であっても贈与となります。これは財産を渡すだけでなく、購入してあげることも含まれます

⚠️ 注意:具体例

夫の収入から150万円の車を妻の名義で購入した場合、夫婦で使用する目的の購入だったとしても贈与税の対象となってしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 配偶者名義での高額購入も贈与とみなされる
  • 夫婦共用が目的でも課税対象になる

②へそくりで金融資産を購入するケース

生活費の余りなど、自身の収入以外のお金を溜め込む、いわゆる「へそくり」は、年間110万円以上であっても贈与税の対象とはなりません。収入はあくまで稼いだ人の財産であるため、配偶者が自身の口座に溜め込んだとしても、へそくりの所有権は稼いだ人のままということになります。

⚠️ 注意:へそくりで資産購入すると課税対象に

へそくりによって溜め込んだお金で株や金融資産を購入した場合は、「生活費ではない使い道のお金をもらった」として贈与税の対象になります。自身の収入以外で資産を購入する場合、基礎控除の110万円を超えると贈与税の対象となるので注意しましょう。

📌 ポイント:へそくりと相続税

贈与税の対象とはならないへそくりですが、稼いだ本人が亡くなった際は相続税の対象になります。この点にも注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • へそくりそのものは贈与税の対象外
  • へそくりで株・金融資産を購入すると贈与税の対象になる
  • へそくりは稼いだ本人が亡くなると相続税の対象になる

③口座間の高額なお金の移動

生活費のために夫婦間で資金移動をすることは日常的にあると思います。少額のやり取りであれば問題ありませんが、数百万・数千万と大きなお金を動かすと贈与とみなされてしまう可能性があります。

📌 ポイント:入出金の用途を説明できるように準備を

高額の財産を動かすときは、税務署など第三者に入出金の用途を説明できるように準備しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 少額の口座間送金は問題なし
  • 数百万〜数千万円規模の送金は贈与とみなされる可能性がある
  • 入出金の用途を第三者に説明できる状態にしておくことが重要

④出資割合と異なる不動産持分の取得

不動産を共同所有する場合にも注意が必要です。

⚠️ 注意:具体例

共働きの夫婦が夫75%・妻25%の出資割合でマイホームを購入し、共有持分の割合を50%ずつに設定したとします。この場合、出資割合と持分の差額分を夫が贈与したことになり、妻には贈与税がかかる可能性があります。

「家は夫婦の共有財産だから」と安易に持分を折半してしまうと、後々になって多額の贈与税の支払いを課されることにもなりかねません。

📌 ポイント:不動産購入時の対応策

  • 不動産の出資割合と所有権の持分を一致させる
  • または贈与税の基礎控除(110万円)を超えないように調整する

📝 このセクションのまとめ

  • 出資割合と持分割合が異なると差額分が贈与とみなされる
  • 「夫婦の共有財産だから折半」という安易な設定は危険
  • 出資割合と持分割合を一致させることが基本

婚姻20年以上の夫婦が使えるおしどり贈与制度

ここまでは夫婦間であっても高額な財産移動は贈与となり贈与税がかかると解説してきましたが、婚姻期間の長い夫婦だけが使えるおしどり贈与という制度があります。

このおしどり贈与は、夫婦のどちらか一方が先立った後、残された伴侶が住む場所に困らないよう、生前に居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与する際に、基礎控除とは別に2,000万円まで非課税で贈与できる制度です。

この制度の適用要件は次の3つです。

  1. 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  2. 配偶者から贈与された財産が居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
項目内容
非課税枠基礎控除110万円+最大2,000万円
婚姻期間の要件20年以上
対象財産居住用不動産 または 居住用不動産取得のための金銭
居住要件翌年3月15日までに実際に居住し、今後も住む見込みがあること

⚠️ 注意:おしどり贈与利用時のコスト・デメリット

  • 不動産の取得には不動産取得税・登録免許税などのコストがかかり、これらは控除の対象外
  • 相続時に使える配偶者の税額軽減小規模宅地等の特例は、生前に贈与してしまった財産には適用できない

生前に贈与をしておくか、相続で取得していくか、どちらの方が得なのか判断に迷われる場合は、専門家に相談することをお勧めします

📝 このセクションのまとめ

  • 婚姻20年以上の夫婦は基礎控除とは別に最大2,000万円を非課税で贈与できる
  • 対象は居住用不動産またはその取得資金に限られる
  • 不動産取得税・登録免許税は控除対象外
  • 生前贈与すると相続時の特例が使えなくなるため、専門家への相談が重要

「ばれないから大丈夫」は通じない|税務署が調査するタイミング

ここまでご覧いただいた方の中には、「家庭内のお金のやり取りなんて黙っていればばれないのでは」と考えた人もいるのではないでしょうか。確かに税務署は個人間の取引を常時細かくチェックしているわけではありません。

しかし、あることを契機に個人間の取引を細かくチェックしていくことになります。その契機とは次の2つです。

  • 相続(死亡届の提出)
  • 不動産登記(不動産の名義変更手続き)

死亡届の提出や不動産の名義変更手続きが行われると、税務署に通知がなされます。そこから税務署は被相続人や相続人、そして不動産オーナーとなった人のこれまでのお金の動きを調べていきます。そこで怪しいお金の動きが見つかれば、徹底的に調査が行われます。このため、大きな財産移転を隠し通すのは大変難しいと言えるでしょう。

⚠️ 注意:申告漏れのペナルティ

後々になって税務調査で申告漏れが発覚すると、ペナルティとして本来払うはずだった税額より高い金額を請求されてしまいます。贈与税の対象となる行為があった場合は、必ず贈与税の申告・納税を行いましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続・不動産登記が税務調査のきっかけになる
  • 税務署は相続・登記を契機にお金の動きを遡って調査する
  • 申告漏れが発覚するとペナルティで本来の税額より高額を請求される
  • 贈与税の対象となる行為は必ず申告・納税すること

まとめ:夫婦間贈与の基本ルールと対策

生活費・教育費以外の用途で110万円を超える高額な財産を無償または廉価で譲り渡す場合は、夫婦や家族であっても贈与税の対象となります。

年を重ねると、自身はもちろん配偶者の老後、さらには先立つことも踏まえて財産の移転を検討する機会も増えてくるのではないでしょうか。しかし財産の移転には、想像以上に税金がかかってきます。

📌 夫婦間贈与のポイント整理

内容贈与税の扱い
生活費・教育費の移動課税対象外
年間110万円以下の贈与課税対象外(基礎控除内)
年間110万円超の高額な財産移動課税対象
配偶者名義での高額購入課税対象
へそくりの溜め込み課税対象外(ただし相続税の対象)
へそくりで株・金融資産を購入課税対象
出資割合と異なる不動産持分の設定差額分が課税対象
おしどり贈与(婚姻20年以上・居住用不動産)基礎控除+2,000万円まで非課税

今回紹介したおしどり贈与以外にも、それぞれの状況に合わせた対策があります。お困りの際は、贈与や相続に強い税理士に相談してみてはいかがでしょうか。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!

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