産休・育休の基礎知識|事業主が知っておくべき制度と助成金を社労士が解説
産休・育休は「取らせたくない」では済まない時代。事業主が知っておくべき制度と助成金の基礎知識を解説します。
📑 この記事の目次
🔄 最新アップデート
この動画は2021年の法改正を踏まえた内容です。その後、2022年10月には「産後パパ育休(出生時育児休業)」が新設され、子の出生後8週間以内に最大4週間取得できる制度が追加されました。また育児休業の分割取得(2回まで)も同時に施行されています。2023年4月からは従業員1,000人超の企業に育児休業取得率の公表が義務化されました。最新の要件は厚生労働省のホームページでご確認ください。
2021年の改正育児介護休業法とは
2021年6月、育児休業の取得を促進するための改正育児介護休業法が成立しました。経営者・人事担当者として、この改正内容を正確に把握しておくことが重要です。
主な改正内容は以下のとおりです。
- 育児休業の分割取得が可能になる
- 育児休業を取得しやすい環境の整備が事業主の義務となる
- 労働者への制度の周知・意向確認措置が事業主の義務となる
- 従業員数1,000名を超える企業は育児休業の取得状況を公表することが義務づけられる
こうした法改正の流れを受け、今後は産休・育休の取得者がさらに増えていくことが予想されます。事業主としては、制度の基礎をしっかり押さえておく必要があります。
💡 補足:動画では触れていませんが…
改正法では「個別の周知・意向確認」が義務化されており、妊娠・出産の申し出があった従業員に対して、会社側から育休制度の説明と取得意向の確認を行うことが求められます。口頭だけでなく書面での対応が実務上は安心です。
📝 このセクションのまとめ
- 2021年6月に改正育児介護休業法が成立
- 育休の分割取得・環境整備・周知義務が新たに課される
- 1,000人超の企業は取得状況の公表が義務
産休制度(産前産後休業)とは
産休制度とは「産前産後休業制度」の略称です。労働基準法に定められた制度で、女性労働者が出産前後に取得できる休業制度です。
| 区分 | 取得期間 | 取得の可否 |
|---|---|---|
| 産前休業 | 出産予定日の6週間前から | 本人の請求により取得 |
| 産後休業 | 出産後8週間 | 請求の有無にかかわらず就業させてはならない(強制休業) |
産休制度の大きな特徴は、以下の条件に関係なく取得できる点です。
- パート・アルバイト・契約社員などの雇用形態を問わない
- 入社・勤続年数を問わない
- 会社の就業規則等に定めがなくても取得させる義務がある
⚠️ 注意
産後休業は本人が希望しても就業させてはいけません(強制休業)。ただし、産後6週間を経過した後は、本人が希望し、かつ医師が差し支えないと認めた場合に限り就業させることができます。「辞めさせたくないから休みを与えない」という対応は法律違反です。
💡 補足:動画では触れていませんが…
産前休業中・産後休業中は健康保険から「出産手当金」(標準報酬日額の約3分の2)が支給されます。会社からの給与支払いがなくても収入が確保されるため、従業員への説明時にあわせて案内しておくと安心です。
📝 このセクションのまとめ
- 産休は労働基準法に基づく女性労働者の権利
- 産前6週・産後8週が対象期間
- 雇用形態・勤続年数・就業規則の有無に関係なく取得させる義務がある
- 産後8週は強制休業(本人希望でも就業不可)
育児休業制度とは
育児休業制度は、育児介護休業法に定められた制度です。産休制度が女性のみを対象としているのに対し、育児休業制度は男性を含む男女の労働者が対象となります。
| 項目 | 産休制度 | 育児休業制度 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 労働基準法 | 育児介護休業法 |
| 対象者 | 女性労働者のみ | 男女の労働者 |
| 対象期間 | 産前6週・産後8週 | 子が1歳未満(最長2歳まで延長可) |
| 雇用形態 | 問わない | 一定の条件を満たせば問わない |
| 就業規則の定め | 不要 | 不要(一定条件を満たせば取得義務あり) |
育児休業は原則として子どもが1歳になるまで取得できます。ただし、保育所に入所できないなどの事情がある場合は、子どもが2歳に達するまで休業を延長することができます。いわゆる「待機児童問題」への対応として設けられた制度です。
📌 ポイント
育児休業も産休と同様に、一定の条件を満たした労働者が申し出た場合、会社の就業規則等に定めがなくても取得させなければなりません。「うちの会社には制度がないから」という理由は通用しません。
💡 補足:動画では触れていませんが…
育児休業期間中は、雇用保険から「育児休業給付金」として休業前賃金の最大67%(180日経過後は50%)が支給されます。社会保険料も免除されるため、従業員の手取り収入は思ったより確保されます。この点を従業員に伝えることで、育休取得への不安を和らげることができます。
📝 このセクションのまとめ
- 育児休業は男女ともに取得できる
- 原則1歳まで、保育所不入所等の場合は最長2歳まで延長可能
- 就業規則の有無にかかわらず、一定条件を満たせば取得させる義務がある
産休・育休に関する法規制と罰則
産休・育休に関して、事業主が特に注意すべき法規制を整理します。
⚠️ 注意:以下の行為は法律違反です
- 産後8週間以内に就業させること(本人希望があっても不可。産後6週経過後は医師が認めた場合のみ可)
- 産前産後期間およびその後30日間の解雇(解雇禁止期間)
- 妊娠・出産・産休・育休の取得などを理由とした解雇・雇い止め・降格・給与引き下げ・契約内容の変更など不利益な取り扱い(いわゆる「マタハラ」「パタハラ」)
これらの規定に違反した場合、行政(労働基準監督署・都道府県労働局)からの助言・指導・勧告の対象となります。また、従業員との労働トラブルに発展する可能性もあるため、十分な注意が必要です。
| 違反行為 | 根拠法令 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 産後8週以内の就業 | 労働基準法第65条 | 罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金) |
| 産前産後・産後30日以内の解雇 | 労働基準法第19条 | 解雇無効・損害賠償リスク |
| 妊娠・出産・育休を理由とした不利益取り扱い | 育児介護休業法・男女雇用機会均等法 | 行政指導・労働トラブル・損害賠償リスク |
💡 補足:動画では触れていませんが…
不利益取り扱いの禁止は「直接的な解雇」だけでなく、「自主退職への誘導」や「嫌がらせによる退職追い込み」も含まれます。管理職への教育・周知が会社全体のリスク管理につながります。
📝 このセクションのまとめ
- 産後8週は強制休業。違反すると刑事罰の対象になり得る
- 産前産後期間+産後30日間は解雇禁止
- 妊娠・出産・育休を理由とした不利益取り扱いは違法(マタハラ・パタハラ)
- 違反した場合は行政指導や労働トラブルのリスクがある
従業員の産休・育休取得による会社のメリット
産休・育休は「会社にとって負担」というイメージを持たれがちですが、実際には以下のようなメリットがあります。
- 従業員の定着率・エンゲージメントの向上
- 優秀な人材の採用力強化(働きやすい職場としてのブランド向上)
- 育休取得者の職場復帰によるノウハウ継続
- 業務の属人化解消・チーム力強化のきっかけになる
- 従業員のモチベーション向上(制度が整っている安心感)
- 助成金の受給による経済的メリット
📌 ポイント
産休・育休取得者が出ることを「コスト」ではなく「職場環境改善のチャンス」と捉えることが重要です。特に人材採用が難しい中小企業にとって、育休取得実績は採用活動における強力なアピールポイントになります。
📝 このセクションのまとめ
- 育休取得は会社にとってもメリットがある
- 定着率・採用力・チーム力の向上につながる
- 助成金による経済的メリットも見逃せない
産休・育休取得に関する助成金制度
従業員が育児休業を取得した場合、事業主は国の助成金を受け取ることができます。代表的な2つの助成金をご紹介します。
① 育児休業等支援コース
事業主が育休復帰支援プランを作成し、そのプランに基づいて従業員に育児休業を取得・職場復帰させた場合に支給されます。中小企業の事業主が対象です。
| 支給タイミング | 支給額 |
|---|---|
| 育児休業取得時 | 28万5,000円 |
| 職場復帰時 | 28万5,000円 |
| 合計(最大) | 57万円 |
対象は一企業につき2人までとなっています。
② 両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)
事業主が男性従業員の育児休業を取得しやすい環境づくりを行い、その取り組みによって男性従業員が育児休業を取得した場合に支給されます。大企業・中小企業ともに対象となっています。
| 企業規模 | 対象人数 | 支給額 |
|---|---|---|
| 中小企業 | 1人目 | 57万円 |
| 中小企業 | 2人目以降 | 要件により異なる |
| 大企業 | 1人目 | 要件により異なる |
| 加算(個別面談実施) | — | プラス2万円(1面談あたり、上限あり) |
育児休業取得を促進するための個別の面談を実施した場合は、1面談あたりプラス2万円の加算があります。
⚠️ 注意
本記事でご紹介した助成金の金額・要件は2021年度時点のものです。助成金の要件・金額は毎年変更になる場合があります。最新の情報は厚生労働省のホームページまたは社会保険労務士にご確認ください。
💡 補足:動画では触れていませんが…
助成金を受給するためには、事前に育休復帰支援プランの作成や社内制度の整備など、所定の手続きが必要です。育休取得後に「あとから申請しよう」と思っても要件を満たせないケースがあるため、従業員が妊娠・出産を申し出た段階で早めに社会保険労務士に相談することをお勧めします。
📝 このセクションのまとめ
- 育児休業等支援コース:取得時・復帰時それぞれ28万5,000円、計最大57万円(中小企業・2人まで)
- 子育てパパ支援助成金:男性育休取得で中小企業1人目は最大57万円
- 個別面談実施でプラス2万円の加算あり
- 要件・金額は毎年変更の可能性があるため最新情報を確認すること
📋 この記事を読んだら次にやること
- 自社の就業規則に産休・育休に関する規定が整備されているか確認する
- 妊娠・出産の申し出があった従業員に対して、育休制度の周知と意向確認を書面で行う
- 育児休業等支援コース・子育てパパ支援助成金の最新要件を厚生労働省のホームページまたは社会保険労務士に確認し、受給可能かどうか検討する
- 管理職・上司への研修を実施し、マタハラ・パタハラのリスクを社内全体で認識する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル アップパートナーズ 経営力向上チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは アップパートナーズ 経営力向上チャンネルを応援しています!
