医療費控除できるもの・できないもの完全ガイド|税理士が解説
医療費控除で「これは対象になる?」と迷う費用を税理士が徹底解説します。
医療費控除とは|所得控除の仕組みをおさらい
所得税や住民税は、収入金額から必要経費などを差し引いた「所得金額」を計算し、そこからさらに「所得控除額」を差し引いて「課税所得金額」を出します。この課税所得金額に税率を掛け算して、納付する税金が決まります。
所得控除には生命保険料控除・扶養控除など15種類あります。医療費控除もその一つです。所得金額から差し引けるわけですから、控除額が多ければ多いほど税金を安くすることができます。
📌 ポイント
医療費控除は自分の医療費、あるいは自分と生計を一にしている家族の医療費を支払った場合に適用できます。家族を含めた医療費の合計が対象となりますが、支払った医療費の全額を差し引けるわけではありません。
医療費控除額の計算方法|足切り額と保険金の扱い
医療費控除の金額は、次の計算式で求めます。
医療費控除額 = 医療費の合計 − 受け取った保険金等 − 足切り額(最高200万円)
まず「足切り額」を確認しましょう。
| 所得金額 | 足切り額 |
|---|---|
| 200万円以上 | 10万円 |
| 200万円未満 | 所得金額の5% |
一般的に「医療費が10万円を超えたら医療費控除をしましょう」と言われるのは、所得金額200万円以上の場合の足切り額が10万円だからです。ただし、超えた金額だけが控除対象になります。例えば医療費が11万円かかっても、控除できるのは1万円だけです。
次に「保険金などで補填される金額」についてです。以下のような給付金は医療費から差し引く必要があります。
- 保険会社から支給される手術給付金・入院給付金
- 健康保険で支給される高額療養費
- 出産育児一時金
📌 ポイント:保険金が医療費を上回った場合
かかった医療費よりも受け取った保険金の方が多かった場合でも、差し引くのは給付の対象となった医療費の金額を限度とされています。多かった分を他の医療費から差し引く必要はありません。また、病気や障害で受け取った給付金は非課税ですので、税金がかかることもありません。
⚠️ 注意:医療費控除はキャッシュベースで判断
医療費控除を含む所得控除はキャッシュベースで考えます。対象になるのは1月1日から12月31日までにお金を支払ったものです。治療を受けた日ではありません。例えば年末に救急で病院に駆け込んで治療を受けたが、手持ちがなくて翌年1月に支払った場合は、翌年の医療費控除の対象になります。
また、クレジットカードで支払った場合は、銀行から引き落とされた日ではなく、病院の窓口でクレジットカードを使って支払った日が基準となります。
📝 このセクションのまとめ
- 医療費控除額 = 医療費合計 − 保険金等 − 足切り額(最高200万円)
- 所得200万円以上の足切り額は10万円、未満は所得の5%
- 保険金が医療費を超えても、超過分を他の医療費から差し引く必要はない
- 判断基準はお金を「支払った日」(キャッシュベース)
医療費控除の大原則|「治療のため」かどうかがすべて
どんな費用が医療費控除の対象になるのか、結論を一言で言えば「治療のため」かどうか、これに尽きます。
| 目的 | 医療費控除 |
|---|---|
| 治療のため | ✅ 対象 |
| 予防・健康増進のため | ❌ 対象外 |
| 疲労回復のため | ❌ 対象外 |
| 美容のため | ❌ 対象外 |
この大原則を踏まえた上で、判断に迷いやすい項目を個別に解説していきます。
📝 このセクションのまとめ
- 医療費控除の判断基準は「治療のため」かどうか
- 予防・健康増進・疲労回復・美容目的はすべて対象外
入院費用・交通費|意外と知らないOK・NGの線引き
入院にかかる費用と通院交通費について、対象になるものとならないものを整理します。
【入院費用】
| 費用の種類 | 医療費控除 | 備考 |
|---|---|---|
| 治療費・検査費・手術費 | ✅ OK | |
| 紹介状の文書料(診療情報提供料) | ✅ OK | 専門病院への紹介状 |
| 病院から提供される食事代 | ✅ OK | 外食・持ち込みのお菓子はNG |
| 差額ベッド代 | ❌ 原則NG | 病院の判断で治療上必要な場合はOK(緊急入院・感染症等) |
| テレビ・冷蔵庫使用料 | ❌ NG | |
| 寝巻き・洗面用具・アメニティ・クリーニング代 | ❌ NG | 治療と関係ない費用 |
| 医師・看護師への謝礼金 | ❌ NG | 診療の対価ではないため |
【入院・通院の交通費】
| 交通手段・費用 | 医療費控除 | 備考 |
|---|---|---|
| 電車・バスなど公共交通機関 | ✅ OK | |
| タクシー代 | ⚠️ やむを得ない場合のみOK | 公共交通機関がない・深夜・自力移動不可の場合 |
| 自家用車のガソリン代 | ❌ NG | 人的役務の提供に該当しないため |
| 駐車料金・高速料金 | ❌ NG | 同上 |
| 家族がお見舞いに行く交通費 | ❌ NG | 治療と関係がないため |
📌 ポイント:自家用車がNGな理由
医療費控除の対象となる交通費は「病院に収容されるための人的役務の提供」とされています。ガソリン代・駐車料金・高速料金は人的役務の提供に該当しないため、対象外となっています。
📝 このセクションのまとめ
- 治療費・検査費・手術費・紹介状の文書料・病院食はOK
- 差額ベッド代は原則NG(治療上必要と判断された場合のみOK)
- 交通費は公共交通機関のみOK。タクシーはやむを得ない場合に限る
- 自家用車のガソリン代・駐車料金・高速料金はNG
健康診断・マッサージ・鍼灸|「治療目的」かどうかで判断が変わる
【健康診断・人間ドック】
医療費控除の対象になるのは「医師による診療または治療」です。人間ドックや健康診断は予防医療であり、病気の治療を行うものではないため、原則として医療費控除の対象にはなりません。予防接種も同様の扱いです。
📌 ポイント:人間ドックで病気が見つかった場合
人間ドックや健康診断で病気が見つかり、引き続いて治療を受けることになった場合は、その人間ドック・健康診断が治療に先立った診療と同じとみなされます。この場合は、人間ドックや健康診断の費用も医療費控除の対象になります。
【マッサージ・鍼灸】
マッサージや鍼灸については、次の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 国家資格を持っている施術者(柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師)であること
- 治療目的の施術であること(骨折・捻挫・打撲などの傷病の治療)
たとえ国家資格者による施術であっても、疲れを癒したり体調を整えたりといった健康目的のものは対象外です。治療した傷病名を領収書に記載してもらうと良いでしょう。
| 施術の種類 | 医療費控除 | 理由 |
|---|---|---|
| 国家資格者による治療目的の施術 | ✅ OK | 骨折・捻挫・打撲等の治療 |
| 国家資格者による健康目的の施術 | ❌ NG | 疲労回復・体調管理は治療に該当しない |
| 整体・もみほぐし(民間資格者) | ❌ NG | 国家資格者でないため |
| アロママッサージ・リンパマッサージ | ❌ NG | 同上 |
| カイロプラクティック | ❌ NG | 同上 |
📝 このセクションのまとめ
- 健康診断・人間ドックは原則NG。ただし病気が見つかり治療を受けた場合はOK
- マッサージ・鍼灸は「国家資格者による」かつ「治療目的」の2条件が必要
- 整体・もみほぐし・アロマ・カイロプラクティックはNG
歯科治療・産婦人科|判断に迷いやすい費用を整理
【歯科治療】
| 費用の種類 | 医療費控除 | 備考 |
|---|---|---|
| 金歯・セラミック治療 | ✅ OK | 現在は一般的な治療材料として認められている |
| インプラント治療 | ✅ OK | |
| 子どもの歯列矯正 | ✅ OK | 発育段階の子どもの健全な発育に必要な治療 |
| 大人の歯列矯正(機能障害の治療) | ✅ OK | うまく食べられない・滑舌に支障がある等。診断書が必須 |
| 大人の歯列矯正(美容目的) | ❌ NG | 美容目的は対象外 |
| ホワイトニング | ❌ NG | 美容目的のため |
⚠️ 注意:大人の歯列矯正は診断書を準備しよう
大人の歯列矯正で機能障害の治療としてOKになるケースでは、美容目的との区別が必要です。機能障害を治すための治療であることを証明できるよう、診断書をもらっておくことが必須となります。
【産婦人科】
| 費用の種類 | 医療費控除 | 備考 |
|---|---|---|
| 出産までの定期検診費用 | ✅ OK | |
| 分娩費用 | ✅ OK | |
| 不妊症治療費・人工授精の費用 | ✅ OK | |
| 無痛分娩自体の費用 | ✅ OK | |
| 里帰り出産の交通費 | ❌ NG | 実家に帰る交通費も、母親を呼び寄せる交通費もNG |
| 無痛分娩講座の受講料 | ❌ NG | 医療行為の対価ではないため |
| マタニティヨガの受講料 | ❌ NG | 医療行為の対価ではないため |
📝 このセクションのまとめ
- 金歯・セラミック・インプラントはOK。ホワイトニングはNG
- 子どもの歯列矯正はOK。大人は機能障害の治療目的のみOK(診断書必須)
- 出産の定期検診・分娩費用・不妊治療・無痛分娩はOK
- 里帰り交通費・無痛分娩講座・マタニティヨガはNG
医薬品の購入|市販薬でも対象になるケースとは
医薬品の購入については、医師の処方で購入したものはもちろんOKです。自分で購入した市販薬でも、治療と明らかにわかるものであれば対象になります。
| 医薬品・サプリ等の種類 | 医療費控除 | 備考 |
|---|---|---|
| 医師が処方した薬 | ✅ OK | |
| 市販の風邪薬・頭痛薬 | ✅ OK | 治療目的であることが明らか |
| 市販の傷薬・絆創膏 | ✅ OK | 同上 |
| 栄養ドリンク・ビタミン剤 | ❌ NG | 健康増進・疲労回復目的のため |
| 健康食品・サプリメント | ❌ NG | 同上 |
| 医師が処方していない漢方薬 | ❌ NG | 医師の処方がない場合はNG |
⚠️ 注意:漢方薬は医師の処方があるかどうかで判断が変わる
漢方薬は医師が処方したものであれば医療費控除の対象になりますが、自分で購入した場合(医師の処方なし)はNGです。購入時に処方箋があるかどうかを確認しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 医師処方の薬はすべてOK
- 市販薬も治療目的が明らかなもの(風邪薬・頭痛薬・傷薬・絆創膏等)はOK
- 栄養ドリンク・サプリメント・健康食品はNG
- 漢方薬は医師の処方がある場合のみOK
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
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