医療保険は本当に必要?健康保険でカバーできる範囲を徹底解説

医療保険は本当に必要?健康保険でカバーできる範囲を徹底解説
e_zeirishi

感情論を排除してロジカルに考えると、民間の医療保険はほぼ不要という結論になります。

医療保険とは何か?日本人にほぼ不要な理由

医療保険とは、保険料を払い続けることで、入院や治療を受けた際に保険金が給付される保険です。皆さんもご存知の通りの仕組みですが、結論から言うと、日本人には民間の保険会社が提供する医療保険はほぼ不要です。ご家庭の事情によって多少異なりますが、それを考慮しても、ほとんどのケースで不要だと考えています。

なぜかというと、日本では国民全員が公的医療保険(健康保険)に強制加入しているからです。この日本の公的医療保険は、世界ナンバーワンの保障内容と手厚さを誇っており、少額の保険料でカバーできる範囲が非常に広いのです。

📌 ポイント

日本の公的医療保険の主な特徴は以下の2点です。

  • 医療費は3割負担(後期高齢者は1〜2割負担)
  • 月々の医療費に上限(高額療養費制度)が設けられている

例えばアメリカでは国民皆保険ではないため、民間保険も高額で、約3,000万人が保険未加入とも言われています。保険がなければ医療すら受けられないという深刻な問題があります。医療という視点で切り取ってみると、日本はとても恵まれた国なのです。

📝 このセクションのまとめ

  • 日本人は全員、公的医療保険(健康保険)に強制加入している
  • 医療費3割負担+高額療養費制度で、実質的な負担は非常に小さい
  • この仕組みを理解すれば、民間医療保険はほぼ不要という結論になる

保険でカバーすべきリスクとは?4象限で考える

保険の基本的な考え方を整理しておきましょう。何かが起こった時に保険金が受け取れるわけですが、「起こる確率」と「かかるお金の大きさ」の2軸で考えると分かりやすくなります。

金額が少ない金額が大きい
低確率貯金でカバー(保険不要)⭐ここだけ保険でカバー
高確率貯金でカバー(保険不要)近づいてはいけない(ギャンブル等)

保険でカバーすべきなのは、「低確率で起こるが、起きたらお金がかかりすぎてどうにもならない」ものだけです。この場合に限り、保険料という損失を払ってでもリスクをカバーする意味があります。

一方、右下の「高確率かつ高額」なものは、二重払いのような仕組みがその典型です。確実に借金を背負うようなものには近づいてはいけません。

⚠️ 注意

「低確率で、かつ金額が安く済む」ものに保険をかけるのは、確率論的に損です。保険料という損失を払い続けるだけになるケースがほとんどです。

では、医療の保険事故(病気・入院・事故による治療)はどこに該当するかというと、「低確率かつ金額が安い」左下に当てはまります。なぜなら、日本では公的医療保険に入っているため、医療費が安く済むからです。つまり、本来は保険をかける必要がないゾーンなのです。

それでも多くの家庭では、金額が安いものも高いものも、確率が低くても高くても、とにかく全部に保険をかけてしまっています。これが医療保険の選択に失敗している家庭が多い理由です。

📝 このセクションのまとめ

  • 保険でカバーすべきは「低確率・高額」なリスクのみ
  • 医療リスクは「低確率・低額(公的保険があるため)」に該当する
  • すべてのリスクに保険をかけるのは確率論的に損失になる

高額療養費制度とは?年収別の自己負担上限額

日本の医療費が本当に安く済むのかを確認するために、高額療養費制度を見ていきましょう。この前提が崩れると話が変わってきますが、やはり安いのです。

高額療養費制度とは、月々の医療費の自己負担に上限を設けた制度です。100万円の医療費がかかっても、上限を超えた分は戻ってくる仕組みです。厚生労働省のホームページに掲載されている計算方法はやや複雑ですが、年収別のモデルケースを見ると分かりやすくなります。

給与年収の目安月々の医療費自己負担上限(目安)
約500万円9万円
約800万円17万円
約1,000万円25万円

つまり、入院や治療が1か月で終わるのであれば、理論上はこの金額を貯金しておけば保険をかける必要はありません。重要なのは、「病気や事故で1か月で済むのか、それとも半年以上かかるのか」をロジカルに確認することです。

📝 このセクションのまとめ

  • 高額療養費制度により、月々の医療費には上限が設定されている
  • 年収500万円なら月約9万円が上限の目安
  • この金額を貯金でカバーできるなら、民間医療保険は不要

平均的な医療費・がん治療費のリアルな数字

厚生労働省「国民医療費の概況2020」によると、国民全体の1人当たり平均医療費は年間約34万円というデータがあります。年代別に見ると、若い世代はさらに低くなります。

年齢層1人当たり年間平均医療費
15〜44歳12万円
45〜64歳28万円
全年齢平均34万円

これらが貯金で賄えそうなら、医療保険は理論上いりません。

そして多くの方が気になるのががんの治療費です。保険商品に「がん保険」があるくらい、がんは日本人がなりやすい病気の代表格であり、医療費もかかります。では実際どれくらいかかるのでしょうか。

📌 がん治療のリアルな数字(保険会社各社の資料より)

  • 平均的な治療費:60万〜100万円程度で治療を終える方が増えている
  • 平均入院日数:約20日(1か月未満)

平均年収の方の高額療養費の月額上限は約9万円ほどでした。がんの平均入院日数が約20日(1か月以内)であることを踏まえると、がんの治療費も高額療養費制度の範囲内に収まるケースが多いということになります。

つまり、高額療養費制度のモデルケースで示したような貯金があれば、がんに対しても民間の医療保険は必要ないという結論になります。なぜなら、医療保険は払うだけの損失であり、保険金をもらわずに貯金で賄える方がトータルで得だからです。

📝 このセクションのまとめ

  • がんの平均治療費は60〜100万円程度、平均入院日数は約20日
  • 多くのケースで高額療養費制度の範囲内に収まる
  • 貯金でカバーできるなら、がん保険も含めて民間医療保険は不要

会社員・公務員には労災保険・傷病手当金もある

会社員・公務員の方には、医療費の補助に加えて、働けなくなった時の収入補償も公的制度として用意されています。

制度名対象となるケース給付内容
休業補償給付(労災保険)業務中の病気・怪我で働けなくなった場合働けない期間中、給与の約8割を受給
傷病手当金(健康保険)業務外の病気・怪我で働けなくなった場合最長1年6か月間、給与の3分の2を受給

高額療養費制度に加えて、これらの収入補償制度も全員が強制加入の公的保険として持っています。つまり、会社員・公務員はすでに医療費と収入の両方をカバーする公的保険に入っているのです。これらを踏まえた上で、民間の医療保険を検討する必要があります。

📌 ポイント

生命保険を考える際に「遺族年金・障害年金を理解して、足りない分だけ民間保険で補う」という考え方をするように、医療保険も「高額療養費制度・傷病手当金を理解して、それでも足りない分だけ民間保険で補う」という考え方が基本です。公的制度を正しく理解することが、節約への大きな第一歩です。

📝 このセクションのまとめ

  • 業務中の病気・怪我には労災保険(休業補償給付)で給与の約8割が補償される
  • 業務外の病気・怪我には傷病手当金で最長1年6か月、給与の3分の2が補償される
  • 会社員・公務員はすでに医療費と収入の両方をカバーする公的保険に入っている

よくある疑問:高額療養費制度の対象外・先進医療はどうする?

ここまでの話をすると、必ずと言っていいほど出てくる質問があります。順番に見ていきましょう。

Q. 高額療養費制度の対象外の出費(差額ベッド代など)はどうすればいいですか?

結論から言うと、これも基本的には必要ないと考えています。なぜなら、高額療養費制度の対象外の出費は、そこまで大きな金額にはならないからです。保険でカバーすべきは「確率が低くて金額がめちゃくちゃ高いもの」ですが、差額ベッド代はそこに該当しません。

例えば差額ベッド代は、入院が1年以上続けばとんでもない金額になるかもしれませんが、がんの平均入院日数が約20日であることを考えると、そこまでの金額にはなりません。また、差額ベッド代を払いたいということは個室を希望しているわけで、それができる方はおそらく経済的に余裕がある方です。そういった方は、そもそも医療保険は必要ありません。差額ベッド代は貯蓄の状況に応じて払えれば払う、払えなければ払わないという判断でよいのです。

Q. 先進医療はどうすればいいですか?お金がかかりますよね?

確かに先進医療は高額になることがあり、高額療養費制度の対象外のため全額自己負担になります。ただし、以下の点を冷静に考えてみてください。

  • 先進医療はまだ国の認可が下りていない治療法であり、効果のほどは未確定
  • 先進医療を受けるかどうかは、医師との相談の上で合併症等の条件が揃った場合のみ
  • まず受けるのは標準治療(公的保険でカバーされる)であり、先進医療はその先の話
  • 病気・事故で入院するという低確率の上に、さらに先進医療まで進むのはさらなる低確率

最初から先進医療を受けることを見越して保険に入るというのはナンセンスです。将来先進医療を必ず受けると決まっているという方は保険に入った方がいいかもしれませんが、そうでない方は、低確率の上にさらなる低確率に保険料という損失を払い続けることになります。

Q. 「保険に入っていてよかった」という話をよく聞きます。やっぱり入った方がいいのでは?

保険に入っていてよかったという話はよく聞こえてきます。しかしこれをロジカルに考えてみましょう。

📌 ポイント:保険の仕組みを理解する

同じ保険に100人が加入したとして、保険事故が50人に起きたら保険会社は潰れてしまいます。保険が成り立つのは、保険事故が起きる人が1〜2人程度だからです。つまり、ほとんどの人は保険料を払い続けて損失を出し、「保険事故がなくてよかった=保険に入らなくてもよかった」という結果になっています。

ごくまれに「マイナスの宝くじ」を引いてしまった人だけが、「保険に入っていてよかった」と言えるのです。

保険料を払って保険金をもらう人は確率的に少数です。トータルの確率を踏まえると、低確率なリスクに備えて保険料という損失を払い続けるよりも、保険料を払わずに貯金でカバーする方がお得になるケースがほとんどです。

「心の安心を買うために一応保険に入っておく」という感情と、「感情を排除してロジカルに考えて貯金を増やす」という選択、どちらが節約・資産形成につながるかは明らかです。

📝 このセクションのまとめ

  • 差額ベッド代など高額療養費制度外の出費も、貯金でカバーできる範囲に収まるケースが多い
  • 先進医療は低確率の上にさらなる低確率であり、最初から見越して保険に入るのはナンセンス
  • 「保険に入っていてよかった」という声は少数派であり、確率論では保険料を払わない方が得

結論:どうすればいい?職業別の医療保険の考え方

ここまでの話を踏まえて、実際にどうすればいいかをまとめます。

職業・状況推奨する対応
会社員・公務員民間医療保険は基本的に不要。高額療養費制度+傷病手当金で十分カバーできる
自営業・フリーター(貯蓄あり)民間医療保険は不要。貯金でカバーできる
自営業・フリーター(貯蓄なし)労災保険がなく収入補償が薄いため、薄い保険(都道府県民共済など)を検討

もしどうしても保険に入りたいという場合は、都道府県民共済の「入院保証2型」(特約なし)がおすすめです。特約を一切つけなければ、月額約2,000円(掛け捨て)で以下の保障が受けられます。

  • 事故による入院:1日1万円給付
  • 病気による入院:1日1万円給付
  • 事故による通院:給付あり(病気による通院は給付なし)

⚠️ 注意

民間の医療保険は、病気になったら必ずもらえるというものではありません。各保険会社が細かい条件(米印事項)を設けており、「こういう場合はもらえない」「こういう場合に限りもらえる」という制限が多くあります。一方、国の高額療養費制度は医療費を払えば自動的に適用されるシンプルな仕組みです。まずは公的制度を基盤として考えましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社員・公務員は公的制度だけで十分カバーできるため、民間医療保険は基本不要
  • 自営業・フリーターで貯蓄がない場合のみ、都道府県民共済の入院保証2型(特約なし・月約2,000円)を検討
  • 民間保険には細かい給付条件があるため、公的制度のシンプルさと比較して判断することが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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