マイクロ法人と個人事業の二刀流で社会保険料・税金を大幅削減|税理士が解説
マイクロ法人×個人事業の二刀流で、社会保険料と税金を合法的に大幅削減できるスキームを解説します。
マイクロ法人とは?個人事業との「二刀流」が注目される理由
最近、複数の事業や収入源を持つ人がすごく増えてきましたよね。働き方も多様になってきたなと思いまして、そういった方はぜひマイクロ法人を設立して、もっといろんなメリットを得ることも可能なんじゃないかなと思っています。
今日はこのマイクロ法人のメリット・デメリット、あと注意点についてお話しできたらと思っています。マイクロ法人って最近名前をよく聞くようになってきたんですけど、そもそもどういうものなんでしたっけ?

シンプルに言いますと、社長一人だけで運営しているような法人だと思ってください。
複数の事業や収入源を持った方がマイクロ法人を作っていただいて、合法的に大きく節税するということができたりもします。特に個人事業主とマイクロ法人を併用する、その「二刀流」とも言うんですかね。法人と個人の良いとこ取りができるスキームとして最近注目されています。

「良いとこ取り」っていうのがいいですね。具体的にはどんなメリットがあるんでしょうか?

はい、画面に出ている通り、社会保険料を減らすことができたり、所得税を減らすことができたり、役員社宅を使って住んでいるお部屋の家賃を経費にできたり、消費税の免税期間を使えたり、10年間の赤字繰越といったメリットが挙げられますね。

じゃあ、一つずつ見ていきたいと思います。

メリット① 社会保険料の負担を大幅に減らせる(年間62万円削減の試算)
1つ目は社会保険料の負担を少なくすることができるというところなんですが、これはこのスキームの最大のメリットかなと思っています。
個人事業主として国民健康保険や国民年金を払っていらっしゃった方が、法人の社会保険、つまり健康保険や厚生年金に切り替えることで、保険料の負担を少なくすることができて、かつ保障を手厚くすることもできたりします。

どれぐらい社会保険料が下がるんですか?

はい、ざっくりとした数字でシミュレーションしてみようと思います。前提は東京都在住・40歳・夫婦2人家族で子供がゼロ、個人事業主としての所得が500万円の方を前提とします。
個人事業主でやっている場合は、国民健康保険料が約50万円かかりますし、国民年金が2人分ということで約40万円かかっていました。社会保険料の合計が約90万円ということになっているんですけど、ここでマイクロ法人を作ったとします。
役員報酬額を72万円に設定して社会保険に加入していただいて、配偶者の方を扶養家族にすると、健康保険料が約8万円になって、厚生年金の保険料が約20万円になります。その結果、社会保険料の合計が年間約28万円になります。
なので、かなりざっくりとした試算にはなってくるんですけども、90万円-28万円=年間約62万円の保険料を減らすことができる計算になります。地域や家族構成によってこの計算結果は異なるんですけども、今みたいなイメージになってきます。

ということは、20年やるとすると1,200万円以上ってことですね!これめっちゃくちゃ減りますね。

そうですね、20年とかで見るとめちゃくちゃ差が出てくるかなと思います。

何でこんなに減るんですか?

社会保険料は標準報酬月額を基に算出されます。個人事業主の場合は収入が上がるほど標準報酬月額が上がって、社会保険料は高くなる傾向があります。

私も個人事業主時代、高いなと思ってましたね。

そうですよね。ここでマイクロ法人を設立していただいて、マイクロ法人から給料を受け取ることで、社会保険が厚生年金や健康保険に切り替わるということです。マイクロ法人から受け取る役員報酬を最低額に設定していれば、社会保険料を大きく減らすことができます。

「最低額に設定する」というのは、具体的にいくらぐらいに設定することですか?

はい、月6万3,000円未満の時に標準報酬月額の等級が最も低くなりまして、社会保険料が最も安くなります。なので、社会保険料を抑えるのであればそこを超えないようにするというのが、まず一つの目安となってきます。
役員報酬を月6万円とすると、6万円×12ヶ月で年間72万円になります。おおむねこれが目安ということですね。
役員報酬を最低額にした時の保険料が、厚生年金が月1万6,104円で、国民年金が月1万6,610円とほぼ同額になってきます。厚生年金の方が若干安いぐらいですね。

しかも、法人で加入する社会保険では家族を扶養家族にできるのに対して、個人事業主が加入している国民健康保険や国民年金には扶養という概念がないです。
なので国民年金の場合、2人暮らしの世帯では2人分の国民年金の保険料、この場合ですと夫婦で月3万3,220円が発生します。また国民健康保険では配偶者やお子さんなど世帯全員が被保険者となりまして、それぞれの保険料を支払うことになります。つまり国民年金では家族の人数が多いほど世帯としての保険料がかかってくるということになってきます。
一方、厚生年金では被扶養者(配偶者さんや子供)の年金保険料と健康保険料の支払いが不要になるので、被扶養者が増えるほど得する制度になっていますね。

よくわかりました。じゃあ、「保障が手厚くなる」というのはどういうことですか?

厚生年金の保険料には国民年金部分も含まれているので、国民年金分と厚生年金部分の両方を受け取ることができます。その分、手厚いということですね。
どうしても税金の負担に目が行きがちなんですけども、社会保険料の負担をいかに軽くするかというのも、手元にキャッシュを残すという観点からは重要になってきます。

なるほど、よくわかりました。

メリット② 個人と法人の両方の控除を活用して所得税を節税できる
では続きまして、マイクロ法人のメリット2つ目、節税できるということですね。

はい、マイクロ法人にすることで税金の負担を分散させることができて節税することができるようになります。どういうことかと言いますと、個人事業主の方は青色申告の特別控除65万円が最大できます。法人においては給与所得控除55万円以上と、両方の控除を受けられるんですが、課税所得を減らして所得税・住民税を節税することが法人でも可能になっていますね。

なるほど、個人事業主でありながら法人を持つことで、両方の控除を活用できるということなんですね。

はい。法人化して法人の1つに絞ると、個人事業主としての控除はできなくなるので、このメリットは大きいですね。
ちなみに先ほど社会保険料の削減のところで年間の役員報酬72万円と試算したんですけども、これをさらに抑えて年54万円(月4万5,000円×12ヶ月)にした場合は、給与所得控除55万円の中に収まってくるので、役員報酬で受け取った54万円に関しては所得税や住民税がかからないということになります。

税金ゼロってことですね!それはすごいですね。

このメリットを有効に活用するためには、マイクロ法人ではあまり大きな売上をつけないで、年間売上80万〜90万円ぐらいの小規模な事業を行うこともお勧めしております。

なるほど。

メリット③ 自宅を役員社宅にして家賃の50%以上を経費にできる
では続きまして、マイクロ法人のメリット3つ目、自宅を役員社宅にできるということですね。

はい、そうですね。会社が住宅を借りて、その住宅を社長などの役員に対して社宅として貸し付けた場合、支払った賃料と受け取った賃料の差額を会社の損金とすることができます。一人社長のマイクロ法人でも可能なやり方になっています。

個人事業主が自宅兼事務所で仕事している場合、家事按分して事業で使用した面積の割合で計上するということになるかと思うんですけど。

はい。マイクロ法人で役員社宅にすることで、より多くの経費にできることですね。賃貸物件をマイクロ法人で契約することで社宅として使っていただいて、少なくとも家賃の50%以上を経費に計上することができます。

なるほど。

メリット④⑤ 消費税の免税と10年間の赤字繰越
では続きまして、マイクロ法人のメリット4つ目、消費税が免税になる可能性があるというのはどういうことですか?

事業の売上が1,000万円を超えると翌々年から消費税の課税事業者となりまして、消費税を納税することが必要になってきます。ただし、新設法人については設立から2年間は売り上げに関係なく消費税の納税義務が免除されていますし、3年目以降でも年間の課税売上高が1,000万円以下の場合はその2年後の年度を原則として消費税の納税義務が免除されます。
従って、売上を個人事業主と法人に分散することによって、新設法人の2年間消費税免除を受けることもできますし、個人事業の方でも課税事業者になることを回避できたりする可能性が出てきます。
ただし、インボイス制度が始まっていますので、消費税の免税事業者であるメリットというのは薄れてしまうこともあり得ることにはご注意ください。

わかりました。では続きまして、マイクロ法人のメリット5つ目、10年間赤字が繰り越せるというのはどういうことですか?

こちら、法人は個人事業主よりも欠損金を長く繰り越すことができます。赤字が発生した翌年以降、仮に黒字になったとしても前の赤字額と相殺して法人税の計算することになってきます。そのため、繰越欠損金があった場合には黒字になった利益部分と相殺することができるので、結果的に法人税の節税が可能となりますね。

なるほど。

この欠損金の繰越期間については、個人事業の場合は最高で3年なんですけども、法人の場合は最高で10年間にわたって行うことができます。

これ、7年間も差があるっていうのは大きいですね。

はい、そうですね。なので、法人の方であえて利益を出さないで赤字を積み上げていって、後に法人でビジネスを拡大していった時に、長期間にわたって黒字と相殺して法人税を節税するといった使い方も可能だったりします。

そういうことですね、ありがとうございます。

マイクロ法人のデメリット:設立コストと事務作業の増加
ここまで見てきたマイクロ法人にかなりメリットがあるというのが分かったんですけど、今度はデメリットについても見ていきたいと思います。ちなみにどんなデメリットがありますか?

デメリットは、法人を作るときにお金がかかってしまうということだったり、確定申告の手間暇が増えるという点ですね。

じゃあ、それぞれ教えていただけますか?

はい、まずコストなんですけども、会社を作るとき、株式会社の場合は約25万〜30万円、合同会社の場合は約10万〜15万円かかります。
維持費用という意味ですと、会計事務所に記帳してもらったり申告書を依頼すると、会計事務所によって値段はまちまちですけども、どれだけ安くても年間15万〜30万円かかるかなと思います。あと社会保険料、お給料を出すのであれば社会保険料も発生してきます。
法人の場合なんですが、仮に赤字だったとしても法人住民税の均等割という税金がどうしてもかかってしまいます。赤字でもかかってしまいます。おおよそ年間7万円かかることになりますね。

なるほど。小さな法人といっても初期費用と維持費が普通にかかってくるので、あらかじめ計算しておく必要があるということですね。

はい、そうです。もう一つのデメリットなんですが、法人・個人それぞれで確定申告することになるので、実際の事務作業の手間は増えます。

なるほど。個人の確定申告は皆さんご自身でやっている方もいらっしゃると思うんですけども。

法人税に関しては申告書の枚数も増えますし、そもそも申告書がよく分からなかったりもするので、一般的には税理士に頼むケースが多いかなと思います。

そういうことですね。じゃあ、この年間の維持費や手間を考えてもマイクロ法人を作るメリットが上回るという方のために、気をつけるべき注意点みたいなのを教えていただけますか?

マイクロ法人の注意点:事業の分離・規模・プライバシー
注意点の一つ目なんですが、個人と法人は別の事業にする必要があります。個人事業主として行っている事業と別のビジネスにする必要があるということですね。

なるほど。

全く同じ事業内容の売上を都合よく個人と法人に分けて計上することはNGになりまして、税務署からも法人の実態を疑われてしまうかなと思います。例えば、個人ではコンサル業をやっていただいて、法人には不動産管理業をやるとか、そういったふうに明確にお仕事を分けることが必要です。

なるほど、ありがとうございます。では2つ目をお願いします。

2つ目の注意点は、マイクロ法人の規模を大きくしすぎないということです。メリットのところで解説したように、マイクロ法人は売上を伸ばす目的ではなくて、あくまでも社会保険料や税金を減らすことが目的になってきます。
マイクロ法人に必要以上に売り上げを増やしてしまうと、その分だけ社会保険料や税金の支払いが増えてしまう可能性が出てきます。具体的には、売上を増やしすぎた結果、役員報酬を出さざるを得なくなって、役員報酬が増えると社会保険料も高くなってきます。次に、経費を差し引いた法人の利益が残ってしまうと、どうしても法人税もかかってくるので、税金も高くなってしまう可能性がありますね。

なるほど。マイクロ法人で法人税を抑えるためには、なるべくかかる経費以上の売上を上げないという感じになりますかね?

はい、そうですね。先ほど解説したように、役員報酬を年間54万円などに設定すると社会保険料が最低額になって、なおかつ給与所得控除もフルに受けることもできたりします。それに社会保険料や税理士の費用などをマイクロ法人の維持費として合わせると、だいたい年間経費は80万〜100万円ぐらいになるんじゃないかなと思っています。

じゃあ、利益が残らないようにマイクロ法人の売上もそれと同じくらいにしておく方がいいということですかね?

はい、そうですね。最後にプライバシーに関する注意点をお話ししていこうと思うんですけども、法人登記を行っていくと本店所在地と代表者の氏名・住所が登記簿謄本に記載されます。

なるほど。じゃあつまり、登記簿謄本を取得すると誰でも代表者の氏名や住所が確認できちゃうということですね。

はい、そうなんです。なので、自宅で登記する場合はプライバシー的に問題がないかどうかよく検討してほしいと思います。もしご自宅での登記が心配な場合は、登記を許可しているバーチャルオフィスやシェアオフィスなどを利用するのもいいんじゃないかなと思います。

マイクロ法人でおすすめの事業とは?
ここまで見ていただいた方にはマイクロ法人のメリットや個人事業主と併用するスキームの仕組みはだいたいわかっていただけたと思うんですけど、おそらく今「じゃあマイクロ法人でどんな事業をやったらいいんだろう」という疑問が出てきたりしている人もいると思うんですけど、どんな事業がおすすめだったりするんですか?

こちら、マイクロ法人で行う事業のほんの一例なんですけども、Webデザイン・動画編集・資産運用など、皆様の状況に応じて考えていただければと思うんですけども、事業を選ぶポイントは先ほども述べたように、急に売り上げが上がってしまっても困るので、年間80万〜90万円ほど安定して稼げる業種ということになってくるかなと思います。

そういうことですね。ありがとうございます。今回は大変勉強になりました。

終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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