マイクロ法人設立後すぐやるべき3つのこと|税理士が解説
会社設立直後に押さえるべき3つの必須対策を税理士が徹底解説します。
起業して合同会社や株式会社を設立した方、また個人事業から法人化した方に向けて、設立直後に絶対やるべきことをまとめました。これを知らないままスタートしてしまうと、コンプライアンス面・会社運営面・節税面で大きな損をする可能性があります。マイクロ法人・一人社長の方はもちろん、複数の社員を抱えて運営される方にも参考になる内容です。
📌 会社設立後すぐにやるべき3つのこと
- 税務・社会保険に関する届出(コンプライアンス)
- 金融機関での口座開設
- 節税の準備
①税務・社会保険に関する届出
まず最初にやるべきは、税務署や自治体・社会保険関係機関への各種届出です。これらには期限が定められているものもあるため、設立直後に速やかに対応することが重要です。
税務署への届出一覧
| 届出書の名称 | 提出先 | 期限 | 内容 |
|---|---|---|---|
| ①法人設立届出書 | 税務署 | 設立後2ヶ月以内 | 会社を設立した旨の報告。定款・謄本とともに提出 |
| ②給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 設立後1ヶ月以内 | 給与の支払いを行う事業所を開設した旨の届出 |
| ③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | 随時(早めに) | 源泉徴収した所得税の納付を年2回にまとめる特例申請 |
| ④青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立後3ヶ月以内 | 青色申告の適用を受けるための申請 |
| ⑤法人設立届出書(自治体) | 都道府県税事務所・市区町村役所 | 設立後2ヶ月以内(目安) | ①と同名だが自治体にも別途提出が必要 |
納期の特例(③)について詳しく
給与から差し引いた源泉所得税は、通常翌月10日までに毎月納税する必要があります。しかし③の「納期の特例」の申請書を提出することで、年2回の納付にまとめることができます。
| 対象期間 | 納付期限 |
|---|---|
| 上半期(1月〜6月分) | 7月10日まで |
| 下半期(7月〜12月分) | 翌年1月20日まで |
⚠️ 注意
納期の特例は事務手続きが楽になる一方、1回あたりの納税額が大きくなります。資金繰りには十分ご注意ください。また、この特例が適用できるのは常時使用する従業者数が10人未満の事業所に限られます。
青色申告の承認申請書(④)について
法人にも青色申告の制度があります。帳簿をしっかり備え付けることで、さまざまな税制上の特典が受けられます。主な特典は以下の通りです。
- 赤字(欠損金)が発生した場合、翌年以降最長10年間繰り越せる
- 1セット30万円未満の備品・設備を一発で経費に落とせる少額減価償却資産の特例(1事業年度上限300万円)が使える
⚠️ 注意
青色申告の承認申請書は設立後3ヶ月以内が期限です。この期限を過ぎると青色申告が適用できなくなりますので、設立直後に必ず提出してください。
社会保険に関する届出
法人を設立すると、たとえ社長1人の会社であっても社会保険への強制加入が義務付けられています。以下の機関への手続きが必要です。
| 提出先 | 手続き内容 | 社長(役員)の加入 |
|---|---|---|
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険の加入 | 加入必須 |
| 労働基準監督署 | 労災保険の加入 | 適用外(社員を雇用する場合のみ) |
| ハローワーク(公共職業安定所) | 雇用保険の加入 | 適用外(社員を雇用する場合のみ) |
健康保険・厚生年金については、加入手続き後も毎年「算定基礎」と呼ばれる手続きが必要です。これは毎年の社会保険料を決めるための作業で、基本的には給与金額によって各保険料が決定されます。
なお、税務の届出は税理士の業務範囲ですが、社会保険に関する手続きは社会保険労務士の業務範囲です。給与計算もあわせて依頼したい場合は、社会保険労務士への相談を検討してみましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 法人設立届出書は設立後2ヶ月以内に税務署・都道府県・市区町村へ提出
- 青色申告の承認申請書は設立後3ヶ月以内が絶対期限
- 納期の特例を使えば源泉所得税の納付が年2回に(ただし資金繰り注意)
- 法人は社長1人でも社会保険(健康保険・厚生年金)への強制加入が必要
- 労災保険・雇用保険は社員を雇用する場合のみ(役員は対象外)
②金融機関での口座開設
近年、会社設立後に最も苦戦する方が多いのがこの「法人口座の開設」です。20数年前はこれほど難しくなかったのですが、昨今は設立直後にここでつまずくケースが非常に増えています。
法人口座が開設できないとどうなるか
- 企業との取引ができない(特にBtoBビジネスや上場企業との取引は困難)
- 税務署から脱税を疑われるリスクがある
法人口座開設が年々厳しくなっている理由
背景にあるのは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」です。未公開株の詐欺事件や不法な資金移動など、銀行口座が悪用されるケースが増えたため、各金融機関にはマネーロンダリング等を防ぐための厳格な本人確認・取引確認の義務が定められています。
口座開設を断られる主な理由
- 過去にブラックリスト入りしている
- 資本金が少ない(資本金1円の会社は信用力が乏しいと判断される)
- 何をやっている会社かわからない(登記の事業目的が多すぎるなど)
- 必要な許認可を取得していない
- 登記上の本店所在地がバーチャルオフィスである
📌 ポイント
上記のいずれかに該当している場合は、口座開設の申し込みをする前にそれらの問題を解消しておくことが重要です。バーチャルオフィスだからといって100%不利というわけではありませんが、リスク要因になりえます。
口座開設時に必要な書類(一般的な金融機関の場合)
- 印鑑証明書
- 履歴事項全部証明書(会社の謄本)
- 代表者本人の確認書類
- 定款(会社のルールブック)
- 法人設立届出書・開業申請書
- 株主名簿
- 許認可が確認できる書類
- 会社のパンフレット
- 店舗・オフィスの賃貸借契約書(自己所有の場合は建物の登記簿謄本)
このように非常に多くの書類が必要で、メガバンクや地銀では口座開設を断られたり、膨大な時間がかかったりするケースが後を絶ちません。
注目の選択肢:GMOあおぞらネット銀行
そんな中、最近多くの新設法人から注目を集めているのがGMOあおぞらネット銀行です。あおぞら銀行の銀行経営ノウハウと、GMOインターネットグループが持つITテクノロジーを融合させて生まれた銀行です。
実際に、新設法人の口座開設者の約60%がGMOあおぞらネット銀行を利用しており、マイクロ法人との相性が非常に良いと言われています。
GMOあおぞらネット銀行の主な特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 口座開設スピード | 最短即日 |
| 手続き方法 | ペーパーレス・ハンコ不要・ネットで完結 |
| 本人確認 | AIを使ったオンライン確認 |
| 必要書類 | ほぼ不要(履歴事項全部証明書は銀行側が取得) |
| 口座維持手数料 | 無料 |
| 振込手数料(設立1年未満) | 他行宛月20回まで無料 |
| 振込手数料(1年経過後) | 同行宛:無料、法人口座宛:1件145円 |
| デビット・クレジットカード還元率 | 最大1.0%キャッシュバック |
| 法人カード年会費 | 無料(与信審査なし) |
| 法人カード利用限度額 | Mastercard:1,000万円/Visa:500万円 |
| 第三者不正利用補償 | 最大1,000万円 |
| 提携ATM | セブン銀行・イオン銀行・ゆうちょ銀行(入出金1回110円) |
| ネットバンキング | 24時間365日利用可能(専用スマホアプリあり) |
GMOあおぞらネット銀行の口座開設で不要な書類
一般的な金融機関では大量の書類が必要ですが、GMOあおぞらネット銀行では以下の書類が不要です。
- 履歴事項全部証明書(銀行側が取得)
- 定款
- 税務上の届出書
- 株主名簿
- 印鑑証明書(代表者と取引責任者が同一の場合は不要。マイクロ法人は基本的に同一)
2023年以降の新機能
- ペイジーが利用可能になり、税金や社会保険の支払いが便利に
- 日本政策金融公庫の融資返済口座振替に対応(ネット銀行初)
📌 ポイント
日本政策金融公庫への融資返済口座振替への対応は、新設法人にとって非常に助かる機能です。起業直後の資金調達に公庫融資を活用する方が多い中、ネット銀行でこれが使えるようになったのは大きな前進です。
📝 このセクションのまとめ
- 法人口座開設はメガバンク・地銀で断られるケースが急増している
- 口座なしでは企業との取引や資金管理が困難になる
- GMOあおぞらネット銀行は最短即日・ほぼペーパーレスで開設可能
- 設立1年未満は他行宛振込が月20回無料、法人カード還元率も最大1%と高水準
- ペイジー対応・公庫融資の口座振替対応など新設法人に優しい機能が充実
③節税の準備
コンプライアンスの届出と口座開設が進んだら、次は節税対策です。決算が近づけば近づくほどできる対策は限られてきます。節税には必ず先手を打つことが重要です。
役員報酬の設定
社長として自分の役員報酬(給与)を月額いくらに設定するかは、設立直後に決めなければなりません。役員報酬には「定期同額」というルールがあり、一度決めると原則1年間同じ金額でなければなりません。期中で変更することは原則できないのです。
第1期目の事業の利益予測を立て、それに基づいて早めに役員報酬を設定することが必要です。役員報酬の設定が遅れて給与が取れない状態が続くと、法人にたくさんの利益が残り、多額の法人税を納めなければならないという事態になりかねません。
役員報酬に関する検討事項
- 月額役員報酬をいくらに設定するか
- 事前確定届出給与(役員賞与)を取るか取らないか
- 家族を非常勤役員として役員報酬を支払うか否か
設立直後から検討すべき節税対策一覧
| 節税手段 | 内容・ポイント | 着手タイミング |
|---|---|---|
| 小規模企業共済 | 退職金準備と節税を兼ねた積立制度 | できるだけ早く |
| 生命保険(法人契約) | 退職金準備のための貯蓄+節税 | できるだけ早く |
| 倒産防止共済(経営セーフティ共済) | 年払いも可能。最初は月払いでスタートが無難 | 計画的に |
| 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の設備投資を一発で経費化(青色申告の特典) | 設備投資時 |
| 出張旅費日当の支給 | 法人の経費になり、受け取る側に個人課税なし。旅費規程の整備が必要 | できるだけ早く |
| 社宅家賃 | 役員・社員の住居を会社が借り上げる節税策 | 設立後に検討 |
| 企業型確定拠出年金(企業型DC) | 老後資産形成と節税を兼ねた制度 | 設立後に検討 |
📌 出張旅費日当のメリット
出張旅費日当は、法人にとっては経費として計上でき、受け取る社長・社員側では個人課税がされないという二重のメリットがあります。ただし、この制度を活用するには旅費規程の整備が必要です。設立直後にルール作りをしておきましょう。
開業準備期間中の経費も節税に活用できる
会社設立前後の準備期間中にかかった費用も、節税に活用できます。「創立費」と「開業費」という繰延資産として処理することが可能です。
- 登記手数料・登録免許税(創立費)
- 事業開始までのセミナー参加費・打ち合わせ費用(開業費)
- 30万円未満のパソコン購入費(開業費)
繰延資産として処理することで、いつでも任意のタイミングで経費化できます。第1期目に全額経費にしても、複数期にわたって分割して経費にしても構いません。
⚠️ 注意
繰延資産(創立費・開業費)の対象外となるものもあります。以下は対象外ですのでご注意ください。
- 減価償却資産(パソコン等で30万円以上のもの)
- 仕入れ商品
- 敷金・礼金
📝 このセクションのまとめ
- 役員報酬は「定期同額」ルールにより1年間変更不可。第1期の利益予測に基づき早めに設定する
- 小規模企業共済・倒産防止共済・生命保険など、退職金準備と節税を兼ねた制度は早期着手が有利
- 出張旅費日当は法人経費+個人非課税の二重メリット。旅費規程の整備が前提
- 開業準備期間中の費用は創立費・開業費として任意のタイミングで経費化できる
- 決算直前では取れる対策が限られる。節税は設立直後から先手を打つことが重要
その他:設立後に忘れずやっておくこと
3つの必須対応に加えて、以下の事項も設立後に忘れずに対応しましょう。
- 顧問税理士の選定:最初からしっかり顧問税理士をつける場合は、設立直後が最適なタイミング
- 会計ソフトの選定・導入:顧問税理士をつけた場合でも、自社で会計ソフトを導入するケースは多い
- 店舗・オフィスの契約:事業拠点の確保
- マーケティング関連の整備:名刺・パンフレット・ウェブサイトの制作など
📝 このセクションのまとめ
- 顧問税理士・会計ソフトの選定は設立直後が最適タイミング
- 名刺・ウェブサイトなどマーケティング関連の整備も早めに進めること
まとめ:会社設立後すぐにやるべき3つのこと
マイクロ法人・一人会社を設立したら、以下の3つを速やかに実行してください。
| 優先順位 | やること | なぜ重要か |
|---|---|---|
| ① | 税務・社会保険の届出 | 青色申告など期限付きの届出を逃すと取り返しがつかない |
| ② | 金融機関での口座開設 | 口座なしでは企業取引も資金管理も不可能。近年は開設が難しいため早期着手が必須 |
| ③ | 節税の準備 | 決算が近づくほど取れる手が減る。先手を打つことで大きな節税効果が得られる |
特に近年は②の金融機関での口座開設でつまずく方が急増しています。メガバンクや地銀での開設が難しい場合は、GMOあおぞらネット銀行のような新設法人に優しいネット銀行の活用を検討してみてください。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
関連記事
10月から株式会社代表者の個人住所が非公開に!法人化のデメリットを税理士が解説
法人口座はどの銀行がお得?税理士が解説するネット銀行・地銀・信金の使い分け術
法人口座の選び方を税理士が徹底解説!廃業を防ぐポイント
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
