マイクロ法人設立後すぐやるべき3つのこと|税理士が解説

マイクロ法人設立後すぐやるべき3つのこと|税理士が解説
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会社設立後すぐに動かないと節税・資金繰りで大きな損をする可能性があります。

起業して合同会社・株式会社を設立した方、あるいは個人事業主から法人化した方に向けた完全保存版の内容です。これを知らないままスタートしてしまうと、コンプライアンス面・会社の運営面・節税面で損をしてしまう可能性があります。タイトルはマイクロ法人・一人社長の会社向けとなっていますが、社員を複数抱えて運営される方にも参考になる内容です。

会社設立後すぐにやるべき3つのこと【結論】

まず結論から整理します。会社設立手続きが完了したら、以下の3つをすぐに行ってください。

  1. 税務・社会保険に関する届出(コンプライアンス対応)
  2. 金融機関での法人口座開設
  3. 節税の準備

近年、特に多くの方が困っているのが②の金融機関での口座開設です。20数年前はこのようなことはなかったのですが、いきなりここでつまずく方が非常に増えています。それぞれ詳しく解説していきます。

📝 このセクションのまとめ

  • 設立後すぐにやるべきことは「届出」「口座開設」「節税準備」の3つ
  • 近年は法人口座開設でつまずくケースが急増している
  • 3つとも先手を打って動くことが大切

①税務に関する届出(税務署・都道府県・市区町村)

まず税務署に提出しなければならない主な届出書を確認しましょう。

届出書の名称提出先期限概要
①法人設立届出書税務署設立後2ヶ月以内会社を設立したという報告。定款・謄本とともに提出
②給与支払事務所等の開設届出書税務署設立後1ヶ月以内給与を支払い、所得税を源泉徴収する事業所を設けたことの届出
③源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署随時(早めに)源泉徴収した所得税の納付を月次から半年に1回にまとめる申請
④青色申告の承認申請書税務署設立後3ヶ月以内帳簿を備え付けることで税制上の特典を受けるための申請
⑤法人設立届出書(地方)都道府県税事務所・市区町村設立後2ヶ月以内①と同名称だが、都道府県・市区町村にも別途提出が必要

⚠️ 注意

④青色申告の承認申請書は設立後3ヶ月以内が期限です。この期限を過ぎると青色申告ができなくなり、各種税制上の特典が受けられなくなります。期限を絶対に逃さないようにしましょう。

納期の特例・青色申告の特典について詳しく解説

③源泉所得税の納期の特例について補足します。通常、給与から差し引いた源泉所得税は翌月10日までに毎月納付しなければなりません。しかしこの届出を提出することで、納付作業を年2回にまとめることができます。

対象期間納付期限
上半期(1月〜6月)に支払った給与の源泉所得税7月10日まで
下半期(7月〜12月)に支払った給与の源泉所得税翌年1月20日まで

⚠️ 注意

納期の特例は事務手続きが楽になる一方、1回あたりの納税額がまとめて大きくなります。資金繰りに十分ご注意ください。また、この特例が適用できるのは常時使用する従業者数が10人未満の事業所のみです。マイクロ法人であれば基本的に問題ありませんが、規模が大きくなる場合はご注意ください。

④青色申告の主な税制上の特典は以下の通りです。

  • 欠損金の繰越控除:赤字が発生した場合、翌年以降最長10年間繰り越すことができる
  • 少額減価償却資産の特例:1セット30万円未満の備品・設備を一発で経費に落とせる(1事業年度上限300万円

通常、設備投資は減価償却として耐用年数に基づき少しずつ経費配分しなければなりませんが、青色申告の特例を使えば一括で経費化できます。これは非常に大きな節税メリットです。

社会保険に関する届出(法人は強制加入)

法人を設立すると、たとえ社長1人の会社であっても社会保険への強制加入となります。以下の届出が必要です。

届出先手続き内容対象者
年金事務所健康保険・厚生年金保険の加入手続き社長(役員)含む全員
労働基準監督署労災保険の加入手続き社員を雇用する場合のみ(役員は適用外)
公共職業安定所(ハローワーク)雇用保険の加入手続き社員を雇用する場合のみ(役員は適用外)

📌 ポイント

経営者・役員である社長は労災保険・雇用保険には加入できません。これら2つは社員を雇用するときのみ必要な手続きです。また、各保険料は基本的に給与金額によって決定されます。加入手続きが済んだ後も、毎年の申告作業(健康保険・厚生年金であれば「算定基礎」と呼ばれる手続き)が必要になります。

なお、税務届出は税理士の業務範囲ですが、社会保険に関する手続きは社会保険労務士の業務範囲となります。給与計算などもセットで依頼したい場合は、社会保険労務士に相談するのもよいでしょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務署・都道府県・市区町村の3カ所に法人設立届出書を提出する
  • 青色申告の承認申請書は設立後3ヶ月以内が絶対厳守の期限
  • 法人は社長1人でも社会保険強制加入。年金事務所への届出が必須
  • 労災・雇用保険は役員には適用されず、社員雇用時のみ手続きが必要

②法人口座開設が難しくなっている理由と対策

近年、法人口座の開設が年々厳しくなっています。もし法人口座が作れなかった場合、以下のような深刻な問題が発生します。

  • 企業との取引ができない(特にBtoBや上場企業相手の場合)
  • 税務署から脱税を疑われる可能性がある

口座開設が厳しくなっている主な理由は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によるものです。未公開株詐欺や不法な資金移動が増え、銀行口座が悪用されるケースが増加。各金融機関にはマネーロンダリング防止のため、取引時の確認を厳格に行う義務が定められています。

この法律だけでなく、以下のような理由でも口座開設を断られるケースがあります。

  • 過去にブラックリスト入りしている
  • 資本金が極端に小さい(資本金1円でも会社設立は可能だが、信用力が乏しいとして断られる)
  • 事業目的が多すぎて何をやっている会社かわからない(履歴事項全部証明書の事業目的欄が多すぎる)
  • 必要な許認可を取得していない
  • 登記上の本店所在地がバーチャルオフィスである

📌 ポイント

バーチャルオフィスだから100%不利というわけではありませんが、上記のいずれかに該当する場合は、口座開設の申し込み前にそれらを解消しておくことをおすすめします。

口座開設申し込みの際には、通常以下のような多くの書類が必要になります。

  • 印鑑証明書
  • 履歴事項全部証明書(会社の謄本)
  • 代表者本人の確認書類
  • 定款(会社のルールブック)
  • 法人設立届出書・全国の小児申請書(納税申請書)
  • 株主名簿
  • 許認可が確認できる書類
  • 会社のパンフレット
  • 店舗・オフィスの賃貸借契約書、または自己所有物件の建物登記簿謄本

これだけの書類が必要なうえ、メガバンクや地銀での口座開設をことごとく断られたり、膨大な時間がかかってしまったりする方が非常に多い状況です。

新設法人に強い「GMOあおぞらネット銀行」という選択肢

そんな中、最近よく聞くのがGMOあおぞらネット銀行です。あおぞら銀行の銀行経営ノウハウと、GMOインターネットグループが持つIT・テクノロジーを融合させて生まれた銀行です。実際に新設法人のお客様でもこちらの銀行で口座開設されたという方が増えています。

GMOあおぞらネット銀行の大きな特徴は、口座開設の手続きがとにかく楽なことです。

項目内容
口座開設スピード最短即日で法人口座が開設可能
ハンコ・印鑑不要(ペーパーレス)
来店不要(オンラインで完結)
本人確認AIを使ったオンライン本人確認
必要書類履歴事項全部証明書・定款・税務届出書・株主名簿などほぼ不要(銀行側で取得)
印鑑証明書法人代表者と取引責任者が異なる場合のみ必要(マイクロ法人は基本不要)

実際にGMOあおぞらネット銀行で口座開設をする法人の約60%は新設法人です。マイクロ法人と非常に相性が良い銀行と言えます。

手数料面のメリットも充実しています。

項目内容
口座維持手数料無料
他行宛振込手数料(設立1年未満)20回まで無料
他行宛振込手数料(1年経過後・同行宛)無料
他行宛振込手数料(1年経過後・法人口座宛)1件145円
ATM入出金手数料(提携ATM)基本1回110円(セブン銀行・イオン銀行・ゆうちょ銀行)
法人デビット/クレジットカード年会費無料
法人カードキャッシュバック還元率最大1.0%
法人カード1日利用限度額Mastercard:1,000万円/Visa:500万円
第三者不正利用補償1,000万円までカバー
ネットバンキング利用時間24時間365日

📌 ポイント

設立1年未満の法人は他行宛振込が月20回まで無料です。立ち上げ直後は取引件数もそれほど多くないため、20回で十分収まるケースがほとんどです。また法人カードの還元率1.0%は、法人カードの中でもかなり高い水準です。

さらに2023年に入ってからの新機能として、以下の2つが追加されています。

  • ペイジーが利用可能になり、税金や社会保険の支払いが非常に便利になった
  • 日本政策金融公庫の融資返済口座振替に対応(ネット銀行初)。創業融資を活用する方にとって非常に助かる機能

誰でも100%確実に口座開設できるという保証はありませんが、お手軽にサクッと手続きを済ませたい方には非常におすすめです。起業する人に優しい、企業定番の銀行になってきていると言っても過言ではありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人口座がないとBtoB取引や上場企業との取引ができず、脱税を疑われるリスクもある
  • マネーロンダリング防止法の強化で、メガバンク・地銀での口座開設が年々厳しくなっている
  • GMOあおぞらネット銀行は最短即日・ほぼペーパーレスで口座開設が可能。新設法人の約60%が利用
  • 設立1年未満は他行宛振込が月20回無料、法人カード還元率1.0%など手数料面も充実

③節税の準備は設立直後から始めるべき理由

口座開設とコンプライアンス対応が進んだら、次は節税対策です。決算が近づいてから慌てる方が非常に多いのですが、決算が近づけば近づくほどできる節税対策は限られてきます。設立直後から先手を打って動くことが重要です。

まず最優先で検討すべきなのが役員報酬の設定です。

  • 社長として自分の役員報酬(給与)を月額いくらに設定するか
  • 事前確定給与(役員賞与)を取るか取らないか
  • 家族を非常勤役員などとして役員報酬を取るか取らないか

⚠️ 注意

役員報酬は期中で変えることができません。一度決めると1年間その金額でやらなければならない「定期同額」というルールがあります。第1期目の事業の利益予測を立て、それに基づいて早めに役員報酬を設定することが必要です。役員報酬の設定が遅れてずっと給与が取れない状態が続くと、法人に利益が多く残り、多額の法人税を納めなければならないことになります。

役員報酬の設定以外にも、設立直後から検討・準備すべき節税対策があります。

節税対策概要・ポイント
小規模企業共済退職金準備のための貯蓄+節税。早めに加入するほど効果大
生命保険(法人契約)退職金準備を兼ねた節税。保険料が経費になるものを選ぶ
倒産防止共済(経営セーフティ共済)年払いも可能だが、最初は月払いでスタートしておくのが無難
少額減価償却資産の特例30万円未満の設備投資を一発で経費化できる青色申告の特典。計画的に活用を
出張旅費日当の支給法人の経費になり、受け取る社長側では個人課税なし。旅費規程の整備が必要
社宅家賃設立直後でなくても検討の余地あり
企業型確定拠出年金(企業型DC)設立直後でなくても検討の余地あり

📌 ポイント:出張旅費日当のメリット

出張旅費日当は法人にとって経費になり、受け取る社長・社員側では個人課税がされません。このダブルのメリットを享受するためには、旅費規程の整備が必要です。出張が多い会社は設立直後にルール作りをしておきましょう。

開業準備期間中の経費も忘れずに集計しよう

節税対策として見落としがちなのが、開業準備期間中にかかった経費の集計です。これらは「創立費」「開業費」という繰延資産として処理できます。

種類対象となる費用の例
創立費登記手数料・登録免許税など、会社設立までにかかった費用
開業費法人設立後〜実際の事業開始までの準備費用(セミナー参加費・打ち合わせ費用・30万円未満のパソコン購入費など)

これらは繰延資産として処理でき、第1期目で一括経費化してもよいですし、後の事業年度に分けて経費化することも可能です。いつでも経費化できる「任意償却」という扱いになります。

⚠️ 注意:対象外となるもの

以下のものは創立費・開業費の対象外です。

  • 減価償却資産(固定資産として別途処理)
  • 仕入れ商品
  • 敷金・礼金

開業準備期間中の経費は、領収書などをしっかり保管して早めに集計しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員報酬は期中変更不可のため、第1期の利益予測を立てて早めに設定する
  • 小規模企業共済・倒産防止共済・少額減価償却資産の特例なども設立直後から計画的に
  • 出張旅費日当は法人経費になり個人課税なし。旅費規程の整備を早めに行う
  • 開業準備期間中の経費(創立費・開業費)も忘れずに集計しておく
  • 決算が近づくほど節税の選択肢は減る。先手必勝で動くことが重要

その他:会社設立後に忘れがちなこと

3つの必須対応以外にも、会社設立後に対応しておくべき細かな事項があります。

  • 顧問税理士の選定:最初からしっかり顧問税理士をつけていく方にとっては重要な選択
  • 会計ソフトの選定:顧問税理士をつけても自社で導入する場合は、早めに選定しておく
  • 店舗・オフィスの契約
  • マーケティング関連の整備:名刺・パンフレット・ウェブサイトの制作

これらもお忘れのないよう、設立後の早い段階でチェックリストとして確認しておくことをおすすめします。

📝 全体まとめ:マイクロ法人設立後すぐにやるべきこと3選

  • ①税務・社会保険の届出:青色申告承認申請書は設立後3ヶ月以内が厳守期限
  • ②法人口座の開設:メガバンク・地銀で断られるケースが急増。GMOあおぞらネット銀行など新設法人に対応した銀行を活用する
  • ③節税の準備:役員報酬の設定・各種共済加入・出張旅費規程整備などを決算前に先手で行う

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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