個人事業主がマイクロ法人を作って節税する方法|社会保険料を年62万円削減するスキームを解説

個人事業主がマイクロ法人を作って節税する方法|社会保険料を年62万円削減するスキームを解説
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個人事業主がマイクロ法人を設立して社会保険料を年62万円削減できる可能性があります。法人と個人事業の「二刀流スキーム」の仕組みをメリット・デメリット・相性のいい事業まで詳しく解説します。

インボイス登録が進まない個人事業主の現状

個人事業主のインボイス登録が遅いという話題があります。昨年末時点で法人の約8割が登録していたのに対し、個人は20%ちょっとにとどまっているという状況です。

様子を見ているケースもあるかもしれませんが、登録すると手続きが増えること、そして何より、これまで免税事業者だった個人事業主の手取りが年間230万円減るという予想もあるほど負担増への抵抗が強いのかもしれません。電気代や生活費もどんどん上がっているので、手残りが減っている方は多いはずです。

📌 ポイント

こうした背景から、個人事業主・フリーランスの税金を最適化する方法として「マイクロ法人の活用」がここ数年注目を集めています。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人のインボイス登録率は約20%と法人(約80%)に比べて大幅に低い
  • 免税事業者が登録すると手取りが年230万円減るという試算もある
  • 手残りを守るためにマイクロ法人の活用が注目されている

マイクロ法人とは何か?その定義と背景

マイクロ法人とは、一言で言うと1人社長の会社です。設立した本人が社長になり、従業員も雇わず、必要最低限の費用・設備で事業を営む、最小単位の法人形態です。

「会社」というとオフィスを構えて従業員を雇って設備を揃えて……というイメージがありますが、マイクロ法人はそれとはだいぶ異なります。なお、「マイクロ法人」という法的な区分やルールが定められているわけではなく、ある作家の方が作った造語です。

2006年の会社法改正により、資本金ゼロ・取締役1人の「1人株式会社」が作れるようになりました。その本の中でフリーランスやサラリーマンもマイクロ法人を作ることで合法的に節税できると主張され、大きな話題になりました。

現在は1つの会社に勤めるのではなく複数の仕事を並行して行う「パラレルキャリア」の方が増えており、個人事業とマイクロ法人を組み合わせる「法人と個人のいいとこ取り・二刀流スキーム」として注目されています。

📝 このセクションのまとめ

  • マイクロ法人は法的な区分ではなく「1人社長の最小単位の会社」を指す造語
  • 2006年の会社法改正で資本金ゼロ・取締役1人の株式会社が設立可能に
  • 個人事業主がマイクロ法人を持つ「二刀流スキーム」として注目されている

メリット①:所得税・住民税の削減効果

個人事業主がマイクロ法人を持つ最大のメリットは、所得税・社会保険料を抑えられる点です。まず所得税について見ていきます。

マイクロ法人の役員となって役員報酬を受け取る場合、給与所得控除を受けることができます。これにより、

  • 個人事業主として青色申告の特別控除:最大65万円
  • マイクロ法人の役員として給与所得控除:最低55万円

この両方の控除を同時に受けられるため、個人だけで事業を行うよりも所得税・住民税を節税することが可能になります。

📌 ポイント

個人事業主として青色申告控除(65万円)+マイクロ法人役員として給与所得控除(55万円以上)のダブル控除が最大の節税ポイントです。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告特別控除(65万円)と給与所得控除(最低55万円)を両方受けられる
  • 個人のみで事業を行うより所得税・住民税を大幅に節税できる

メリット②:社会保険料を年間62万円削減できるシミュレーション

次に、社会保険料の削減効果を具体的な数字で確認します。個人事業主として国民健康保険に支払っていた保険料を、マイクロ法人の社会保険(健康保険・厚生年金)に切り替えることで、保険料の負担を大きく抑えることができます。

以下は、ざっくりとした試算の前提条件です。

  • 東京都在住・40歳・夫婦2人家族・子供なし
  • 個人事業主としての所得:500万円
項目個人事業主のみの場合マイクロ法人設立後
健康保険料(年間)約50万円(国民健康保険)約8万円(健康保険)
年金保険料(年間)約40万円(国民年金)約20万円(厚生年金)
社会保険料合計(年間)約90万円約28万円
削減額年間約62万円の削減

なぜこんなに大きく減るのでしょうか。社会保険料は標準報酬月額をもとに算出されます。個人事業主の場合、収入が上がるほど標準報酬月額が上がり社会保険料も高くなります。

ここでマイクロ法人を設立し、マイクロ法人から受け取る役員報酬を最低限に設定することで、公的保険が社会保険(健康保険・厚生年金)に切り替わり、社会保険料を大きく減らすことができます。

📌 役員報酬の最適な設定額

役員報酬が月6万3千円未満の場合、標準報酬月額の等級が最も低くなります。社会保険料を抑えるにはこの金額を超えないようにすることが一つの目安です。月6万円×12ヶ月=年間72万円が役員報酬の目安となります。

役員報酬を月6万円とした場合の保険料の目安は以下のとおりです。

保険の種類月額保険料
厚生年金保険料(月額)約1万6,104円
健康保険料(月額)約1万660円

厚生年金の方が国民年金よりも若干安いくらいの水準に抑えられます。

メリット③:家族が多いほどお得になる扶養の仕組み

社会保険(健康保険・厚生年金)には扶養という概念があります。一方、国民健康保険には扶養という概念がありません。この違いが、家族のいる世帯では特に大きな差を生みます。

項目国民健康保険(個人事業主)社会保険(マイクロ法人)
配偶者の保険料世帯員として別途発生扶養に入れば0円
子供の保険料人数分発生扶養に入れば0円
国民年金(夫婦2人)月約3万3,220円被扶養者分は不要
家族が増えると…保険料も増える得する額が大きくなる

30代・40代は家族が増えるタイミングです。国民健康保険だと家族が増えるだけ負担も大きくなりますが、社会保険(健康保険)に切り替えることで被扶養者が増えるほど節約効果が大きくなります

また、厚生年金の保険料には国民年金分も含まれているため、将来受け取れる年金は国民年金分+厚生年金分の両方になります。保険料を抑えながら、保障は手厚くなるという点も大きなメリットです。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員報酬を月6万3千円未満に設定することで標準報酬月額を最低等級に抑えられる
  • 配偶者・子供を扶養に入れることで保険料を大幅削減できる
  • 厚生年金は国民年金より将来の受取額が多く、保障も手厚い
  • 東京都在住・所得500万円の試算では年間約62万円の削減効果

メリット④:役員社宅制度と欠損金の長期繰越し

社会保険料・所得税の削減以外にも、法人ならではのメリットがあります。

【役員社宅制度】

法人名義で物件を契約し、役員に社宅として貸し出す制度です。役員が家賃の一部を負担すれば、会社負担分を損金(経費)にすることができます。少なくとも家賃の半分、きちんと計算すると7割〜8割を損金にできる場合もあります。会社と役員の双方にメリットがある制度です。

【欠損金の長期繰越し】

赤字が発生した翌年度以降に黒字になった場合、前年度の赤字額と相殺して法人税を計算できる仕組みです。

区分欠損金の繰越期間
個人事業主(青色申告)最長3年
法人最長10年

具体例で見てみます。2020年度に200万円の赤字が発生したとします。欠損金の繰越控除が適用されれば、この200万円を翌年以降に繰り越すことができます。2023年度に100万円の利益が出た場合、前年度からの繰越欠損金と相殺できるため、法人税の支払いが不要になります。相殺してもまだ赤字分が残っている場合は、さらに翌年の利益から差し引くことができます。

📌 ポイント

法人側で赤字を積み上げておき、後に法人でビジネスを拡大した際に長期間にわたって繰越欠損金と相殺して法人税を節税するという使い方が可能です。個人の3年に対して法人は10年と、7年も長く繰り越せます

📝 このセクションのまとめ

  • 役員社宅制度を活用すると家賃の7〜8割を損金にできる場合がある
  • 欠損金の繰越期間は個人(青色申告)が最長3年に対し、法人は最長10年
  • 将来の事業拡大を見据えて赤字を長期間繰り越す戦略が取れる

デメリット・注意点:コスト・手間・税金増加の3つ

マイクロ法人の活用にはメリットがある一方で、注意すべきデメリットも3つあります。

【注意点①:設立・維持コストがかかる】

費用の種類株式会社合同会社
設立費用約25万円約10万円
税理士費用(年間)約15万〜25万円
法人住民税均等割(赤字でも発生)約7万円
社会保険料別途発生

小さな法人といえども、維持費は年間30〜40万円程度を見ておく必要があります。初期費用としてもプラス10万〜30万円程度は見ておく必要があります。

【注意点②:会計・申告の手間が倍以上になる】

マイクロ法人を作り、法人と個人事業とで収入を分けるということは、それぞれで確定申告・決算を行うことになります。自分での作業量が倍、もしくはそれ以上になります。個人の確定申告は自分でできるという方でも、法人の決算は書類の枚数が増えて難易度がぐっと上がります。一般的には税理士に依頼するケースが多くなります。

【注意点③:社会保険料が減ると税金が増える】

社会保険料が減ると、その分社会保険料控除が減ります。控除が減ることで課税所得が上がり、結果的に所得税・住民税が増えることになります。社会保険料の削減効果と税金増加分を両方考慮して、トータルの手残りを計算することが重要です。

⚠️ 注意

社会保険料が減ることで社会保険料控除も減り、その分所得税・住民税が増加します。社会保険料の削減額だけを見て「得した」と判断せず、税金増加分も含めたトータルの手残りで判断することが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 設立・維持コストとして年間30〜40万円、初期費用10〜30万円程度が必要
  • 法人と個人の両方で申告が必要になり、会計の手間が倍以上になる
  • 社会保険料控除が減る分、所得税・住民税が増加する点に注意

マイクロ法人に相性のいい事業とは?

マイクロ法人の節税効果を最大限に生かすためには、マイクロ法人側で行う事業の選び方が重要です。

📌 マイクロ法人に向いている事業の条件

  • 売上が年間約80万〜90万円程度の小規模な事業
  • 設備投資や仕入れなどのコストが少ない
  • 個人事業の内容と明確に区別できる事業

これらの条件に当てはまる事業形態として、資産管理会社が挙げられます。資産管理会社とは、不動産や債券・株式などの資産を管理するために設立する会社のことです。本業の他に一定の不動産や有価証券の資産運用益がある場合、資産運用を事業内容とするマイクロ法人を立ち上げることで、今回ご紹介したメリットを活用できると考えられます。

⚠️ 重要な注意点:個人と法人で事業を明確に分けること

全く同じ事業内容を都合よく個人と法人に分けて計上することはNGです。税務署から指摘を受ける可能性が高く、否認されるリスクがあります。個人事業と法人の事業内容は明確に区別する必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • マイクロ法人では年間80万〜90万円程度の小規模・低コストな事業が向いている
  • 資産管理会社(不動産・有価証券の運用)は条件に合いやすい
  • 同じ事業を個人と法人に都合よく分けることは税務上NGで指摘リスクがある

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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