複数会社経営で節税できる理由を税理士が解説|子会社・分社化のメリット5選とデメリット
会社を複数持つと節税できる仕組みを、具体的な数字とともに解説します。
そもそも子会社・関連会社・グループ会社とは?
会社を複数経営する話に入る前に、「子会社」「関連会社」「グループ会社」といった用語の関係性を整理しておきましょう。理解しておくべきポイントは以下の3つです。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 子会社 | 株式を50%以上保有している会社 |
| 関連会社 | 株式を20%以上保有している会社 |
| 関係会社/グループ会社 | 親会社・子会社・関連会社をまとめた総称 |
実際に不動産関係の経営者の中には、15社もの会社を作り、それぞれの会社が物件を保有しているケースもあります。会社を分けることには明確なメリットがあり、多くの経営者がグループ会社化を活用しています。
📝 このセクションのまとめ
- 株式50%以上保有で「子会社」、20%以上で「関連会社」
- 親会社・子会社・関連会社をまとめて「関係会社」「グループ会社」と呼ぶ
分社化(子会社設立)の3つの方法
子会社を作る、いわゆる「分社化」には大きく分けて3つの方法があります。
- 事業譲渡による分社化:新しく会社を作り、そこに資産や負債を譲渡する方法。譲渡した会社は、資産等の帳簿価格と時価の差額を譲渡損益として認識します。
- 会社の吸収分割:分割した事業を既存の別会社に承継させていく方法。いくつかの要件を満たすことで「適格分割」となり、適格分割に該当すれば譲渡損益を認識する必要がありません。
- 会社法の新設分割:分割した事業を新たな会社として承継させていく方法。こちらも適格分割に該当すれば、譲渡損益を認識する必要がありません。
この3つのいずれかから、自分の目的に合った方法で分社化を進めることになります。
📝 このセクションのまとめ
- 分社化の方法は「事業譲渡」「吸収分割」「新設分割」の3種類
- 吸収分割・新設分割は「適格分割」の要件を満たすと譲渡損益の認識が不要
- 目的に合った方法を選ぶことが重要
複数会社を経営する5つのメリット
複数の会社(子会社・関連会社)を経営することのメリットは、大きく分けて以下の5つです。
- 税金対策ができる
- リスクを分散できる
- 経営判断が明確になる
- 融資が受けやすくなる
- 経営者のブランディングになる
以下、それぞれ詳しく解説します。
メリット①:税金対策ができる(3つの具体的な節税効果)
税金対策の観点から、代表的な節税効果が3つあります。
【1】法人税と事業税の軽減税率が使える
| 区分 | 税率 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 通常の法人税率 | 23.2% | すべての法人 |
| 軽減税率 | 15% | 資本金1億円以下の会社で所得が800万円以下の部分 |
1つの会社で課税されるよりも、複数の会社を使って利益を分散させることが節税対策につながります。別会社を作ってそこで利益を計上すれば、所得が800万円までは税額が大幅に少なくて済みます。23.2%が15%になるのはかなり大きなメリットです。事業税にも同様の軽減税率が設けられており、こちらにも対応できます。
【2】交際費として使える額が増える
中小企業の特権として、800万円までの交際費は全額経費にすることができます。複数の会社を経営していると、それぞれの会社で800万円まで交際費を損金算入することができます。
📌 ポイント
2社経営であれば交際費枠は合計1,600万円になります。会社の数だけ交際費の枠が増えるため、接待交際費が多い業種では特に有効な節税手段です。
【3】少額減価償却資産の特例が使える額が増える
青色申告を提出する中小企業者は、1点あたり30万円未満の減価償却資産について、年間300万円までその事業年度に全額損金算入することができます。分社化して2社経営する場合は、年間600万円まで固定資産を一括損金で取得することが可能になります。決算ギリギリのタイミングでこの特例を活用するケースも多く、それぞれの会社で使えるのは大きなメリットです。
📌 ポイント:その他の節税効果
- 分社化によって課税売上高が5,000万円以下になれば、消費税の簡易課税を選択できる
- 設立する子会社に役員を転籍させるときに退職金を支払うことができる
📝 このセクションのまとめ
- 法人税の軽減税率(15%)が複数社それぞれで適用される
- 交際費800万円の枠が会社の数だけ増える
- 少額減価償却の特例(年300万円)も会社ごとに使える
- 簡易課税の選択や役員退職金の活用も可能になる
メリット②〜⑤:リスク分散・経営判断・融資・ブランディング
【メリット②】リスクを分散できる
1つの会社で複数の事業を行い、そのうちの1つの事業が大きな損失や問題を抱えた場合、会社の業績全体に大きな影響が出ます。しかし複数の事業を一会社一事業の形に分けていれば、損失や問題が発生した会社の影響を他の会社が受けずに済みます。
また、医療法人など特定の許認可が必要な事業を行う場合は、複数の事業を行うことが禁止されているため、そもそも会社を分ける必要があります。経営においてリスクを避けることは非常に重要です。
【メリット③】経営判断が明確になる
一会社一事業に分けることで、その事業の売上や収益がクリアになります。これによって事業がうまくいっているかどうかを判断しやすくなり、適切な経営判断を行いやすくなります。いわば「机の上の整理整頓」のようなイメージです。
【メリット④】融資が受けやすくなる
複数の会社があると、複数の金融機関からそれぞれの法人に対して融資を受けられる可能性があります。また、法人ごとに代表者を分けることで、各法人の代表者を別の法人の連帯保証人にすることも可能になります。1人が複数の企業の連帯保証人になるよりも、銀行の審査が通りやすくなるケースもあります。
📌 ポイント:国の制度をフル活用できる
倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、1社あたり年間240万円、上限800万円まで経費として積み立てることができます。2社あれば1,600万円まで積み立て可能です。先ほどの15社経営の例では、800万円×15社=1億2,000万円もの積み立てができる計算になります。コロナ禍の持続化給付金のように、法人ごとに給付を受けられる制度でも、複数社経営は大きなメリットがありました。
【メリット⑤】経営者のブランディングになる
いくつも会社を経営していると聞くと、「この人はやり手だな」という印象を持たれることが多く、ビジネス相手からの信頼につながることがあります。会社を複数経営することは、社長としてのブランディングにも影響してきます。
📝 このセクションのまとめ
- 事業ごとにリスクを切り離すことができる
- 事業の損益が明確になり、経営判断がしやすくなる
- 複数の金融機関から融資を受けやすくなる
- 倒産防止共済など上限のある国の制度を会社の数だけ活用できる
- 経営者としての信頼・ブランディングにもつながる
複数会社経営のデメリット①:会社の数だけコストが増える
メリットが多い一方で、デメリットも当然あります。まず1つ目は、会社の数だけコストが増えることです。コストは大きく3種類に分かれます。
| コストの種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 設立コスト | 定款の作成・公証役場での手続き・印鑑作成など。株式会社は約24万円、合同会社は約10万円(電子定款にすれば収入印紙4万円が不要) |
| ランニングコスト | 法人住民税の均等割(赤字でも納税義務あり)。東京23区の場合、最低でも年間7万円が発生。社会保険料も社員が自分一人でも支払いが必要 |
| 間接費用 | 会社ごとに経理作業・税務申告が必要。税理士・社労士への依頼費用も会社の数だけ増える |
赤字であっても作った会社の数×7万円の均等割を納めなければならない点は、特に注意が必要です。こういった費用や労力の増加よりも、子会社を作るメリットが上回る場合に設立を検討するのが基本的な考え方です。
📝 このセクションのまとめ
- 設立コスト:株式会社約24万円、合同会社約10万円
- ランニングコスト:赤字でも均等割(最低年7万円)が会社ごとに発生
- 間接費用:経理・申告・専門家費用が会社の数だけ増える
- コスト増加よりメリットが上回るかどうかを慎重に判断すること
複数会社経営のデメリット②:税務調査のリスクが高まる
2つ目のデメリットは、税務リスクです。子会社が経営実態のないペーパーカンパニーではないかと疑われると、不当に税負担を軽くしようとしていると見られ、税務調査で指摘される可能性が高くなります。
⚠️ 注意
節税目的のみで会社を複数設立すると、結果として高い税負担が課されることになりかねません。新しく設立する会社の事業目的が、今ある会社と明確に区別されていないと税務署からのリスクが発生します。税務調査の際にグループ会社を持っていると、その点が特に確認されます。
事業目的を明確に区別する方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 取り扱い商品を会社ごとに分ける
- 資産管理会社という位置づけにする
複数の会社を持つかどうかはケースバイケースですので、現状をしっかり見極めた上で判断するようにしてください。
📝 このセクションのまとめ
- ペーパーカンパニーと疑われると税務調査で指摘されるリスクがある
- 節税目的だけで設立するのはNG。事業目的の明確な区別が必要
- 取り扱い商品を分ける・資産管理会社にするなどで実態を示すことが重要
- 複数社経営が適切かどうかは自社の状況を踏まえてケースバイケースで判断する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
関連記事
ネットの節税情報を鵜呑みにすると税務調査で全否認?税理士が解説する4つの落とし穴
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
