国民健康保険料2025年度から上限109万円に!引き上げの背景と節税対策を税理士が解説

国民健康保険料2025年度から上限109万円に!引き上げの背景と節税対策を税理士が解説
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2025年度から国民健康保険料の上限が年間109万円に引き上げ決定。個人事業主・フリーランスへの影響と対策を解説します。

国民健康保険料はほぼ毎年上がり続けている

個人事業主やフリーランスの方が加入する国民健康保険料が、また引き上げられることになりました。2024年10月31日、厚生労働省の社会保障審議会において、2025年度(令和7年度)からの上限額3万円引き上げがシレッと決定しています。

実はこの上限引き上げ、ほぼ毎年のように繰り返されています。過去の動画でも「上限3万円引き上げ」「また2万円値上げ」「国保またまた上がる」と、3回以上取り上げてきたほどです。

📌 ポイント

「国民健康保険料」という名称の自治体もあれば、「国民健康保険税」という名称の自治体もありますが、基本的に同じものです。保険料という見方もあれば、税という見方もあります。

国民健康保険料の年間上限額(合計)の推移を見ると、その値上がりペースがよくわかります。

年度年間上限額(合計)前年比
平成12年60万円
令和3年据え置き年あり
令和6年(現在)106万円
令和7年(2025年度)109万円+3万円

平成12年に60万円だった上限が、令和6年には106万円に。平成24年・25年・平成29年・令和3年を除き、大体1万円から4万円、大きい時には7万円ほどのペースで上限引き上げが続いています。20数年で1.5倍以上になっている計算です。医療費の増大という理由はあるにしても、引き上げのペースとしてはかなり急激です。

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料の上限は平成12年から20数年で1.5倍以上に上昇
  • ほぼ毎年1万〜7万円のペースで引き上げが続いている
  • 2025年度はさらに3万円引き上げられ、年間上限109万円に決定

個人事業主・フリーランスと会社員の健康保険の違い

そもそも、個人事業主やフリーランスの方は国民健康保険国民年金に加入します。一方、会社勤めのサラリーマンや会社経営者は主に政府管掌の健康保険・健康保険組合厚生年金に加入します。

国民健康保険に加入されている方はご存じのとおり、保険料が非常に高い割に内容が薄いという問題があります。

  • 出産手当金がない(または非常に少ない自治体が多い)
  • 傷病手当金(怪我・病気の時の補助)がない、または非常に少ない
  • 会社員の健康保険と比べて給付内容が薄い

このような背景から、国民健康保険は「高くて内容が薄い」と言われることが多く、個人事業主・フリーランスの方にとって大きな負担となっています。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業主・フリーランスは国民健康保険・国民年金に加入
  • 会社員・会社経営者は政府管掌の健康保険・厚生年金に加入
  • 国民健康保険は「高くて内容が薄い」と言われることが多い

2025年度の改定内容:上限が106万円→109万円に

今回の改定では、国民健康保険料の年間上限額が現行の106万円から109万円へ、3万円引き上げられます。

国民健康保険料の構成は以下のとおりです。

区分令和6年度(現行)令和7年度(2025年度)変更額
基礎賦課分(医療分)65万円66万円+1万円
後期高齢者支援金賦課分24万円26万円+2万円
介護納付金賦課分17万円17万円据え置き
合計106万円109万円+3万円

基礎賦課分を1万円、後期高齢者支援金賦課分を2万円それぞれ引き上げ、介護納付金賦課分は据え置きとなっています。

📌 対象者の目安

今回の引き上げの対象となるのは、ざっくり所得ベースで単身世帯970万円以上の方です。給与収入・年金収入に換算すると1,071万円以上の方がざっくり対象となると言われています。

個人事業主の場合は、売上から経費を引き、さらに青色申告特別控除などを引いた残額(自治体によって異なる)が970万円を超えているかどうかが目安になります。

令和6年度までは、上限に引っかかるラインが所得約1,140万円程度でした。今回の改定では、さらに上の所得1,170万円以上という新たな負担区分が設けられた形です。

📝 このセクションのまとめ

  • 2025年度から年間上限が106万円→109万円へ3万円引き上げ
  • 基礎賦課分+1万円、後期高齢者支援金賦課分+2万円、介護分は据え置き
  • 対象はざっくり所得970万円以上(給与・年金収入換算で1,071万円以上)の方

なぜ高所得者だけが対象になるのか?引き上げの背景

そもそも国民健康保険料には、なぜ上限(限度額)が設けられているのでしょうか。これには、被保険者の納付意欲や受益(国民健康保険から受ける恩恵)などを踏まえ、保険料の負担に一定の上限を設けることで制度の公平性を保つという考え方があります。

しかし、高齢化が進む中で医療費は増大し続けています。仮に上限引き上げではなく一律で保険料を引き上げた場合、人口が最も多い中間所得者層の負担が増えてしまいます。これを避けるために、上限を引き上げることで高所得者層により多く負担してもらい、中間所得者層への配慮を可能にするという設計になっています。

対象者改定前(令和6年度)改定後(令和7年度)
上限該当世帯(所得1,170万円以上)106万円109万円(+3万円)
年収400万円の方(試算)32万1,000円約31万9,000円(約▲2,000円)

試算によると、年収400万円の方の場合、高所得者からより多く徴収することで、年間保険料が約2,000円程度下がる効果があるとされています。人口の大部分を占める中間所得者層の負担を少しでも抑えるための仕組みです。

また、国としては上限に引っかかる世帯(最上位層)の比率を全体の0.5〜1.5%程度に維持したいという考えがあります。令和6年度は約1.56%だったものが、このまま放置すると増加してしまうため、上限を引き上げることで1.5%ジャストに落ち着くよう試算されています。

⚠️ 注意

努力して事業を成功させ、しっかり稼いでいる人にとっては、毎年毎年保険料を引き上げられることは大きな負担です。上限引き上げは「合理的」とも言えますが、高所得の個人事業主・フリーランスにとっては厳しい現実です。

📝 このセクションのまとめ

  • 一律引き上げでは中間所得者層の負担が増えるため、高所得者の上限を引き上げる設計
  • 年収400万円の方は改定後に年間約2,000円の負担減となる試算
  • 国は上限該当世帯の比率を全体の0.5〜1.5%に維持したい考え

国民健康保険料の節税対策3選

では、国民健康保険料に対して何か対策はあるのでしょうか。あえて「節税対策」という言葉を使いますが、一応3つの方法があります。

  1. 国民健康保険組合への加入を検討する
  2. 所得税の節税対策で国保料を下げる
  3. マイクロ法人スキームを活用する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

対策①:国民健康保険組合への加入

個人事業主として商売をされている方は、まず国民健康保険組合がないかリサーチしてみてください。業界独自の団体として設立されている保険組合で、例えば大阪では飲食国保組合などがあります。

その組合の保険料設計次第ではありますが、通常の国民健康保険料よりも負担を抑えられる可能性があります。ただし、そのような組合がない業界の方はこの選択肢は使えません。まずは自分の業界に国保組合があるかどうかを確認することが第一歩です。

対策②:所得税の節税対策で国保料を下げる

国民健康保険料の金額は、住民税の金額と連動していることが多いです。そして住民税の元になるのは所得税です。つまり、所得税の節税対策をすることで、国民健康保険料も下がる場合があります。

📌 ポイント

所得税の課税所得を下げる → 住民税が下がる → 国民健康保険料も下がる、という連動の仕組みがあります。経費の適切な計上や各種控除の活用など、所得税の節税対策が国保料の削減にも直結します。

対策③:マイクロ法人スキームの活用と注意点

定番の対策として、マイクロ法人スキームがあります。ざっくり説明すると、個人事業主の方が小さな法人(マイクロ法人)を設立し、そこで事業を行い役員報酬を受け取る方法です。

会社を設立すると、国民健康保険ではなく政府管掌の健康保険・厚生年金への加入が義務づけられます。役員報酬を最低ラインに設定すれば社会保険料も最低負担となり、国民健康保険料よりも負担が下がることが多いです。

⚠️ 注意:マイクロ法人スキームはグレーゾーンに注意

このスキームはあまりにも多くの方が活用しているのが現状です。本当に法人が必要で事業をしているのであれば正当なやり方ですが、単なる社会保険逃れのためだけに法人を設立している場合、現在の法律では脱法行為ではないものの、限りなくグレーと見られています。

また、2024年10月からの「年収の壁」問題への対応として、国は社会保険料の対象者を増やし保険料をより多く徴収したい意向があります。マイクロ法人スキームに対しても国が警戒を強めており、近い将来、このスキームに規制がかかる可能性も十分に考えられます。今すぐではないですが、将来的なリスクとして認識しておく必要があります。

📝 国保の節税対策3選まとめ

  • ①業界の国民健康保険組合を調べて加入を検討する
  • ②所得税の節税対策を行い、住民税・国保料を連動して下げる
  • ③マイクロ法人スキームは有効だが、グレーゾーンへの注意と将来の規制リスクを把握した上で活用する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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