国民健康保険料を大幅削減する9つの方法を税理士が解説【個人事業主・自営業】

国民健康保険料を大幅削減する9つの方法を税理士が解説【個人事業主・自営業】
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個人事業主・自営業者の重い国民健康保険料を合法的に大幅削減する9つの方法を徹底解説します。

国民健康保険料はなぜ個人事業主に重い負担なのか

会社員から個人事業主になったとき、多くの方が保険料の金額に驚きます。会社員のときは健康保険料を会社と従業員が折半していましたが、個人事業主になると全額自己負担になります。また、国民健康保険には「扶養」という概念がないため、その分の負担もそのままのしかかってきます。

例えば、東京都新宿区の国民健康保険料の概算表によると、前年の総所得が700万円だった場合、年間保険料は約80万円になります。夫婦2人の場合、国民年金の約40万円も合わせると、年間120万円という大きな負担になります。

📌 ポイント

国民健康保険料は合法的に削減することが可能です。今回はその方法を9つ紹介します。知らないだけで損をしているケースが非常に多いため、ぜひ最後まで確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業主は健康保険料を全額自己負担しなければならない
  • 国民健康保険には「扶養」の概念がなく、負担がさらに重い
  • 所得700万円・夫婦2人の場合、国保+国民年金で年間約120万円の負担になる

国民健康保険料の計算の仕組みを理解する

削減策を理解するために、まず国民健康保険料がどのように計算されるかを把握しておきましょう。

年間保険料は、世帯内の国保加入者全員について、医療分・支援金分・介護分を合わせて計算します。それぞれの区分ごとに「均等割額」と「所得割額」を求めます(厳密には平等割も加わりますが、ここでは省略します)。

項目内容
均等割額加入者全員にかかる保険料(人数で決まる)
所得割額前年度中の所得に対して計算される保険料(所得次第で変わる)

ここで重要なのが「所得」の定義です。収入から必要経費を控除して計算したものが「所得金額」で、そこからさらに基礎控除額を差し引いた金額が「年間所得額」となり、これが保険料の計算の元になります。

⚠️ 注意

iDeCo・扶養控除・医療費控除・生命保険料控除などの所得控除は、国民健康保険料の計算には影響しません。所得控除で課税所得を減らしても、国保の保険料は下がらないのです。小規模企業共済の掛け金も所得控除のため、国保削減効果はありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 国保の保険料は「均等割額(人数)」+「所得割額(前年所得)」で計算される
  • 保険料計算の基準は「収入-必要経費-基礎控除」の金額
  • 所得控除(iDeCo・生命保険料控除など)を増やしても国保には効果がない

方法①②:青色申告と経営セーフティ共済で所得を減らす

【方法①】青色申告で65万円の特別控除を受ける

白色申告をしている個人事業主の方は、青色申告に切り替えることを強くおすすめします。e-Taxなどを利用した場合、最高で65万円の青色申告特別控除という税制上の優遇を受けられます。

この65万円は、国民健康保険の計算上も個人事業主の所得から差し引くことができるため、保険料の削減に直結します。「めんどくさいから白色で」という方も、会計ソフトが便利になってきているので、ぜひ青色申告への切り替えを検討してみてください。

【方法②】経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入する

経営セーフティ共済は、手堅い節税策として知られていますが、国保の削減にも効果があります。

項目内容
月額掛け金5,000円〜最大20万円
年間上限240万円
積立上限800万円
経費区分全額「経費」として計上可能

ここがポイントです。経営セーフティ共済の掛け金は「所得控除」ではなく「経費」として扱われます。経費が増えると所得が減り、その結果として国民健康保険料も下がります。

📌 ポイント:経費と所得控除の違い

小規模企業共済の掛け金は「所得控除」のため、所得税・住民税の節税にはなりますが、国民健康保険料には影響しません。一方、経営セーフティ共済の掛け金は「経費」のため、国保の計算基準となる所得そのものを下げる効果があります。国保削減という観点では、経営セーフティ共済の方が効果的です。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告に切り替えると最大65万円の特別控除が国保計算にも反映される
  • 経営セーフティ共済の掛け金は「経費」として所得を直接減らせる
  • 小規模企業共済・iDeCoは「所得控除」のため国保削減効果はゼロ

方法③:軽減・減免措置を申請する

国民健康保険料には、失業や災害にあった場合などに保険料が軽減・減免される措置があります。

例えば、以下のような理由で離職した場合、特定受給資格者に該当し、国民健康保険料の軽減制度を利用することができます。

  • 勤務先の倒産
  • 労働条件の相違
  • 賃金の未払い
  • 長時間の時間外労働

特定受給資格者に該当した場合、前年の給与所得を100分の30(30%)と見なして保険料を計算してもらえます。実際にどれくらい変わるか、試算してみましょう。

条件年間保険料
世帯主1人・30歳・所得600万円(通常)59万円
同条件で特定受給資格者として給与所得を30%(180万円)と見なした場合19万円

なんと約40万円もの差が生まれます。保険料は前年の所得をもとに計算されるため、離職して収入がない状態でも多額の支払いになってしまうことがあります。退職する際は、自分が特定受給資格者の条件に当てはまるかどうかを必ず確認しましょう。

📌 申請先

軽減・減免措置の申請先は、住民票がある市区町村の担当窓口です。忘れずに申請しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 倒産・労働条件相違などで離職した場合、特定受給資格者として保険料が大幅軽減される
  • 給与所得を30%と見なして計算されるため、年間保険料が59万円→19万円になるケースも
  • 申請先は住民票がある市区町村の窓口

方法④:世帯の合併・分離を活用する

世帯合併とは2つの世帯を1つにすること、世帯分離はその逆で1つの世帯を2つに分けることです。どちらも役所で手続きできます。

国民健康保険料には上限があり、令和5年度は上限が104万円です。この上限を活用することで保険料を削減できる場合があります。

手法活用シーン効果
世帯合併家族経営の自営業で2世帯同居している場合保険料の上限(104万円)を活用して合計保険料を削減できる可能性がある
世帯分離介護が必要な家族と同居している場合親世帯の世帯年収が下がり、保険料の減免を受けられる場合がある

📌 ポイント

自分の状況に世帯合併・分離が有効かどうかは、ケースバイケースです。一度市区町村の窓口でご相談いただくことをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料には上限(令和5年度は104万円)がある
  • 世帯合併により上限を活用して保険料を削減できる場合がある
  • 世帯分離により親世帯の所得を下げ、減免を受けられる場合がある

方法⑤⑥:マイクロ法人の設立・ダブルワークで社会保険に加入する

【方法⑤】マイクロ法人を立ち上げる

マイクロ法人とは、会社法に則った法人ではありますが、一般的な呼び方として「従業員を雇わずに社長一人で事業を行う会社」のことを指します。

国民健康保険料の負担が大きい個人事業主がマイクロ法人を設立した場合、法人は必ず社会保険に加入しなければなりません。そこで、法人からの役員報酬額を年72万円程度に設定すると、健康保険料が最低水準になり、結果として保険料の負担を大幅に減らせます。

項目内容
削減効果の目安年間約60万円ほど保険料を減らせる場合がある
デメリット設立費用・維持費がかかる、法人申告の手間が増える
注意点個人と法人の事業を明確に分ける必要がある

⚠️ 注意

同じ事業内容の売上を都合よく「これは個人分、これは法人分」と分けることはNGです。租税回避として税務署から指摘される可能性があります。マイクロ法人を設立する際は、個人と法人で事業内容を明確に分けることが必須です。

【方法⑥】ダブルワークして社会保険に加入する

個人事業主・フリーランスの方がアルバイトでダブルワークする場合、一定の要件を満たしていれば社会保険に加入でき、保険料が安くなることがあります。

社会保険に加入できる主な要件は以下の通りです。

  • 3/4基準:正社員の所定労働日数・時間の3/4以上で働く場合
  • 短時間労働者(被保険者101人以上の事業者):1週間の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が88,000円以上、2ヶ月を超えて継続雇用の見込みがある、学生以外

なお、この短時間労働者の要件は2024年10月から被保険者51人以上の企業に対象が拡大される予定です。社会保険に加入できるアルバイトの方は今後さらに増えてきます。

📝 このセクションのまとめ

  • マイクロ法人を設立し役員報酬を年72万円程度にすると、年間約60万円の保険料削減が見込める
  • 個人と法人の事業を明確に分けなければ租税回避と指摘されるリスクがある
  • ダブルワークで社会保険の加入要件を満たせば、国保より安くなる場合がある

方法⑦⑧:国民健康保険組合への加入・保険料の安い地域への引越し

【方法⑦】国民健康保険組合(国保組合)に加入する

多くの個人事業主・自営業者が加入している国民健康保険は市区町村が運営していますが、国民健康保険組合は医師・薬剤師・弁護士などの同業者が組織・運営する組合です。

国保組合では保険料が所得と連動せず定額になっていることが多いため、所得が高くなって国保の保険料が大きくなっている方は、保険料を抑えられる可能性があります。

例えば、美容業界の組合である東京美容国民健康保険組合では、保険料が定額で設定されており、冒頭に紹介した年80万円の負担と比べると大幅に安くなります。その他にも保障が手厚く、福利厚生サービスのようなものもある組合もあります。自分が該当する国保組合がないか、ぜひチェックしてみてください。

【方法⑧】保険料の安い地域に引っ越す

国民健康保険料は全国一律ではなく、住む場所によって保険料が異なります。国民健康保険計算機を使ってシミュレーションした結果が以下の通りです。

条件居住地年間保険料
37〜39歳・単身・年収500万円東京都新宿区36万2,000円
同条件東京都府中市21万9,000円

同じ東京都内でも、年間で10万円以上の差が生まれることがわかります。引越し先を検討するときに、保険料も考慮してみると良いかもしれません。

📝 このセクションのまとめ

  • 国保組合は所得に関係なく定額の保険料になっていることが多く、高所得者ほど有利
  • 医師・薬剤師・弁護士・美容師など、職種によって加入できる国保組合がある
  • 同じ東京都内でも市区町村によって保険料が年10万円以上異なるケースがある

方法⑨+おまけ:nanacoで支払いポイントを貯める・保険料控除を忘れない

【方法⑨】nanacoで支払いポイントを貯める

国民健康保険料はnanaco(セブンイレブンの電子マネー)で支払うことも可能です。クレジットカードでnanacoにチャージすることで、カードのポイントを貯めることができます。

国保の支払い額が大きくなりがちな個人事業主にとって、こういった小さな積み重ねも馬鹿にはなりません。

📌 おまけ:国民健康保険料は所得控除の対象

国民健康保険料は、所得税の計算上社会保険料控除として所得控除の対象になります。保険料の負担が大きい分、所得税を下げる効果があります。確定申告の際に忘れずに申告しましょう。

以下に、今回紹介した9つの方法を一覧でまとめます。

方法概要難易度
①青色申告65万円の特別控除で所得を減らす低〜中
②経営セーフティ共済掛け金を経費計上して所得を減らす
③軽減・減免措置の申請特定受給資格者として保険料を大幅軽減低(要確認)
④世帯合併・分離世帯構成を変えて保険料上限を活用
⑤マイクロ法人の設立社会保険に切り替えて年約60万円削減
⑥ダブルワークで社会保険加入アルバイト先の社会保険に加入する
⑦国保組合への加入定額制の組合に加入して保険料を抑える
⑧保険料の安い地域へ引越し市区町村によって保険料が大きく異なる
⑨nanacoで支払いポイントを貯めるクレカチャージでポイント還元を受ける

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料はnanacoで支払うことでクレジットカードのポイントを貯められる
  • 国民健康保険料は社会保険料控除として所得税計算上の所得控除になるため、確定申告で忘れずに申告する
  • 9つの方法を組み合わせることで、大幅な保険料削減が期待できる

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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