相続・贈与

新紙幣発行でタンス預金の相続税逃れがバレる理由を税理士が解説

新紙幣発行でタンス預金の相続税逃れがバレる理由を税理士が解説
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新紙幣発行でタンス預金が炙り出される時代、相続税逃れはもう通用しない。

タンス預金とは?国内に眠る60兆円の実態

タンス預金とは、銀行に預けず手元に保管している現金のことです。必ずしもタンスの中に限らず、畳の裏・トイレ・金庫の奥など、自宅のさまざまな場所に隠されているケースがあります。タンス預金そのものが悪いわけではありませんが、相続税逃れのために現金を隠すことは脱税にあたり、絶対にやってはいけません。

では、日本国内にはどれくらいのタンス預金があるのでしょうか?

📌 タンス預金の規模

  • 日本国内のタンス預金総額:約60兆円
  • 1世帯あたりの平均:約80万円

これだけ大規模な現金が銀行の外に眠っているわけです。政府・税務当局がこの資金を把握しようとするのは当然の流れと言えます。

📝 このセクションのまとめ

  • タンス預金自体は違法ではないが、相続税申告に計上しないのは脱税
  • 国内のタンス預金は約60兆円・1世帯あたり約80万円

相続税の仕組みと基礎控除をおさらい

相続税は「純財産(=プラスの財産-マイナスの財産である負債)」に対してかかる財産課税です。所得税や法人税が「儲け(売上-経費)」にかかるのとは異なり、財産そのものの大きさが課税の基準になります。イメージとしては会社の貸借対照表(バランスシート)に近い考え方です。

相続税の課税対象となる財産には、現金・預金・保険金・株式・不動産・車・貴金属など、あらゆる財産が含まれます。ただし、一定額までは相続税がかからない「基礎控除」があります。

基礎控除の計算式具体例(配偶者1人+子供2人)
3,000万円 + 600万円 × 相続人の数3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

つまり、遺産総額が4,800万円を下回れば、相続税はかかりませんし、申告も不要です。実際に相続税がかかるのは、亡くなった方全体のうちわずか約7〜8%に過ぎません。心配しすぎる必要はないものの、対象になった場合の金額は無視できません。

遺産総額別の相続税額の目安は以下のとおりです。

遺産総額家族構成相続税額(目安)
5,000万円配偶者1人+子供2人約10万円
5,000万円子供2人(配偶者なし・2次相続)約80万円
1億円子供2人約315万円
1億円子供2人(2次相続)約770万円

相続税の申告実務で最もボリュームゾーンとなるのが、遺産総額1億円前後のケースです。

なお、相続税対策の基本的な考え方としては、①財産を減らす、②不動産など評価額を下げられる資産に変える、③負債を増やすといった方法が挙げられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続税は純財産(財産-負債)に対してかかる財産課税
  • 基礎控除は「3,000万円+600万円×相続人数」
  • 相続税がかかるのは亡くなった方全体の約7〜8%のみ

新紙幣発行とタンス預金の関係

2004年に新紙幣が発行されたタイミングで、タンス預金が減少したという記録があります。新しい紙幣に切り替わると、旧紙幣は自動販売機やパーキングメーターなどで使えなくなるケースが増え、日常生活での利便性が著しく低下します。

そうなると、タンス預金として保管していた旧紙幣を銀行で両替したり、口座に入金したりするしかなくなります。両替や入金をすれば、当然履歴が残ります。今回の新紙幣発行でも同様の動きが起きることが予想されます。

📌 新紙幣発行の「裏の目的」とは?

公式には偽造防止のため20年ごとに紙幣を刷新すること、またキャッシュレス化の推進が目的とされています。しかし、国内に約60兆円眠るタンス預金を「炙り出す」ことで相続税逃れを防止するという側面も否定できません。明言はされていませんが、新紙幣発行の裏の理由として、タンス預金炙り出しによる相続税逃れ防止があると考えられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 2004年の新紙幣発行時にもタンス預金が減少した実績がある
  • 旧紙幣は日常使いが不便になり、銀行への入金・両替で履歴が残る
  • 新紙幣発行にはタンス預金炙り出しの側面がある

タンス預金による相続税逃れがバレる4つの理由

相続税がかかる方のうち、実際に税務調査が来るのはさらに約1割程度です。調査は相続発生からおおむね2年後に来ることが多いとされています。しかし、国税当局のネットワークは非常に強力で、「タンス預金にすれば簡単にごまかせる」という考えは通用しません。

⚠️ 注意

タンス預金自体は違法ではありませんが、それを相続税の申告書に計上しないことは脱税です。絶対にやってはいけません。

では、具体的にどのような仕組みでバレるのかを4つの観点から解説します。

バレる理由①:KSKシステムと財産債務調書・国外財産調書

KSKシステム(国税総合管理システム)とは、関東に設置された巨大なコンピューターシステムです。ここには全国民の収入状況・財産状況があらゆる角度から記録されています。過去の所得税の申告書を参照すれば個人の稼ぎが明らかになるため、何億円も稼いでいるのに相続税の申告書が出ていない、あるいは現金がほとんど計上されていないといった場合は、調査のターゲットになったり、税務調査時にシビアに見られる可能性があります。

次に、財産債務調書という書類があります。これは個人版のバランスシートで、資産と負債を記録して税務署に提出しなければならない書類です。提出期限は確定申告後の6月30日までです。

提出が義務づけられる対象者は以下のとおりです。

  • その年の所得(退職所得を除く)が2,000万円超かつ、時価3億円以上の財産を持っている人
  • その年の所得が2,000万円超かつ、時価1億円以上の株式を所有している人
  • (改正により追加)所得の有無にかかわらず、10億円以上の財産を所有している人

📌 財産債務調書のペナルティ

  • ちゃんと提出していた場合:申告漏れがあっても過少申告加算税などのペナルティが軽減される
  • あるべき財産を記載しなかった場合:申告漏れがあった際にペナルティが上乗せされる

財産債務調書の提出記録は税務当局に保管され続けるため、相続税の申告書と照らし合わせれば、現金を申告していないことはすぐに判明します。

さらに、国外財産調書という制度もあります。「海外に資産を移せば相続税を逃れられる」と考える方もいますが、そんなに甘くはありません。海外財産が5,000万円を超える人は、同じく6月30日までに税務署に提出する義務があります。ペナルティの仕組みも財産債務調書と同様です。国内外に財産がある方は、両方の調書を提出しなければならず、これらが相続税の税務調査の重要な鍵となります。

📝 このセクションのまとめ

  • KSKシステムで過去の所得・財産状況が全て把握されている
  • 財産債務調書は一定の富裕層に提出義務あり。提出すればペナルティ軽減、隠せば加重
  • 海外資産5,000万円超は国外財産調書の提出義務あり

バレる理由②:支払調書と③預金調査

相続税の課税対象には保険金も含まれます(一部非課税枠あり)。亡くなった方に保険金が支払われた場合、保険会社は支払調書を作成して税務署に提出します。配当金を支払う会社も同様に支払調書を提出しています。

つまり、支払調書が出ているにもかかわらず相続税の申告書に計上されていなければ、申告漏れまたは脱税として即座に発覚します。

そして最も強力な調査手段が預金調査(銀行照会)です。税務署は金融機関に対して、過去10年間の入出金履歴を確認することができます。調査前に銀行へ赴いてチェックすることもありますし、相続税の税務調査の際に通帳を全て回収して突き合わせることもあります。

📌 預金調査の具体的なイメージ

例えば、亡くなる直前の12月15日に1,000万円の引き出しがあったとします。現金で残っているのか、別の口座に移しているのか、自宅のリフォームなど使途が説明できれば問題ありません。しかし、説明がつかない場合は「タンス預金として隠している可能性がある」として厳しく追及されます。

相続税の税務調査では不動産の評価が最も複雑に思われがちですが、実際には調査時間の大半が預金調査に費やされると言われています。税理士が相続税申告を受任する際も、依頼者から通帳を10年分預かり、特に亡くなる1〜2年前の説明がつかない出金をピックアップして確認する作業を行います。説明のつかない預金の引き出しには十分な注意が必要です。

バレる理由④:新紙幣発行による紙幣の入れ替え

旧紙幣(例:旧聖徳太子の2万円札など)を持ち続けると、自動販売機やパーキングメーターで使えないなど日常生活が非常に不便になります。結果として、銀行で両替するか口座に入金するしかなくなりますが、どちらも履歴が残ります

旧紙幣のままタンス預金として保管し続けることは現実的に難しく、何らかの形で金融機関を通じた記録が残ることになります。ひょっとすると将来的に旧紙幣の交換ができなくなる可能性もあり、タンス預金の使い勝手はどんどん悪くなっていきます。

⚠️ 注意

新紙幣への切り替えにより、旧紙幣のタンス預金を銀行で両替・入金すると履歴が残り、税務調査のきっかけになる可能性があります。「現金で隠しておけば安全」という時代はもう終わっています。

📝 タンス預金がバレる4つの理由まとめ

  1. KSKシステム・財産債務調書・国外財産調書:過去の申告書と財産状況が全て記録・照合される
  2. 支払調書:保険金・配当金の支払い記録が税務署に自動提出される
  3. 預金調査(銀行照会):過去10年間の入出金履歴を税務署が確認できる
  4. 新紙幣発行による紙幣の入れ替え:旧紙幣の両替・入金で履歴が残る

タンス預金をすべきでない理由と正しい節税対策

税務的なリスクだけでなく、それ以外の観点からもタンス預金には大きなデメリットがあります。また、正しい節税対策についても整理しておきましょう。

【タンス預金のデメリット】

  • 災害・紛失・盗難リスク:火災や水害で紙幣が燃えたり濡れたりするリスク、強盗に取られるリスクがある
  • インフレによる価値の目減り:現金のまま置いておくと、インフレが進む中で実質的な価値が下がり続ける
  • 円安による価値の低下:世界的に見ると円の価値は減少傾向にあり、現金保有のリスクは高まっている
  • 利息がつかない:銀行預金でさえ利息はわずかだが、タンス預金はゼロ

守りの資産として現金をある程度手元に残しておくことは大切ですが、資産運用を組み合わせた方が有利です。S&P500などのインデックス型投資信託や、高配当株投資で配当金を得るといった方法で、安全に資産を増やしていくことが賢明です。ただし、株式投資は相続税の節税には基本的につながらない点に注意が必要です。

【正しい相続税の節税対策:不動産活用】

最も代表的な節税対策が、現金を不動産に変えることです。現金は額面どおりに課税されますが、不動産は相続税評価額が購入価格より低くなるという特性があります。

ケース資産内容純財産(課税対象)
対策前現金1億円のみ1億円
対策後(例)現金1億円+借入金1億円でマンション2億円を購入マンション評価額約1億4,000万円-借入金1億円=約4,000万円

この仕組みのポイントは以下のとおりです。

  • 建物は固定資産税評価額で評価され、購入価格の7〜8割程度に下がる
  • 土地も路線価や固定資産税評価額を使うため、時価より低く評価される
  • さらに賃貸に出すと評価をさらに下げることができ、おおむね7割程度に圧縮できる
  • 借入金(負債)は債務控除として純財産から差し引ける

上記の例では、現金1億円を置いておく場合と比べて、純資産を約6,000万円圧縮できる計算になります。

⚠️ 不動産節税の注意点

不動産を使った節税はいわば「諸刃の剣」です。ハウスメーカーに営業されて収益性の低い物件を建ててしまい、一時的に相続税は減らせたものの空室が続いて家賃収入が入らず、結果的に財産が目減りしただけというケースも多くあります。不動産活用による節税は、収益性を慎重に検討したうえで実行することが不可欠です。

タンス預金として隠しても申告書に載せてもメリットは少ないため、株式投資で運用して資産を増やすか、不動産に変えて評価額を下げるか、しっかりと理論武装して慎重に検討することが重要です。

なお、相続財産が負債ばかりという場合は、相続人が裁判所で手続きをすることで相続放棄を選ぶことも可能です。借金まみれの財産を引き継がないための選択肢として覚えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • タンス預金は災害・インフレ・円安・盗難などのリスクが高く、利息もつかない
  • 資産運用(インデックス投資・高配当株等)を組み合わせることが有利
  • 不動産活用は相続税評価額を大幅に圧縮できる有効な節税策だが、収益性の検討が必須
  • 相続財産が負債のみの場合は相続放棄という選択肢もある

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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