相続・贈与

新NISAで夫婦間贈与は脱税になる?税務署の管理体制と注意点を解説

新NISAで夫婦間贈与は脱税になる?税務署の管理体制と注意点を解説
e_zeirishi

新NISAで夫婦間の贈与が脱税を疑われるケースが急増しています。税務署がNISA口座をマイナンバーで全管理している仕組みと、贈与を適法に行うための注意点を解説します。

税務署はNISA口座を全て把握している

税務署はNISA口座を管理しています。夫婦でNISAに投資している人は、贈与税を疑われないように注意しておく必要があります。

税務署は、誰がどこの金融機関にNISA口座を持っているかを全て把握しています。というのも、NISA口座を管理しているのは税務署だからです。

📌 ポイント

NISA口座の開設・管理は税務署が担当しており、マイナンバーと紐づけて全国民のデータを把握しています。「バレないだろう」という考えは通用しません。

📝 このセクションのまとめ

  • NISA口座の管理主体は税務署
  • マイナンバーで全国民の口座情報が紐づけられている
  • 誰がどこの金融機関にいくら投資しているかが把握されている

NISA口座開設の流れと税務署の審査

NISA口座を開設する流れを確認しましょう。

  1. 証券会社や銀行などに必要書類を用意して口座開設を申し込む
  2. まず「仮口座」が開設される(この段階でも投資は可能)
  3. 証券会社等が申込者のデータを税務署に送付し、審査を受ける
  4. 税務署がOKを出せば、正式に「本口座」が開設される

税務署の審査で確認しているのは、二重開設になっていないかという点です。NISA口座は1人1口座しか開設できないため、すでに開設済みの口座がある場合はチェックで弾かれます。この審査を税務署が担当しているため、税務署は誰がどこの金融機関にNISA口座を持っているかを、マイナンバーと紐づけして全国民分のデータとして把握しているわけです。

📝 このセクションのまとめ

  • 口座開設は「仮口座→税務署審査→本口座」の流れ
  • 税務署の審査目的は「1人1口座ルール」の確認
  • 審査を通じて全国民の口座情報が税務署に集約される

非課税限度額の管理も税務署(国税庁)が担当

新NISAには以下の限度額が設けられており、この管理も税務署(国税庁)が行っています。

区分限度額
年間投資枠(非課税)360万円
非課税保有限度額(生涯)1,800万円

この限度額の管理を金融機関が個別に行うことは困難です。なぜなら、NISA口座を開設する金融機関は変更が可能であり、変更前の金融機関に投資残高が残るためです。別々の金融機関ではその人の投資残高を把握して限度額を管理することはできません。

そこで、以下の仕組みが採用されています。

  1. 個々の金融機関が年末時点の残高を国税庁に報告する
  2. 国税庁が非課税保有限度額を一元管理する
  3. 国税庁が金融機関に翌年の買付限度額を伝達する

この仕組みにより、税務署は家族全員のNISA口座がどこの金融機関にあり、いくら投資しているかを把握しています。マイナンバーで国民の財産が次々に捕捉されていく時代において、うかつな行動は禁物です。

📝 このセクションのまとめ

  • 年間投資枠360万円・生涯非課税保有限度額1,800万円の管理は国税庁が一元管理
  • 金融機関が年末残高を国税庁に報告し、翌年の買付限度額が通知される仕組み
  • 家族全員分のNISA情報が税務署に把握されている

無収入の妻のNISA口座に多額の投資があると贈与税を疑われる

例えば、夫が自分の確定申告で妻を専業主婦(無収入)として配偶者控除を受けていたとしましょう。ところが、妻名義のNISA口座に毎年数百万円が投資されているとなれば、税務署は当然こう考えます。

⚠️ 注意

妻は無収入なのに、その投資資金はどこから来たのか——税務署は資金源を知りたいと考えます。夫からの贈与が疑われ、「お尋ね文書」が送られてくる可能性があります。

「お尋ね文書」の代表例として、「お買いになった資産の買い入れ価額などについてのお尋ね」があります。これは不動産や多額の有価証券を購入した場合などに使われるもので、資金の調達方法を記載する箇所があります。

具体的に記載が求められる内容は以下の通りです。

  • どの預貯金から出金したか
  • どこから借り入れした資金か
  • どんな資産を売却して入手した資金か
  • 誰から贈与された金銭か

夫から贈与されたにもかかわらず「バレないだろう」と甘く見て贈与税の申告をしていなかった場合、お尋ね文書が届いた途端にあわてて申告するはめになりかねません。NISAで痛い目に遭う人が多発することが懸念されます。

📌 ポイント

贈与すること自体は悪いことでも何でもありません。贈与の実態を備え、証拠を残し、必要であれば申告をしておけば問題はありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 無収入の妻のNISA口座への多額投資は贈与税調査のきっかけになる
  • 「お尋ね文書」で資金の出所を問われる可能性がある
  • 申告漏れは後からでは取り返しがつかない場合がある

夫婦間贈与でNISA投資を行う際の注意ポイント

夫から妻へ金銭を贈与して夫婦でNISAに投資する場合、以下の点に注意が必要です。

⚠️ 注意:名義貸し・名義借り取引に注意

夫の預貯金から妻名義のNISA口座に直接入金してはいけません。これは「妻の名義を借りて夫が運用している」とみなされ、名義貸し・名義借り取引という違法行為を疑われます。犯罪になる可能性があるため、絶対に避けてください。

正しい手順は以下の通りです。

  1. 夫の預貯金から妻の預貯金に送金する
  2. 妻が自分の預貯金から妻名義のNISA口座に入金する
  3. 妻が自分の投資判断で運用する

また、贈与は夫が送金するという一方的な行為だけでは成立しません。妻が「受け取ります」と承諾して初めて成立する契約です。口頭でも贈与契約は成立しますが、証明ができないため、贈与契約書を作成して税務署に提示できるよう準備しておくことが重要です。

さらに、贈与を受けた金銭はあくまでも妻のものであり、NISA口座も妻名義です。妻が自分の投資判断で運用しなければなりません。夫に相談するのは構いませんが、何に投資しているかくらいは妻自身が把握していないと、贈与の実態が疑われます。

📝 このセクションのまとめ

  • 夫の口座から妻のNISA口座への直接入金はNG(名義貸し扱いになる)
  • 「夫→妻の預貯金→妻のNISA口座」という経路が必要
  • 贈与契約書を作成して証拠を残す
  • 妻が自分の判断で運用し、内容を把握していることが重要

贈与額はいくらが得か?年110万円vs年360万円の比較

年間の贈与額をいくらにするかは重要な判断です。主に2つの方法が考えられます。

  • 方法①:毎年110万円を贈与して投資する(贈与税の基礎控除内なので非課税)
  • 方法②:贈与税を払ってでも年間投資枠360万円の限度いっぱいを投資する

方法②で年間360万円を投資するために392万円を贈与するとします(贈与税32万円を差し引いて手取り360万円)。非課税保有限度額1,800万円を埋めるには5年かかるため、贈与税の総額は160万円になります。

以下は年利5%と仮定した場合の目安表です。

経過年数年360万円投資(贈与税160万円控除後)の運用益年110万円投資の運用益比較
1〜4年目贈与税160万円が運用益を上回る(損失)当初から黒字110万円が有利
4年目超〜5年目贈与税を取り戻す時期引き続き黒字110万円が有利
5年目〜黒字化開始黒字継続差が縮まる
6年目〜年110万円投資の運用益を上回る黒字継続360万円が有利

📌 ポイント

一般的には非課税保有限度額1,800万円の枠を早く埋めてしまって長期間投資した方が、複利のメリットを引き出せると言われています。年利5%の目安では、6年目から年360万円の贈与投資が年110万円の贈与投資を上回る結果になります。長期投資を前提とするなら、贈与税を払ってでも360万円を贈与する方がメリットが大きいといえます。

ただし、投資には浮き沈みがあります。年齢・資金面・相場など様々な要素をよく考えた上で投資判断をしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 年110万円の非課税贈与は当初から黒字で安心感がある
  • 年360万円の贈与投資は贈与税160万円が発生するが、6年目以降は110万円投資を上回る
  • 長期投資を前提とするなら360万円贈与の方が有利になる可能性が高い
  • 年齢・資金・相場を考慮した上で判断することが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!

関連記事

毎年110万円以下の贈与でも税金がかかる?定期贈与と連年贈与の違いを税理士が解説
子どもNISA(こども支援NISA)とは?ジュニアNISAとの違いを税理士が解説
「アリバイ贈与」は税務署に狙われる!定期贈与とNISA活用の落とし穴を税理士が解説

🏙️ 東京エリア 千代田・中央・港区から副都心各区まで
⛩️ 関西エリア 大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏
🗼 関東エリア 神奈川・埼玉・千葉・北関東
🏔️ 中部エリア 名古屋・静岡・長野・北陸など
🌺 九州・沖縄 福岡・長崎・熊本など地域密着型
🌏 その他地域 北海道・東北・中国・四国地方
記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら