節税対策

新NISAでも税金がかかる?税理士が解説する3つの損するパターンと正しい設定方法

新NISAでも税金がかかる?税理士が解説する3つの損するパターンと正しい設定方法
e_zeirishi

新NISAをせっかく始めても、配当金の受け取り方法を間違えると約20%の税金がかかります。税理士が3つの落とし穴をわかりやすく解説します。

新NISAとは?そのすごさをおさらい

証券口座には大きく分けて、以下の種類があります。

口座の種類税金の計算確定申告
一般口座自分で行う必須
特定口座(源泉徴収なし)証券会社が計算必須
特定口座(源泉徴収あり)証券会社が計算・徴収不要
NISA口座非課税不要

一般口座・特定口座で配当金を受け取ったり、株の売却益を得た会社員の方は、年間の利益が20万円を超えると所得税の確定申告が必須になります。なお、住民税については金額要件がなく、1円でも利益が出れば住民税の申告が必要です。

一方、NISA口座は非課税なので確定申告も不要です。NISAの正式名称は「日本版ISA(Individual Savings Account)」、日本語では少額投資非課税制度と言います。18歳以上であれば1人1口座開設でき、金融庁審査済みの良質な投資信託などが揃っているため、投資初心者にも優しい制度です。

2024年からスタートした新NISAの概要は以下の通りです。

区分年間投資枠生涯上限非課税期間
積立投資枠(旧・積立NISA)120万円1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)無期限
成長投資枠(旧・一般NISA)240万円
合計360万円

📌 新NISAのすごいところ:枠の再利用が可能

1,800万円を満額投資し、そのうち買付価格600万円分を売却して利益を得た場合、通常その600万円の枠はそれで終わりです。しかし新NISAでは、売却した600万円分の枠を再び使うことができます(年間360万円の上限あり)。生涯にわたり1,800万円を投資し続け、配当金や値上がり益がどれだけ大きくなっても、全て非課税という画期的な制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 新NISAは年間360万円、生涯1,800万円まで投資でき、利益は全て非課税
  • 非課税期間は無期限で、売却した枠の再利用も可能
  • 18歳以上であれば1人1口座開設できる

【損するパターン①】配当金の受け取り方法を間違える

新NISAで最も注意すべき落とし穴が、配当金の受け取り方法の設定ミスです。

⚠️ 注意

NISA口座で保有する株式の配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」を選択していなければなりません。この方式以外を選んでしまうと、新NISAをやっていても配当金に対して通常通り約20%の税金が課されます。

配当金の受け取り方法には、主に以下の3種類があります。

受け取り方法概要NISAで非課税になるか
株式数比例配分方式証券口座で受け取る✅ なる
配当金領収書方式郵便局・銀行の窓口で受け取る❌ ならない(約20%課税)
登録配当金受領口座方式指定した銀行口座で受け取る❌ ならない(約20%課税)

「配当金領収書方式」とは、主に郵便局などに配当金領収書を持参することで配当金を直接受け取る、昔ながらのやり方です。金融機関によっては運転免許証の提示が必要だったり、払い渡し期間を過ぎると信託銀行で別途手続きが必要になったり、場合によっては配当金がもらえなくなってしまうこともあります。

もし現在「配当金領収書方式」や「登録配当金受領口座方式」を選んでいる方でも、変更は可能です。ただし、配当金の権利確定日までに変更手続きを完了させる必要があり、手続きには3〜4日かかると言われていますので、早めに対応してください。

楽天証券での設定確認・変更方法

楽天証券を例に、設定の確認方法を説明します。

  1. 楽天証券にログインし、「お客様情報一覧」ページを開く
  2. ページを下にスクロールし、「配当金受け取り方法」の項目を探す
  3. 「国内株式配当金受け取り方法」の欄を確認する
  4. 「証券口座でのお受け取り(株式数比例配分方式)」になっているかチェック
  5. 他の方式になっている場合は「変更」ボタンから手続きを行う

📌 ポイント

楽天証券の「お客様情報一覧」ページには、米印(*)の注記として「NISA口座での配当金などを非課税で受け取るためには、証券口座でのお受け取り(株式数比例配分方式)の選択が必要です」と明記されています。また、株式数比例配分方式を選択すると、一般口座・特定口座など他の全ての口座も同じ方式が適用されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 配当金を非課税で受け取るには「株式数比例配分方式」の選択が必須
  • 「配当金領収書方式」「登録配当金受領口座方式」はNISAでも課税される
  • 権利確定日の3〜4日前までに変更手続きを完了させること

【損するパターン②】売却損が発生した場合はNISAのメリットがない

新NISAで損するパターンの2つ目は、売却損が発生した場合です。

NISAの最大のメリットは「利益が出た時に約20%の税金がかからない」ことです。つまり、NISAをやるからには絶対に利益を上げなければなりません。

一方、一般口座や特定口座で株の売却損が発生した場合には、損益通算という優遇措置があります。他の売却益や配当金と損失を相殺して節税することができます。

具体的なイメージを見てみましょう。

口座内容金額
A口座(特定口座)株の売却損(損切り)▲300万円
B口座(特定口座)配当金収入+100万円
B口座で源泉徴収済みの税金所得税+住民税(約20%)約20万円

この状態で放置していると何も起こりませんが、確定申告で損益通算を行うと、A口座の赤字▲300万円とB口座の配当金+100万円を相殺できます。赤字の方が大きいため配当所得は0円となり、すでに徴収された約20万円を全額取り返すことができます。

さらに、相殺後に余った赤字200万円は最長3年間繰り越しが可能です(損失の繰越控除)。

翌年の状況内容
翌年の配当金200万円(源泉徴収税額 約40万円)
繰越損失との相殺▲200万円(前年の赤字)と相殺
結果税金約40万円が全額還付

⚠️ 注意

NISA口座で保有する株式・投資信託はそもそも税金がかかりません。そのため、損益通算や損失の繰越控除という概念がNISA口座には存在しません。損が出るくらいならNISAを使わない方がよく、NISAをやる方は絶対に利益を出すことが前提です。

📝 このセクションのまとめ

  • NISAは利益が出た時だけ非課税メリットがある
  • 一般口座・特定口座では損益通算・損失の繰越控除(最長3年)が使える
  • NISA口座には損益通算・繰越控除の概念がないため、損が出ると何のメリットもない

【損するパターン③】米国株など外国株の配当を中心に投資する場合

3つ目のパターンは、やや上級者向けの内容です。米国株など外国株の配当金を目的に投資する場合、税負担が通常より重くなる点に注意が必要です。

投資対象配当金にかかる税率内訳
日本株の配当約20.315%所得税+住民税
米国株の配当約28%米国源泉税10%+日本の税金約20.315%

米国株の配当には、日本の税金に加えて米国の源泉税が余分に徴収されます。ただし、「損だからやらない方がいい」とは言い切れません。確定申告で「外国税額控除」を申請することで、米国で徴収された税金の一部を取り返せる場合があります。

📌 外国税額控除の注意点

  • 確定申告が必要で、やや複雑な計算処理が伴う
  • 外国で徴収された税金が全額還付される保証はない(所得全体に占める外国所得の割合をもとに按分計算するため、一部しか返ってこないケースが多い)
  • 米国株の売却益については、日米租税条約により外国税はかからないので安心してよい
  • その他の海外株については、その国との租税条約の有無によって扱いが変わる

そして、ここが新NISAとの重要な関係です。

⚠️ 注意

新NISAを使うと、外国税額控除ができません。米国ETFや米国個別株の配当金に対する日本の税金(約20%)はNISA口座内で非課税になりますが、米国側で徴収される源泉税は取り返すことができず、取られっぱなしになります。そのため、もともと確定申告で外国税額控除をしっかり活用していた方は、海外株式をNISAの対象商品として選ばない方がよいという結論になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 米国株の配当金は日本の税金に加えて米国源泉税も徴収され、合計約28%になる
  • 一般口座・特定口座なら確定申告で外国税額控除を申請し一部取り返せる
  • NISA口座では外国税額控除が使えず、米国源泉税は取られっぱなしになる
  • 米国株の売却益には日米租税条約により外国税はかからない

新NISAはやるべきか?向いている人・向いていない人

新NISAをやるべきかどうかは、よく聞かれる質問です。結論として、以下のように整理できます。

タイプ判断理由
すでに自分で勉強して株式投資をバリバリやっている人✅ 絶対やるべき利益に対する約20%の非課税メリットが非常に大きい
株式投資の初心者⚠️ ちょっと待って非課税制度とはいえ投資の一種。勉強なしで始めると損をするリスクが高い

初心者の方が特に注意すべき点は以下の通りです。

  • 勉強せずに始めない
  • 他人の意見を鵜呑みにしない
  • 周りがやっているからという理由だけで始めない
  • しっかり勉強して理論武装してから始める

なお、新NISAは年間360万円、生涯1,800万円という大きな枠がありますが、全部使わなければならないわけではありません。月30万円の投資はなかなかできる人がいませんが、月1万円でも数千円でも構いません。初めて見たいという方はまず小額で安全に始め、慣れてきてから投資金額を増やしていくという手順を守ることが大切です。

📌 具体的な活用例(参考)

  • 積立投資枠:米国S&P500を中心としたインデックスファンドに毎月定額で積み立て
  • 成長投資枠:ある程度ほったらかしで管理できる高配当銘柄への投資

このように、積立投資枠と成長投資枠をそれぞれの特性に合わせて使い分けるのも一つの方法です。

📝 このセクションのまとめ

  • 投資経験者は新NISAを積極的に活用すべき
  • 初心者はまず勉強してから、小額でスタートするのが鉄則
  • 年間360万円の枠を全部使う必要はなく、月数千円からでもOK
  • 怪しい投資話には絶対に引っかからないよう注意する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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