NISA口座の相続手続きを税理士が解説|非課税は死亡日まで、相続人の注意点とは
NISA口座は相続で終了し、非課税の恩恵は死亡日まで。相続人は一般口座・特定口座に移管して売却することになります。
NISA口座は相続で引き継げない|1代限りの非課税特典
亡くなった人のNISA口座を相続人がそのまま引き継ぐことはできません。NISAは相続で終了となり、1代限りの非課税特典です。
相続人は、被相続人のNISA口座にあった上場株式や投資信託等を、自分の一般口座または特定口座に移管(いかん)して受け入れることになります。NISA口座への移管はルール上できません。そして、移管後に売却した際には、相続後の値上がり分に課税されることになります。
📌 ポイント
NISA口座は被相続人1代限りの非課税特典です。相続人はNISA口座を引き継ぐことができず、一般口座か特定口座に移管してから売却することになります。相続後すぐに売却することが得策になるケースもあります。
📝 このセクションのまとめ
- NISA口座は相続で終了し、引き継ぎ不可
- 相続人は一般口座または特定口座に移管する必要がある
- 移管後の値上がり益には課税される
NISA口座の相続手続き|移管に必要な条件と書類
被相続人のNISA口座を解約して相続人の証券口座に移管するためには、いくつかの条件があります。
まず、被相続人がNISA口座を開設していた証券会社と同じ証券会社に、相続人の口座が必要です。同一の金融機関でないと移管できません。たとえば、被相続人がSBI証券で、相続人が楽天証券の口座しか持っていない場合は移管できないため、あらかじめ同じ証券会社に口座を開設しておく必要があります。相続手続きと同時に口座開設の手続きをすることも可能ですが、開設までに日数がかかる点に注意が必要です。
⚠️ 注意
相続人がNISA口座を持っていても、そこへの移管はできません。受け入れ先として用意しなければならないのは一般口座または特定口座です。NISA口座しか持っていない場合は、新たに一般口座か特定口座を開設してください。
受け入れ準備が整ったら、相続人は以下の書類を証券会社に提出します。
- 非課税口座開設者死亡届出書
- 相続上場株式等移管依頼書
- 戸籍謄本
- 遺言書または遺産分割協議書
- 印鑑証明書
これらを提出することで、被相続人の上場株式等を相続人の口座に移管してもらうことができます。
📝 このセクションのまとめ
- 移管先は被相続人と同じ証券会社の口座が必要
- 受け入れ先はNISA口座ではなく一般口座か特定口座
- 死亡届出書・移管依頼書・戸籍謄本等の書類を提出する
被相続人のNISA口座はどうなる?|死亡時点で売却とみなされる
被相続人のNISA口座は、相続が発生した時点で終了します。具体的には、死亡時点で売却したのと同様の取り扱いになり、含み益や含み損を死亡時点で確定させます。
| 項目 | NISA口座の取り扱い |
|---|---|
| 含み益 | 死亡時点で確定。売却益に所得税・住民税は課税なし。社会保険にも影響なし。 |
| 含み損 | 切り捨て(なかったものとみなされる)。他の口座との損益通算は不可。 |
NISAは非課税口座ですので、死亡時点で確定した売却益に所得税・住民税は課税されません。また、国民年金や健康保険などの社会保険にも影響しません。一方、含み損は切り捨てとなり、他の口座の利益と相殺して損益通算することもできません。
こうして含み益・含み損を実現させたうえで、被相続人のNISA口座は終焉を迎え、相続人の口座に移管されていきます。被相続人のNISAは、非課税のまま一生の幕を閉じることになります。
📝 このセクションのまとめ
- 被相続人のNISA口座は死亡時点で売却とみなされ終了
- 含み益は非課税で確定し、社会保険にも影響なし
- 含み損は切り捨てで、損益通算はできない
相続人の取得価格はどうなる?|死亡時の時価がスタート地点
被相続人のNISA口座から移管を受けた上場株式等は、死亡時点の時価で取得したことになります。相続人はここから新たにスタートすることになります。これはNISA口座独特の取り扱いです。
NISA口座以外の一般口座や特定口座の相続であれば、被相続人が取得した金額を相続人がそのまま引き継ぎ、相続人が売却した時に含み損益が実現します。つまり被相続人と相続人の損益が通算されるわけです。
これに対してNISA口座は、相続時に含み損益を確定させて時価で払い出すため、被相続人と相続人の損益は分断されます。
📌 時価の計算方法
- 上場株式:亡くなった日の終値(当日の市場価格)。相続税評価額とは異なります。
- 投資信託:死亡時の1口あたりの基準価格×口数。基準価格とは、ファンドの純資産総額(保有する株・債券等の資産時価から信託報酬等の運用コストを差し引いた金額)を口数で割ったものです。
📝 このセクションのまとめ
- 相続人の取得価格は死亡時の時価(終値・基準価格)になる
- 一般口座・特定口座の相続とは異なり、被相続人の取得価格は引き継がれない
- 被相続人と相続人の損益は分断される
特定口座vsNISA口座の相続比較①|値上がりしたケース
特定口座とNISA口座で投資していた場合の相続後の課税を、具体的な事例で比較してみましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入日 | 2020年7月1日 |
| 購入価格 | 1株1万円×100株 |
| 死亡日 | 2022年8月1日 |
| 死亡日の株価(終値) | 1株2万円 |
| 売却日 | 2024年8月1日 |
| 売却価格 | 1株4万円×100株 |
| 比較項目 | 特定口座の場合 | NISA口座の場合 |
|---|---|---|
| 相続人の取得価格 | 1株1万円(被相続人から引き継ぎ) | 1株2万円(死亡時の時価) |
| 売却価格 | 1株4万円 | 1株4万円 |
| 売却益 | 1株3万円×100株=300万円 | 1株2万円×100株=200万円 |
| 税率 | 20.315% | 20.315% |
| 税額 | 約60万円 | 約40万円 |
被相続人がNISAをやっていた場合、相続人が売却した際の課税対象となる売却益は200万円となり、特定口座の場合(300万円)と比べて少なくなります。これは、被相続人がNISAで儲けた分(含み益)が非課税で確定しているためです。
📌 ポイント
被相続人がNISAをやっていれば、その分の利益は非課税になります。ただし、相続後の値上がり益には課税されてしまいます。もったいないと感じるなら、相続後すぐに売却して、相続人自身のNISA口座で買い直すか、NISA口座の売却資金で運用し直す方が得策かもしれません。
📝 このセクションのまとめ
- NISA口座の相続では、被相続人の含み益は非課税で確定するため相続人の課税対象が減る
- 相続後の値上がり益には通常通り課税される
- 相続後すぐ売却して相続人のNISA口座で買い直すことも有効な選択肢
特定口座vsNISA口座の相続比較②|値下がりしたケース(要注意)
次に、相続後に株価が値下がりしてしまったケースを見てみましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 購入日 | 2020年7月1日 |
| 購入価格 | 1株1万円×100株 |
| 死亡日 | 2022年8月1日 |
| 死亡日の株価(終値) | 1株5,000円(値下がり) |
| 売却日 | 2024年8月1日 |
| 売却価格 | 1株1万円×100株(元値に戻った) |
| 比較項目 | 特定口座の場合 | NISA口座の場合 |
|---|---|---|
| 相続人の取得価格 | 1株1万円(被相続人から引き継ぎ) | 1株5,000円(死亡時の時価) |
| 売却価格 | 1株1万円 | 1株1万円 |
| 売却益 | 0円(取得価格=売却価格) | 1株5,000円×100株=50万円の利益 |
| 税額 | 0円 | 約10万円 |
⚠️ 注意
被相続人がNISAをやっていた場合、相続後に株価が値下がりした状態で相続し、その後元値に戻っただけで売却しても、相続人には課税が発生してしまいます。被相続人が購入した金額と同じ価格で売却しただけなのに、死亡時の時価(値下がり後の価格)が取得価格となるため、利益が出たとみなされてしまうのです。このケースでは、相続後すぐに売却して相続人のNISA口座で買い直すことが有効な対策になります。
📝 このセクションのまとめ
- NISA口座の相続で株価が値下がりしていた場合、死亡時の低い時価が取得価格になる
- 元値に戻っただけで売却しても利益とみなされ課税される
- このケースでも相続後すぐに売却し、相続人のNISA口座で買い直すことが得策
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
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