NISAは社会保険料の対象外へ!それでも安心できない理由を税理士が解説

NISAは社会保険料の対象外へ!それでも安心できない理由を税理士が解説
e_zeirishi

NISAへの社会保険料適用は見送りへ。しかし特定口座や増税リスクには要注意です。

速報:NISAへの社会保険料適用は「対象外」へ

かねてからSNSなどで「NISAで稼いだ利益にも社会保険料がかけられるのではないか」という噂が飛び交っていました。政府の陰謀だとか、NISAの闇だとか、さまざまな声が上がっていましたが、自民党の社会保障制度調査会「医療・介護保険における金融所得の勘案に関するプロジェクト」の会合(2024年6月18日)において、NISAに対しては社会保険料をかけないという方針・方向性が明確にされました。

この点については、とりあえずご安心いただければと思います。ただし、これだけで完全に安心できるわけではありません。その理由についてもあわせて解説します。

📌 ポイント

2024年6月18日、自民党の会合でNISAの利益には社会保険料をかけないことが方針として示されました。ただし、この方針はNISA口座に限った話であり、特定口座や今後の税制改正の動向には引き続き注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • NISAの利益への社会保険料適用は、自民党の会合で「対象外」と方針が示された
  • 方針が示されたのは2024年6月18日
  • ただし特定口座や増税リスクは別問題として残っている

そもそもNISA(新NISA)とは?基本をおさらい

NISAとは「日本版インディビジュアル・セイビング・アカウント(Individual Savings Account)」の略で、正式名称は少額投資非課税制度です。18歳以上であれば1人1口座持つことができ、このNISA口座の中で株式や投資信託を運用して得られた利益に対しては税金がかかりません。

株式投資をされている方はご存知かと思いますが、証券口座には大きく分けて「一般口座」と「特定口座」があります。

口座の種類税金の計算税金の徴収確定申告
一般口座自分で行う自分で行う必須
特定口座(源泉徴収なし)証券会社が行う自分で行う原則必要
特定口座(源泉徴収あり)証券会社が行う証券会社が行う不要
NISA口座―(非課税)―(非課税)不要

最も一般的なのが特定口座(源泉徴収あり)です。証券会社が税金の計算も徴収も行ってくれるため、投資家は何もしなくてもよく、確定申告も不要です。

📝 このセクションのまとめ

  • NISAは少額投資非課税制度。18歳以上なら1人1口座
  • 証券口座には一般口座・特定口座(源泉徴収なし/あり)・NISA口座がある
  • 特定口座(源泉徴収あり)が最も一般的で確定申告不要

新NISAの枠組みと非課税のしくみ

今年(2024年)から始まった新NISAには、「成長投資枠」「積立投資枠」の2種類があります。昨年までの一般NISAと積立NISAが合体したものと考えるとわかりやすいです。

区分特徴年間投資枠生涯非課税枠
積立投資枠毎月定額をコツコツ積み立て120万円1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
成長投資枠積立不要・一括投資も可240万円
合計360万円

NISA口座で運用した分については、配当であろうが売却益であろうが、いくら儲かっても非課税のため確定申告も不要です。また、以前のNISAでは非課税期間が5年や20年と定められていましたが、新NISAでは非課税期間が無期限となっています。

📌 ポイント

年間360万円の枠をフルに使う必要はありません。1万円からの投資でも、年間10万円の投資でも、枠の範囲内であれば非課税の恩恵を受けられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 新NISAは積立投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の合計年360万円
  • 生涯非課税枠は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
  • 非課税期間は無期限。配当・売却益ともに非課税で確定申告不要

「税金が非課税=社会保険料も対象外」ではない!意外な落とし穴

「NISAは税金の非課税制度なんだから、社会保険料がかかるなんてありえない」と思われる方もいるかもしれません。しかし、実はそうではないのです。税金が非課税であっても社会保険料がかかるものは、身近なところに存在します。

  • 通勤手当:公共交通機関利用の場合、月15万円までは所得税・住民税が非課税。しかし健康保険・厚生年金の算定には通勤手当が含まれる
  • 社宅家賃:社宅に住む従業員は税金非課税だが、一定金額を超える場合は社会保険料の対象になる

つまり、「税金の非課税」と「社会保険料の対象外」は必ずしも連動しているわけではありません。だからこそ、NISAに対して社会保険料がかかる可能性は十分にあり得たのです。今回の方針でNISAが対象外と明記されたことは、その意味で大きな朗報と言えます。

⚠️ 注意

「税金が非課税だから社会保険料もかからない」は誤りです。通勤手当や社宅のように、税金は非課税でも社会保険料の算定対象となるケースは実際に存在します。制度の仕組みをしっかり理解しておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 税金の非課税と社会保険料の対象外は別の概念
  • 通勤手当・社宅など、税金は非課税でも社会保険料の対象になる例がある
  • だからこそNISAへの社会保険料適用は十分あり得た話だった

株式投資と社会保険料:加入者の種類で大きく異なる扱い

NISAは対象外となりましたが、特定口座(源泉徴収あり)における株式投資の社会保険料の扱いは、加入している社会保険の種類によって大きく異なります。

対象者加入保険確定申告しない場合確定申告する場合
会社員・会社経営者健康保険(政府管掌・組合)社会保険料の対象外社会保険料の対象外
個人事業主・フリーランス・年金受給者・後期高齢者国民健康保険社会保険料の対象外社会保険料の対象になる

会社員や会社経営者の場合、毎月の給与・役員報酬によって健康保険料が決まります。株式投資の利益については、確定申告の有無にかかわらず社会保険料の対象外です。

一方、個人事業主・フリーランス・年金受給者などが加入する国民健康保険では、確定申告をした瞬間に株式投資の利益が保険料の算定に含まれてしまいます。

⚠️ 注意

国民健康保険加入者(個人事業主・フリーランス・年金受給者など)が株式投資の利益について確定申告をすると、国民健康保険料が大幅に跳ね上がる場合があります。「確定申告をすれば税制優遇が受けられる」と思って申告したら、保険料が急増してしまったというケースには十分注意が必要です。

確定申告が必要になるケースと注意点

特定口座(源泉徴収あり)であれば基本的に確定申告は不要ですが、以下のような場合は確定申告が必要または有利になります。

  • 配当控除:比較的所得が低い方が受けられる税制優遇。申告することで税負担を軽減できる
  • 複数口座間での損益通算:一方の口座の赤字を、他方の口座の配当・売却益と相殺できる
  • 外国税額控除:外国株の配当にかかった税金の一部を取り戻すことができる

ただし、国民健康保険加入者がこれらの優遇を受けようと確定申告をすると、株式投資の利益が国民健康保険料の算定に含まれ、保険料が大幅に増加するリスクがあります。税制優遇のメリットと保険料増加のデメリットを慎重に比較検討することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 配当控除・損益通算・外国税額控除を受けるには確定申告が必要
  • 国民健康保険加入者は確定申告をすると株式利益が保険料に算入される
  • 税制優遇と保険料増加のトレードオフをしっかり計算することが重要

それでも安心できない理由:不公平問題と増税リスク

NISAへの社会保険料適用は見送られましたが、それでも安心できない理由が2つあります。

①資産運用に関する社会保険料算定の不公平問題

会社員は確定申告の有無にかかわらず株式投資の利益が社会保険料に影響しないのに対し、国民健康保険加入者(個人事業主・フリーランス・年金受給者)は確定申告をした途端に保険料が跳ね上がります。この不公平さは長年指摘されており、政府・与党は2028年までに検討して方向性を決めるとしています。

この「不公平の是正」を名目に、特定口座の株式利益についても社会保険料の対象に拡大される可能性は否定できません。

②増税リスク(総合課税化)

現在、特定口座(源泉徴収あり)では株式の配当・売却益に対して一律20.315%(所得税・住民税合計)の分離課税が適用されています。しかし、前々から議論されているように、これを給与などと合算して課税する総合課税へ移行させる可能性が懸念されます。総合課税になると、所得が高い人ほど税率が上がり、税負担が大幅に増加するリスクがあります。

現行(分離課税)懸念される変更(総合課税)
一律20.315%給与等と合算し、累進税率を適用(最大55%超)
所得水準に関係なく一定所得が高いほど税負担が重くなる
確定申告不要(特定口座源泉徴収あり)原則として確定申告が必要になる可能性

⚠️ 注意

NISAが社会保険料対象外となったことは朗報ですが、特定口座の株式利益に対する社会保険料の拡大や、分離課税から総合課税への移行(増税)リスクは引き続き残っています。政府は2028年を目途に検討を続けるとしており、最新情報を継続的にチェックすることが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社員と国民健康保険加入者の間で、株式利益への社会保険料算定に不公平が存在する
  • 政府は2028年までに不公平の是正に向けた方向性を決める予定
  • 特定口座の利益を総合課税化(増税)するリスクも引き続き懸念される
  • NISAは対象外でも、特定口座への影響拡大の可能性はゼロではない

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

関連記事

株式投資の配当・売却益が社会保険料の対象に?国保加入者が知るべき金融所得と社保の関係
金融所得課税が社会保険料にも波及|税理士が解説する保険料が爆増する人・しない人
株の配当金550万まで所得税ゼロでも国民健康保険料が爆増?税理士が解説する確定申告の落とし穴
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら