役員賞与で毎年140万円手取りを増やす方法を税理士が解説

役員賞与で毎年140万円手取りを増やす方法を税理士が解説
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役員賞与を活用した事前確定届出給与で、社会保険料を年間最大140万円削減できる方法を解説します。

役員賞与と役員報酬の違い

まず、役員賞与と役員報酬がそれぞれどういうものなのかをおさらいしておきましょう。

種類支給タイミング概要
役員賞与不定期いわゆるボーナスに相当するもの
役員報酬毎月一定いわゆるお給料に相当するもの

社員のボーナスと違い、役員賞与は原則として会社の経費(損金)にはなりません。ただし、後述する「事前確定届出給与」というルールを使えば、役員賞与を経費にすることが可能です。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員賞与=不定期支給のボーナス、役員報酬=毎月定額のお給料
  • 役員賞与は原則として経費にならないが、事前確定届出給与を活用すれば経費にできる

事前確定届出給与とは?経費にするための手続き

役員賞与を経費にするためには、事前確定届出給与というルールを使います。これは文字通り、「今期は私にこれだけの賞与を支給する予定です」と事前に税務署へ届け出るものです。届出には支給金額と支給日を記載します。

届出の期限は以下の2つのうち、早い方の日程が締め切りになります。

  • 株主総会の決議の日から1ヶ月以内
  • 決算日から3ヶ月以内(会計期間の開始日から4ヶ月以内)

⚠️ 注意

事前確定届出給与には厳格なルールがあります。支給日が届出と1日でも違ったらNG、支給金額が1円でも違ったらNGです。突発的な事情で支給日に振り込みできなかった場合も、経費にできなくなります。

届出後に金額を変更できるケース

一度届出を提出したら原則として変更はできません。ただし、以下の2つの要件のいずれかを満たす場合は変更が認められます。

  • 職制上の地位の変更:例えば平取締役から代表取締役に変更した場合など、役員賞与の金額を増額することができます
  • 業績悪化による変更:予測不可能な状況で経営が悪化した場合、役員賞与の金額を下げることができます

業績悪化を理由とする変更については、「資金繰りがちょっと厳しそう」というレベルでは認められません。銀行からの借入れが必要になるほど追い詰められた状況など、客観的に説明できる根拠が必要になってきます。

こうした厳しい条件があるため、事前確定届出給与はなかなか活用しきれていない経営者が多いのが実情です。

📝 このセクションのまとめ

  • 届出の期限は「株主総会決議から1ヶ月以内」か「決算日から3ヶ月以内」の早い方
  • 支給日・金額が届出と1円・1日でも違えば経費不可
  • 変更できるのは「職制上の地位変更」か「業績悪化」の2ケースのみ

役員賞与と役員報酬、同額なら税負担は同じ?

同じ金額を受け取る場合、役員賞与と役員報酬で所得税・住民税などの税負担は変わるのでしょうか。

📌 ポイント

年間の受取総額が同じであれば、一気に受け取っても月割りで受け取っても、所得税・住民税の年間税負担は同じになります。ただし、社会保険料については役員賞与で受け取った方が安くなる場合があります。

また、資金繰りの観点からも注意が必要です。役員賞与は大きな金額が一気に会社から出ていきます。数ヶ月前に大きな金額の支給を届け出てしまうよりも、年間の役員報酬を増額して月割りで支給していった方が、資金繰り上は管理しやすいというメリットがあります。

役員報酬の決め方については、会社の法人税負担と個人の住民税・所得税負担のバランス、そして生活費にどれくらい必要かを考えて決めることが大切です。役員賞与と役員報酬を100対0で決めるのではなく、両方をうまく配分して組み合わせるのも一つの戦略です。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税・住民税は役員賞与でも役員報酬でも年間総額が同じなら税負担は同じ
  • 社会保険料は役員賞与で受け取った方が安くなる場合がある
  • 資金繰りの安定性を考えると、月割りの役員報酬の方が管理しやすい面もある

社会保険料の上限(天井)の仕組みと節約効果

社会保険料は会社から役員への支給額におおむね比例して増えていきますが、ずっと比例し続けるわけではありません。上限(天井)が設定されており、賞与や報酬が高額になるとその天井に引っかかり、それ以上は社会保険料が増えなくなります。

社会保険料の計算に使う「標準賞与額」と「標準報酬月額」には、それぞれ以下の上限が設けられています。

区分対象上限額
標準賞与額(役員賞与)健康保険年間累計 573万円
標準賞与額(役員賞与)厚生年金1ヶ月あたり 150万円
標準報酬月額(役員報酬)健康保険・厚生年金報酬月額 135万3千円以上 → 139万円 に設定

つまり、毎月の役員報酬を抑えて役員賞与を高くすることで、役員賞与にかかる社会保険料が上限に引っかかり、役員報酬と役員賞与の年間総支給額が同じでも、お金の渡し方を変えるだけで社会保険料を安くできるケースがあります。

具体的な節約シミュレーション:年間最大140万円の差

実際にどれくらい社会保険料を節約できるのか、2つの事例で見てみましょう。前提条件は以下の通りです。

  • 協会けんぽに加入
  • 東京都在住
  • 40歳以上(介護保険料あり)

【事例①】年間支給額900万円の場合

パターン内訳社会保険料総額
全額役員報酬役員報酬 900万円191万1,972円
役員賞与を活用役員報酬 300万円 + 役員賞与 600万円181万2,387円
差額(節約額)約10万円

年収900万円の場合、役員賞与を活用することで年間約10万円の社会保険料削減が可能です。手間を考えると微妙な金額に感じるかもしれませんが、年収が上がるとその差は大きく広がります。

【事例②】年間支給額1,200万円の場合

パターン内訳社会保険料総額
全額役員報酬役員報酬 月100万円 × 12ヶ月 = 1,200万円(高額)
役員賞与を最大活用役員報酬 月5万円(年60万円)+ 役員賞与 1,140万円(大幅削減)
差額(節約額)約140万円

📌 ポイント

年収1,200万円で役員報酬を月5万円に抑え、残り1,140万円を役員賞与として受け取ることで、全額を役員報酬で受け取る場合と比べて社会保険料を年間約140万円削減できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 年収900万円で役員賞与を活用すると社会保険料が年間約10万円削減
  • 年収1,200万円で役員賞与を最大活用すると年間約140万円削減
  • 年収が高いほど節約効果は大きくなる

役員賞与スキームの注意点・落とし穴6選

役員賞与を活用して社会保険料を削減する方法には、いくつかの重要な注意点があります。メリットだけでなく、以下のリスクも必ず把握しておきましょう。

  • ① 退職金が減る可能性がある
  • ② 死亡リスク(弔慰金が減る)
  • ③ 資金繰りへの圧迫
  • ④ 毎月の生活費が厳しくなる可能性
  • ⑤ 年金事務所への説明が求められる可能性
  • ⑥ 不相当に高額な賞与として否認されるリスク

それぞれ詳しく見ていきましょう。

① 退職金が減る可能性

役員退職金の税務上認められる計算式として一般的なのが功績倍率法です。この計算式は「最終の報酬月額」を基準として計算します。そのため、退職前に役員報酬を極端に抑えていると、退職金の計算額が低くなってしまいます。

個人としては退職金の額が少なくなり、会社としても本来は大きな経費を作れる良いタイミングなのに金額が減ってしまうという、双方にとって不利な結果になります。近いうちに退職の予定がある場合は、徐々に役員報酬額を増やしておく必要があります。

なお、前期の役員報酬が月額10万円で今期から100万円に増額した場合でも、業績の回復や資金繰りの安定など合理的な理由があれば、100万円をベースに退職金を計算しても問題ないと考えられます。

② 死亡リスク(弔慰金が減る)

事前確定届出給与で定めた支給日前に役員が亡くなってしまった場合、ご遺族はその支給予定だった賞与を受け取ることができません。また、弔慰金の額も少なくなる可能性があります。

弔慰金とは、亡くなった方のご家族を慰める趣旨で会社から支給するもので、受け取る側のご遺族にとっては相続税の対象外、支給する会社側にとっては経費になります。業務外の死亡の場合、弔慰金の適正額は普通給与の6ヶ月分が相当とされています。役員報酬を極端に減らしていると、この弔慰金の額も少なくなり、残されたご家族に渡せるお金が少なくなってしまいます。

③ 資金繰りへの圧迫

ビジネスの先行きは分かりません。思うように利益が上がらなかった場合でも、届出通りの金額・日程で役員賞与を支給しなければ経費にできません。役員賞与の金額を大きく設定しすぎると、業績が悪化した際に資金繰りを圧迫する原因になります。

④ 毎月の生活費が厳しくなる可能性

月々の役員報酬を極端に低くすると、日々の生活費が足りなくなる場合があります。

⚠️ 注意

生活費が足りなくなったからといって、役員賞与の支給日前に賞与から先取りすることは絶対にNGです。そのような行為が行われた場合は否認され、経費に計上できなくなります。会社からの貸付を受けることは可能ですが、その場合は必ず会社との間で契約書を作成し、適正な利息も計上してください。

⑤ 年金事務所への説明が求められる可能性

年金事務所から調査が入った際に、極端な支払い方をしている合理的な理由を説明できる必要があります。「社会保険料削減のため」という理由は当然認められません。例えば「業績の見通しが立てにくく赤字にならないように月の役員報酬をできるだけ低く設定している」といった、合理的な経営上の理由を用意しておく必要があります。

⑥ 不相当に高額な賞与として否認されるリスク

役員賞与が「不相当に高額」と認定されると、適正額を超える部分が経費に計上できなくなります。いくらまでならOKという明確な金額基準はなく、以下の要素を総合的に判断されます。

  • 役員の職務内容
  • 会社の利益状況
  • 同業他社が支給している役員賞与の額

よほど極端な金額設定にしていなければ基本的には問題ありませんが、このリスクも頭の片隅に入れておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職前に役員報酬を極端に下げると、功績倍率法で計算する退職金も減ってしまう
  • 役員が死亡した場合、弔慰金(相続税非課税)も報酬月額を基準に計算されるため減額リスクがある
  • 生活費不足を補うための賞与の先取りはNG。貸付の場合は契約書と利息が必要
  • 年金事務所調査に備え、低報酬設定の合理的な経営上の理由を用意しておく
  • 不相当に高額な賞与は否認リスクあり。職務内容・利益状況・同業他社水準で判断される

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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