節税対策

役員社宅節税を税理士が解説|社長の手取りを増やす仕組みと適正家賃の計算方法

役員社宅節税を税理士が解説|社長の手取りを増やす仕組みと適正家賃の計算方法
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住居費をそのまま個人で払い続けるのは損。役員社宅制度を活用すれば、会社の経費を増やしながら社長の実質的な手取りも増やせます。

役員社宅制度とは?仕組みをわかりやすく解説

生活している以上、どうしても避けられない出費の一つに住まいに関する出費があります。どうせ支払うなら節税に繋げたいと考えているなら、非常に良い発想です。今回ご紹介する役員社宅制度を活用すると、会社の節税になるだけではなく、社長の実質的な手取りを増やすことができると言われています。

役員社宅は、その名の通り役員が利用する社宅制度です。手順は以下のとおりです。

  1. 役員の住む物件を会社名義で借り、会社が大家さんに家賃を支払う
  2. その物件を社宅として役員に貸し出す
  3. 役員から会社が設定した家賃相当額を受け取る

この流れにより、会社が支払う家賃と役員から徴収する家賃相当額の差額が会社の経費(損金)になります。社宅制度を導入すれば、社長を含めた役員の家賃負担を抑えることができ、福利厚生として役員のモチベーション向上にも繋がります。

📌 役員社宅として認められる3つの要件

  • 賃貸契約が法人名義であること
  • 大家さんへの家賃の支払いを法人が直接行うこと
  • 役員本人が家賃の一部を自己負担すること

⚠️ 注意

役員個人の名義で契約してしまうと、会社側の家賃負担分は住宅手当扱いとなり、給与として課税されてしまいます。また、個人名義での支払いは経費自体が否認される恐れもあります。契約・支払いを個人で行うと、この制度のメリットが完全になくなってしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社が物件を借りて役員に貸し出す仕組みが役員社宅制度
  • 会社負担分の差額が全額損金になる
  • 契約・支払いは必ず法人名義で行うこと

役員社宅の3つのメリット

役員社宅制度には、大きく分けて以下の3つのメリットがあります。

メリット内容
① 会社負担分が全額損金会社が支払う家賃と役員から徴収する家賃相当額の差額をすべて経費にできる
② 社長の手取りが増える役員報酬を実質的に下げることで所得税・住民税の負担が減る
③ 社会保険料の負担が減る役員報酬の月額が下がることで会社・役員双方の社会保険料が減少する

メリット①:会社負担分が全額損金になる

会社が大家さんに支払う家賃と、役員から徴収する家賃相当額の差額、つまり会社の負担分をすべて損金にすることができます。

詳しい計算は後述しますが、元々の家賃の少なくとも50%は損金にできるとお考えください。例えば家賃が月30万円だった場合、15万円が損金になります。年間にすると180万円が会社の経費になる計算です。家賃は毎月発生するものなので、積み重なるとその効果はかなり大きなものになります。

📌 住宅手当との違い

いわゆる「住宅手当」はお給料と同じく見られてしまい、所得税の課税対象になります。その結果、所得税・住民税・社会保険料がすべて上がってしまいます。一方、役員社宅制度を正しく活用すれば、これらの負担を大幅に抑えることができます。住宅手当よりも役員社宅の方が圧倒的にお得です。

メリット②:社長の手取りが増える

役員社宅制度を導入することで、役員が個人で負担する税金などの負担を減らし、実質的な手取りを増やすことが可能になります。イメージをつかんでいただくために、かなり単純化した例で説明します。

項目役員社宅なし役員社宅あり(家賃の50%を会社負担)
役員報酬(月額)100万円85万円(会社負担15万円分を天引き)
家賃(月額)個人で30万円を全額負担個人負担は15万円(残り15万円は会社負担)
所得税・住民税100万円に対して課税85万円に対して課税(負担減)
実質的な手取り少ない増える

一見、報酬が15万円減って損したような感じもするかもしれません。しかし実際には、会社が負担する家賃分15万円を役員報酬から差し引くことで役員報酬を月85万円に減額でき、役員個人にかかる税金の負担も減ります。結果として、自由に使えるお金は増えるということになります。

メリット③:社会保険料の負担が減る

社会保険料は標準月額報酬から算出されます。給与や報酬を低く抑えると、社会保険料も安くなる仕組みになっています。先ほど見てきたように、会社負担の家賃分を役員報酬から引き下げることができるので、社会保険料も下がっていきます。

社会保険料は会社と役員で折半になっているため、会社と役員の双方に社会保険料の負担を減らすというメリットがあります。この負担はかなり重いものなので、経営者にとって非常にありがたい効果です。

📝 このセクションのまとめ

  • 家賃の少なくとも50%を会社の損金にできる(家賃30万円なら年間180万円の経費)
  • 役員報酬を実質的に下げることで所得税・住民税の負担が軽減される
  • 社会保険料も会社・役員の双方で負担が減る
  • 住宅手当は給与扱いとなるため、役員社宅の方が圧倒的にお得

駐車場代・光熱費は会社の経費になるのか?

社宅に付属するマンションの駐車場を契約することもあると思いますが、駐車場代は原則として会社の経費になりません

役員社宅制度の対象になるのは、あくまでも「住宅」です。駐車場は住宅に該当しないため、社宅の契約書に駐車場代が別記されている場合、その駐車場代については会社で一旦支払っても全額を個人から回収する必要があります。そうしないと、給与として課税されてしまいます。

⚠️ 自己負担が必要な費用

  • 駐車場代:社宅の対象外。会社が支払っても全額個人から回収が必要
  • 光熱費(水道・ガス・電気):役員本人の負担。会社が負担すると給与とみなされ、追加で所得税が課税される

📝 このセクションのまとめ

  • 駐車場代は役員社宅制度の対象外。会社負担にすると給与課税される
  • 光熱費(水道・ガス・電気)も役員本人の自己負担が必要

導入時のその他の注意点

役員社宅制度を導入する際には、以下の点にも注意が必要です。

  • 初期費用の資金繰り:導入時には敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用が発生します。これらの費用が資金繰りを圧迫しないか、無理なく支払えるかを確認する必要があります。
  • 社内規定の整備:税務調査で指摘されないためにも、社宅に関する社内ルール・規定を定めておく必要があります。すでに従業員向けの社宅制度がある場合でも、役員向けに別途作成することをお勧めします。役員と一般の従業員では取り扱いが異なるためです。
  • 住宅ローン控除の対象外:社宅として会社で物件を購入する場合は、住宅ローン控除は適用されません。この点はご注意ください。

📌 社内規定に定めておくべき内容(例)

  • 役員の家賃の負担割合
  • 諸費用の支払い方法
  • 役員と一般従業員の取り扱いの違い

役員はいくら負担すればいい?適正家賃の計算方法

役員が会社に支払うべき適正な家賃は、床面積などをもとに住宅の種類を3つに区分して計算されます。

住宅の種類条件役員の負担割合の目安
① 小規模な住宅鉄筋造:床面積99㎡以下
木造:床面積132㎡以下
計算式により算出(50%以下になることが多い)
② 小規模でない住宅(賃貸)上記①に該当しない賃貸物件家賃の50%を負担することが多い
③ 豪華な住宅床面積240㎡超、賃料が非常に高い、内外装が豪華、プール等がある など社宅制度が適用されず全額自己負担

一般的にはほとんどの住宅が①小規模な住宅に該当します。「小規模」という名称ですが、鉄筋造で99㎡以下というのは3LDK〜4LDK以上の広さになるので、ファミリータイプのマンションでも対応できるケースが多いです。なお、マンションの場合は共有部分の面積を按分して専有部分に加えて考える必要がある点に注意してください。

小規模な住宅の適正家賃の計算式

小規模な住宅における役員から徴収すべき家賃相当額は、以下の計算式で求められます。

計算項目計算式
建物分①その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
建物分②12円 × (その建物の床面積 ÷ 3.3㎡
土地分その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%
家賃相当額(合計)建物分① + 建物分② + 土地分

この計算式にある固定資産税の課税標準額とは、固定資産税を算出するときに課税対象となる金額のことです。確認方法は以下の2つです。

  • 不動産管理会社や大家さん(所有者)に確認する
  • 市区町村の固定資産税を取り扱う部署に行き、固定資産税評価証明書(公課証明書)を取得する

📌 小規模住宅の計算がお得な理由

この計算式を使うと、役員の負担割合が家賃の50%よりも少なくなることがほとんどです。つまり、会社が負担できる割合が大きくなり、節税効果が高くなります。役員社宅を検討するなら、まずこの小規模住宅に該当する物件で考えるのが最も効果的です。

一方、③豪華な住宅と判断されてしまうと、社宅制度自体が適用されず家賃全額が役員の負担となるため節税効果はゼロになります。豪華住宅の明確な定義はなく個別ケースごとの判断になりますが、床面積が240㎡を超えていて賃料が非常に高い場合や、内装・外装が豪華な場合、プールなど個人的な嗜好が反映された設備がある場合などは豪華住宅とみなされる可能性があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 住宅は「小規模」「小規模でない」「豪華」の3種類に区分される
  • 小規模住宅(鉄筋99㎡以下・木造132㎡以下)は計算式を使うと役員負担が50%以下になることが多く、最も節税効果が高い
  • 小規模でない住宅(賃貸)は家賃の50%負担が目安
  • 豪華住宅は社宅制度が適用されず、節税効果はゼロ
  • 固定資産税の課税標準額は不動産管理会社や市区町村窓口で確認できる

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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