役員報酬を配当金で受け取る節税ノウハウを税理士が解説
役員報酬を配当金に切り替えると、社会保険料30%の負担をゼロにできる可能性があります。
役員報酬を上げても手取りが増えない理由
役員報酬、もう少し上げたいと思うんですけど、結局税金と社会保険料でごっそり持っていかれちゃって、手取りがなんか思ったより全然増えないんですよ。
確かに。役員報酬って上げれば上げるほど所得税とか社会保険料も高くなるんで、手取りが増えなくなっちゃうってのはやっぱり悩ましいですよね。

そうなんですよ。特にこの社会保険料ですよね。あれ、やっぱり会社負担と個人負担合わせると実質給料の30%ぐらい持っていかれるみたいな感じになっちゃうんで。
うん、うん、うん。

ちょっと何のために働いてるのか……って感じですよね。
確かに。ただ、実はその悩みを解決する方法として、会社からの報酬の一部を役員報酬ではなく配当金で受け取るという選択肢があるんです。

配当金ですか?うちみたいな中小企業でもそんなことできるんですか?
もちろんです。国内の多くの中小企業というのは、経営者と株主が同じ、いわゆる同族会社なんですよ。

役員報酬じゃなくて配当金でもらう……でも、それって得なんですか?なんか税金が確か高かったようなイメージだったんですけど。
いい質問ですね。一概に得とは言いきれないんですけど、役員報酬と配当金の受け取り方を工夫すると、トータルの手残りが増えるケースというのが、結構あったりするんです。

そうなんですか。ちょっと詳しく教えてください。
はい。では今回は、役員報酬と配当、どっちでもらうのがお得なのかについて見ていきます。

配当金で受け取るメリット①:社会保険料の算定対象外になる
早速なんですけど、配当でもらうとどんなメリットがあるんですか?
役員報酬の代わりに配当で受け取るメリットというのは大きく2つあります。まず最大のメリットは、報酬が社会保険料の算定対象外になるということですね。
社会保険料はここ最近ずっと上がり続けていまして、現在は給与の約30%の金額を会社と従業員で折半して負担しています。折半と言っても、オーナー社長からすると30%まるまる負担しているみたいな感じなんで、これはきついですよね。

そうなんです。
社会保険料というのはあくまで役員報酬、つまり給与の金額に基づいて決まります。役員報酬が高くなれば当然社会保険料も上限まで上がっていきますよね。

そうですよね。
オーナー社長からすると会社負担分も実質ご自身の負担ですから、約30%というのは本当に重いコストです。
一方で配当金は給与ではなく、あくまで株主への利益の分配です。ですから、いくら配当金を受け取っても社会保険料の計算には一切影響がありません。

それはでかいですね。これ結構でかいメリットですよね。
そうなんです。2025年以降は団塊の世代の方々が後期高齢者になるという影響で、社会保障費用がさらに増えるとも言われています。今後ますます社会保険料の負担が増していくという可能性を考えると、このメリットというのは非常に価値が高いですよね。

なるほど。社会保険料がゼロっていうのは魅力的ですね。でもやっぱり税金が高いんじゃないですか?配当って。
- 役員報酬(給与):社会保険料の算定対象 → 給与の約30%が負担
- 配当金:社会保険料の算定対象外 → いくら受け取っても社会保険料は増えない
配当金で受け取るメリット②:配当控除で税負担を軽減できる
そこが2つ目のメリットにつながってきます。配当には配当控除の仕組みがあります。

配当控除ですか?これはどんなものなんですか?
配当の話に入る前に、配当にかかる税金の取り扱いについて見ていきます。この話は少し難しいので、ゆっくりと理解していただければオッケーです。
上場していない会社の配当金を受け取る場合、所得税は税率20.42%で源泉徴収されます。その後、基本的には複数の所得と合算して計算する総合課税という仕組みで課税されて、確定申告をする必要があります。ただし、年10万円以下の少額配当に該当する場合は、所得税のみですが申告不要を選択することもできます。

続いて配当控除について解説します。会社が配当金を支払う場合、そのお金はどこから出てくると思いますか?

それ、会社の利益からですよね。
おっしゃる通りです。もっと言うと、法人税などすべての税金を支払った後の残った利益から出すんです。

税引き後利益からですよね。
そうです。その配当金を受け取った個人がさらに所得税を徴収されたとしたらどう思いますか?

会社で法人税払って残ったお金をもらったら、今度はまた個人で所得税払うことになるっていうことで……まあ、二重課税みたいな感じですよね。ちょっとふざけてますよね。
そうなんですよ。で、この二重課税を調整するために設けられているのが配当控除なんです。ただし、少額配当で申告不要を選択した場合は配当控除を受けることができません。

なるほど。二重課税を調整するためのものということなんですね。どれぐらい控除されるんですか?
配当控除は、配当を受ける個人に課税される総所得金額によって変わってきます。課税所得金額が1,000万円までの場合、所得税については配当所得の10%、住民税については配当所得の2.8%が受けられます。そして、これは税額控除なので、算出された税額から直接差し引かれることになります。

ってことは、配当で例えば100万円受け取った場合どうなるんですか?
仮に配当金100万円以外に所得がないとすると、所得税額は約3万円なんですけど、所得税の配当控除が10万円となり、これを差し引くことができるので、最終的に負担する所得税は0円ということになります。

ええ、そうなんですか。
一方、課税所得金額が1,000万円を超えた部分については、控除の割合がそれぞれ半分になってしまいます。細かい計算式は省略するんですけど、高額の役員報酬をもらっている場合、配当を出すと税負担が増えてしまうという点はご了承ください。

- 課税所得1,000万円以下:所得税10% + 住民税2.8%
- 課税所得1,000万円超の部分:控除率がそれぞれ半分に縮小
- 少額配当(年10万円以下)で申告不要を選択した場合:配当控除は適用不可
配当金で受け取るデメリット:法人税・給与所得控除・確定申告
ここまで聞くといいことばかりのように聞こえるんですけど、無視できないデメリットもやっぱり存在しますよね?
それぞれ詳しく解説していきますね。

お願いします。
まず、配当金は法人税の計算上、損金として認められません。

どういうことですか?これは、会社からお金を出しても経費にならないってことなんですか?
そうなんですよ。そこが役員報酬との決定的な違いです。役員報酬は毎月同額など、そういった要件を満たせば全額会社の経費・損金になりますよね。

はい。
役員報酬は年間で数百万円から数千万円になるのが一般的なので、役員報酬が損金に算入できるということは、法人税の節税を考える上で大きなメリットになります。

確かに、当たり前に経費にしてますけど、自分に報酬出すだけで会社の利益を大きく減らせるっていうのは大きいですよね。
そうなんです。でも配当金はあくまで株主への利益の分配という位置づけです。ですから、いくら社長個人に配当金を出したとしても会社の経費にはならず、法人税の税負担は1円も変わらないんです。

なるほど。それちょっと痛いですよね。法人税をがっつり払った後の利益からさらに税金引かれて配当もらうイメージってことですか?
そうなんです。なので、法人税を減らすという点では配当より役員報酬で支払うのがお得になってきます。

2つ目は、役員報酬なら使える給与所得控除が使えなくなってしまうことです。給与所得控除は給与に対して適用されるもので、最大で年間195万円の控除を受けることができます。例えば役員報酬を年間300万円に設定していた場合は98万円の控除を受けることができます。これはかなり大きな控除ですよね。

はい。
配当のみで報酬を受け取った場合、配当金は給与所得でないことから、給与所得控除は適用されません。これもちょっと痛いですよね。

3つ目として、役員報酬の場合は基本的には年末調整で申告が完了するので確定申告は不要ですが、配当の場合は原則10万円以上であれば確定申告をしなくてはいけません。また、少額配当の場合でも配当控除を適用させたい場合は確定申告が必要になるので気をつけてください。これもちょっと地味に手間かかりますね。

なんかよくわからなくなってきました。メリットもあるんですけどデメリットも結構でかいんで、結局どっちが得なんですか?
- 配当金は損金にならないため、法人税の節税効果がない
- 給与所得控除(最大195万円)が適用されない
- 原則として確定申告が必要になる(手間が増える)
役員報酬と配当金を比較整理:どちらが有利か
一旦落ち着いてください。ちょっと整理してみましょうか。

| 項目 | 役員報酬 | 配当金 |
|---|---|---|
| 法人税 | 損金算入できる(節税効果あり) | 損金にならない(節税効果なし) |
| 所得税 | 課税対象(給与所得控除あり) | 課税対象(配当控除あり・収入による) |
| 社会保険料 | 算定対象(給与の約30%) | 算定対象外(影響ゼロ) |
| 確定申告 | 原則不要(年末調整で完結) | 原則必要(10万円以上) |
法人税に関しては役員報酬、社会保険料に関しては配当の方が有利で、所得税については収入による……って感じですかね。
はい。配当と役員報酬、それぞれのメリットとデメリットがあるので、それらを考慮して受け取るバランスを決めていくというのがおすすめです。
ただ、社会保険料の負担が上がっている昨今、配当をうまく活用することで法人税の負担が増えることを加味したとしても、トータルで負担を減らせる可能性はあります。

具体的な試算:年間50万円手残りが増えるケース
特に、法人税の実効税率は中小企業で所得が800万円以下であればざっくり20〜25%程度です。一方、社会保険料はというと給与の約30%です。この場合だと、法人税より社会保険料の方が高いわけですよね。

はい。
これはイメージをつかんでいただくためのざっくりした計算ではあるんですが、法人で出た利益を全て年間720万円の役員報酬として出す場合と、役員報酬を月6万円ほどに抑えて残りを配当として出す形とでは、後者の方が年間で50万円ほど手残りが増える計算になります。

そういうことなんですね。社会保険料の負担を考えてトータルで手残りを増やすことを考えるのであれば、こういう方法もあるってことですね。
はい。

- 中小企業の法人税実効税率(所得800万円以下):約20〜25%
- 社会保険料の負担率:給与の約30%
- 役員報酬720万円をすべて給与で受け取る場合より、月6万円+残りを配当にする形の方が年間約50万円手残りが増える試算
配当を活用する際の注意点:純資産300万円ルール
配当を使う場合に注意することって何かありますか?
株式会社で純資産額が300万円を下回る場合、剰余金があったとしても配当することができません。また、配当の結果、純資産が300万円未満となるような配当も認められていません。

じゃあ、今は資本金1円でも会社が作れますけど、これは注意が必要ってことですね。
そうですね。ちなみに、合同会社の場合は純資産300万円以下でも大丈夫です。

なるほど。これは一応覚えておきたいですね。
- 株式会社:純資産額が300万円未満の場合は配当不可
- 株式会社:配当後に純資産が300万円を下回る場合も配当不可
- 合同会社:純資産300万円以下でも配当可能
- 配当金は社会保険料の算定対象外なので、給与30%の負担を回避できる
- 配当控除により、課税所得1,000万円以下なら所得税10%・住民税2.8%が税額から直接差し引かれる
- 一方で、配当は損金にならず法人税の節税にはならない点・給与所得控除が使えない点・確定申告が必要な点はデメリット
- 役員報酬と配当のバランスを最適化することで、年間50万円程度の手残り増加も試算上は可能
- 株式会社は純資産300万円未満だと配当不可なので注意
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛ch の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛chを応援しています!
関連記事
医師・医療法人の節税はMS法人活用が鍵|税理士が解説する仕組みと注意点
会社のお金を私用で使ったら税金がかかる|役員貸付金の税務リスクを税理士が解説
節税しながら退職金を貯める方法6選!法人・個人事業主向けに税理士が解説
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
