相続・贈与

親の預金の引き出しはOK?アウト?税理士が相続トラブルを解説

親の預金の引き出しはOK?アウト?税理士が相続トラブルを解説
e_zeirishi

親の預金引き出し、よかれと思ってやったことが大きなトラブルに発展するケースが多発しています。

親の預金引き出し、OKな場合とアウトな場合がある

今日は親の預金についてちょっと聞きたいなと思いまして、親が亡くなった後、とりあえず親の預金を引き出しておくっていうのはよくある話かなと思うんですけど、ただこれが原因で色々トラブルがあるっていうのを風の噂で聞きまして、これってどういうことなんだろうと思って、その辺りの話を是非お願いしたいです。

分かりました。ありがとうございます。この親の預金の引き出しなんですけれども、OKな場合と完全にアウトな場合があります。

よかれと思って引き出したんですけれども、それが原因で大きなトラブルになってしまうこと、実は非常によく起きていますので、今日はその辺り徹底解説させていただこうと思います。

早速なんですけど、OKな場合はどういうパターンなんですか?

パターンで分けて考えていく必要がありましてですね、実際の現場では亡くなってしまう直前に引き出す方、病院で寝たきりになってしまっても今夜が山場かもしれないという状態で急いでATMに行って50万ずつ亡くなる前に引き出す方と、亡くなった後に葬儀代金が必要だということでATMに行って50万ずつ引き出す方と、前後で分けて考えていく必要があります。

亡くなる前・後の引き出しがOKになる条件

基本的にはですね、亡くなってしまったその本人が同意をしていればお金を引き出しても何の問題もありません。

例えばご両親が「私の預金通帳から50万ずつATMで引き出してもいいからね」ということを娘さんに言っていて、娘さんがATMから50万ずつ引き出して現金にしておく。これは本人の同意に基づいてるので全く問題ありません。

そして亡くなった後、ここも基本的には亡くなると預金口座というのは凍結されて誰も引き出すことができなくなるんですけれども、銀行に言わない限りは凍結されないんですね。

なので役所に死亡届を出したら自動的に銀行口座がストップするといったことは今のところなくて、銀行にそのことを言わなければ、ATMでキャッシュカードと暗証番号が分かれば引き出すことができます。

で、これがダメなことなのかっていうと、相続人全員が同意をしていればとりあえずOKです。倫理的にどうなのっていうのはあるかもしれないんですけれども、みんな同意の上で現金にしておくっていうのも、それはみんなの合意のもとやってることなんで、それは大丈夫なんですね。

ということで、まず前と後、それぞれ同意があれば基本的にはOKと置いといてください。

✅ ポイントまとめ

  • 亡くなる前の引き出し → 本人の同意があればOK
  • 亡くなった後の引き出し → 相続人全員の同意があればOK
  • 銀行に連絡しない限り口座は自動凍結されない

【アウト①】亡くなる前の引き出しで相続税の計算ミスが多発

今のはOKな場合だと思うんですけど、逆に絶対にアウトな場合っていうのはどんな時なんですか?

アウトな場合、実はたくさんあります。まず亡くなる前に引き出した場合から見ていきましょう。亡くなる前に引き出した場合というのはかなり気をつけなくちゃいけなくてですね、相続税の計算の仕方にポイントがあります。

例えばですね、お父さんが元々1,000万円普通預金にお金が入っていました。お父さんだいぶ体調悪くなっていって、もう長くないかもしれない。で、娘さんがちょっと焦りましてですね、このままだと口座凍結されちゃう、そしたら葬儀代金払えなくなっちゃう、なんでATMで急いで200万円引き出したとします。その時点の口座っていくらになりますか?

800万円。

800万円になりますよね。この状態でお父さん亡くなりました。そしてその後ですね、ご葬儀代が200万円実際かかったと。最初から引き出してるこの200万円で葬儀代をお支払いしました。これ一般的な流れなんですけれども、相続税の計算をする時にどういう計算をしなくちゃいけないか

相続税の計算は、亡くなった時の財産からお葬式代は引いていいんですね。差額の残ってる部分に相続税がかかっていくんですけど、実際計算してみましょうか。元々1,000万あって葬儀代がかかってるわけだから、800万が相続税の対象になる。これが正解なんですよ。

なんですけど、預金通帳の残高証明書取ってみました。いくらになってますか?

引き出されてるはずなので800万円。

そうですよね。亡くなった日における預金通帳の残高証明書を取り寄せるんですよ。そうすると預金通帳は800万円って書かれてるはずなんですよね。

で、ここでやっちゃいがちなのが、相続税の申告書を作りましょうね、預金残高を記載するときに預金800万円と書くんですよ。それで葬儀の領収書は、葬儀代かかったよね、マイナス200万円で申告したんですね。なんか足りなくないですか?

預金800万円と葬儀代マイナス200万円で申告しちゃうと、差額600万円になっちゃうんですよね。

で、ここでやっちゃいがちなミスっていうのは、亡くなる前にお金を200万引き出してるとしたらですよ、亡くなったその瞬間においては現金で200万あったって話になるんですよ。

💡 正しい相続税の計算

預金残高800万円 + 現金200万円 = 1,000万円
1,000万円 − 葬式代200万円 = 800万円(課税対象)

預金残高が800万と現金200万、これで1,000万。そこから葬式代マイナス200万をして800万。これが正しいんですけれども、やっちゃいがちなのは預金残高800万、葬儀代引いて600万円で申告しちゃう。

⚠️ よくある間違い

預金残高800万円 − 葬式代200万円 = 600万円で申告 → 200万円の申告漏れ!

これやっちゃうと税務署の人が飛んできて、「亡くなる前に200万引き出してますよね」と。「これどこ行っちゃったんですか」という話になって、亡くなる前に葬儀代払う人いないわけなんで、てことはこれ亡くなったその瞬間には現金としてあったはずですよね。

現金が相続税の計算に含まれていないんで、相続税の計算やり直してくださいねって話になっちゃうんです。

これ知らないと結構やっちゃいそうですね。

これ結構やっちゃうんですよ。感覚としてはその200万円も払い終わってるんで、200万があるっていう感覚にはなれないんですよね。

そうですね。

相続税の申告書を作る段階では、なので私たち税理士が申告する際っていうのは、亡くなる直前の現金引き出しっていうのは1円単位で全部集計していって、葬儀の準備のために引き出す方もいれば、医療費とかそういう細かい生活費のために使ってる方もいて、亡くなる前に実際に使っているんだったらそれは本当になくなってるわけなんで、そこは申告しなくていいんですけど、そこをしっかり詰めて計算する必要があるので、亡くなる直前の引き出し、ここは相続税の計算に気をつけなくちゃいけません

✅ ポイントまとめ

  • 亡くなる前に引き出した現金は、亡くなった瞬間の財産として計上が必要
  • 預金残高証明書だけで申告すると申告漏れになる
  • 税理士は直前の引き出しを1円単位で集計して計算する

【アウト②】亡くなった後の引き出しで相続放棄ができなくなる

他にもアウトな場合ってありますか?

今度は亡くなった後に引き出した場合を見ていきましょうか。実際に亡くなってしまいました。その後に凍結される前に引き出すという方もたくさんいらっしゃるんですけれども、さっきの相続税の観点で言うと、亡くなった日における残高が残高証明書として出てくるので、亡くなった後に引き出す分には特段実は問題はないんですね。

相続税の計算上はなんですけど、ここで問題になるのはですね、相続放棄ができなくなる可能性がある

亡くなってしまった方が例えば借金がたくさんあるというようなケース。亡くなったことを知った日から3ヶ月以内であれば相続人は相続放棄、借金相続したくありませんっていう手続きができるんですけれども、これルールがあって、相続放棄をする方は亡くなった方の遺産を1円でも使っちゃいけないと、そういうルールがあるんです。1円でも使うとその人は相続放棄ができなくなります。

⚠️ 注意:相続放棄ができなくなる行為

  • 亡くなった方の預金を1円でも引き出して使う
  • 亡くなった方の遺品を勝手に売る
  • 亡くなった方の家がボロボロだからと取り壊す

なのでそのルールを知らずに亡くなってしまったと。とりあえずお父さんのATMからお金下ろして当面の生活費に充てましょうかね、みたいなことをしてしまうと、その人はもう相続放棄できないんですよ。1円でも使っちゃいけないですし、亡くなった人の遺品を勝手に売ったりしてもダメですし、家ボロボロだから取り壊そうかな、これもダメです。

資産に触れちゃいけないんですね。

基本触れないとダメですね。ただ例外があってですね、亡くなった方のご葬儀のために使うお金であれば特別にそれは相続放棄も認めるよっていう裁判例はあります。あくまで裁判例って絶対じゃないので、実際この事案って裁判まで発展してるっていうところに逆に注目していただきたくて、それくらい結構厳密にやっていくんですよね。

✅ ポイントまとめ

  • 亡くなった後に遺産を1円でも使うと相続放棄ができなくなる
  • 葬儀費用は例外として認められた裁判例があるが、絶対ではない
  • 相続放棄を検討している場合は遺産にノータッチが原則

【アウト③】勝手な引き出しは「猫ばば」疑惑でトラブルに

であとはですね、亡くなった後に引き出していってですね、言葉選ばずに言うと猫ばばのような疑いが起きてしまうことも多いんです。

特定の相続人が勝手に引き出して自分のために隠しちゃうと、返してくれないといったことでトラブルになるケースも実は結構多いんですよね。なんであくまで相続人全員が同意をしていて、相続放棄もする予定がないよっていった方については、みんな同意の上でそうしていただく分にはいいかと思います。

確かに円満相続しないといけないですね。

そうですね。円満が大事でございます。

✅ ポイントまとめ

  • 相続人の同意なく引き出すと使い込み・隠匿の疑いでトラブルになる
  • 引き出す場合は必ず相続人全員の同意を得ること

口座凍結の仕組みと注意点

ちょっと話戻るんですけど、口座の凍結の話あったじゃないですか。凍結って自分自身まだ1回もされたことなくて、どんな感じになっちゃうのかな。キャッシュカード入れても反応しませんみたいな、そういう感じなのかなと思うんですけど。

亡くなったということを銀行さんとか証券会社さんに言うと、その口座は凍結されて引き出せないのは当然なんですけれども、これ入金もできなくなるっていうのは結構大変で、不動産賃貸業とかされている方で家賃を口座に直接入金してもらってるような人だと、その入金までできなくなるんで、住んでる人たちがお家賃払えないとどうなってんだみたいなことになっちゃうので、不動産賃貸とかされてる方はその点注意してですね。

あと凍結を解除するためには相続人全員の同意が必要になっていきます。なのでみんなで印鑑証明書も出さなくちゃいけないことになるので、仲の悪い家族だと凍結がなかなか解除できなくて生活に困っちゃうということもあり得ます。

で、今ですね、新しくできた制度で、この1つの金融機関につき最大150万円までは引き出せるっていうですね、制度は始まっているんですけれども、この制度使うためにも必要書類揃えたりするの大変で、銀行さんでの審査も2〜3週間ぐらいかかっちゃうので、本当に緊急でお金が必要だっていった方にはちょっと向かない制度かもしれないですね。

それを避けるために口座をいくつか持っとくとか、そういう人もやっぱいるんですかね。

ただ凍結ってなんで必要なのかっていったところを考えていくと、特定のご家族が使い込んじゃうっていうケースが世の中にはすごく多かったもんで、遠方に暮らしてる方とかだとストップすることができなくて困っちゃうから、使い込みされないように「父親亡くなったんで凍結してください」という趣旨のものでもあるので。

✅ ポイントまとめ

  • 口座凍結されると出金だけでなく入金もできなくなる
  • 凍結解除には相続人全員の同意と印鑑証明書が必要
  • 仮払い制度で1金融機関あたり最大150万円まで引き出せるが、審査に2〜3週間かかる
  • 凍結制度は使い込み防止のための仕組みでもある

親の預金引き出しに関する注意点まとめ

ご両親に相続が発生した、もしくは発生してしまいそうだといった方についてですね、ご預金の引き出しについてなんですけれども、生前中の引き出しについては本人の同意の上であればOKです。

そして亡くなった後の引き出しも、凍結するのが本来なんですけれども、相続人全員が同意をしていて何もトラブルがなさそうであれば、ちゃんと管理ができればOKです。

ですが亡くなる前に引き出す時には相続税の計算に注意をしてください。亡くなる前に葬儀の準備金として引き出してるとしたら、それは現金が亡くなった瞬間にはありますので、ここの申告漏れが大変多いので、これを気をつけてください。

そして亡くなった後の引き出しは、まず相続放棄するかもしれないなっていった方は極力ノータッチ、引き出さないということを覚えといてください。

そして相続放棄しない方であったとしても、他の相続人の同意なしに引き出してしまうと、やれ使い込んだんじゃないか、やれ隠してるんじゃないかっていったところのトラブルになっていきますので、その点も注意していきましょう。

✅ 全体まとめ

  • 生前の引き出し → 本人の同意があればOK。ただし相続税の計算で現金計上を忘れずに
  • 死後の引き出し → 相続人全員の同意があればOK。ただし相続放棄予定の人は絶対NG
  • 同意なしの引き出し → 使い込み・隠匿の疑いでトラブルの原因に
  • 口座凍結の解除には全員の同意と印鑑証明書が必要

税理士は文系が多い?税理士試験の意外な話

さっき話をされてた中で1円単位で計算するってお話されてましたけど、税理士の方ってやっぱ理系の人多いのかなとかシンプルに思いまして。

税理士はですね、実は文系の方が多いんですよ。税理士試験自体はですね、足す引く掛ける割るさえできればできるので、あと簿記なので難しいやつとかじゃないんですよね。ただ法律の解釈とかの方が実際使うので、どっちかというと文系は文系です。

自分がド文系なんですけど計算苦手な方なので、仮に自分が税理士になるってなった場合、そういう計算とかできるのかなとかすごい心配になっちゃって。

ああ、なるほど。全然できます。少なくともsin cos tanとか分からなくても税理士なれますんで。

まじで税理士になれるかもしれないです。

お目指しましょう。税理士試験合格チャンネルってサブチャンネルでやってますから、絆創膏型ドキュメンタリー作りましょうか。

税理士試験頑張ります。

✅ ポイントまとめ

  • 税理士は意外にも文系出身が多い
  • 税理士試験は四則演算と簿記ができればOK
  • 法律の解釈力の方が実務では重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 円満相続ちゃんねる(橘慶太) の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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