パートで社会保険に入らない方法|ダブルワーク活用術を税理士が解説
106万円の壁が拡大する時代、ダブルワークで社会保険を賢く回避する方法とは?
物価高なのに社会保険の加入ラインはどんどん引き下げられている
働いたら社会保険に入らなくちゃいけない、こういった時代になっていきそうです。パート労働者は悲鳴ですよね。物価高で稼がなきゃいけないのに、社会保険の加入ラインはどんどん引き下げられていくんですから。
なんとか手はないでしょうか。その1つとしてダブルワークが注目されています。複数勤務して1社あたりの労働を薄めて、社会保険の要件を回避しようというんです。
📌 ポイント
国はダブルワーカーも社会保険に取り込もうとしたようですが、現在の制度の枠組みではちょっと難しかったようで、当分はこの仕組みが残りそうです。当面はダブルワークでうまく稼ぐのがポイントになります。
📝 このセクションのまとめ
- 社会保険の加入ラインは今後も引き下げられていく方向
- ダブルワークは社会保険回避の有効な手段として注目されている
- 国がダブルワーカーを取り込もうとしたが制度上困難で当分は残る見込み
106万円の壁(社会保険の加入要件)をおさらい
令和6年10月から、従業員51人以上の会社で働いている人が対象になります。そしていずれ従業員の人数に関係なく全ての企業に適用されていくというのが規定路線のようです。
社会保険に加入しなければいけない要件は以下の通りです。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 月額賃金が8万8,000円以上であること
- 2ヶ月を超える雇用が見込まれること
- 学生ではないこと
月額賃金8万8,000円の12ヶ月分相当が105万6,000円になることから、ざっくり「106万円の壁」と呼ばれています。これら全てに該当すると社会保険に入らなくちゃいけません。
⚠️ 注意
パートの皆さんが給料を下げたくないなら、労働時間を週20時間未満に抑えるしかありません。そうなると、時給が高い職種・企業に人材が流れていく可能性があります。ただし、全員がそううまくいくわけではないのが現実です。
📝 このセクションのまとめ
- 令和6年10月から従業員51人以上の企業でパートの社会保険加入が拡大
- 月額8万8,000円(年約106万円)・週20時間以上などの要件を全て満たすと加入義務が生じる
- 今後は全企業に適用拡大される方向
ダブルワークなら社会保険の判定は「会社ごと」に行われる
では、ダブルワークの場合はこの要件をどうやって判定するのでしょうか。
例えば、A社の給料が年間60万円、B社が50万円だったとします。両方足し合わせたら110万円になるから社会保険に入らなくちゃいけないか、というとそうではありません。判定はそれぞれの会社ごとに別々に行います。
| 勤務先 | 年収 | 社会保険加入 |
|---|---|---|
| A社 | 60万円 | 不要 |
| B社 | 50万円 | 不要 |
| 合計 | 110万円 | どちらも不要 |
A社は60万円だからA社では社会保険に加入しなくていい。B社も50万円だから加入しなくていい。結局、どちらの会社でも社会保険には加入しなくていいんです。
📌 ポイント
1つの会社で110万円を稼いだら社会保険に入らなくちゃいけないけど、110万円を2つの会社にまたがって分散して稼いだら入らなくてもいいということです。これがダブルワーカーの旨みなんです。
📝 このセクションのまとめ
- 社会保険(106万円の壁)の判定は「会社ごと」に行われる
- 2社に分散すれば合計収入が106万円を超えていても加入不要になる場合がある
130万円の扶養の壁は「全会社合計」で判定される
ただし、ここで1つ気をつけてください。A社で100万円、B社でも100万円稼いでも社会保険に入らなくていいんだから、目いっぱい稼いじゃおう、なんてことをしたら扶養から外れてしまいます。
それでは国民年金・国民健康保険に入らなくちゃいけなくなります。106万円の壁の上には130万円の壁がありますからね。
| 壁の種類 | 判定方法 | 超えた場合 |
|---|---|---|
| 106万円の壁(社会保険) | 会社ごとに個別判定 | その会社で社会保険加入 |
| 130万円の壁(扶養) | 全会社の合計で判定 | 扶養から外れ、国民年金・国民健康保険に加入 |
⚠️ 注意
130万円の扶養の壁はA社・B社の給料を合計して判定します。ダブルワークで社会保険を回避できても、合計収入が130万円を超えると扶養から外れてしまうので、収入の上限管理には十分注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 106万円の壁(社会保険)→ 会社ごとに判定
- 130万円の壁(扶養)→ 全会社を合計して判定
- ダブルワークで稼ぎすぎると扶養から外れるリスクがある
企業グループが実践する「グループ内ワーク」という囲い込み戦略
ダブルワークという働き方は、社会保険に入りたくないパート労働者にとって好都合ですが、同時に企業にとっても社会保険料の事業主負担を避けることができて好都合なんです。
社会保険料は給与の約30%かかりますが、従業員が15%を負担し、企業も15%を負担して折半します。企業は社会保険料で人件費が15%もアップしてしまうんですから、負担しなくてよければとっても助かります。
ただし、働くのを控えられてしまうと今度は人材不足で困ったことになります。そこで、こんなことをやっている企業グループがあるようです。
📌 グループ内ワークの仕組み
例えば3つの企業がタイアップして、3人のパートを囲い込んで回すというやり方です。3人のパートにシフトを組んでもらって、3つの企業を循環して働いてもらいます。
- 1社で120万円稼ぐのではなく、1社40万円ずつ3社で合計120万円を稼ぐイメージ
- 3人が交代しながら働けば、企業は1人で120万円の労働だったのが3人で120万円の労働に形が変わるだけ
- 今まで通り人材の確保ができ、さらに社会保険料の負担も回避できる
パートも企業もウィンウィンというわけです。
📝 このセクションのまとめ
- 社会保険料は給与の約30%(従業員・企業それぞれ約15%ずつ折半)
- 企業グループがタイアップしてパートを複数社に循環させる「グループ内ワーク」が実践されている
- パート・企業双方にとってメリットがある仕組み
逆に社会保険に入った方がお得になる人もいる
今度は逆のパターンです。あえて106万円の壁を超えて社会保険に入った方がいい人がいます。今までは社会保険に入れなかった人も、106万円ルールのハードルが低くなって入りやすくなりました。
さらに、51人以上という従業員数の制限も間もなく撤廃されてますますハードルが低くなると思われます。さらには週20時間以上という要件を週10時間に基準を下げようという議論もされているんですから驚くばかりですね。
では、これをチャンスにできる人はどういった人でしょうか。
- 130万円の壁を超えて働いているパート労働者
- 個人事業者
- フリーターなど国民年金や国民健康保険に加入している人
これらの方は、社会保険に入った方が保険料を安くできる可能性があります。
具体的な例を見てみましょう。給料年額186万円の人の場合、国民年金保険料と国民健康保険料を比較すると以下のようになります。
| 保険の種類 | 年額保険料 |
|---|---|
| 国民年金保険料 | 20万3,760円 |
| 国民健康保険料 | 19万1,000円 |
| 合計 | 39万4,760円 |
では、ダブルワークを活用してA社で106万円を稼いで社会保険に入り、B社では80万円を稼いで社会保険には入らない、という働き方をするとどうなるでしょうか。
A社の給料106万円にかかる社会保険料(東京都の保険料率で計算)は以下の通りです。
| 保険の種類 | 年額保険料 |
|---|---|
| 厚生年金保険料(本人負担分) | 9万6,625円 |
| 健康保険料(本人負担分) | 6万1,000円 |
| 合計 | 15万7,764円 |
📌 ポイント
B社の給料80万円は社会保険料の対象外です。B社で稼いだ分はまるまる手元に残ります。国民年金・国民健康保険の合計約39万円を払っていた人が、社会保険に切り替えることで約15万7,000円の負担で済むようになるわけです。
📝 このセクションのまとめ
- 国民年金・国民健康保険に加入中の人は、社会保険に切り替えた方が保険料が安くなるケースがある
- A社で106万円を稼いで社会保険に加入し、B社の収入は対象外とする「変則ダブルワーク」が有効
- 週20時間以上の要件が将来的に週10時間に引き下げられる議論もある
個人事業者・フリーターにはパートとの掛け持ちが有効
個人事業者やフリーターの人は、「変則ダブルワーク」とでも言いましょうか、パートとの掛け持ちをするのがおすすめです。
パートで106万円を稼いでその企業で社会保険に入れば、個人事業でいくら稼いでも国民年金や国民健康保険料は払わなくていいんです。企業での社会保険加入が優先されるため、今まで入っていた国民年金や国民健康保険は脱退することになります。
⚠️ 注意
ただし、週20時間以上の労働はちょっときつい、という方もいるかもしれません。そういった場合の選択肢として、マイクロ法人を活用する方法があります。
週20時間が難しい人にはマイクロ法人という選択肢がある
自分で会社を作って代表取締役になって社会保険に入る、というのがマイクロ法人を使った社会保険料対策です。
📌 マイクロ法人のポイント
代表取締役なら労働時間や給料の金額に関係なく社会保険に入ることができます。週20時間以上という要件を気にすることなく、社会保険に加入できるのが最大のメリットです。
📝 このセクションのまとめ
- 個人事業者・フリーターはパートとの掛け持ちで社会保険に加入すると国民年金・国民健康保険を脱退できる
- 週20時間の労働が難しい場合は、マイクロ法人(自分で会社を設立して代表取締役になる)という方法がある
- 代表取締役は労働時間・給与金額に関係なく社会保険に加入できる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
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