支払督促で強制的に債権回収する方法を税理士が解説|費用・手順・成功事例まで
代金を払わない取引先から、裁判所の支払督促を使って強制回収する方法を解説します。
代金を払ってくれない取引先に困っていませんか?
商品を売ったのに、あるいは契約に基づいてサービスを提供したのに、相手が代金を払ってくれなくて困った、という経験はないでしょうか。メールや電話をしても全く反応してこない、そういう経験をお持ちの方も多いかと思います。
単発の取引で支払いを逃げられて何百万円も回収できずに困っている、という話はよく耳にします。また、数万円から数十万円といった比較的小さな金額でも、なかなか払ってもらえずに悩んでいるケースも多いものです。単純に相手が忘れているだけのこともありますが、意図的に支払いを引き延ばしているケースもあります。
今回は、予定通りに支払いをしてこない相手から強制的にお金を回収する方法として「支払督促」の手続きを、実際の経験と成功事例を踏まえて詳しく説明していきます。
📌 ポイント
支払督促は、弁護士不要・書類のみ・低コストで利用できる裁判所の手続きです。相手の財産を強制的に差し押さえることも可能で、訴訟件数全体の約3割・約30万件が支払督促を利用しています。
📝 このセクションのまとめ
- 代金未払いの問題は金額の大小を問わず多くの事業者が経験している
- 「支払督促」という裁判所の手続きで強制回収が可能
- 支払督促は訴訟全体の約30万件・約3割を占める一般的な手続き
支払督促とは何か?仕組みをわかりやすく解説
支払督促とは、お金を払ってくれない相手に対して、裁判所から支払いを促すお知らせを送る手続きです。裁判所へ出向くことに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、この支払督促の申し立ては書類のみの手続きで完結します。費用も安く、弁護士がいなくても一般の方が自分でお手続きできるというのが大きなメリットです。
手続きの流れは、簡易裁判所が公開している案内に基づくと以下のとおりです。
- 裁判所に取引の事実と請求書などの書類一式を提出する
- 裁判所が申し立てを審査し(書類のみの形式的な審査)、問題なければ相手に支払督促を送付する
- 相手が支払えばそこで終了。何も行動を起こさず2週間が経過した場合は「仮執行宣言の申し立て」ができるようになる
- 申し立てに不備がなければ、裁判所から相手に「仮執行宣言を付した支払督促」が送られる
- 督促が届いてから2週間以内に相手から異議申し立てがない場合、強制執行が可能になる
強制執行とは、裁判所が相手の財産を差し押さえたり売却したりして代金を回収する手続きです。
📌 ポイント
通常の裁判では判決まで何ヶ月もかかり、各種証拠の収集や相手の協力も必要になります。一方、支払督促は相手の協力を必要とせず、短期間で強制執行に移すことが可能です。財産を差し押さえることができれば、そこから債権を回収できます。
📝 このセクションのまとめ
- 支払督促は書類のみ・弁護士不要で申し立てできる
- 裁判所から相手に督促状が送られ、2週間異議がなければ強制執行が可能
- 通常の裁判より短期間・低コストで強制執行まで進められる
実際に回収できた成功事例2選
支払督促を活用して実際に債権回収に成功した事例を2つ紹介します。
【事例1】建材メーカーが工務店から100万円を回収
ある建材メーカーが得意先の工務店に対して100万円の売上があったものの、支払期日の翌月末になっても入金がなく、電話をしても出てもらえないという状況になりました。そこで経理担当者が自分で支払督促を調べ、簡易裁判所に出向いて手続きを行いました。
その結果、約1ヶ月後に相手会社の口座が凍結され、相手方から「代金を支払うので口座の凍結を解除してほしい」という連絡が来て、無事に100万円を回収することができました。
【事例2】個人の飲食店ママがツケ払いのお客様から回収
個人で飲み屋を経営するママさんが、ツケを払わないお客様に困っていたという事例です。法律に詳しい知人から支払督促という手続きを教えてもらい、申し立てに必要な氏名・住所・口座情報(銀行名・支店名)を、相手から受け取った名刺やキャッシュカードの情報から入手して手続きを行い、回収に成功しました。
📌 ポイント
事例2のように、個人の方でも支払督促を活用できます。必要な情報(氏名・住所・相手の銀行名と支店名)さえ把握できれば、専門家に頼らずに手続きを進めることが可能です。
📝 このセクションのまとめ
- 建材メーカーの経理担当者が自力で手続きし、100万円の回収に成功
- 個人の飲食店経営者もツケの回収に成功
- 口座凍結をきっかけに相手から自主的に支払いの連絡が来るケースも多い
支払督促の5つのメリット
支払督促には主に5つのメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| ①手続きが簡単 | 書類のみの形式的な審査。郵送だけで手続きが進む |
| ②費用が安い | 収入印紙代のみ。100万円の請求でも約5,000円 |
| ③裁判所の判決と同等の効力 | 仮執行宣言付きの支払督促は判決同等の効力を持つ |
| ④消滅時効を更新できる | 時効の完成を防ぎ、債権を守ることができる |
| ⑤和解が期待できる | 異議申し立て後の民事訴訟移行前に和解に至るケースが多い |
①手続きが簡単
形式的な書類審査だけで進むため、申し立て書を裁判所に郵送するだけで手続きが進んでいきます。督促の電話をスタッフや従業員にさせ続けるよりも、その人件費を考えると圧倒的にコスト効率がよいです。
②費用が安い
かかる費用は主に収入印紙代で、請求金額によって異なりますが、100万円の請求でも約5,000円程度です。民事訴訟を行った場合は収入印紙代だけで倍程度かかります。支払督促は訴訟の半額で申し立てができます。
| 請求金額の目安 | 支払督促の収入印紙代(目安) | 民事訴訟との比較 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約5,000円 | 訴訟の約半額 |
| その他実費 | 郵便切手代・申立書の謄写費用(800円程度)・封書・はがき代など(1,099円〜1,145円程度) | ― |
③裁判所の判決と同等の効力
仮執行宣言付きの支払督促には判決と同等の効力があります。督促が届いてから2週間以内に相手から異議申し立てがなければ、強制執行手続きに移ることができます。
④消滅時効を更新できる
債権者が一定期間権利を行使しないと「消滅時効」が発生します。現在の民法では最長10年と定められており、時効が成立すると債務者から「支払う必要はない」と主張され、回収できなくなってしまいます。仮執行宣言付きの支払督促を送り、異議申し立てがなかった場合はこの時効が更新されます。ずる賢い債務者は消滅時効の完成を待つケースもあるため、消滅時効が完成する前に支払督促を出すことが重要です。
⑤和解が期待できる
債務者が支払督促に対して異議申し立てをした場合は民事訴訟に移行しますが、多くの場合は判決の前に和解の話し合いになっていきます。和解できれば差し押さえをせずに済みますし、債務者に支払いの約束をさせることもできます。
📝 このセクションのまとめ
- 書類のみで手続きでき、郵送だけで進む
- 100万円の請求でも収入印紙代は約5,000円と低コスト
- 判決と同等の効力があり、強制執行まで進められる
- 消滅時効(最長10年)の更新手段としても有効
- 異議申し立て後に和解に至るケースも多い
支払督促の3つの注意点
支払督促は非常に有効な手段ですが、いくつか注意点もあります。
⚠️ 注意点①:債務者の住所がわからないと申し立てができない
支払督促の申し立てには、債務者の住所が必要です。万が一取引先の支払いが滞った時のためにも、取引先の住所は事前に把握しておくことが重要です。請求書を送る際には通常住所を把握しているはずですが、業務フローとして取引先情報の管理を徹底しておきましょう。
⚠️ 注意点②:異議申し立てをされると労力が増える
相手から異議申し立てがあると民事訴訟に移行します。審理のために相手の住所を管轄する裁判所に出向く必要があり、遠方の場合は債権者側の負担が大きくなります。また、その際の関係性は良好とは言えないため、精神的・時間的・人件費的なコストも増大します。異議申し立てをされる可能性が高い場合は、そもそも支払督促を行うべきかどうかを検討することも必要です。
⚠️ 注意点③:債務者に財産・資産がないと回収できない
支払督促をしたとしても、相手に資産がなければ支払いを受けることができません。財産の差し押さえを行っても、相手が現金化できるような財産を持っていなければ、債権自体が無価値になってしまいます。なるべく相手が資産を持っている段階で手続きをすることが重要で、消滅時効の件も踏まえると早ければ早いほどよいと言えます。取引先の夜逃げや資金繰り悪化の情報が入ってきた場合は、早期に手続きを検討しましょう。
なお、口座を差し押さえる場合は相手の銀行名と支店名が分かれば大丈夫です。口座番号や預金種目(普通預金・当座預金など)は不要です。
また、資産を隠して差し押さえに応じない場合についても触れておきます。2020年4月に財産開示手続きの法律が改正され、支払いを無視したり、自身の財産について虚偽の申告をしたりすると刑事事件化することになりました。この改正により、資産を隠して差し押さえに応じなかった場合でも、お金を回収できる可能性は高くなっています。
📝 このセクションのまとめ
- 申し立てには債務者の住所が必須。事前に取引先情報を管理しておくこと
- 異議申し立てがあると民事訴訟に移行し、労力・コストが増大する
- 相手に財産がなければ回収できないため、早期に手続きを行うことが重要
- 口座差し押さえには銀行名・支店名があれば足りる(口座番号不要)
- 2020年4月の法改正で財産隠しは刑事事件化の対象に
自分でできる!支払督促の具体的な手続き方法
支払督促は専門家に頼らず自分でも手続きできます。具体的な手順は以下のとおりです。
- 申し立て書面を入手する:簡易裁判所の窓口でも入手できますが、裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です。
- 収入印紙を用意する:請求金額に合わせた収入印紙を用意し、申し立て書に貼り付けます。
- その他の実費を用意する:支払督促の書類を送るための郵便費用として、申し立て書の枚数によって異なりますが1,099円〜1,145円程度、申し立て書の謄写・提出費用として約800円程度、封書・はがき代などが別途かかります。
- 添付書類を準備する:請求の根拠となる書類のコピーを添付します。
- 管轄の簡易裁判所に提出する:郵送でも提出可能です。
添付書類として一般的に必要なものは以下のとおりです。
- 請求書・領収書など、相手への支払い請求が分かる書類のコピー
- (法人の場合)代表者の資格証明書
- (法人の場合)全部事項証明書(登記簿謄本)
📌 ポイント
裁判所ごとに細かい運用が異なる場合があります。まずは管轄の裁判所のウェブサイトを確認し、不明な点は直接裁判所に問い合わせると丁寧に教えてもらえます。わからない時は専門家に相談するのが確実です。
📝 このセクションのまとめ
- 申し立て書は裁判所のホームページからダウンロード可能
- 費用は収入印紙代+郵便費用(1,099〜1,145円程度)+謄写費用(約800円)など
- 添付書類は請求書・領収書など。法人は登記簿謄本・資格証明書も必要
- 不明点は管轄裁判所のウェブサイトまたは窓口で確認できる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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