年金受給者を扶養に入れる条件とは?158万円・180万円の基準を税理士が解説

年金受給者を扶養に入れる条件とは?158万円・180万円の基準を税理士が解説
e_zeirishi

年金受給者を扶養に入れるには「158万円」と「180万円」の2つの壁を理解することが鍵です。

パート収入の場合、103万円・130万円・150万円といった「扶養の壁」がよく知られています。しかし年金受給者に限って言えば、158万円と180万円が扶養に入れる年金の限度額になります。

  • 158万円:税金(所得税・住民税)の扶養に入れる基準
  • 180万円:健康保険の扶養に入れる基準

この2つの基準にはそれぞれ年齢条件も絡んできます。以下で順番に詳しく見ていきましょう。

健康保険の扶養に入れる年収基準:180万円とは

健康保険の扶養に入れる年収基準は、年齢によって異なります

年齢扶養に入れる年収基準
59歳まで年収130万円未満
60歳以上年収180万円未満

60歳になると年収基準が130万円未満から180万円未満へと引き上げられます。これは見落としがちな重要ポイントです。

さらに、年収基準を満たすだけでなく、以下の条件もあわせてクリアする必要があります。

  • 同居の場合:扶養している人の年収の1/2未満であること
  • 別居の場合:扶養している人からの仕送り額より少ないこと

📝 このセクションのまとめ

  • 健康保険の扶養に入れる年収基準は60歳以上で180万円未満に引き上げられる
  • 同居・別居によって追加の収入条件がある

健康保険制度の仕組み:3つの種類と扶養の関係

「健康保険の扶養に入る」とはどういう意味か、まず健康保険制度の全体像を整理しましょう。健康保険制度は大きく3種類に分けられます。

種類加入対象者
協会けんぽ・健康保険組合会社員
共済組合公務員
国民健康保険自営業者など会社員以外

「健康保険の扶養に入る(被扶養者になる)」とは、会社員が加入している健康保険の扶養に入ることを指します。扶養に入れば保険料を払わなくて済み、扶養する人数が何人になっても会社員が払う保険料は変わりません。

⚠️ 注意

自営業者などが加入する国民健康保険には「扶養」という概念がありません。収入があろうとなかろうと、会社員以外の家族全員が加入しなければならず、家族全員の所得を合算した金額をもとに保険料が計算されて世帯主に請求されます。

また、75歳になると、会社員・公務員・自営業を問わず全員が加入していた健康保険を脱退し、後期高齢者医療制度へ切り替わります。扶養に入っていた人も同様に、75歳になると扶養を抜けて後期高齢者医療保険に加入しなければなりません。後期高齢者医療保険にも「扶養」はなく、加入者が保険料を自己負担します。

📌 ポイント

健康保険の扶養に入るメリット(保険料の免除)を享受できるのは、74歳までです。75歳以降は後期高齢者医療保険へ移行し、自己負担が発生します。

📝 このセクションのまとめ

  • 健康保険の扶養は会社員・公務員の健康保険のみに存在する制度
  • 国民健康保険・後期高齢者医療保険には扶養制度がない
  • 75歳以降は全員が後期高齢者医療保険へ移行する

介護保険との関係:65歳・75歳で変わる保険料負担

健康保険の扶養に絡んで、介護保険の仕組みも理解しておく必要があります。

40歳になると介護保険に加入しなければなりませんが、保険料は加入している健康保険と一緒に徴収されます。そのため、健康保険の扶養に入っている人は、64歳までは介護保険料も払わなくて済みます

ところが、65歳になると、それまで「第2号被保険者」という区分だったのが「第1号被保険者」という区分に切り替わります。これにより介護保険が健康保険から切り離され、加入者自身が保険料を自分で払わなければなりません。年金からの天引きや預金通帳からの引き落としで支払う形となり、これは一生涯続きます

年金受給者が健康保険の扶養に入った場合の保険料負担を、年齢ごとに整理すると次のようになります。

年齢健康保険料介護保険料
64歳まで扶養のため免除扶養のため免除
65歳〜74歳扶養のため免除自己負担(第1号被保険者)
75歳以降自己負担(後期高齢者医療保険)自己負担(第1号被保険者)

📌 ポイント

健康保険の扶養に入ることで保険料が完全に免除されるのは64歳まで。65歳からは介護保険料の自己負担が始まり、75歳からは健康保険料も自己負担になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 40歳から介護保険に加入するが、健康保険の扶養に入っていれば64歳まで保険料は免除
  • 65歳で第1号被保険者に切り替わり、介護保険料は自己負担(一生涯)
  • 75歳からは健康保険料も自己負担となる

税金の扶養に入れる基準:158万円とは(公的年金等控除の仕組み)

次に、税金(所得税・住民税)の扶養に入れる基準である158万円を見ていきましょう。

例えば子どもが年金受給者の親を自分の「扶養親族」にすれば、子どもは自分の所得税・住民税を安くすることができます。扶養親族にできる要件は次の2つです。

  • 生計を一にしていること(同じ財布で生活していること)
  • 合計所得金額が48万円以下であること

「生計を一にする」とは、生活資金を共同で使っていることです。同居していればほぼ生計を一にしていると推定されます。別居でも生活費を仕送りしていれば生計は一とみなされます。

次に、合計所得金額48万円以下という要件について確認します。年金は雑所得に分類されます。所得金額は「年金収入額 − 公的年金等控除額」で計算します。公的年金等控除額は年齢によって異なります。

年齢年金収入の条件公的年金等控除額所得金額が48万円以下になる年金額
65歳以上年金330万円未満110万円158万円以下
65歳未満年金130万円未満60万円108万円以下

📌 ポイント

税金の扶養に入れる年金の限度額は年齢によって異なります。65歳以上は158万円以下、65歳未満は108万円以下が目安です。年金以外の収入がある場合は別途計算が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 税金の扶養親族になるには合計所得金額48万円以下が必要
  • 65歳以上:年金158万円以下で所得48万円以下となる
  • 65歳未満:年金108万円以下で所得48万円以下となる

扶養控除額はいくら?年齢・同居別居で変わる節税効果

親を扶養親族にすると、所得金額から「扶養控除額」を差し引くことができます。年齢や同居・別居の状況によって控除額が異なります。

区分条件所得税の控除額住民税の控除額
同居老親等70歳以上かつ同居58万円45万円
老親等(同居以外)70歳以上かつ別居(仕送りあり)48万円38万円
一般の控除対象扶養親族70歳未満38万円33万円

同居している70歳以上の親を扶養に入れた場合、所得税では所得から58万円、住民税では45万円を差し引くことができます。税率が高い人ほど節税効果が大きくなります。

📝 このセクションのまとめ

  • 70歳以上・同居なら所得税58万円・住民税45万円の控除が受けられる
  • 70歳以上・別居(仕送りあり)なら所得税48万円・住民税38万円
  • 70歳未満なら所得税38万円・住民税33万円

税金の扶養と健康保険の扶養は別物:混同しないように注意

⚠️ 注意

健康保険の扶養に入れる基準(180万円)と、税金の扶養に入れる基準(158万円)はまったく別の制度です。どちらか一方の扶養に入れても、もう一方に入れるとは限りません。混同しないよう注意が必要です。

たとえば、年金収入が160万円の場合を考えてみましょう。

  • 税金の扶養(158万円基準):158万円を超えているため扶養に入れない
  • 健康保険の扶養(180万円基準):180万円未満のため扶養に入れる可能性がある

このように、税金の扶養には入れなくても健康保険の扶養には入れるケースは少なくありません。年金収入180万円というのは月額約15万円に相当し、厚生年金の平均的な受給額に近い水準です。まさに微妙なラインが基準になっています。

📌 ポイント

税金の扶養と健康保険の扶養はそれぞれ別々に判定します。どちらか一方だけ適用されるケースも多いため、両方の基準を確認することが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 税金の扶養(158万円)と健康保険の扶養(180万円)は別制度
  • 税金の扶養に入れなくても健康保険の扶養に入れる場合がある
  • 年金180万円は月額約15万円で、厚生年金の平均受給額に近い水準

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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