年金受給者が確定申告しないと損する!税理士が解説するケース別対処法

年金受給者が確定申告しないと損する!税理士が解説するケース別対処法
e_zeirishi

年金受給者でも確定申告をすることで税金の還付や住民税の軽減が受けられるケースがあります。

この記事で解説する内容

今回は、年金受給者が確定申告をしないと損をしてしまうケースについて解説します。具体的には以下の4点を順番に説明していきます。

  1. 年金をもらっている方で確定申告の義務がある場合
  2. 確定申告しなくてもいいが、しないと損をするケース(税金の還付が受けられる場合)
  3. 給与と年金の両方をもらっている方が注意すべき控除(控除漏れの防止)
  4. 確定申告書等作成コーナーを必ず使うべき理由

📝 このセクションのまとめ

  • 義務がある場合とお得になる場合の両面から解説
  • 給与と年金の両方がある方向けの控除漏れ対策も含む
  • 確定申告書等作成コーナーの活用を強く推奨

年金受給者で確定申告の義務がある人とは

年金のみを収入源としている方で、確定申告の義務が生じる基本的な条件は、公的年金等の収入金額(額面)が400万円超の場合です。

⚠️ 注意

厚生労働省のデータによると、年金収入の月額が30万円超の受給者は全体のわずか0.1%程度です。つまり、年金収入が400万円を超える方は極めて少数であり、年金のみを受け取っている方で確定申告の義務が生じるケースはほとんどありません。

ただし、年金収入が400万円以下であっても、以下の条件に当てはまる場合は確定申告が必要です。

年金収入その他の所得確定申告の要否
400万円超問わず必要
400万円以下20万円超(給与所得・事業所得・不動産所得・雑所得など)必要
400万円以下20万円以下不要(所得税)

⚠️ 注意

「その他の所得が20万円以下なら確定申告不要」という基準は所得税の話です。住民税については、その他の所得が20万円以下であっても別途申告が必要なルールになっています。見落としやすい点なので注意してください。

公的年金と個人年金・非課税年金の違い

年金と一口に言っても、課税の取り扱いが異なります。混同しやすいポイントを整理します。

年金の種類課税区分備考
老齢年金(国民年金・厚生年金)公的年金等にかかる雑所得課税対象
遺族年金非課税確定申告不要
障害年金非課税確定申告不要
個人年金(民間生命保険会社等)公的年金等以外の雑所得公的年金等の雑所得とは別計算

📌 ポイント

税金がかかる年金は老齢年金のみです。遺族年金・障害年金は非課税のため、確定申告に含める必要はありません。また、民間保険会社の個人年金は「公的年金等の雑所得」ではなく「それ以外の雑所得」として別途計算します。

公的年金等にかかる雑所得の計算式は以下の通りです。

公的年金等の雑所得 = 年金収入金額(各種控除前の額面)- 公的年金等控除額

なお、公的年金等控除額の速算表は国税庁のホームページに掲載されています。手計算する際はそちらを参照してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 年金収入400万円超、またはその他所得が20万円超なら確定申告の義務あり
  • 住民税は所得税とルールが異なり、その他所得20万円以下でも申告が必要
  • 課税対象の年金は老齢年金のみ。遺族・障害年金は非課税
  • 個人年金は公的年金等の雑所得とは別区分になる

確定申告しなくても損する!還付を受けられる控除一覧

確定申告の義務がない方でも、以下のような控除項目がある場合は確定申告をすることで税金の還付住民税の軽減を受けられる可能性があります。

それぞれの控除について詳しく見ていきましょう。

各控除の詳細解説

① 医療費控除

所得金額控除の対象となる医療費の条件
200万円超1年間の医療費合計が10万円超の部分
200万円以下1年間の医療費が所得金額×5%を超えた部分

多額の医療費を支出した年は、確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。

② 扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除

公的年金を受け取る際に「扶養控除等申告書」を提出していない方、または提出後に扶養の状況や控除項目に変更があった方は、確定申告でこれらの控除を適用(または変更)することができます。控除が適用されると所得が減り、税金の還付を受けられる場合があります。

③ 生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料控除や地震保険料控除は、年金収入から源泉徴収される際には反映されていません。確定申告で申告することで所得を減らし、税金の還付を受けられる場合があります。

④ 社会保険料控除

公的年金の源泉徴収票には、年金から天引きされた介護保険料等は記載されています。しかし、納付書などで別途支払っている社会保険料(国民健康保険料など)は源泉徴収票に反映されていないため、確定申告で申告することで所得を減らすことができます。

⑤ ふるさと納税

ふるさと納税を行った方は、年金からの源泉徴収税額には反映されていません。確定申告で申告することで所得を減らすことができます。

📌 ポイント:所得税の還付がゼロでも住民税が減る場合がある

年金から所得税が源泉徴収されていない(源泉徴収税額がゼロ)の方でも、確定申告をすることで所得を減らせれば住民税の金額を減らすことができます。住民税は前年の所得をもとに翌年に課税される仕組みのため、確定申告で所得を正しく申告することが住民税の節減につながります。

⚠️ 注意:住民税の還付について

住民税は基本的に前払い(源泉徴収)ではなく後払いの仕組みです。そのため、確定申告をしても所得税のような「還付」は原則として発生しません。ただし、株式売買などで譲渡益から住民税が源泉徴収されているケースでは例外的に還付が生じる場合があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 医療費控除・扶養控除・生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・ふるさと納税は確定申告で反映できる
  • これらの控除は年金の源泉徴収には自動で反映されないため、自分で申告する必要がある
  • 所得税の還付がなくても、住民税が減る効果がある場合がある

給与と年金の両方がある方:所得金額調整控除の見落としに注意

給与と年金の両方を受け取っている方は、所得金額調整控除を受けられる場合があります。これは非常に見落としやすい控除なので注意が必要です。

控除の種類対象者控除額(上限)
給与・年金両方ある方の所得金額調整控除給与所得+公的年金等の雑所得の合計が10万円超の方最大10万円
子ども・特別障害者を有する方等の所得金額調整控除給与収入が850万円超の方(子ども・特別障害者等を有する場合)最大15万円

📌 ポイント:2つの控除は併用できる

給与収入が850万円超で、かつ給与と年金の両方がある方は、2種類の所得金額調整控除を併用することができます。その場合、最大で25万円(10万円+15万円)の所得金額調整控除を受けることが可能です。

⚠️ 注意:手書きでの確定申告書作成は要注意

所得金額調整控除は確定申告書を手書きで作成した場合に非常に忘れやすい項目です。初めて確定申告書を作成する方は高い確率で見落とすと言われています。後述する「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば自動で判定・適用されるため、見落としを防ぐことができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 給与と年金の両方がある方は「所得金額調整控除」が使える場合がある
  • 給与所得+公的年金等の雑所得が10万円超なら最大10万円の控除
  • 給与収入850万円超の場合は別枠の控除(最大15万円)と合わせて最大25万円の控除が可能
  • 手書き申告では見落としやすいため、作成コーナーの活用が有効

確定申告書等作成コーナーを必ず使うべき理由

確定申告を行う際は、国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」を必ず活用することをお勧めします。その理由は以下の通りです。

  • 計算誤りを防げる:税額計算を自動で行うため、手計算によるミスがなくなります。
  • 控除の適用漏れを防げる:所得金額調整控除など見落としやすい控除を自動で判定・適用してくれます。
  • 事前シミュレーションができる:所得税の還付額を事前に確認できるため、「還付額が少ないから確定申告をしない」という判断も可能です。

📌 ポイント:確定申告前にシミュレーションを

還付額が少ない場合、時間と労力をかけて確定申告をするかどうか迷うこともあるでしょう。確定申告書等作成コーナーでは、実際に申告書を提出する前に還付見込み額をシミュレーションすることができます。まずシミュレーションで確認してから、申告するかどうかを判断することをお勧めします。

また、確定申告書を作成する際には、公的年金等の源泉徴収票(年始に送付されるもの)を必ず手元に用意してください。源泉徴収票に記載されている情報をもとに申告書を作成することになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 確定申告書等作成コーナーを使えば計算誤りや控除漏れを防げる
  • 事前に還付額のシミュレーションができるため、申告の要否を判断しやすい
  • 申告の際は公的年金等の源泉徴収票を必ず手元に用意する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士ナガイを応援しています!

関連記事

確定申告の基本を税理士が解説|経費・青色申告・白色申告の違いと手のつけ方
確定申告のあるあるミス6選!税理士が解説するチェックリスト
年末調整でミスが多い10項目を税理士が解説|従業員・会社側の申告ミスと修正方法
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら