年金と給料がある人の確定申告不要制度を税理士が解説|2つの制度を徹底比較
年金と給料がある人には確定申告不要制度が2つあります。どちらかの条件を満たせば申告は不要です。
年金と給与がある人に使える2つの確定申告不要制度
年金をもらいながら勤務している人には、2つの確定申告不要制度があります。1つは年金受給者の制度、もう1つは給与所得者の制度です。どちらを使っても構いません。
ただし、この2つの確定申告不要制度は相互に絡み合っているため、混乱している人が多いのも事実です。それぞれの制度を順番に整理していきましょう。
📌 ポイント
年金と給与の両方がある人は「年金受給者の確定申告不要制度」と「給与所得者の確定申告不要制度」のどちらか一方の条件を満たせば確定申告は不要になります。両方同時に満たす必要はありません。
📝 このセクションのまとめ
- 年金と給与がある人には確定申告不要制度が2種類ある
- 2つの制度はどちらを使っても構わない
- どちらか一方の条件を満たせば申告不要
年金受給者の確定申告不要制度とは
年金受給者の皆さんの負担を減らすために、公的年金等については確定申告不要制度が設けられています。
確定申告をしなくてもよい条件は以下の2つです。
- 公的年金等の収入金額が400万円以下であること
- 公的年金等以外の所得金額が20万円以下であること
逆に言えば、公的年金等の収入金額が400万円を超える場合、あるいは公的年金等以外の所得金額が20万円を超える場合は、いずれかに該当すれば確定申告が必要になります。
「公的年金等」と「公的年金等以外の所得」の範囲
ここで言う「公的年金等」の範囲を確認しておきましょう。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 公的年金等に含まれるもの | 国民年金、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金 等 |
| 公的年金等に含まれないもの(非課税) | 遺族年金、障害年金 等 |
⚠️ 注意
外国の法令等に基づいて支払われる年金など、源泉徴収の対象になっていないものが含まれている場合は、確定申告不要制度は適用されません。たとえ年金収入が400万円以下であっても、確定申告が必要になります。
一方、「公的年金等にかかる雑所得以外の所得」として関連する主なものは次のとおりです。
- 給与所得
- 個人年金保険等の雑所得
- 配当所得
- 生命保険の満期保険金や解約返戻金の一時所得 等
📝 このセクションのまとめ
- 公的年金等の収入が400万円以下、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下なら申告不要
- 遺族年金・障害年金は非課税のため対象外
- 源泉徴収されていない外国年金がある場合は制度の適用外
給与収入がある年金受給者の申告判定ライン
公的年金等の収入が年間400万円を超える人は非常に稀で、大半の人は400万円以下です。そのため、年金生活の人は基本的に「申告しなくてもよい」というのが制度の基本的なスタンスです。
ただし、公的年金等以外に収入がある人は注意が必要です。20万円はあくまでも所得金額で判定します(収入金額ではありません)。
給与所得の場合、給与の収入金額から給与所得控除額を差し引いたものが所得金額になります。給与所得控除額の最低ラインは55万円ですので、所得金額が20万円になる給与の収入金額を計算すると75万円になります。
| 給与収入金額 | 給与所得控除額 | 給与所得金額 | 申告の要否 |
|---|---|---|---|
| 75万円以下 | 55万円(最低額) | 20万円以下 | 申告不要 |
| 75万円超 | 55万円(最低額) | 20万円超 | 申告必要 |
つまり、年金受給者の確定申告不要制度においては、次の両方を満たす人は確定申告が不要です。
- 公的年金等の収入金額が400万円以下
- 給与の収入金額が75万円以下
逆に、公的年金等の収入金額が400万円を超える人、または給与の収入金額が75万円を超える人は確定申告が必要になります。
📝 このセクションのまとめ
- 20万円の判定は「収入」ではなく「所得」で行う
- 給与所得控除の最低額は55万円なので、給与収入75万円以下なら所得は20万円以下
- 給与収入が75万円を超えると申告が必要になる
給与所得者の確定申告不要制度とは
年金受給者であっても給与収入がある場合は、給与所得者でもあります。そのため、給与所得者の確定申告不要制度も利用できます。このポイントを見逃している人が多いようです。
給与所得者で確定申告が必要になるケースのうち、今回は「1か所に勤務している人」を対象に見ていきます。
確定申告が必要になる人は次のとおりです。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人(年末調整ができなくなるため)
- 給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える人(公的年金等の所得金額が20万円超の人)
📌 ポイント
会社で年末調整を受けることが、給与所得者の確定申告不要制度の大前提です。給与収入が2,000万円を超えると年末調整ができなくなるため、自分で確定申告をしなければなりません。
公的年金等の所得金額の計算方法と申告判定ライン
公的年金等の所得金額は、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。
公的年金等控除額は、年金以外の所得金額の区分によって異なります。ここでは年金以外の所得金額が1,000万円以下の場合で確認します。
| 年齢 | 年金額の条件 | 公的年金等控除額 | 所得金額が20万円になる年金額 | 申告の要否 |
|---|---|---|---|---|
| 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 | 130万円 | 130万円以下なら不要 |
| 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 | 80万円 | 80万円以下なら不要 |
つまり、給与所得者の確定申告不要制度においては、次の両方を満たす人は確定申告が不要です。
- 給与の収入金額が2,000万円以下
- 公的年金等の収入金額が、65歳以上は130万円以下、65歳未満は80万円以下
逆に、給与の収入金額が2,000万円を超える人、または公的年金等の収入金額が65歳以上で130万円超・65歳未満で80万円超の人は確定申告が必要になります。
📝 このセクションのまとめ
- 65歳以上は公的年金等の収入が130万円以下なら申告不要(給与所得者の制度)
- 65歳未満は公的年金等の収入が80万円以下なら申告不要(給与所得者の制度)
- 給与収入が2,000万円を超える場合はいずれの制度も使えない
2つの制度を合算した総合判定フロー
以上、年金受給者と給与所得者の2つの方向から見てきました。結論として、年金と給料がある人は、どちらか一方の条件を満たせば確定申告は不要です。それぞれ別個に順次判定すればOKです。
2つの制度を同一の基準で判定できるよう、両者の条件を合算して整理すると次のようになります。
【大前提となる2つの条件(両方クリアが必要)】
| 条件 | 金額 | クリアできない場合 |
|---|---|---|
| 公的年金等の収入金額 | 400万円以下 | 確定申告が必要 |
| 給与の収入金額 | 2,000万円以下 | 確定申告が必要 |
大半の人はこの大前提をクリアしているはずですので、実質的には以下の条件で判定することになります。
【いずれか1つを満たせば申告不要(どちらか一方でOK)】
| 条件 | 65歳以上 | 65歳未満 |
|---|---|---|
| 公的年金等の収入金額 | 130万円以下 | 80万円以下 |
| 給与の収入金額 | 75万円以下(年齢不問) | |
📌 ポイント
上記の2つの条件は「両方満たす必要はなく、どちらか1つを満たせば確定申告は不要」です。一方、両方の条件を同時に満たしていない場合(年金収入が130万円超かつ給与収入が75万円超など)は確定申告が必要になります。
逆の見方をすれば、公的年金等の収入金額が65歳以上で130万円超・65歳未満で80万円超、かつ給与が75万円超という両方の条件を同時に満たしている人は確定申告が必要ということになります。
📝 このセクションのまとめ
- 大前提として年金収入400万円以下・給与収入2,000万円以下が必要
- 「年金が130万円(65歳以上)以下」または「給与が75万円以下」のどちらか一方を満たせば申告不要
- 両方の条件を同時に超えている場合のみ確定申告が必要になる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
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