相続・贈与

毎年110万円以下の贈与でも税金がかかる?定期贈与と連年贈与の違いを税理士が解説

毎年110万円以下の贈与でも税金がかかる?定期贈与と連年贈与の違いを税理士が解説
e_zeirishi

毎年110万円以下の贈与でも、やり方次第で多額の贈与税が課される危険があります。

「毎年110万円以下なら贈与税ゼロ」は本当か?

年間110万円以下の贈与であれば贈与税はかからない、というのは基本的に正しい話です。ところが、国税庁のホームページには次のような記載があります。

⚠️ 注意

「毎年100万円ずつ10年間に渡って贈与を受けることが、贈与者との間で契約されている場合には、契約した年に定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税がかかります」(国税庁ホームページより)

つまり、毎年の贈与額が110万円以下であっても、「最初から合計○○万円を贈与する」という約束や計画があった場合は、例外的に贈与税が課されるケースがあるのです。これが「定期贈与」と呼ばれる問題です。

📝 このセクションのまとめ

  • 年間110万円以下の贈与は原則非課税
  • ただし「定期贈与」と認定された場合は一括課税される例外がある
  • 国税庁も公式に注意喚起している論点

生前贈与と贈与税の基本的な仕組み

そもそも生前贈与はなぜ行われるのでしょうか。相続税は、個人が亡くなった時の純財産に対して課税されます。そのため、生きている間にコツコツと親族などに財産を贈与しておくことで相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できます。これがいわゆる「最強の相続税対策」として広く活用されている生前贈与です。

ただし、贈与を受けた側には「贈与税」がかかります。贈与税の計算は、原則として「暦年課税方式」が用いられます。

計算ステップ内容
①その年に受けた贈与財産の合計額現金・物品など全て含む
②基礎控除を差し引く110万円を控除
③残額に税率をかける最低10%〜最高55%

贈与税の税率は最低10%から最高55%と非常に高く設定されています。これは相続税対策として利用されることを踏まえ、相続税の税率よりも高く設定されているためです。

📌 ポイント

年間110万円以内の贈与であれば贈与税はゼロ。毎年コツコツと100万円を贈与していけば、10年間で合計1000万円を非課税で移すことができます。ただし、亡くなる以前7年間の贈与は「生前贈与加算」として相続税の計算上持ち戻しになる点に注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 生前贈与は相続財産を減らす最強の相続税対策
  • 贈与税は暦年課税方式で計算し、基礎控除は年間110万円
  • 贈与税の税率は10%〜55%と高く設定されている
  • 亡くなる前7年間の贈与は生前贈与加算として持ち戻しになる

定期贈与と認定されると一括課税で贈与税が爆増する

毎年100万円を10年間贈与すれば合計1000万円を非課税で移せる、と考えていたところに税務調査が入ったとします。調査官から「これは100万円の10回払いではなく、最初から1000万円を贈与するつもりだったのではないか」と疑いをかけられると、大変なことになります。

⚠️ 注意

定期贈与と認定された場合、毎年の贈与ではなく契約時点で1000万円の贈与があったものとして課税されます。この場合、贈与税額はざっくり約177万円(実際には定期金の評価方法を用いるためやや下がりますが)を一括で納める必要が生じます。

正式な法律用語では「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与」と呼ばれます。書面による契約書がなくても、口約束であっても、当初から総額で贈与する意思表示がなされていれば定期贈与として成立してしまうので、非常に注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 定期贈与と認定されると、契約時点で一括課税される
  • 1000万円の定期贈与なら約177万円の贈与税が発生
  • 契約書がなくても口約束でも定期贈与は成立する

「金額や日付を変えれば大丈夫」は都市伝説。全て意味なし

税務調査で定期贈与と疑われないよう、さまざまな「対策」が巷に出回っています。しかし、これらは実際には意味がありません。よくある誤解を整理します。

よくある「対策」具体例効果
年ごとに金額を変える110万・100万・105万・95万・103万…と変える意味なし
年ごとに日付を変える1月3日→3月3日→6月6日→10月11日…意味なし
あえて120万円にして申告・納税する超過分10万円×10%=1万円の贈与税を納める意味なし

税務調査において問われるのは「当初から総額でいくら贈与する計画だったか」という点です。金額を微妙に変えても、日付をずらしても、一部贈与税を納めた形跡を残しても、それだけでは定期贈与の認定を回避することにはなりません。

⚠️ 注意

税務調査官がお子さんに「お父さんから10年間で合計1000万円もらうという話がありましたか?」と質問し、「はい、ありました」と答えてしまうとアウトです。このような事態を防ぐためにも、正しい証拠作りが不可欠です。

これらの「金額や日付を変える」といった無駄な作業に時間を使っている方は、今すぐやめましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 金額を年ごとに変えても定期贈与の認定回避にはならない
  • 日付を変えても同様に意味がない
  • あえて120万円にして贈与税を納めても効果なし
  • 問われるのは「当初から総額で贈与する計画があったか」という事実

定期贈与と連年贈与の違いを正しく理解する

「定期贈与」と「連年贈与」は、正式な法律用語ではありませんが、実務上は明確に区別されます。

区分内容課税の扱い
定期贈与毎年一定額を贈与するという約束(定期金給付契約)に基づく贈与。口約束でも成立。契約時点で一括課税(例:10年×100万円=1000万円に対して課税)
連年贈与毎年贈与しているだけで、たまたま10年間続いて合計1000万円になった贈与。毎年の贈与額で個別に計算。110万円以下なら非課税。

📌 ポイント

毎年100万円を10年間贈与した結果が同じ「合計1000万円」でも、最初から計画していたか(定期贈与)毎年その都度判断して贈与したか(連年贈与)によって、課税の扱いが全く異なります。連年贈与であれば年間110万円以下の贈与は非課税のまま問題ありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 定期贈与=最初から総額を決めた計画的な贈与→一括課税
  • 連年贈与=毎年その都度判断して行った贈与→年ごとに個別計算
  • 連年贈与であれば年間110万円以下は引き続き非課税

税務調査で否認されないための正しい対策3つ

連年贈与として適切に認められるために、実務上取り組むべき対策は以下の3点です。

  1. 事実関係を双方で明確にしておく
  2. 振り込みで証拠を残す
  3. 毎年贈与契約書を作成する

①事実関係を双方で明確にしておく
贈与は民法上、契約書がなくても「あげます・もらいます」という双方の意思表示だけで成立します。贈与税の税務調査が単独で行われることはほぼありませんが、相続税の税務調査などの際に確認されることがあります。その際、贈与者・受贈者ともに「毎年その都度判断して贈与した(連年贈与)」という説明ができるよう、事実関係を整理しておくことが重要です。

②振り込みで証拠を残す
現金での贈与も法律上は有効ですが、証拠が残りません。疑いをかけられるリスクを下げるためにも、必ず銀行振り込みで贈与を行い、入出金の記録を明確に残すことを強くお勧めします。

③毎年贈与契約書を作成する
毎年100万円を10年間続けた場合、「定期贈与ではないか」と疑われる可能性があります。しかし、家庭の所得状況や財産状況を踏まえて毎年相続税対策を見直しながら、その都度贈与額を決定し、毎年贈与契約書を作成しているという証拠があれば、連年贈与であることの説明が格段にしやすくなります。

📌 ポイント:確定日付について

贈与契約書に「確定日付」を公証人役場で取得する方法もあります。これは贈与契約書の日付を法律上有効なものとして証拠化する手続きです。ただし、税務調査において絶大な効力を持つとは言いがたく、気休め程度に考えておくのが現実的です。確定日付よりも、毎年の贈与契約書の作成と振り込みの記録の方が実務上重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 贈与者・受贈者ともに「毎年その都度判断した」という事実関係を整理しておく
  • 現金ではなく銀行振り込みで証拠を残す
  • 毎年贈与契約書を作成して連年贈与の証拠を積み上げる
  • 確定日付は気休め程度の効果しかないと理解しておく

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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