プラチナNISAとは?65歳以上限定制度の長所・落とし穴を税理士が解説
65歳以上限定の「プラチナNISA」は年金生活者を救うのか、それとも落とし穴があるのか?毎月分配型投資信託の仕組みとリスクを徹底解説します。
プラチナNISAとは何か?
突如として、65歳以上の高齢者を対象とする新たなNISAを導入するという情報が飛び込んできました。その名も「プラチナNISA」です。名前はプラチナカードのようにかっこいい響きですが、内容をしっかり理解しておく必要があります。
まず前提として、NISAとは「日本版インディビジュアル・セービング・アカウント(少額投資非課税制度)」のことです。株式投資をする場合、通常は証券会社で特定口座や一般口座を開設して取引し、配当金や売却益などの儲けに対して所得税合わせて約20%の税金がかかります。一方、NISA口座での取引であれば、一定の制限はあるものの、利益に対して税金が一切かかりません。
📌 ポイント:現行の新NISA(2024年〜)の概要
- 18歳以上であれば誰でも1人1口座開設可能
- 非課税期間は無期限
- 生涯非課税枠は最大1,800万円(成長投資枠は上限1,200万円)
| 枠の種類 | 年間投資上限 | 主な投資対象 |
|---|---|---|
| 積み立て投資枠 | 120万円 | リスクの低い投資信託が中心 |
| 成長投資枠 | 240万円 | 個別株・高配当銘柄・値上がり狙いの商品など |
| 合計(年間) | 360万円 | 両枠を組み合わせて活用可能 |
そして今回のプラチナNISAは、この新NISAとは別に65歳以上限定で設けられる新たな枠です。投資対象は毎月分配型のファンドが中心となる見込みです。ただし、現時点では以下の点が未確定です。
- 年間投資上限額
- 非課税期間(おそらく無期限になると予測)
- 生涯非課税枠の総額
- 新NISAとの併用可否(選択制になる可能性が高い)
導入スケジュールとしては、2025年12月末の税制改正大綱に盛り込まれる予定で、早ければ2026年からスタートする可能性があります。なお、従来の新NISAからのスイッチング(投資信託や株式を無税で移すこと)が1度だけできるというルールもあることから、おそらく新NISAかプラチナNISAの選択制になるだろうと考えられています。
📝 このセクションのまとめ
- プラチナNISAは65歳以上限定の新たなNISA制度(検討中)
- 投資対象は毎月分配型ファンドが中心になる見込み
- 早ければ2026年スタートの可能性がある
- 年間上限・非課税期間・生涯枠などは現時点で未確定
なぜ毎月分配型が対象なのか?政府の狙い
毎月分配型とはその名の通り、投資信託の収益の分配が毎月定期的に行われるものです。毎月お金が受け取れるため、年金の上乗せとして生活費の足しにできるという点が政府の狙いのようです。
一方で、2024年にスタートした現行の新NISA制度では、毎月分配型の投資信託は対象から除外されていました。その理由は、分配金を受け取るよりも再投資に回して元本に上乗せし、複利で資産を増やすという考え方が重視されたためです。毎月分配型はその方針に合わないとして外されていたのです。
📌 ポイント
現行の新NISAで毎月分配型が除外されているのは「複利運用で資産を増やす」という方針のため。プラチナNISAでは高齢者の生活費補助を目的に、あえて毎月分配型を中心に据えるという発想の転換が行われています。
📝 このセクションのまとめ
- 毎月分配型は年金の上乗せとして生活費の足しにできるのが政府の狙い
- 現行の新NISAでは複利運用の観点から毎月分配型は除外されていた
プラチナNISAのメリットとデメリット
プラチナNISAのメリットとデメリットを整理します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 毎月の分配金を受け取れるため、年金の上乗せ・生活費の足しにできる |
| デメリット① | 特別分配金(タコ足配当)のリスクがある |
| デメリット② | 長期で見ると資産を減らす可能性がある |
メリットはシンプルですが、デメリットの「特別分配金」というキーワードが非常に重要です。次のセクションで詳しく解説します。
📝 このセクションのまとめ
- メリットは毎月の分配金を生活費・年金の補完として受け取れること
- 最大のリスクは「特別分配金(タコ足配当)」による資産の目減り
最大の落とし穴「特別分配金(タコ足配当)」とは?
毎月分配型の投資信託そのものが問題なわけではありません。問題は「特別分配金」という仕組みです。
特別分配金とは、投資信託の元本の払い戻しを意味します。毎月分配を謳っているにもかかわらず、そのファンドの運用成績がいまいちで分配できるほどの収益が出ていない場合、投資家から集めた元本を取り崩して分配金として返してくるのです。
⚠️ 注意:タコ足配当の具体例
50万円の投資信託を購入し、毎月1,000円の分配金を受け取っていた。
しかし実際にそのファンドを解約してみると、元本は20万円しか残っていなかった——ということが起こりえます。
一見「分配金をもらっている」ように見えながら、実は自分のお金が返ってきているだけで、元本がどんどん減っているのです。
これを「タコ足配当」と呼びます。タコはお腹が空いたときに自分の足を食べると言われていることから、自分の元本を食い尽くしていくイメージです。
若い投資家であれば長期間で取り返せる可能性もありますが、プラチナNISAの対象は65歳以上の方です。老後の資金目当てで投資をしていた方にとって、毎月のお小遣いのように消費していた分配金が、実は元本の取り崩しだったということになりかねません。
📌 ポイント:特別分配金かどうかの見分け方
- 投資信託の名前に「毎月決算型」とついているものは要注意
- 過去の実績(運用報告書など)を確認すれば、特別分配金での支払いがあったかどうかがわかる
- 手数料(信託報酬)が高い商品ほどリターンが目減りしやすい
なお、毎月分配型の商品の中には、実力でしっかり収益を出して毎月分配しているものもあります。すべてが悪いわけではないので、過去の実績を徹底的にリサーチすることが重要です。
また、手数料(信託報酬)の低さも投資の鉄則です。現行の新NISAで人気の「eMAXIS Slim」シリーズのようなインデックスファンドは手数料が非常に安いことで知られています。プラチナNISAで選ぶ商品も、手数料の低さは必ず確認するようにしましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 特別分配金とは元本の払い戻しであり、収益の分配ではない
- 毎月分配金をもらいながら元本が激減する「タコ足配当」に要注意
- 商品選びでは過去の特別分配金の有無と手数料の低さを必ず確認する
その他の注意点:本当にプラチナNISAが必要か?詐欺リスクも
制度が実際にスタートした際には、まず「そもそも自分にプラチナNISAが必要かどうか」を考えることが大切です。
現行の新NISAは非常に優れた制度です。積み立て投資枠と成長投資枠の2つがあり、安全志向であれば全額を積み立て投資枠にすることもできます。しかも年間360万円という投資枠は、使い切れる方のほうが少ないほど大きな枠です。
⚠️ 注意:証券会社・銀行の勧誘と新手の詐欺に要注意
プラチナNISAがスタートすれば、証券会社や銀行がこぞって売り出してくることが予想されます。また、新手の投資詐欺も起こりうるため、勧誘に引っ張られないよう注意が必要です。プラチナNISAに興味がある方は、商品選択の際に徹底的なリサーチを行ってください。
具体的には、以下の2点を必ず確認するようにしましょう。
- 特別分配金での支払いがあるかどうか(過去の運用実績を確認)
- 投資信託の手数料(信託報酬)が低いかどうか
📝 このセクションのまとめ
- 現行の新NISAは年間360万円の枠があり、すでに十分優れた制度
- 証券会社・銀行の勧誘や投資詐欺に引っ張られないよう注意
- 商品選びは特別分配金の有無と手数料の低さを必ず確認
NISA口座の資産と相続税の関係
もう一つ重要な注意点として、相続発生時に残った投資信託は相続税の対象になるという点があります。
NISA口座の中で得られた運用益(配当金・売却益など)は非課税ですが、相続税はまったく別の計算方法が適用されます。ざっくり言うと、亡くなった時点の遺産総額に対してかかってきます。NISA口座の中にある資産も遺産に含まれますので、相続税は非課税ではありません。
📌 ポイント:相続税の基礎控除
相続税には基礎控除があり、3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)までは非課税です。
例:配偶者1人・子供2人(合計3人)の場合
3,000万円 +(3人 × 600万円)= 4,800万円 が非課税枠
遺産総額が4,800万円以内であれば相続税はかかりません。
相続税が実際にかかる方は少数ですが、事業をされていた方や資産家の方はこの点に注意が必要です。NISAと相続税の関係については別途詳しく解説した動画もありますので、気になる方はそちらも参考にしてください。
📝 このセクションのまとめ
- NISA口座内の運用益は非課税だが、相続税は別途かかる
- 相続税の基礎控除は「3,000万円 + 法定相続人数 × 600万円」
- 事業主・資産家は特に注意が必要
プラチナNISA導入の背景:老後資金は自己責任の時代へ
なぜ政府がこのタイミングでプラチナNISAを動かし始めたのかというと、老後資金の確保をほぼ国民の自己責任に押し付けようとする意図があるのではないかと考えられます。
近年の税制改正の流れを振り返ると、その方向性がよく見えてきます。
| 年度 | 制度改正の内容 |
|---|---|
| 2024年 | 新NISA導入(年間360万円、生涯1,800万円の非課税枠) |
| 2025年 | iDeCo(個人型確定拠出年金)の枠を拡充。上限が月7万5,000円まで引き上げ |
| 2026年(予定) | プラチナNISA導入(65歳以上対象・毎月分配型中心) |
NISAの枠拡大、iDeCoの枠拡充と、国が用意する老後資金の優遇制度はどんどん大きくなっています。裏を返せば、「老後の資金は自分で確保しなさい」というお国からのメッセージでもあります。
また、子供向けのNISA(かつてのジュニアNISAに相当するもの)の導入を求める動きもあります。金融経済教育推進機構(Jフレック)と連携して若年層の金融リテラシーを上げていく取り組みを促進するという方向性が出てきており、未成年にもNISA口座の開設を広げるという税制改正要望が出されているようです。
📝 このセクションのまとめ
- NISA拡充・iDeCo拡充・プラチナNISAは「老後資金の自己責任化」の流れ
- iDeCoの月額上限は2025年度改正で7万5,000円まで拡充
- 子供向けNISA(ジュニアNISA相当)の復活を求める動きも出てきている
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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