資産管理会社(プライベートカンパニー)設立の節税メリットを税理士が解説
資産管理会社を設立するだけで、税率55%が34%まで下がる可能性があります。
プライベートカンパニー(資産管理会社)とは何か
プライベートカンパニーとは、オーナーの資産管理を目的として設立する会社のことです。通常の会社が行うような企業活動を行わず、資産管理のための会社として存在するため、このように呼ばれています。
現金や株式、不動産などといった自らの資産を管理することが主な業務であるため、資産管理会社と呼ばれることもあります。最近は活用する人が増えており、富裕層の間ではプライベートカンパニーを持つことが常識になりつつあります。
📌 ポイント
プライベートカンパニーのメリットは富裕層だけに限った話ではありません。個人の方はもちろん、すでに会社を経営しているオーナー社長にも大きなメリットがあります。定められたルールの中できちんと申告した上で活用できる、合法的な節税手段です。
📝 このセクションのまとめ
- プライベートカンパニーはオーナーの資産管理を目的とした会社
- 現金・株式・不動産などの資産を管理するのが主な業務
- 富裕層の間では保有が常識になりつつある
個人と法人の税率差:なぜ資産管理会社が有利なのか
プライベートカンパニーを設立する最大の理由は、個人と法人の税率差にあります。個人と法人では税率や経費として申告できる範囲などに大きな違いがあります。
| 区分 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 個人(所得税) | 最大45% | 累進課税。課税所得4,000万円超の場合 |
| 個人(住民税) | 一律10% | 所得税と合算 |
| 個人合計 | 最大55% | 所得税+住民税の合計 |
| 法人(実効税率) | 約34% | 法人税・法人住民税・法人事業税の合計 |
例えば課税所得が4,000万円の場合、所得税の税率は45%、住民税10%と合わせると55%になります。一方、法人税の実効税率は約34%です。個人で受け取るか法人で受け取るかの違いだけで、税率に大きな差が生じます。
税率差以外にも、法人ならではのメリットが複数あります。
- 経費として計上できるものが多い
- 赤字を最大10年まで繰り越すことができる
- 小規模企業共済やセーフティ共済といった共済に加入できる
📝 このセクションのまとめ
- 個人の最大税率は所得税+住民税で55%、法人の実効税率は約34%
- 税率差だけで大きな節税効果が生まれる
- 経費範囲の拡大・赤字繰越・共済加入など法人特有のメリットも豊富
メリットがある3つのパターン
プライベートカンパニーを設立して節税メリットを得られる代表的なパターンは以下の3つです。
- 副業を行っているサラリーマン
- 相続税対策をしたい資産家
- 自社株の相続に悩むオーナー社長
それぞれのパターンについて、具体的な活用方法を詳しく見ていきます。
パターン①:副業を行っているサラリーマンの活用法
副業として不動産投資などを行っている場合、不動産所得は給与と合算して税金の計算が行われます。そのため、高収入のサラリーマンほど高い税率がかかってきます。
年収1,000万円を超えるようなサラリーマンが副業や資産運用を行う場合、資産管理会社を設立してそちらで運用を行うことで税率を低くできる可能性が高くなります。
さらに、以下の2つの大きなメリットがあります。
① 所得の分散による節税
個人の税金は収入の金額が大きいほど高くなります。すでにサラリーマンとしての収入がある本人がさらに追加で全額を給与として受け取るよりも、例えば無収入や低収入の配偶者に給与を渡して利益を分散した方が、全体で見た税金は少なくなります。
1人が高い税率で税金を支払うよりも、複数人で低い税率で税金を支払った方が家計全体の手取りが増えるということです。さらに、会社の利益を自分と配偶者に役員報酬として支払えば、損金として算入できますので、会社側の税金も減らすことができます。個人と会社の双方にメリットがあります。
② 経費にできる範囲が広がる
代表的なものとして役員社宅があります。法人名義で借りた物件を役員に社宅として貸し出した場合、法人の負担分は経費として計上できます。役員の住居を法人名義で契約して役員から一定額の家賃を徴収すれば、少なくとも家賃の50%を経費にすることができます。
| 家賃 | 経費計上できる金額(最低50%) | 年間の経費額 |
|---|---|---|
| 20万円/月 | 10万円/月 | 120万円 |
また、生命保険の扱いについても個人と法人では大きく異なります。
| 区分 | 生命保険料の扱い |
|---|---|
| 個人 | 経費計上不可。最大12万円の生命保険料控除のみ |
| 法人 | 一定の割合で経費計上が可能 |
加えて、赤字は最長10年繰り越すことができます。大きな損失が出た翌年度以降に節税しやすくなるため、特に資産運用では損することも結構ありますから、長期間の赤字繰越ができるのは大きなメリットです。
📝 このセクションのまとめ
- 年収1,000万円超のサラリーマンは資産管理会社での運用が有利
- 配偶者への所得分散で家計全体の税負担を軽減できる
- 役員社宅で家賃の50%以上を経費化でき、年間120万円超の経費を作れる
- 法人は生命保険料を一定割合で経費計上可能
- 赤字の最長10年繰越で資産運用の損失もカバーできる
パターン②:相続税対策としての活用法
見込みの遺産額が1億円を超えるようであれば、プライベートカンパニーの設立を検討する価値があります。
プライベートカンパニーを設立してそこから給与を親族に支払うことで、本来自分のものになるはずだったお金が親族に支払われます。これは所得税・住民税の節税という意味でも有効ですが、資産を自分から親族へ移転するという意味では相続税対策にもなります。
通常の生前贈与では贈与税の税率が最高55%になりますが、資産管理会社からの報酬という形で親族にお金を支払うと、より低い税率の所得税・住民税しかかかりません。また、親族への報酬は資産管理会社の経費にできますので、法人税も抑えられます。つまり、より多くのキャッシュを残して親族に渡すことができます。
📌 ポイント:相続税の納税資金対策
相続税は相続発生から10ヶ月以内に現金で一括納付する必要があります。キャッシュが用意できず、大事な土地や住んでいる建物を物納のために手放すような事態も起こり得ます。資産管理会社を通じて親族に資産を移転していくことで、相続時の納税資金を事前に準備でき、大事な家や不動産を手放さずに済む準備ができます。
相続争い(争族)の防止にも効果的
遺産相続はしばしば親族同士が争う「争族」になってしまうことがあります。特に不動産などの実物資産が遺産の大部分を占めると、不動産は物理的に分割できないため、相続人が複数いる場合に分割の難易度が非常に高くなり、争いに繋がりやすくなります。
これに対して、プライベートカンパニーに不動産を一括して所有させ(会社の持ち物にして)しまうと、株式という形で相続させることができます。株式であれば公平に分けやすいため、相続争いの防止にもなります。
📝 このセクションのまとめ
- 遺産見込み額が1億円超なら設立を検討する価値あり
- 親族への報酬支払いで生前贈与(最高税率55%)より低い税率で資産移転できる
- 相続税の10ヶ月以内現金一括納付に備えた納税資金を準備できる
- 不動産を会社に移して株式で相続させることで争族を防止できる
パターン③:オーナー社長の自社株対策としての活用法
オーナー社長にとって大きな課題の1つが、自社株の相続です。自社株を生前に親族に贈与することで相続税の節税を図ることは可能ですが、生前に自社株を親族に贈与する場合、経営権の確保に影響が出るという難点があります。
簡単に言うと、創業家内の内紛のような問題が起きることです。経営に悪影響を与えるリスクを考慮する必要があります。
このような場合に有効なのが、自社株を資産管理会社に移しておき、資産管理会社の株式を贈与するという方法です。この方法には以下のメリットがあります。
- 株式を贈与された親族も、自社株を簡単に換金することができない
- 相続が発生した場合でも対象となる資産はあくまで資産管理会社のものであるため、自社株が社外に流出するリスクがなくなる
- 経営権を安定的に確保した上で、自社株の相続対策を進めることができる
📌 ポイント
資産管理会社を設立することで経営権を安定的に確保できるのは、オーナー社長にとって非常に大きなメリットです。経営を守りながら自社株の相続対策を同時に進めることができます。
📝 このセクションのまとめ
- 自社株を直接贈与すると経営権に影響が出るリスクがある
- 自社株を資産管理会社に移し、その株式を贈与することで自社株の社外流出を防げる
- 経営権を確保しながら相続対策を進められる
プライベートカンパニーの設立手順
実際にプライベートカンパニーを作るには、以下の手順が必要です。
- 事業目的・資本金・株式会社にするか合同会社にするかなどを決める
- 法人用の印鑑を作成する
- 定款を作成する
- 資本金を代表者の個人口座に振り込む
- 法務局で設立登記の申請をする
- 社会保険や年金の手続きをする
株式会社と合同会社、どちらがいいか
最近は合同会社が増えてきていますが、プライベートカンパニーの場合はどちらが適切でしょうか。プライベートカンパニーはそもそも事業拡大を目指すものではないため、株式を発行して出資を募るようなことはあまり想定されません。
株式会社では重要な決定事項を株主総会を通さなければなりませんが、合同会社には株主総会のようなものがなく、組織内で迅速に意思決定ができます。意思決定の迅速さという点では合同会社の方が優れています。ただし、対外的な信用が必要であれば株式会社の方が一般的に信用力は高いとされています。
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 設立費用(登録免許税・収入印紙・公証人手数料等) | 約24万2,000円 | 約10万円 |
| 収入印紙代(電子定款なら不要) | 4万円 | 4万円 |
| 意思決定スピード | 株主総会が必要 | 迅速に決定可能 |
| 対外的な信用力 | 高い | やや低い |
| プライベートカンパニー向け | △ | ◎ |
📝 このセクションのまとめ
- 設立には定款作成・登記申請・社会保険手続きなど6つのステップが必要
- 設立費用は株式会社が約24万2,000円、合同会社が約10万円
- プライベートカンパニーには意思決定が速い合同会社が向いている
- 対外的な信用が必要なら株式会社を選択する
デメリットと設立すべき目安
プライベートカンパニーには様々なメリットがある一方で、デメリットも把握しておく必要があります。
主なデメリット
- 設立・運営に一定の費用と手間がかかる
- 決算が赤字でも法人住民税の均等割りを毎年支払わなければならない
- 法人として確定申告が必要になるため、人件費や税理士などの外注費がかかる
- 節税目的で作られたプライベートカンパニーは企業自体の価値が低くなる傾向があり、会社を売却・譲渡しようとしても買い手がつかない可能性が高い
⚠️ 注意
プライベートカンパニーは赤字でも法人住民税の均等割りが毎年発生します。また、法人の確定申告は個人よりも複雑なため、税理士への外注費などのランニングコストが継続的にかかります。設立前にこれらのコストを上回る節税効果があるかどうかを必ず試算してください。
設立すべき課税所得の目安
個人で払う税金と会社で払う税金、どちらが安いかで判断することが基本です。その基準となるのが課税所得900万円です。
| 課税所得 | 所得税+住民税 | 法人実効税率 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 900万円以下 | 低い(例:10%台) | 約34% | 個人のままの方が有利 |
| 900万円超 | 43%以上 | 約34% | 法人設立を検討する価値あり |
課税所得が900万円を超えると、所得税・住民税合わせて43%以上となり、法人の実効税率よりも負担が重くなります。このラインを超えたら法人の方が有利になります。
一方、所得税の税率が例えば10%台であれば、法人を設立しない方が個人のままの方が税率は低いため、設立はおすすめしません。
📌 ポイント:設立判断の目安
課税所得900万円超が、プライベートカンパニー設立を真剣に検討し始めるひとつの目安です。ただし実際には個々の状況によって異なるため、税理士への相談をおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- 設立・運営には初期費用とランニングコストが継続的にかかる
- 赤字でも法人住民税の均等割りは毎年支払いが必要
- 節税目的の会社は売却・譲渡時に買い手がつきにくい
- 課税所得900万円超が設立を検討する目安
- 所得税率が低い段階では個人のままの方が有利な場合もある
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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