問題社員への対処法|中小企業経営者が知っておくべき退職勧奨と解雇の違い

問題社員への対処法|中小企業経営者が知っておくべき退職勧奨と解雇の違い
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問題社員への対応は「解雇」より「退職勧奨」が原則。正しい手順を押さえてリスクを回避しましょう。

問題社員対応の2大ポイント

ルールを守らない、協調性に欠けるなど、問題社員への対応に悩む経営者は少なくありません。まず押さえておくべき基本ポイントは次の2つです。

  • 改善指導をきちんと行う:問題行動に対してまず指導・注意を重ねることが大前提
  • 解雇は最終手段:何度指導しても改善が見られない場合でも、いきなり解雇ではなく、まず退職勧奨を試みる

📌 ポイント

「問題があるからすぐ解雇」という対応は、法的リスクが非常に高い行為です。改善指導 → 退職勧奨 → 解雇という順序を守ることが、経営者自身を守ることにつながります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

改善指導は口頭だけでなく、書面(指導書・注意書)で記録を残すことが重要です。後の退職勧奨・解雇の場面で「指導の事実」を証明する証拠になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 問題社員への対応は「改善指導」が最初のステップ
  • 解雇は最終手段であり、その前に退職勧奨を試みるべき

就業規則・服務規程でルールを明確化する

問題社員への対応を適切に行うためには、事前に会社のルールを明文化しておくことが不可欠です。皆さんの会社にも服務規程(ふくむきてい)——就業規則の一部として、従業員が守るべき規律や行動基準を定めたルール——があるかと思います。

会社の方針や業種の特性に合わせてルールを明確に定め、従業員全員に周知することで、そのルールは労働契約として法的効力を持つものになります。

服務規程に定めるべき内容の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務手順・ルールを守ること
  • 問題が発生した場合はすみやかに報告すること
  • 職場の秩序を乱す行為の禁止

一見、当然のことのように見えますが、これらを明文化しておくことで、ルールを守れない従業員に対して根拠を持って注意・指導することができます。そして改善されれば、それが最も良い結果です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

常時10人以上の従業員を使用する事業場では、就業規則の作成・届出が労働基準法上の義務です。10人未満の場合も、トラブル防止のために整備しておくことを強くおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 服務規程でルールを明文化し、従業員に周知することが大前提
  • 周知されたルールは労働契約としての法的効力を持つ
  • ルール違反には根拠を持って注意・指導できる体制を整える

解雇と退職勧奨の違いを正しく理解する

問題社員への対応を検討する際に、解雇退職勧奨の違いを正確に理解しておくことが非常に重要です。

項目解雇退職勧奨
定義会社が一方的に労働契約を解除する行為会社が従業員に対して退職を勧める行為
従業員の意思イエス・ノーの余地なし(一方的)受けるか断るかを自由に決められる
理由の合理性高度な合理性が必要(ハードルが高い)高度な理由は不要
法的リスク無効と判断されると多額のバックペイが発生適切に行えば比較的リスクが低い
失業保険の扱い会社都合(給付制限なし)会社都合と同様(給付制限なし)

⚠️ 注意

解雇の有効性については、一般的な感覚よりも有効とされるハードルははるかに高いと考えてください。「問題があるから解雇できる」という判断は危険です。解雇が無効と判断された場合、訴訟で争った期間(1年〜1年半)の賃金相当額の支払いを命じられるケースがあります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

解雇には「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇(リストラ)」の種類があります。それぞれ有効要件が異なり、特に整理解雇には「4要件」と呼ばれる厳しい基準があります。種類を誤ると無効リスクが高まるため、社労士や弁護士への事前相談が不可欠です。

📝 このセクションのまとめ

  • 解雇は会社の一方的な契約解除。有効とされるハードルは非常に高い
  • 退職勧奨は「退職を勧める行為」に過ぎず、従業員は断ることができる
  • 退職勧奨による退職は失業保険上「会社都合」扱いとなり、給付制限がない

退職勧奨の正しい進め方・流れ

退職勧奨を行う際には、適切な順序と手続きを踏むことが重要です。以下の流れで進めましょう。

  1. これまでの指導経緯を説明する:「こういった指導を重ねてきたが、改善が見られなかった」という事実を伝える
  2. 退職を勧める旨を伝える:「退職をお勧めする」と明確に伝える
  3. 「解雇ではない」ことを明確に伝える:「これは退職を勧めているだけで、受けるか断るかはご自身の自由です。現時点で一方的に解雇する考えはありません」と明言する
  4. 退職一時金などの条件を提示する:複数回の勧奨が必要な場合は、条件を付けて進める
  5. 失業保険の扱いを説明する:退職勧奨による退職は会社都合扱いになることを伝え、決断の補助的な情報として活用する
  6. 合意書(書面)を取り交わす:最終的に合意に至ったら、「言った・言わない」のトラブルを防ぐために必ず書面で合意内容を残す

⚠️ 注意

退職勧奨を何度も繰り返すと「退職の強要」とみなされるリスクがあります。複数回行う場合は、退職一時金などの条件を付けながら進めることが円満解決のポイントです。また、面談の回数・時間・内容も記録しておきましょう。

💡 補足:動画では触れていませんが…

退職勧奨の面談には、必ず複数人(上司+人事担当者など)で臨むことをおすすめします。一対一では後から「強要された」と主張されるリスクがあるためです。また、面談時間が長時間に及ぶと強要と判断されやすいため、1回あたり1〜2時間程度を目安にしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職勧奨は「解雇ではない」ことを必ず明言する
  • 複数回行う場合は退職一時金などの条件を付けて進める
  • 合意に至ったら必ず書面(合意書)で残す

退職勧奨の実際の会話例

退職勧奨の場面では、従業員からの反応に応じて適切に対応することが求められます。以下に典型的なやりとりのイメージを示します。

従業員の反応会社側の対応
「これは解雇ですか?」「退職を勧めているだけです。受けるか断るかはご自身の自由で、現時点で一方的な解雇は考えていません」と明確に答える
「退職しません」と拒否する「わかりました。ただし、今後も改善が見られない場合は、昇給・昇進についても厳しい評価をせざるを得ません。退職勧奨に応じていただける場合は、会社として一時金の支給を考えています。今一度ご検討いただけませんか」と伝える
「一時金はいくらですか?」金額の折り合いをつけながら、円満解決に向けて交渉を進める

📌 ポイント

退職勧奨の場面で最も重要なのは、「解雇ではない」という点を明確に伝えることです。これを怠ると、従業員が「解雇された」と誤解し、後から不当解雇として争われるリスクがあります。また、退職勧奨に応じた場合の失業保険の有利な扱い(会社都合=給付制限なし)を説明することも、従業員の決断を後押しする重要な情報です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

自己都合退職の場合、失業保険の給付開始まで原則3ヶ月の給付制限がありますが、退職勧奨による退職(会社都合)の場合はこの制限がなく、待期期間(7日間)終了後すぐに受給できます。この違いは従業員にとって大きなメリットであり、退職勧奨に応じる動機になり得ます。

📝 このセクションのまとめ

  • 「解雇ではない」「受けるか断るかは自由」を必ず明言する
  • 退職一時金の提示と失業保険の有利な扱いの説明が円満解決の鍵
  • 金額の折り合いをつけながら交渉を進める

解雇を選ぶ場合のリスクと懲戒解雇との使い分け

退職時・退職前後には様々なトラブルが発生しやすい時期です。特に解雇を選択した場合のリスクは非常に大きいため、慎重な判断が必要です。

万が一、解雇が訴訟で争われ「解雇無効」と判断された場合、争っていた期間(例えば1年〜1年半)の賃金相当額の支払いを命じられるケースがあります。これが「バックペイ」と呼ばれる大きなリスクです。

問題の種類推奨される対応理由
能力不足・勤怠不良など退職勧奨での解決を目指す解雇の有効性が認められにくく、訴訟リスクが高い
横領・重大な不正行為など懲戒解雇も検討可能客観的な証拠があれば解雇の合理性が認められやすい

⚠️ 注意

退職させることを検討する前に、まず「指導・教育を尽くしたか」を必ず振り返ってください。指導の記録がなければ、解雇はもちろん退職勧奨の場面でも会社側の立場が弱くなります。懲戒解雇の事案(横領等)を除き、能力不足・勤怠不良などの問題は退職勧奨での解決を目指すべきです。

💡 補足:動画では触れていませんが…

懲戒解雇を行う場合も、就業規則に懲戒事由が明記されていること、適正な手続きを経ていることが要件となります。就業規則に規定がない懲戒解雇は無効になるリスクがあるため、事前に就業規則の整備が不可欠です。

📝 このセクションのまとめ

  • 解雇無効と判断された場合、1年〜1年半分の賃金相当額(バックペイ)を支払うリスクがある
  • 能力不足・勤怠不良などは退職勧奨で解決を目指すのが原則
  • 横領などの重大な不正行為は懲戒解雇の対象になり得る
  • いずれの場合も、事前の指導記録と就業規則の整備が前提

📋 この記事を読んだら次にやること

  1. 自社の就業規則・服務規程を確認し、問題行動に対応できる規定が整備されているか点検する
  2. 問題社員への指導履歴(日時・内容・指導者・本人の反応)を書面で記録する習慣をつける
  3. 退職勧奨・解雇を検討する前に、社労士や弁護士に相談して法的リスクを事前に確認する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル アップパートナーズ 経営力向上チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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