不動産所得の確定申告書の書き方を税理士が完全解説【青色・白色対応】
不動産所得の確定申告書を青色・白色申告別に、作成コーナーの操作手順から土地負債利子の計算まで完全解説します。
今回解説する内容と事例の概要
今回は確定申告書等作成コーナーを利用して、不動産所得の確定申告書の書き方を完全解説します。扱う内容は以下の3点です。
- 青色申告における不動産所得の決算書(青色申告決算書)の書き方
- 白色申告における決算書(収支内訳書)の書き方
- 不動産所得が赤字の場合に計算が必要な「土地等を取得するために要した負債の利子の額」の解説
今回取り上げる事例の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所有不動産① | 賃貸マンション1室(令和4年3月取得・賃貸開始) |
| 月額家賃 | 15万円 |
| 礼金 | 15万円 |
| 所有不動産② | 駐車場3台分 |
| 月額駐車場代 | 6万円(3台合計) |
| 更新料 | 3万円 |
取得した賃貸マンションの詳細は以下の通りです。
| 項目 | 金額・内容 |
|---|---|
| 構造 | 鉄筋コンクリート造 |
| 建物取得価額 | 1,000万円 |
| 土地取得価額 | 2,000万円 |
| 借入金額 | 2,500万円(年利1%) |
| 固定資産税 | 10万円 |
| 火災保険料 | 3万円 |
| 修繕費 | 5万円 |
| 管理会社手数料 | 12万円 |
📝 このセクションのまとめ
- 今回は賃貸マンション1室+駐車場3台という事例で解説する
- 建物1,000万円・土地2,000万円・借入2,500万円という前提
- 青色申告・白色申告・土地負債利子の3点を順に解説する
確定申告書等作成コーナーへのアクセスと初期設定
ブラウザで「確定申告書等作成コーナー」と検索し、該当ページを開いてください。初めて作成する方は「作成開始」ボタンを押します。
作成方法はいくつかありますが、最もおすすめなのは「スマートフォンを使用してe-Tax」という方法です。マイナンバーカードさえあればICカードリーダーライターが不要なので、この方法で進めることをおすすめします。
- 「令和4年分の申告書等の作成」を選択する
- 「決算書・収支内訳書」→「所得税」を選択する
- 「連携しないで申告書等を作成する」を選択して次へ進む
- 事前にマイナポータルアプリをインストールしておき、QRコードを読み取る
- スマホ側で利用者証明用電子証明書の4桁パスワードを入力し、マイナンバーカードを読み取る
- パソコン側で「読み取り完了」ボタンを押し、表示された情報を確認する
📌 ポイント
表示された情報が古い・間違っている場合は、一番下の「訂正・変更」ボタンで修正してください。問題なければ「申告書等を作成する」ボタンを押して進みます。
次の画面「作成する決算書・収支内訳書の選択」で、青色申告の方は「青色申告決算書」を選択します。白色申告の方は後述の収支内訳書のセクションを参照してください。
📝 このセクションのまとめ
- スマートフォン+マイナンバーカードでのe-Tax申告が最もおすすめ
- マイナポータルアプリを事前にインストールしておくこと
- 青色申告は「青色申告決算書」、白色申告は「収支内訳書」を選択する
青色申告決算書の入力手順(収入・経費・減価償却)
「不動産所得がある方」の入力画面に進み、まず収入から入力していきます。
【賃貸マンションの収入入力】
- 種別:貸家(貸付等のベース)から該当するものを選択
- 用途:住宅用など適切なものを選択
- 不動産の所在地を入力(賃借人の住所と同一の場合は「不動産所在地と同一」を押せば自動入力)
- 賃借人の氏名・賃貸契約期間(年月のみ、日は不要)・貸付面積を入力
- 賃貸料:月額15万円、年額は令和4年3月から10か月分なので150万円
- 礼金:15万円を入力
- 権利金・更新料・名義書換料・改良費の収入があれば入力
- 保証金・敷金の預かりがあれば金額を入力(所得計算には直接関係しない)
【駐車場の収入入力】
「続けてもう1件入力」を押し、駐車場についても同様に入力します。
- 種別:貸地(駐車場)を選択
- 所在地・賃借人の住所・氏名・契約期間・貸付面積(3台分)を入力
- 賃貸料:月額6万円、年額72万円(6万円×12か月)
- 更新料:3万円を入力
収入の入力が終わったら「次へ進む」を押し、続いて必要経費を入力します。
【必要経費の入力】
| 経費の種類 | 科目名 | 金額 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 租税公課 | 10万円 |
| 火災保険料 | 損害保険料 | 3万円 |
| 修繕費 | 修繕費 | 5万円 |
| 管理会社手数料 | 支払手数料 | 12万円 |
| 借入金利子 | 借入金利子 | 25万円 |
【減価償却費の入力】
⚠️ 注意
土地部分は非償却性資産のため減価償却できません。入力するのは建物部分のみです。土地の取得価額(2,000万円)は入力しないでください。
「建物・車両・機械備品等(定額法)」を選択し、以下の内容を入力します。
| 入力項目 | 入力内容 |
|---|---|
| 減価償却資産の種類 | 建物及びその付属設備 |
| 名称 | マンション(任意) |
| 面積 | 50㎡ |
| 取得年月日 | 令和4年3月 |
| 取得価額 | 1,000万円(建物部分のみ) |
| 耐用年数 | 47年(鉄筋コンクリート造) |
| 本年中の償却期間 | 10か月(令和4年3月〜12月) |
| 事業専用貸付割合 | 100%(全て他人に賃貸) |
入力内容を確認すると、今期に計上できる減価償却費として183,334円が計算されます。
【借入金利子の入力】
金融機関からの借り入れの場合、借入先の住所・氏名を個別に記載する必要はありません。「金融機関への借入金利子のうち必要経費算入額合計」の欄に25万円を一括で記載すればOKです。
その下に「土地等を取得するために要した負債の利子の額」の入力欄がありますが、今回の事例は黒字のため、この欄への入力は不要です。この計算方法については後のセクションで詳しく解説します。
📝 このセクションのまとめ
- 収入は不動産ごとに1件ずつ入力する(マンション・駐車場それぞれ)
- 減価償却は建物部分のみ入力。土地は非償却性資産なので入力不要
- 鉄筋コンクリート造の耐用年数は47年、個人事業主は定額法を選択
- 今回の事例では減価償却費183,334円が計上できる
青色申告特別控除の選択と申告書への引き継ぎ
経費の入力が終わると「不動産の貸付は事業として行われたものですか?」という質問が出てきます。これは5棟10室基準に関する確認です。
📌 5棟10室基準とは
不動産の貸付が「事業的規模」と認められる基準です。
- 戸建て:5棟以上貸していれば事業的規模
- マンション等:10室以上貸していれば事業的規模
今回の事例はマンション1室+駐車場3台のため基準に満たず、「いいえ」を選択します。
事業的規模でない場合、青色申告特別控除の最大額は10万円となります。「10万円」を選択してください。
続いて「事業に係る仕訳帳・総勘定元帳について、優良な電子帳簿の要件を満たして…」という質問は、通常「いいえ」を選択して問題ありません。また「引き続き貸借対照表を作成しますか」という質問も、10万円控除の場合は貸借対照表の作成が不要なため「いいえ」を選択してください。
「次へ進む」を押すと、所得の金額・青色特別控除の金額・最終的な不動産所得の金額が表示されます。
送信方法の選択画面では、上の「作成コーナーから所得税の確定申告書を一緒に作成する」を選択して次へ進むことをおすすめします。これにより、青色申告決算書で入力した結果が確定申告書に自動的に引き継がれます。
⚠️ 注意
入力データは必ずこまめに保存してください。画面上の「入力データを保存する」ボタンを都度押す習慣をつけましょう。
帳票表示・印刷ボタンから作成された青色申告決算書を確認できます。確認すべきページは以下の通りです。
- 1・2ページ目:収入・経費の集計、不動産所得の収入内訳
- 3ページ目:減価償却資産の内訳
- 4ページ目:貸借対照表(今回は空欄で構わない)
📝 このセクションのまとめ
- マンション1室+駐車場3台は5棟10室基準を満たさないため「事業的規模でない」
- 事業的規模でない場合の青色申告特別控除は最大10万円
- 10万円控除の場合は貸借対照表の作成不要(「いいえ」を選択)
- 入力完了後は確定申告書作成画面に結果を引き継いで続きを作成する
白色申告における収支内訳書の記載方法
白色申告の場合は、最初の選択画面で「収支内訳書」を選択して「次へ進む」を押します。入力の流れは青色申告と基本的に同じですが、いくつか異なる点があります。
【収入の入力】
賃貸マンション・駐車場それぞれについて、青色申告と同様に入力します。入力項目は種別・用途・所在地・賃借人情報・契約期間・貸付面積・賃貸料・礼金・更新料などです。
【経費の入力】
減価償却費の入力内容は青色申告と同様です。建物のみ(取得価額1,000万円・耐用年数47年・償却期間10か月・貸付割合100%)を入力し、計算結果183,334円を確認します。
⚠️ 注意(白色申告の修繕費)
白色申告では修繕費を詳細に記載する必要があります。支払先の住所・氏名・工事の名称(例:補修工事)・支払年・支払金額を、支払先から発行された領収書をもとに入力してください。全額を他人に貸し付けている物件の場合、「左のうち必要経費算入額」は100%(5万円)となります。
その他の経費は以下の通り入力します。
| 経費の種類 | 科目名 | 金額 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 租税公課 | 10万円 |
| 火災保険料 | 損害保険料 | 3万円 |
| 借入金利子 | 借入金利子(金融機関への借入金利子のうち必要経費算入額合計) | 25万円 |
| 管理会社手数料 | 支払手数料 | 12万円 |
「土地等を取得するために要した負債の利子」の入力欄も白色申告の画面に表示されますが、今回は黒字のため入力不要です。赤字の場合は入力が必要になるので注意してください。
収入と経費の入力が終わると不動産所得の金額が表示されます。納税地情報・氏名・提出先税務署を確認し、「次へ進む」を押してください。
送信方法の選択では上の方法を選び、帳票表示・印刷ボタンから収支内訳書を確認します。収支内訳書は2枚構成です。
- 1枚目:不動産所得の収入の内訳
- 2枚目:減価償却資産の内訳・減価償却費の詳細・修繕費の詳細・貸付不動産の状況(マンション1室・駐車場3台が記載される)
📌 ポイント
収支内訳書の確認が終わったら入力データを保存し、「所得税の申告書の作成はこちら」を押してください。これにより、今まで入力した収支内訳書の計算結果が確定申告書の第1票・第2票に引き継がれます。
📝 このセクションのまとめ
- 白色申告は「収支内訳書」を選択して入力する
- 修繕費は白色申告では支払先情報も含めて詳細に記載が必要
- 収支内訳書は2枚構成で、2枚目に減価償却・修繕費・貸付不動産の状況が記載される
- 確認後は必ず確定申告書の作成画面に結果を引き継ぐ
不動産所得が赤字の場合:土地等を取得するために要した負債の利子の計算
青色申告・白色申告どちらの入力画面にも登場した「土地等を取得するために要した負債の利子の額」について、詳しく解説します。
⚠️ 注意
この計算が必要になるのは不動産所得が赤字の場合のみです。黒字の場合は計算不要です。また、建物と土地それぞれの借入額が明確に分かっており、それぞれの利息金額が分かる場合もこの計算は不要です。
【この規定が設けられた背景】
不動産所得が赤字の場合、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算することができます。損益通算とは赤字と黒字を相殺することです。たとえば不動産所得でマイナス100万円、給与所得300万円であれば、300万円-100万円=200万円を所得として計算でき、税金の還付を受けられる場合があります。
しかし、土地等を取得するために起こした借入金の利息については、損益通算の対象とはなりません。この部分は経費として認められないということです。
これはバブル時代の名残の規定です。バブル期には借り入れを起こして土地だけを購入し、借入金利息などの経費で意図的に赤字を作り、その赤字を給与所得などと損益通算して税金の還付を受けるスキームが流行しました。当時は土地価格がどんどん上がっていたため、たとえ不動産投資で赤字が出ても将来の値上がり益でその損失を大きく上回る利益が見込めたためです。この節税スキームを封じるために設けられた規定が、現在も残っています。
【計算方法の事例】
先ほどの事例をもとに計算方法を説明します(赤字の場合を想定)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 土地取得価額(A) | 2,000万円 |
| 建物取得価額(B) | 1,000万円 |
| 借入金総額 | 2,500万円 |
| 利息総額 | 25万円 |
考え方は次の通りです。まず借入金2,500万円は建物の取得に優先的に充てられたと考えます。建物取得価額は1,000万円なので、2,500万円のうち1,000万円は建物に充てられました。残りの2,500万円-1,000万円=1,500万円が土地に充てられたと考えます。
この1,500万円部分の利息が「土地等を取得するために要した負債の利子の額」となります。
📌 計算式
土地等を取得するために要した負債の利子の額
= 利息総額 × (借入金総額 − 建物取得価額) ÷ 借入金総額
= 25万円 × 1,500万円 ÷ 2,500万円 = 15万円
さらに重要な注意点があります。この金額には不動産所得の赤字額が上限となります。
- 不動産所得の赤字が15万円超の場合:計算された15万円がそのまま損益通算できない金額となる
- 不動産所得の赤字が10万円の場合:上限は10万円(赤字幅が少ない場合はその赤字幅が限度)
これは損益通算を防ぐための規定なので、赤字がなくなれば損益通算できない部分もなくなるという考え方です。よって、この負債の利子の額は赤字部分が限度となっています。
📝 このセクションのまとめ
- 土地等を取得するために要した負債の利子の計算が必要なのは、不動産所得が赤字の場合のみ
- 計算式:利息総額 ×(借入金総額 − 建物取得価額)÷ 借入金総額
- 計算結果の金額は不動産所得の赤字額が上限となる
- この規定はバブル時代の節税スキームを封じるために設けられ、現在も残っている
- 建物・土地それぞれの借入額と利息が明確に分かる場合はこの計算は不要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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