還付申告は3月15日を過ぎてもOK?税理士が解説する7つのケースと落とし穴
3月15日を過ぎても申告できる「還付申告」。しかし、油断すると節税チャンスを失い、ペナルティが発生する落とし穴があります。
確定申告と還付申告の違い
そもそも確定申告とは、個人のメインの税金である所得税について、自ら集計・計算をして金額を申告し、納付まで行うことを指します。
また、地方税である住民税はサブの税金として位置づけられており、皆さんの所得税の確定申告の結果に基づいて、地方自治体が自動的に計算する仕組みになっています。
📌 確定申告の義務がある主なケース
- 年収が2,000万円を超えている
- 会社員で、給与・退職所得以外の所得(副業など)が年間20万円超
- 会社役員で自分の会社から貸付金の利子や不動産収入がある
- 年金収入が400万円超
- 個人事業主・フリーランスで黒字が出て税額が発生する
⚠️ 注意:住民税の申告基準は異なります
所得税の確定申告は副業収入が20万円超から義務となりますが、住民税には金額基準がありません。1円でも儲けが出れば住民税については申告が必要です。これは非常によくある勘違いなので注意してください。
上記のいずれにも該当しない方は確定申告の義務はありませんが、申告した方がお得になる場合があります。それが「還付申告」です。
還付申告は、その名の通り税金が返ってくるような申告のことで、申告期限は通常の3月15日ではなく、その年の翌年1月1日から5年間となっています。たとえば令和5年分であれば、令和10年末まで申告可能です。
⚠️ 大前提:前払いした税金がなければ還付はゼロ
会社員を前提とした場合、すでに源泉徴収された税金がなければ、いくら還付申告をしても税金は返ってきません。還付申告を考える前に、まず前払いしている税金があるかどうかを必ず確認しましょう。前払いの税金がなければ、返ってくる税金もありません。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告は所得税を自ら計算・申告・納付する手続き
- 住民税は確定申告の結果を基に自治体が自動計算する
- 還付申告の期限は翌年1月1日から5年間
- 還付を受けるには源泉徴収などで前払いした税金が必要
今からでもできる!還付申告の7つの典型ケース
期限後でも申告できる還付申告の代表的なケースを7つ紹介します。自分に当てはまるものがないか確認してみてください。
| No. | ケース | 適用される控除 |
|---|---|---|
| ① | 医療費を年間10万円超支払った | 医療費控除 / セルフメディケーション税制 |
| ② | 住宅ローンを組んでマイホームを購入した(1年目) | 住宅ローン控除 |
| ③ | 地方自治体や学校などに寄付した | 寄付金控除 |
| ④ | ふるさと納税のワンストップ特例を失敗した | ふるさと納税控除(確定申告で救済) |
| ⑤ | 年度途中で退職・年末調整漏れがある | 各種所得控除の適用 |
| ⑥ | 株の赤字・配当との損益通算や配当控除を受けたい | 損益通算・繰越控除・配当控除 |
| ⑦ | 災害・盗難・横領の被害に遭った | 雑損控除 |
各ケースの詳細解説
① 医療費控除・セルフメディケーション税制
生計を一にする家族の分も含めて、年間の医療費が10万円を超えた場合に医療費控除を受けることができます。ただし、必ずしも10万円が基準ではありません。所得が200万円未満の方は、所得の5%を超える分が医療費控除の対象となります。
また、薬局などで特定の医薬品(OTC医薬品)を年間1万2,000円超購入した場合は、セルフメディケーション税制を利用して所得控除を受けられる可能性があります。こちらも要チェックです。
② 住宅ローン控除(1年目のみ確定申告が必要)
住宅ローンを組んでご自宅を購入した場合、住宅ローン控除を受けることができます。1年目は必ず確定申告が必要で、2年目以降は勤務先の年末調整で対応できます。控除の申告を忘れている方がたまにいるので注意してください。なお、住宅ローン控除は年々改正されており、控除額が縮小傾向にある一方、子育て世帯については優遇措置が設けられています。
③ 寄付金控除
ふるさと納税とは別枠で、地方自治体やお子さんが通う学校などへ寄付した場合は、寄付金控除を受けることができます。せっかく寄付したのに税制上の優遇を受けないのはもったいないので、寄付金の受領証明書を準備して申告しましょう。
④ ふるさと納税のワンストップ特例をミスった場合
ふるさと納税のワンストップ特例は、寄付先が5箇所以内であれば確定申告不要で控除が受けられる便利な制度です。しかし、次のような場合は自動的には適用されません。
- 寄付先が6箇所以上になってしまった
- ワンストップ特例の申請書の提出期限(翌年1月上旬)を忘れた
このような場合でも、確定申告をすることでふるさと納税の控除をリベンジできます。一種の救済措置として活用してください。
⑤ 年度途中退職・年末調整漏れ
11月など年の途中で退職し、その後就職していない場合は、源泉徴収されたままで年末調整が行われず、税金を多く払いすぎているケースがあります。また、年末調整後にご家族が増えた場合や、年末調整で書類の出し忘れがあった場合も、確定申告でリベンジできます。税金の還付を受けられる可能性が高いので、ぜひ申告してみてください。
⑥ 株の赤字・配当との損益通算・配当控除
株式投資では「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していると確定申告の義務はありませんが、申告した方がお得になる場合があります。
- 複数口座の損益通算:片方の口座で赤字、もう一方で黒字が出ている場合、申告することで通算でき、約20%の税金の一部または全部の還付を受けられる
- 繰越控除:赤字が大きければ確定申告によって翌年以降最長3年間繰り越せる(未来の節税)
- 配当控除:確定申告をするだけで、配当金の最大10%の控除を受けられる(売却益には適用されない)
⑦ 災害・盗難・横領の被害
災害や盗難、横領などの被害に遭った場合は、雑損控除を受けることができます。能登半島地震のような大規模災害の被害に遭われた方も対象となりますので、申告を忘れないようにしましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 医療費控除は家族分も含め年間10万円超(所得200万未満は所得の5%超)が対象
- 住宅ローン控除の1年目は確定申告が必須
- ふるさと納税ワンストップ失敗でも確定申告で救済可能
- 株の赤字は申告することで損益通算・最長3年の繰越控除ができる
- 災害・盗難・横領の被害は雑損控除の対象
実は大きな落とし穴!還付申告のデメリット
「還付申告は5年間有効だからのんびりしていい」と思っていると、思わぬ損や罰則につながる場合があります。以下の2つのデメリットは特に重要です。
デメリット①:住民税の通知到着前に申告しないと節税チャンスを失う
住民税の計算・通知は、皆さんの年末調整または確定申告の結果に基づいて、大体5月〜6月に届きます。会社員の方は勤務先に、自営業の方はご自宅に届きます。
もし還付申告が遅れていた場合、この住民税の計算に反映されないことがあります。例えば次のようなケースです。
⚠️ 住民税への反映漏れが起きるケース
- 住宅ローン控除:所得税から控除しきれない分は一定要件のもと住民税からも控除される特典があるが、還付申告が遅れると住民税に反映されない
- ふるさと納税のワンストップ失敗:確定申告が住民税の計算に間に合わないと、ふるさと納税の控除が住民税に反映されない
3月15日を少し超える程度であれば住民税に反映される可能性もありますが、申告が遅れれば遅れるほど処理漏れのリスクが高まります。
📝 このセクションのまとめ
- 住民税の通知は毎年5〜6月に届く
- 還付申告が遅れると住宅ローン控除・ふるさと納税の住民税への反映が漏れる可能性がある
- 節税チャンスを失わないためにも、できるだけ早く申告することが重要
デメリット②:所得の計上漏れがあると「期限後申告」扱いになりペナルティが発生
これが最も重大な落とし穴です。具体的な事例で説明します。
たとえば、会社員の方が「医療費がたくさんあったので還付申告をしよう」と思い、4月頃にのんびり申告したとします。医療費控除だけであれば全く問題ありません。
しかし、実は副業の儲けがあったことを計上していなかった、あるいは仮想通貨の利益があることを忘れていた、そしてその金額が20万円を有に超えていたという場合はどうなるでしょうか。
⚠️ 所得の計上漏れがあった場合のペナルティ比較
| 申告の状況 | 適用されるペナルティ | 加算税率 |
|---|---|---|
| 期限内に申告したが所得の計上漏れがあった(故意でない) | 過少申告加算税 | 本税の10%〜15% |
| 期限後に申告した(還付申告のつもりが期限後申告扱い) | 無申告加算税 | 本税の15%〜20% |
| 副業収入などを意図的に隠していた | 重加算税 | 本税の35%〜40% |
「還付申告だから大丈夫」と思っていても、所得の計上漏れがあった場合はそもそも確定申告義務ありとなります。期限を過ぎて申告すると「期限後申告」扱いとなり、より重いペナルティが課されます。
このようなリスクがあるからこそ、「還付申告は5年間有効だから」とのんびりするのではなく、できる限り3月15日までに通常の確定申告と同様に申告を終えておくことを強くお勧めします。
📌 確定申告ボイコットは絶対NG
「裏金問題があるから確定申告をボイコットする」というキーワードがSNSで話題になることがありますが、これはデメリットが非常に多い行為です。税務上のペナルティが積み重なるリスクがあるため、絶対に避けてください。
📝 このセクションのまとめ
- 副業収入・仮想通貨利益などの計上漏れがあると、還付申告のつもりでも「期限後申告」扱いになる
- 期限後申告には無申告加算税(15〜20%)が課される
- 意図的な隠蔽には重加算税(35〜40%)という重いペナルティがある
- 確定申告はできるだけ3月15日までに済ませることが安心
まとめ:還付申告も早め申告が賢い選択
還付申告の期限は5年間ありますが、「期限があるから後回し」という考え方はリスクを招きます。仕事を早めに終わらせることで、事業の収益や所得もそれに比例して高くなっていく傾向があります。
ギリギリではありますが、前倒しの申告を意識して、安心して過ごせるようにしていただければと思います。
📌 還付申告・確定申告の最終チェックリスト
- 源泉徴収などで前払いした税金があるか確認する
- 医療費・住宅ローン・ふるさと納税・株の損失など、控除の対象がないか見直す
- 副業・仮想通貨・不動産など、計上漏れの所得がないか確認する
- 住民税への反映漏れを防ぐため、できるだけ早く申告する
- 不安な点は税理士に相談する
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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