所得税の確定申告をしなくても住民税の申告だけはすべき人を税理士が解説

所得税の確定申告をしなくても住民税の申告だけはすべき人を税理士が解説
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所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告をしないと家族全員に支障が出る場合があります。

なぜ住民税の申告が重要なのか

所得税の確定申告をしなかった人は要注意です。所得税の確定申告をしなくても、住民税の申告だけはした方がいい人がいらっしゃいます。

なぜかというと、世帯に未申告の人が1人でもいると、市区町村が行っている支援や減免等を受けられなくなってしまうからです。世帯全員に支障が出てしまいます。

📌 ポイント

住民税の申告は「自分だけの問題」ではありません。世帯の中に1人でも未申告の人がいると、国民健康保険料の軽減や住民税非課税世帯の認定など、世帯全員が受けられる支援に影響が出ます。

📝 このセクションのまとめ

  • 住民税の申告は所得税の確定申告とは別に必要な場合がある
  • 未申告のまま放置すると世帯全員の行政サービスに影響が出る

住民税の申告をしなくていい人

まず「住民税の申告をしなくていい人」から確認しましょう。以下に該当する人は、改めて住民税の申告をする必要はありません。

  • 税務署に所得税の確定申告をした人
  • 所得が給与所得だけで、勤務先から給与支払報告書が市区町村に提出されている人
  • 収入が公的年金等だけの人
  • 収入がなかった人(ただし後述の注意あり)

1つ目:税務署に所得税の確定申告をした人については、税務署からお住まいの市区町村に同様の情報が送られる仕組みになっています。この仕組みによって、所得税の確定申告をすれば市区町村にも申告をしたとみなされますから、改めて住民税の申告をする必要はありません。

⚠️ 注意

逆はダメです。住民税の申告をしても、所得税の確定申告をしたことにはなりません。この点を混同しないよう注意してください。

2つ目以降は、所得税の確定申告をしなかった人を対象にした内容になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要(情報が市区町村に共有される)
  • 住民税申告→所得税申告とはみなされないため、逆方向の代替はできない

給与所得者が注意すべきポイント

所得が給与所得だけの人で、勤務先から給与支払報告書が市区町村に提出されている場合は、住民税の申告は不要です。複数の勤務先がある場合でも、すべての勤務先が給与支払報告書を提出していれば住民税の申告は不要です。

給与支払報告書は、パートでもアルバイトでも、給与を支払ったら市区町村に提出しなければならない義務があります。唯一の例外は、退職者で年間支払額が30万円以下の人だけで、この場合は提出を強制されません。

⚠️ 注意

まれに給与支払報告書を提出していない事業者もいます。特にパートやアルバイトの人の給与支払報告書を提出していない事業者が見受けられます。パートやアルバイトの方は、給与支払報告書が提出されていない可能性がある場合は、住民税の申告をしてください。

また、給与所得だけでなく他に所得がある人は住民税の申告が必要です。所得税では給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要とされていますが、住民税にはこのような特例はありません。

税目給与所得以外が20万円以下の場合
所得税確定申告不要(特例あり)
住民税申告が必要(特例なし)

📝 このセクションのまとめ

  • 勤務先が給与支払報告書を市区町村に提出していれば住民税申告は不要
  • パート・アルバイトは報告書が未提出のケースがあるため要確認
  • 給与以外の所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要

公的年金受給者が注意すべきポイント

日本年金機構などの公的年金支払者から公的年金等支払報告書が市区町村に送付されるため、収入が公的年金等だけの人は住民税の申告は不要です。

ただし、公的年金等の他に所得がある人は住民税の申告が必要です。所得税では、公的年金等の収入金額が400万円以下かつ公的年金等以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要とされていますが、住民税にはこのような特例はありません。

税目公的年金以外の所得が20万円以下の場合
所得税確定申告不要(年金収入400万円以下の場合)
住民税申告が必要(特例なし)

⚠️ 注意:「20万円以下申告不要」の特例は確定申告しない人限定

所得税の「20万円以下申告不要」の特例は、所得税の確定申告をしない人に限っての特例です。医療費控除などで確定申告をする場合は、この特例は適用されません。確定申告をする場合は、20万円以下の所得も合わせて申告しなければなりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 公的年金のみの収入なら住民税申告は不要
  • 年金以外の所得があれば20万円以下でも住民税申告が必要
  • 「20万円以下申告不要」の特例は確定申告をする場合には適用されない

収入がなかった人こそ住民税の申告を

収入がなかった人や、遺族年金・障害年金等の非課税所得しかなかった人は、住民税の申告は法律上は不要です。

しかし、収入がなかった人こそ、ぜひ住民税の申告をしてください。給与や年金の支払報告書が提出されている人と違い、収入がなかった人が未申告のままだと支障が出てきます。

📌 ポイント

非課税証明書や所得証明書が必要になってから慌てて申告をしたとしても、申告してもすぐには発行されません。必要になる前に、あらかじめ住民税の申告をしておくことが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 収入がなくても住民税申告をすることで「収入がない」という事実を市区町村に伝えられる
  • 証明書が必要になってから申告しても即日発行されないため、事前申告が重要

未申告が影響する国民健康保険料と高額療養費

住民税の申告をしていないと、国民健康保険料の計算や軽減措置に影響が出ます。ここでは東京都目黒区を例に説明します。

国民健康保険料は市区町村によって計算方法や保険料が異なりますが、目黒区の場合、保険料は以下の3区分で構成されています。

  • 基礎分(医療分)
  • 後期高齢者支援金分
  • 介護分

それぞれに所得割額均等割額があります。所得割額は「算定基礎額」に保険料率を掛けて計算されます。目黒区の保険料率は3区分を合計すると11.41%です。

📌 算定基礎額とは

前年中の総所得金額等から、所得控除のうち基礎控除だけを差し引いた金額です。この計算には世帯全員の所得が基準になります。

世帯の中に1人でも住民税の申告をしていない人がいると、正しい国民健康保険料を計算できません。さらに均等割の軽減も受けられなくなります。総所得金額等が低い世帯は、その金額に応じて以下の減額を受けられますが、世帯全員の所得が分からなければ減額は一切されません。

軽減割合対象
7割軽減世帯の総所得金額等が低い世帯
5割軽減世帯の総所得金額等が中程度の世帯
2割軽減世帯の総所得金額等がやや低い世帯
軽減なし世帯に所得不明の人がいる場合(最高負担額)

高額療養費についても同様です。世帯全員の所得が必要で、算定基礎額(世帯全員の総所得金額等から基礎控除額を差し引いた金額の合計額)に応じて自己負担限度額が決定されます。住民税非課税世帯が最も自己負担が少なくなりますが、1人でも所得不明の人がいる世帯は最高負担額になってしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 国民健康保険料は世帯全員の所得を基に計算されるため、未申告者がいると正しく計算できない
  • 均等割の7割・5割・2割軽減は、世帯全員の所得が把握できないと適用されない
  • 高額療養費の自己負担限度額も世帯全員の所得で決まるため、未申告者がいると最高負担額になる

住民税非課税世帯の認定と103万円の壁への誤解

住民税非課税世帯は、給付金や医療・介護サービスなど様々な支援を受けられます。しかし、世帯全員が住民税非課税と判定されなければ、住民税非課税世帯にはなれません。

住民税が非課税になる所得の基準は、お住まいの地域によって異なります。東京都23区を例にすると以下の通りです。

家族の状況住民税非課税となる合計所得金額の上限
家族を扶養している人35万円 × (本人+扶養家族の人数)+ 31万円 以下
家族を扶養していない人45万円 以下

例えば2人家族の場合、夫の合計所得金額が10万円以下、妻は45万円以下というのが一例です。

この例で妻のパート収入が103万円の場合を考えてみましょう。合計所得金額は「給与収入103万円 − 給与所得控除額55万円 = 48万円」になります。所得税の基礎控除48万円を差し引くと0になるため所得税は課税されません。

⚠️ 「103万円まで非課税」は住民税には当てはまらない

住民税が非課税になるのは合計所得金額が45万円以下の場合です。給与収入ベースでは100万円以下が目安です。パート収入が103万円では住民税が課税されます。「103万円までは非課税だから大丈夫」と思っている人は注意してください。

このように、市区町村ではその世帯の収入状況・所得状況等によって保険料の決定や減免等の支援・行政サービスを行っています。ここでご紹介した以外にも様々な支援があります。ですから、収入がなくても住民税の申告をして収入がないことを知らせておかないと、支障が出てきてしまいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 住民税非課税世帯になるには世帯全員が住民税非課税と判定される必要がある
  • 東京都23区では扶養なしで合計所得金額45万円以下(給与収入100万円以下)が住民税非課税の目安
  • 「103万円まで非課税」は所得税の話であり、住民税の基準は異なる
  • 収入がない場合でも申告して「収入がない」ことを市区町村に伝えることが大切

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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