老後の医療費は約400万円|保険営業の脅しに負けない知識を税務専門家が解説

老後の医療費は約400万円|保険営業の脅しに負けない知識を税務専門家が解説
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「老後の医療費が大変なことになりますよ」という保険営業の言葉、鵜呑みにしていませんか?実際の数字をロジカルに確認すると、民間医療保険の必要性が見えてきます。

「老後の医療が大変」と言っているのは誰か?

「保険に入らないと老後の医療が大変なことになりますよ」——この言葉を口にするのは、保険会社の人、つまり保険営業マです。果たしてそれは本当なのか、ロジカルに解明していきましょう。

確かなことは、その歌い文句で保険に入りすぎてしまっている人がかなり多いということです。多くのケースで、老後に備えるための民間の保険はいらない、ということがロジカルに考えると分かってきます。

📌 この記事の定義

  • 老後:65歳以上〜亡くなるまで
  • 医療費①:窓口で自己負担する治療費
  • 医療費②:公的医療保険(健康保険)の保険料

先に極論を言ってしまえば、老後65歳以上から亡くなるまでの医療費がいくらかかるか分かっていて、それがすでに用意できている場合は民間の保険料は全くいらないわけです。ただ、誰にも正確には分からないので、過去のデータからこれぐらいかかりそうだね、だからこれぐらい蓄えておけば大丈夫だね、という話をしていきます。

📝 このセクションのまとめ

  • 「老後の医療が大変」と言うのは保険を売りたい保険営業マ
  • 老後の医療費=公的保険料+窓口治療費の2種類
  • 必要額が用意できているなら民間保険はいらない

老後に払う公的保険料:65歳〜亡くなるまでの2段階

まず覚えておきたい新しい用語が後期高齢者医療制度です。この国では現役中は国民健康保険料、もしくは厚生年金保険料(会社員・公務員)に入っていきます。65歳以上は大体の方が引退するので国民健康保険料に集約されていくのですが、75歳以上になると全員が後期高齢者医療制度へ移行します。

つまり老後に払う公的保険料は2段階に分かれています。

年齢加入する制度目安の月額期間計
65〜74歳(10年間)国民健康保険約1.1万円(東京・年金月収20万円の場合)約130万円
75歳〜亡くなるまで(約14年)後期高齢者医療制度7,192円(令和7年度見込・厚労省)約120万円

75歳からの余命については、厚生労働省の簡易生命表によると、男性は75歳から平均10.13年、女性は15.74年。間を取ると約13.9年、つまりおよそ14年という想定になります。

📌 ポイント:公的保険料の合計

65〜74歳の約130万円+75歳〜亡くなるまでの約120万円合計約250万円が、老後に払う公的保険料の目安です。

なお、国民健康保険料は年収が増えれば上がり、地方に行くと一般的に下がります。住む場所によってかなり変わるため、上記はあくまで目安の金額です。

📝 このセクションのまとめ

  • 老後の公的保険料は65〜74歳の国民健康保険と75歳以上の後期高齢者医療制度の2段階
  • 合計すると老後の公的保険料は平均約250万円
  • 75歳からの平均余命は男女平均で約14年

老後の窓口治療費:公的制度で自己負担は抑えられる

医療費といえばこちらのイメージが強いと思いますが、窓口で払う治療費についても見ていきましょう。年を追うごとに医療費は増えていきますが、この国では自己負担額がそんなに上がらないような設計になっています。

65〜74歳(国民健康保険)の自己負担は原則3割です。さらに高額療養費制度があり、一般的な所得の方だと月額の窓口負担上限は約6万円、低所得者の方だと1万5,000〜2万5,000円程度が上限になります。

75歳以上(後期高齢者医療制度)になると、窓口負担がさらに下がります。現行制度では収入に応じて3段階に分かれています。

区分年収の目安窓口負担割合
現役並み所得者年収383万円超3割負担
一定以上の所得者年収200万円〜383万円2割負担
一般・低所得者年収200万円未満1割負担

大体70%以上の方が1割負担になっていると言われています。この国の公的医療というものがいかに手厚く、自己負担額が少なくなるよう設計されているかが分かります。

では、老後65歳以上〜亡くなるまでに窓口で払う治療費は平均いくらになるのでしょうか。厚生労働省「医療保険に関する基礎資料(令和4年度版)」によると、自己負担額の65〜84歳までの合計平均は156万円となっています。

📌 ポイント:窓口治療費の平均

65〜84歳の約20年間で、窓口での自己負担合計は平均156万円(厚生労働省データより)。月々に均すと約6,500円程度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 65〜74歳は3割負担+高額療養費制度で月上限約6万円
  • 75歳以上は1〜3割負担で、約70%の人が1割負担
  • 65〜84歳の窓口負担合計平均は156万円

老後の医療費トータルは「約400万円」という現実

ここまでの数字を合算してみましょう。

費用の種類金額(平均)
公的保険料(国民健康保険+後期高齢者医療制度)約250万円
窓口での自己負担治療費約156万円
合計約406万円(≒約400万円)

これが「大変なことになりますよ」と保険営業マが言ってくるときの平均的な金額の実態です。まず最低限これぐらいのことを知った上で、「大変なことになりますよ」という言葉を受け止めなければなりません。何も分からずに「大変です」と言われたら、それは大変だと思ってしまいますよね。

この400万円を大変じゃないと思う人もいれば、大変だと思う人もいます。ただ確かなことは、この400万円を握りしめて老後を迎えていれば医療保険は必要ないということです。何かあった時に自分の貯金から出していけばいいわけですから。

⚠️ 注意:民間医療保険の使い勝手の悪さ

民間の医療保険は使い勝手が悪く、ただの通院だったら保険金が出ないこともありますし、入院でも1日目から出ないこともあります。つまり、老後の窓口負担156万円のうち、全部が民間保険でカバーできるわけでは絶対にありません。

さらに、400万円という金額は65歳から84歳まで約20年間の合計です。月々に均すとせいぜい1万〜1万5,000円程度です。その程度の支出を賄える貯金・資産形成をしておくために民間保険料を削るという選択肢が最もベターだと言えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 老後の医療費トータル平均は公的保険料250万円+窓口負担156万円=約400万円
  • 月々に換算すると1〜1.5万円程度の備えで対応できる水準
  • 400万円を準備できているなら民間医療保険は不要

保険の本質:「低確率×高額損失」にかけるもの

保険シリーズからの文脈として、そもそも保険はどんなところにかけるべきかという話を整理しましょう。この国では公的医療保険や公的なお金の制度が発達しすぎていて、とにかく手厚いです。では民間保険はどこにかけるのかというと——

📌 民間保険をかけるべき対象の条件

  • 低確率で起こるもの
  • かつ、起こってしまったら人生が破綻するレベルの高額損失になるもの

例:確率は極めて低いが、発生したら1億円かかるような事態

これを老後の医療費に当てはめるとどうなるでしょうか。

チェック項目老後の医療費の実態民間保険に向いているか
発生確率高確率(年を追うごとに病気・通院・入院の確率は上がる)❌ 向いていない
金額の大きさ平均約400万円(月1〜1.5万円程度)❌ 向いていない

高確率で起こるものは、そもそも保険で補填する対象から外れます。さらにその金額が400万円であれば、向こう30年あれば貯められる金額です。民間の医療保険に払っている保険料をやめて、貯金や資産形成に回せば十分に貯められる金額だと言えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 民間保険は「低確率×高額損失」に備えるもの
  • 老後の医療費は「高確率×約400万円」なので民間保険の対象として不向き
  • 民間保険料を貯金・資産形成に回す方がベター

保険会社のビジネスモデルから見えてくること

保険会社側の都合についても見ておきましょう。保険会社の商品は保険ですから、保険を売ることで利益が出なければなりません。利益が出る保険商品とはどういうものかというと——

  • たくさんの人が保険料を払ってくれる
  • 保険事故の確率が低く、保険金を渡すことが少ない

保険事故がたくさん起こって年がら年中保険金を渡していたら利益は残りませんから、そういったものは保険商品になりません。では、なぜ老後の医療保険のような商品が存在するのかというと、たくさん保険料が集まる一方で、保険金を渡すことが比較的少ないからです。これは逆説的に、老後の医療費が「保険事故」として認定されにくいことの証拠にもなります。

📌 保険の本質:宝くじと同じ構造

買った側が必ず儲かる宝くじはありませんし、売った側が必ず儲かるパチンコもありません。保険も同じです。保険料を払って必ず儲かる保険は絶対に存在しません。何百人も保険料を払っている中で、1〜2人が保険事故に遭って「入っておいて良かった」となる一方、ほとんどの人は保険料の払い損になります。それが保険会社のビジネスモデルとして成立する仕組みだからです。

📝 このセクションのまとめ

  • 保険会社は「保険事故が少ない=利益が出る」商品しか販売できない
  • 老後の医療保険が存在すること自体、保険金が出にくい商品であることの証拠
  • ほとんどの契約者は払い損になる構造

懸念点と「現金最強」論:それでも不安な人へ

もちろん懸念点がたくさんあることは十分承知しています。だからといって「民間の医療保険は老後に備えるために絶対に必要ありません」と断言するつもりはありません。考慮すべき懸念点を整理しておきましょう。

懸念点裏返しの視点
インフレが進んで医療費が上がる可能性医療の概念自体が変わり、通院・入院・手術がスタンダードでなくなる可能性もある
少子高齢化で高額療養費制度が廃止・縮小される可能性(実際に2025〜26年での廃止案もあった)現状は維持されており、廃止は現時点では回避されている
平均額の何倍もの医療費がかかるかもしれない個人差医療技術の進歩で治療コストが下がる可能性もある

特に医療そのものの概念が変わる可能性は重要です。私たちが老後を迎える頃に「通院」「入院」「手術」がスタンダードでなくなっていれば、「通院日額いくら」「入院日額いくら」「手術をしたらいくら」という民間保険の給付は全部もらえなくなります。

こうした不確実性を考えたとき、最も自分を支えてくれる武器になるのは現金です。現金は何にでも対応できます。一方、保険は保険事故にしか対応できません。「それは保険事故に該当しませんよね」と言われたらそこで終わりです。

📌 ポイント:保険より現金が強い理由

  • 現金はあらゆる事態に対応できる
  • 保険は「保険事故」と認定された場合にしか使えない
  • 400万円は30年かけて貯められる現実的な金額
  • 民間保険料を削って貯金・資産形成に回せば十分に達成できる

もちろん、自分の年収や資産形成では到底届かない金額——例えば10億円かかるような事態——については保険に頼るしかありません。ただ、老後の医療費は平均400万円です。ロジカルな数字を一度頭で理解した上で、自分の家計に当てはめて考えることがとても重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • インフレ・制度変更・個人差などの懸念点は存在する
  • 一方で医療の概念変化など「保険が使えなくなるリスク」もある
  • 不確実性への最強の備えは「現金(貯金・資産形成)」

保険営業の「脅し」に負けないための知識武装

保険営業マは保険を売ったら自分の収入になるから頑張って売ります。そして心ない保険営業マというのが実際にいて、詐欺同然・ぼったくり同然という人もいます。そういった人たちのせいで業界全体が悪く見られてしまうのは困ったことですし、本当にお客様のためだけを思う誠実な保険営業マも事実います。

ただ、悪いところは目立ちます。そして悪質な営業マは「老後のための医療保険に入っていないと大変なことになりますよ」と脅してきます

⚠️ 注意:脅し営業に屈してはいけない

そもそも脅す時点で、営業手法として終わっています。それでも多くの人が負けてしまうのは、不安だし、知識がないからです。知識をしっかり蓄えて、そういった脅しや変な営業手法に負けないようにしましょう。

今回解説したロジカルな数字——老後の医療費は平均約400万円、月々1〜1.5万円程度——を知っているだけで、「大変なことになりますよ」という言葉への受け止め方がまったく変わります。

📝 全体のまとめ

  • 民間保険は「低確率×高額損失」に備えるもの。老後の医療費はその定義に当てはまらない
  • 老後の医療費平均は公的保険料250万円+窓口負担156万円=約400万円
  • 月々に均すと1〜1.5万円程度で、貯金・資産形成で十分対応できる水準
  • 民間保険料を削って貯金・資産形成に回すことが最もベターな選択
  • 知識を武装することで、脅し営業に負けない判断力が身につく

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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