労災保険の基礎知識と申請の流れを徹底解説|専門家がわかりやすく紹介

労災保険の基礎知識と申請の流れを徹底解説|専門家がわかりやすく紹介
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労災保険は全ての雇用者が対象。万が一に備えて認定の流れと手続きを確認しよう。

労災保険とは?基本的な仕組みを理解しよう

労災保険とは、会社に雇われているすべての人が加入する保険です。正社員だからとか、パート・アルバイトだからとか、派遣社員だからという区別はありません。雇用形態に関わらず、会社に雇われている人は全員が対象になります。

保険料については、雇われている側(従業員)は一切負担しなくてよく、全額会社が負担してくれます。この点だけ見ても、非常に手厚い保険だということがわかります。

保証が発生するのは、業務中の怪我を原因として病院に行った場合や、休業しなければならない場合などです。医療費は全額負担、休業の場合は給料の8割が補償されます。

📌 ポイント

労災保険の対象外となるケースもあります。公務員には労災保険はありませんが、類似する制度があるためほぼ同等の補償を受けられます。また、フリーランス・個人事業主は「雇われていない」ため、原則として労災保険の対象外です。ただし、職種によっては「特別加入制度」を利用して労災保険に加入できる場合があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 労災保険は雇用形態に関わらず、雇われている人全員が対象
  • 保険料は全額会社負担で、従業員の負担はゼロ
  • 医療費全額補償、休業時は給料の8割が支給される
  • 公務員は類似制度あり、フリーランスは原則対象外(特別加入制度あり)

労働保険・健康保険との違いを整理する

労災保険を正しく理解するために、関連する保険との違いを整理しておきましょう。まず「労働保険」は、労災保険と雇用保険を合わせた総称です。

保険の種類保険料の負担補償の対象
労災保険会社が全額負担業務中・通勤中の怪我・病気
雇用保険会社と従業員が負担(従業員の割合は少ない)失業時の生活保障など
健康保険会社と従業員が負担業務内外を問わずいつでも医療費の補助

特に重要なのが労災保険と健康保険の違いです。健康保険は業務中・業務外を問わず、いつでも医療費の補助(自己負担3割)が受けられます。一方、労災保険は業務中の怪我や病気が起因となる療養の場合に限り、医療費が全額補償されます。

⚠️ 注意

この「労災保険と健康保険の違い」は、後の手続きで非常に重要になります。業務中の怪我で病院に行く際に、誤って健康保険を使ってしまうと手続きが2度手間になります。詳しくは後述の「病院での手続き」セクションを確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 労働保険=労災保険+雇用保険
  • 健康保険はいつでも3割負担、労災保険は業務中・通勤中の怪我が対象で全額補償
  • 業務中の怪我に健康保険を使うと2度手間になるので注意

労災認定の3つのケース|業務災害・通勤災害・精神疾患

労災として認定されるケースは、主に以下の3つに分類されます。労働基準監督署が審査・認定を行います。

  • 業務災害
  • 通勤災害
  • 精神疾患

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①業務災害|業務中の怪我・病気はすべて確認を

業務災害とは、業務中に起きた怪我や事故・病気が対象です。労働基準監督署が審査・認定します。具体的な事例としては以下のようなものがあります。

  • 建設作業中に熱中症になった
  • 建設作業中に落下物で怪我をした
  • パソコンの使いすぎで腱鞘炎になった

📌 ポイント

「さすがにこれは労災にならないだろう」と自分で判断してしまうのは禁物です。業務中に起きた怪我や病気は、意外なものでも認定される可能性があります。まずは労働基準監督署や厚生労働省の相談ダイヤルに相談することが基本です。補償の取り漏れがないよう、自己判断せずに専門機関に確認しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 業務中の怪我・病気は幅広く労災認定の対象になりうる
  • 自己判断せず、労働基準監督署や厚生労働省の相談ダイヤルに問い合わせる

②通勤災害|認定されるケース・されないケースの違い

通勤中に怪我をした場合も労災認定の対象になります。会社に向かう途中または会社から帰宅する途中に起きた怪我が対象です。

ケース認定の可能性理由
通勤中の駅の階段で転倒した認定される可能性が高い自宅敷地外・直接経路上での怪我
会社から車で帰宅中に事故を起こした認定される可能性が高い直接経路上での事故
マンション(自宅)の階段を降りている時に転倒した認定されない可能性が高い自宅の敷地内での怪我のため
帰宅途中に飲み屋に寄り道した後、飲み屋を出てから怪我をした認定されない可能性が高い直接経路を逸脱した後の怪我のため

通勤災害として認定されるポイントは、「自宅の敷地を出ていること」「直接経路上であること」の2点です。自宅のマンションの敷地内での転倒は、たとえ通勤途中であっても認定されない可能性が高いです。また、帰宅途中に飲み屋などへ寄り道をした場合、飲み屋を出た後の道での怪我は通勤中とは認められない可能性が限りなく低いと考えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 通勤・帰宅途中の怪我は労災認定の対象になりうる
  • 「自宅敷地外」かつ「直接経路上」であることが認定のポイント
  • 自宅の敷地内や、寄り道後の帰り道での怪我は認定されない可能性が高い

③精神疾患|長時間労働・パワハラによる労災認定の基準

精神疾患も労災認定の対象となります。主なケースは以下の2つです。

【ケース1】長時間労働による精神疾患

「極度の長時間労働を原因とする精神疾患」として認定されるには、かなり厳しい基準があります。

📌 ポイント

発病直前の1ヶ月間に概ね160時間以上の時間外労働(残業)をした場合が、「極度の長時間労働」の目安として示されています。なお、過労死認定の基準が月80〜100時間程度であることと比較すると、精神疾患の労災認定基準はそれよりも厳しい水準です。ただし、この極度の長時間労働以外のケースでも認定される場合があります。厚生労働省のページに詳細がまとめられているので確認してみてください。

【ケース2】パワハラによる精神疾患

パワハラを理由とした精神疾患の労災認定は、2020年6月に新たに設けられた制度です。パワハラを受けて精神疾患を発症した場合が対象となります。

認定にあたっては、発病の直前6ヶ月程度の期間が対象となります。パワハラの認定は労働基準監督署が最終的に判断するため、会社と協力・相談しながら書類を提出し、説明を行っていく流れになります。

⚠️ 注意

精神疾患を理由に労災認定を申請する場合、ご本人がすでに精神疾患を患っている状態です。1人で手続きを進めることはかなり苦しいため、この情報をご家族と共有し、会社とも連携して、一緒に手続きを進めていくことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 長時間労働による精神疾患:発病直前1ヶ月に概ね160時間以上の残業が目安
  • パワハラによる精神疾患:2020年6月から認定対象、発病直前6ヶ月程度が対象期間
  • 精神疾患の申請は1人で行わず、家族・会社と連携して進める

労災認定の流れと病院での手続き方法

実際に労災が発生した場合の手続きの流れを確認しておきましょう。

  1. 業務中または通勤中に怪我・事故が発生する
  2. 会社に相談・報告する
  3. 会社または従業員が労働基準監督署に書類を提出する
  4. 労働基準監督署の認定を待つ
  5. 認定後、病院に書類を提出して医療費の補償を受ける

病院での手続きについては、労災認定が降りている場合まだ降りていない場合で対応が異なります。

状況病院での対応
労災認定の書類がすでにある場合書類を病院に提出すれば、その場で医療費の支払いが不要になる
書類が間に合わない場合(緊急搬送など)いったん10割負担で自己立替し、後で労災認定を受けて返金してもらう

⚠️ 注意

書類が間に合わない場合でも、絶対に健康保険を使って3割負担で支払ってはいけません。労災保険と健康保険は別の制度です。健康保険で支払ってしまうと、「健康保険から労災保険への切り替え手続き」と「労災認定後の返金手続き」という2度手間が発生してしまいます。書類が間に合わない場合は10割負担で立て替え、後から返金を受けるのが正しい手順です。

📝 このセクションのまとめ

  • 労災発生→会社に報告→労働基準監督署に書類提出→認定待ち→病院に書類提出の流れ
  • 書類が間に合わない場合は10割負担で立て替え、後から返金を受ける
  • 業務中の怪我に健康保険を使うと2度手間になるため絶対に避ける
  • この知識はご家族とも共有しておくことが重要

知識を家族と共有することが最大の備え

労災保険に関する知識は、知っているかどうかで補償の受け方が大きく変わります。最悪の場合、労災認定できる怪我であったにもかかわらず、普通に自分で医療費を全額払ってしまったというケースも起こりえます。

また、怪我や事故によって自分自身が動けない状態になることもあります。そのような有事の際に、ご家族が「これは労災認定の対象だ」と判断して手続きを進められるよう、この記事の内容を大切な人と共有しておくことが非常に重要です。

📌 ポイント

労災保険の知識まとめ:

  • 雇用形態に関わらず、雇われている人全員が対象
  • 保険料は全額会社負担
  • 業務中・通勤中の怪我・病気が補償対象(医療費全額、休業時は給料の8割)
  • 認定は労働基準監督署が行う
  • 病院では健康保険を使わず、書類提出または10割立替→後日返金の流れ
  • 自己判断せず、まずは労働基準監督署や厚生労働省の相談ダイヤルへ

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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