相続・贈与

二次相続で失敗しないための対策6選|相続税プロが具体的に解説

二次相続で失敗しないための対策6選|相続税プロが具体的に解説
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二次相続は一次相続より税負担が大きくなりやすい。早めの対策で家族全体の相続税を最小限に抑えよう。

一次相続と二次相続とは何か

相続は元より複雑なものですが、最初の相続(一次相続)から次に発生する二次相続は、一次相続よりさらに複雑で難しいものになってきます。しっかりと理解をしておかないと、大きな税金の負担につながりかねません。しかし、問題を把握し早めに適切な対策を取ることで、相続税を必要以上に多く負担せずに済みますし、相続人同士での争いなどトラブルをなくすことができます。

一次相続とは、亡くなった方の財産を受け継ぐことです。一方、二次相続とは、その後に一次相続で相続人であった人が亡くなることで発生する相続のことを指します。

📌 具体例でイメージしよう

  • 一次相続:父が亡くなり、母と子供たちが相続人となるケース
  • 二次相続:その後に母が亡くなり、子供たちが相続人となるケース

多くの方が見落としがちなのですが、二次相続は支払う相続税の合計に大きな影響を及ぼす可能性があります。不動産などの高価な資産を保有しているなど財産が多い場合は、特にその影響は無視できません。だからこそ、一次相続の時点で二次相続に備えた計画を立てておくことは非常に重要となってきます。

以下の表で、配偶者と子供1人のケースを例に、一次相続・二次相続それぞれの税額の違いを確認してみましょう。遺産総額が大きければ大きいほど、二次相続での税額負担が大きくなることがわかります。

遺産総額一次相続(配偶者が全額相続)の税額二次相続(子供が相続)の税額合計税額
少額配偶者控除により0円または少額比較的少額少額
大きい配偶者控除により0円または少額大幅に増加大きな負担

📝 このセクションのまとめ

  • 二次相続とは、一次相続の相続人(多くは配偶者)が亡くなった際に発生する2回目の相続
  • 遺産総額が多いほど、二次相続の税負担が大きくなりやすい
  • 一次相続の段階から二次相続を見据えた計画が不可欠

二次相続で相続税が増える3つの理由

なぜ二次相続で相続税が増えるのでしょうか。理由はいくつかの要因がありますが、ここでは特に重要な3つのポイントに焦点を当てて解説していきます。

理由① 配偶者控除が使えなくなる

一次相続において配偶者が相続人となることが一般的であり、その際は大抵、大幅な税額軽減となる配偶者控除を適用して申告することになります。しかし二次相続が発生した場合、残された配偶者は大抵再婚をせずに相続を迎えますから、当然この配偶者控除は適用されません。

理由② 小規模宅地等の特例の要件が厳しくなる

個人の居住用宅地を相続する場合、小規模宅地等の特例を適用することで評価額を80%減額することができます。配偶者が個人の居住用宅地を相続する場合、配偶者であること以外の要件はありません。これにより一次相続の相続税負担を軽減することができます。

しかし、配偶者が亡くなり二次相続が発生した場合、宅地を相続した人が満たさなくてはならない要件が厳しいため、満たせないことも多く、二次相続での相続税の負担が大きくなる可能性があります。

理由③ 基礎控除額が減少する

相続税計算における基礎控除は、相続財産全体から差し引かれる金額のことを指します。基礎控除の計算式は以下のとおりです。

📌 基礎控除の計算式

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続のタイミング相続人の構成基礎控除額
一次相続(父が死亡)母・子供2人(計3人)4,800万円(3,000万円+600万円×3人)
二次相続(母が死亡)子供2人(計2人)4,200万円(3,000万円+600万円×2人)

配偶者の死亡によって基礎控除額が減るため、結果的に子供たちの1人当たりの相続税の負担が増加する可能性があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 二次相続では配偶者控除が使えず、税額が増えやすい
  • 小規模宅地等の特例の適用要件が厳しくなる
  • 相続人が減ることで基礎控除額も減少する

遺産分割シミュレーション:分け方で税額はこれだけ変わる

一次相続・二次相続における遺産分割は、将来の税負担に大きな影響を与えます。ここでは、父・母・子供2人の4人家族で遺産総額が2億円のケースを例に、遺産分割のシミュレーションを見ていきましょう。母は相続した財産を使わずにそのまま残していた前提で比較します。

ケース一次相続(父が死亡)の分割一次相続の税額二次相続(母が死亡)の税額合計税額
ケース①
母が全額相続
母:2億円
子供:0円
配偶者控除により0円子供が2億円を相続→大きな負担最も多い
ケース②
母1.6億円・子供各2,000万円
母:1億6,000万円
子供:各2,000万円
母:0円
子供:課税あり
母の1億6,000万円に課税中程度
ケース③
母1億円・子供各5,000万円
母:1億円
子供:各5,000万円
母:0円
子供:課税あり
母の1億円に課税最も少ない

📌 シミュレーションのポイント

ケース③(母1億円・子供各5,000万円)が、一次相続・二次相続を通じて全体の税額を最も少なく抑えることができます。配偶者と子供たちに遺産が分散され、1人当たりの相続額が抑えられることで、各人の税負担が軽減されるのが理由です。

一次相続で子供が相続した方が、一次相続・二次相続を通しての税額を低く抑えられます。

配偶者と子供たちの将来の税負担を考慮した遺産分割を行うことが、賢明な相続計画の鍵となります。

📝 このセクションのまとめ

  • 一次相続で配偶者に全財産を相続させると、二次相続の税負担が最大になりやすい
  • 一次相続の段階で子供にも一定額を相続させることで、全体の税額を抑えられる
  • 遺産を分散させることが、家族全体の税負担軽減につながる

対策① 生前贈与の活用

二次相続の税負担を軽減する一つの方法として、生前贈与の活用が挙げられます。これは亡くなる前に財産を事前に移転していくことで、相続税の額を抑える戦略です。

生前贈与では、毎年110万円までの贈与税の基礎控除を利用して、段階的に財産を移転することが可能です。

⚠️ 注意:税制改正による加算期間の拡大

最新の税制改正によって、相続税の課税対象となる生前贈与の加算期間が、死亡前3年から死亡前7年へと段階的に拡大されることが決定しました。これは2024年1月1日以降の贈与から適用されます。生前贈与を行う際には、この新しいルールを考慮して長期的な計画が必要となります。

相続税の節税効果を最大限に生かすためには、7年以上前から贈与を開始し、計画的に財産を移転していくことを推奨します。このような対策を取り入れることで、二次相続時の税負担を大幅に軽減することが期待できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 毎年110万円の基礎控除を活用した生前贈与が有効
  • 2024年1月以降、加算期間が3年から7年に拡大
  • 節税効果を最大化するには7年以上前からの計画的な贈与が必要

対策② 配偶者の資産増加を抑制する

二次相続で配偶者に大量の資産を相続させると、二次相続時の税負担が増大します。例えば、配偶者に全財産を相続させると、一次相続では配偶者控除の恩恵で税負担は少なくなりますが、配偶者が亡くなった際に子供たちが直面する二次相続の税金は大幅に増える可能性があります。

📌 有効な対策

配偶者に相続させる資産を抑えて、子供たちへの生前贈与を行うなど、資産を上手に分ける計画を立てることが有効です。このように配偶者の資産増加を抑制することで、家族全体の税負担を最小限に抑えることができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 配偶者への相続額を最小限に抑えることが、二次相続対策の基本
  • 子供への生前贈与と組み合わせることで効果が高まる

対策③ 生命保険の非課税枠を活用する

生命保険金には、500万円 × 法定相続人の数の非課税枠が適用されます。これにより、相続税の基礎控除額を超える資産を生命保険金として受け取ることができ、相続税の負担を軽減することが可能です。

  • 非課税枠が適用されるため、相続財産を圧縮できる
  • 預貯金のように口座が凍結されることなく現金を手にすることができる
  • 相続時の納税資金として活用することも可能

相続対策においては、終身保険であれば高齢であったり病があっても比較的加入しやすいため、終身保険を中心に検討してみるのが良いでしょう。

⚠️ 保険金の受け取り人は「子」に設定する

一次相続において、保険金の受け取り人は子供にしておいた方が良いです。配偶者には配偶者控除があるため、最終的に税額が発生しないことも多いからです。

📝 このセクションのまとめ

  • 生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人数)を最大限に活用する
  • 終身保険は高齢・有病でも加入しやすく相続対策に向いている
  • 一次相続では受け取り人を子供に設定するのが原則

対策④ 評価額の低い財産を子供に相続させる

配偶者は配偶者控除によって税額が軽減されることが明らかですが、評価額を下げることのできる財産は配偶者以外の人が相続する方が税負担が少なくて済むことになります。

例えば、個人の自宅敷地を子供が相続する場合に小規模宅地等の特例を適用できるのであれば、子供が自宅敷地を相続した方が相続税負担が少なくて済みます。

📌 ポイント:役割分担で税負担を最小化

配偶者が配偶者控除を活用しつつ、評価額の低い財産(自宅敷地など)を子供に相続させることで、一次相続のみならず将来の二次相続においても税負担を最小限に抑えることが可能になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 小規模宅地等の特例が使える自宅敷地は子供が相続するのが有利
  • 配偶者控除と特例の活用を組み合わせることで、一次・二次相続両方の税負担を軽減できる

対策⑤ 現金から不動産への資産組み換え

相続税の計算では、財産の種類に応じて異なる評価基準が適用されます。

財産の種類評価の基準2億円の市場価値がある場合の相続税評価額
現金・預金額面通り2億円
不動産市場価格より低い評価が一般的1億5,000万円(例)

この例では、相続税の評価額が5,000万円低くなります。仮に税率が20%だとすると、実際の税額は以下のようになります。

財産の種類相続税評価額税率20%の場合の税額
現金・預金2億円4,000万円
不動産1億5,000万円3,000万円
節税効果1,000万円の節税

このように、相続財産を現金や預金から不動産などの評価額が低い資産に変更することは、相続税の負担を軽減することにつながります。

📝 このセクションのまとめ

  • 現金・預金は額面通りに評価されるが、不動産は市場価格より低く評価されることが多い
  • 資産を不動産に組み換えることで、相続税評価額を下げられる
  • 評価額の差が大きいほど節税効果が高まる

対策⑥ 相次相続控除・遺言書の活用でトラブルを防ぐ

相次相続控除を知っておく

相次相続控除は、一定期間内に相続が複数回発生した際の税負担を軽減するための制度です。具体的には、前の相続から10年以内に再び相続が起こった場合、以前に支払った相続税の一部を控除することができます。これにより、連続した相続が短期間で発生しても、税金の負担を和らげることができます。

📌 ポイント

人の寿命は予測できないという現実を踏まえると、他の対策と比べると少し異なりますが、知っておいて損はありませんので覚えておいてください。

遺言書の作成でトラブルを防ぐ

相続計画を立てる際には、税金対策だけでなく、家族間のトラブルを避けることも重要になってきます。相続人同士のトラブルは感情的な争いに発展しやすく、家族の絆を深く傷つける原因となります。

よくあるトラブルの例として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 一次相続で配偶者が全ての遺産を相続し、その後の二次相続で配偶者が生前に特定の子供に多額の贈与をしていた場合、他の子供たちが不公平に感じる
  • 遺言書がない場合、どの財産が誰に相続されるべきかについて意見が分かれ、長期にわたる争いに発展する
  • 一次相続で不動産を相続した子供がその不動産を活用せずに放置していた場合、二次相続時にその不動産の価値が下がっていることに対して他の相続人が不満を持つ

これらのトラブルを避けるために、遺言書を作成しておくことが重要です。被相続人の意思が明確に伝えられ、トラブルを未然に防ぐことができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相次相続控除は10年以内に相続が連続した場合に税負担を軽減できる制度
  • 遺言書の作成は相続人同士のトラブルを防ぐために不可欠
  • 税金対策と家族間のコミュニケーションを両立させることが重要

二次相続対策6選まとめ

今回解説した、二次相続の税負担を軽減するための具体的な対策を改めて整理します。

対策ポイント
①生前贈与の活用年間110万円の基礎控除を活用。7年以上前からの計画的な贈与が必要
②配偶者の資産増加を抑制配偶者への相続額を抑え、子供への生前贈与と組み合わせる
③生命保険の非課税枠を活用500万円×法定相続人数の非課税枠を活用。受取人は子供に設定
④評価額の低い財産を子供に相続小規模宅地等の特例が使える自宅敷地は子供が相続するのが有利
⑤現金から不動産への組み換え不動産は市場価格より低い評価になるため相続税を圧縮できる
⑥相次相続控除・遺言書の活用10年以内の連続相続に対応。遺言書でトラブルも防止

⚠️ 独断で判断しない

相続計画は家族ごとに大きく異なるため、どの対策を行うか独自で判断せず、まずは専門家にご相談することをお勧めします。相続における争いは仲の良かった家族に深い傷となり得ますので、しっかりとした準備と柔軟なコミュニケーションが必要です。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!

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