世帯分離で介護費用を節約|住民税非課税世帯になる方法を税理士が解説
世帯分離で親を住民税非課税世帯にすれば、介護費用を大幅に節約できます。
住民税非課税世帯が急増するかもしれない背景
国民民主党が年収の壁(103万円)を178万円に引き上げると主張しています。年収の壁が引き上げられると、所得税だけでなく住民税の非課税枠も当然に引き上がります。その結果、住民税非課税世帯がかなりの人数増加すると見られています。
ギリギリで住民税非課税世帯になれなかった人には、潜在的なチャンスがやってくるかもしれません。その一方で、各種支援や給付金のほとんどが住民税非課税世帯を要件としているため、社会保障費が増大して財政にはかなりの打撃になると予想されています。
📌 ポイント
年収の壁が引き上げられれば、年金受給者の多くが住民税非課税枠に取り込まれてきます。同居している年金生活の親と世帯分離して親を住民税非課税世帯にすれば、介護費用を安くできる可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 年収の壁(103万円→178万円)引き上げにより、住民税非課税世帯が大幅に増加する見込み
- 住民税非課税世帯が増えると社会保障費も増大するため、制度の行方に注目が必要
- 年金受給者の親と世帯分離することで介護費用を節約できるチャンスがある
住民税非課税世帯の判定基準とは
住民税非課税世帯の判定は、世帯構成員の前年の合計所得金額で行われます。お住まいの地域によって異なりますので、自治体のウェブサイトで確認してください。
例えば大都市圏(特別区内)では、以下の基準が適用されます。
| 家族構成 | 住民税非課税の条件(合計所得金額) |
|---|---|
| 扶養している家族がいる人 | 35万円 × (本人+扶養人数)+ 31万円 以下 |
| 扶養している家族がいない人 | 45万円 以下 |
世帯全員が住民税非課税であれば、その世帯は「住民税非課税世帯」と判定されます。
夫婦2人世帯の場合、世帯主の合計所得金額が10万円以下かつ配偶者が45万円以下という条件になります。65歳以上の年金収入で換算すると、以下のとおりです。
| 現行の住民税非課税ライン(年金収入) | 基礎控除75万円引き上げ後(試算) | |
|---|---|---|
| 世帯主(65歳以上) | 211万円以下 | 286万円以下 |
| 配偶者(65歳以上) | 155万円以下 | 230万円以下 |
| 夫婦合計 | 年間365万円(月額約30万5,000円) | 年間516万円 |
📌 ポイント:年金受給者は元々非課税ラインが高い
給与所得者の場合、給与所得控除額(55万円)+基礎控除額(48万円)=103万円が非課税ラインです。年金受給者の場合は公的年金等控除額が65歳以上で110万円あるため、基礎控除額48万円との合計は158万円と、元々非課税ラインが高くなっています。基礎控除額が75万円アップすれば、65歳以上の年金受給者の所得税非課税枠は233万円まで引き上がります。
基礎控除をアップすれば全ての人に影響しますから、年金受給者だけが対象外というわけにもいきません。今後の動向に注目が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 住民税非課税世帯の判定は世帯全員の前年合計所得金額で行われる
- 大都市圏では、扶養なしの場合は合計所得45万円以下が目安
- 65歳以上の年金受給者夫婦は現行で年金収入合計365万円以下が非課税ライン
- 基礎控除引き上げ後は非課税ラインがさらに大幅に上昇する見込み
世帯分離とは何か|仕組みをわかりやすく解説
行政は皆さんの生活状況を世帯単位で判定しています。世帯全員の所得を基準に、所得が低ければ「生活が困窮している世帯」と判定して、その世帯に優遇を与えています。介護費用を安くしたり、その他様々な行政サービスで優遇を受けられるようにしているのです。
住民税非課税世帯になるためには、世帯の全員が住民税非課税でなければなりません。1人でも住民税が課税されている人がいてはダメです。つまり、現役で稼いでいる家族と同世帯でいると「支援しなくてもやっていけるでしょう」とみなされてしまいます。
「世帯」とは、同じ住所に住んでいて、かつ生計を一緒にしている家族のことです。住民票も一緒になっています。同居していても生計を別にしていれば同一世帯ではないはずですが、住民票が同じである限りは同一世帯として扱われてしまいます。
別世帯として扱われるためには住民票を分ける必要があり、これが世帯分離です。親を同住所・別世帯にして住民税非課税世帯にするのが目的です。
📌 世帯分離の要件はただ1つ
世帯分離をするための要件は「生計を別にすること」これだけです。生計を別にする(財布を別々に管理して家計を別にしている)家族であれば、世帯分離が認められます。
- 親が年金と貯蓄で息子・娘の家計とは別立てで暮らしていれば「別生計」とみなされる
- 親が介護施設等に入居していて住所変更ができる場合は住所が違えば別世帯となりベスト
- 住所変更できなくても、親の通帳から入居費用等が引き落とされていれば別生計として認められる
📝 このセクションのまとめ
- 住民票が同じ限り、同居していても同一世帯として扱われる
- 世帯分離とは住民票を分けて別世帯とする手続き
- 世帯分離の要件は「生計を別にすること」のみ
世帯分離の手続き方法
手続きは比較的シンプルです。以下の手順で進めましょう。
- 役所の窓口またはホームページで世帯変更届を取得して記載する
- マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類を用意する
- 国民健康保険に加入している人は国民健康保険証も用意する
- お住まいの市区町村役場に提出する
⚠️ 注意:申請理由の伝え方に要注意
世帯分離を申請しても却下される人がかなりいます。自治体によっては世帯分離をする理由を聞かれることがあります。
「介護費用を安くしたいから世帯分離したい」と言うと即却下されます。「家計が別々だから実態どおりにするために世帯分離をする」という形で伝えることが重要です。世帯分離をする実質的な目的が介護費用の軽減であっても、あくまで「生計が別である実態を反映する」という建前で申請しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 手続きは役所への世帯変更届の提出のみでシンプル
- 本人確認書類・国保証が必要
- 申請理由は「生計が別の実態を反映するため」と伝えるのが重要
- 「介護費用を安くしたいから」と言うと却下されるので注意
世帯分離で介護費用はどれくらい安くなるか
世帯分離をして親が住民税非課税世帯になると、以下のような費用が軽減されます。
① 介護保険料の軽減
東京都中野区を例に挙げると、住民税非課税世帯の人の介護保険料は本人の収入によって異なりますが、住民税課税世帯と比べて大幅に低くなります。
| 区分 | 年額介護保険料(東京都中野区の例) |
|---|---|
| 住民税非課税世帯(収入が低い場合) | 21,400円 |
| 住民税非課税世帯(収入がやや高い場合) | 26,000円 または 48,000円 |
| 住民税課税世帯 | 63,900円 または 75,200円 |
② 高額療養費制度での自己負担軽減
高額療養費制度は、医療費の負担額に上限を設けて、上限額を超えた場合は保険機関から払い戻される仕組みです。住民税非課税世帯は自己負担額が軽減されています。なお、厚生労働省がこの上限額を引き上げる検討に入ったと報道されていますが、住民税非課税世帯は現状でも優遇されています。
③ 高額介護サービス費の負担上限軽減
高額介護サービスについても負担上限額が軽減されています。常時介護サービスを利用している人にとっては出費が大幅に抑えられるため、非常に助かります。
④ 介護施設の居住費・食費の軽減(補足給付)
介護施設に入居した際の居住費や食費が軽減されます。毎日発生する費用だけに、効果は非常に大きいです。ただし、この軽減を受けるためには預貯金・金融資産の保有額に関する要件が加わりますので注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 介護保険料が住民税課税世帯と比べて大幅に安くなる
- 高額療養費制度での自己負担が軽減される
- 高額介護サービス費の負担上限が下がる
- 介護施設の居住費・食費が軽減される(ただし資産要件あり)
世帯分離の注意点|健康保険の扶養から外れる可能性
⚠️ 注意:健康保険の扶養に入れている場合は要確認
親を会社の健康保険(社会保険)の扶養に入れている場合、注意が必要です。
- 別世帯の親を健康保険の扶養に入れるには、生計を支えていることが必要
- しかし世帯分離をするには別生計であることが前提
- この2つは相反するため、世帯分離をすると親が健康保険の扶養から外れてしまい、親自身が国民健康保険に加入しなければならなくなる可能性があります。
ただし、75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している親の場合は、元々扶養制度がありませんので、世帯分離をしてもこの問題は発生しません。
📝 このセクションのまとめ
- 親を社会保険の扶養に入れている場合、世帯分離で扶養から外れるリスクがある
- 75歳以上(後期高齢者医療制度加入)の親はこの問題が発生しない
- 事前に健康保険の扶養条件を確認してから世帯分離を検討することが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!
関連記事
高齢の親を扶養に入れるメリット・デメリットと条件を税理士が解説
確定申告で国民健康保険料が爆増?税理士が解説する社会保険の落とし穴
年金を1ヶ月停止して住民税非課税世帯になる方法を税理士が解説
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
