株主優待に税金はかかる?税理士が解説する意外な課税所得3選
「株主優待に税金はかからない」は間違い。意外と知られていない課税対象の所得を徹底解説します。
実は税金がかかる所得3選:結論から確認しよう
「株主優待には税金がかからない」という話を耳にしたことがある方は多いと思います。しかし、これは誤りです。税法上、株主優待は課税対象となっており、他にも「まさか税金がかかるとは思っていなかった」という所得が存在します。
今回取り上げるのは、個人向けの確定申告において見落とされがちな、以下の3つの所得です。
| 所得の種類 | 税法上の分類 | 注意が必要なケース |
|---|---|---|
| 株主優待 | 雑所得 | 年間20万円超で確定申告必須 |
| ポイント・マイル | 一時所得(原則は非課税) | ポイント投資・事業ポイントのプライベート使用 |
| ふるさと納税返礼品 | 一時所得 | 年収4,000万円超の高所得者は注意 |
📌 ポイント
上記3つはいずれも所得税・住民税の課税対象です。「知らなかった」では済まされない場合もあるため、仕組みをしっかり理解しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 株主優待・ポイント・ふるさと納税返礼品は、いずれも所得税・住民税の課税対象
- 「非課税」「二重課税だから払わなくていい」は税法上の誤り
- それぞれ課税の仕組みが異なるため、個別に理解することが重要
株主優待に税金がかかる理由:「非課税」も「二重課税」も誤解だった
株主優待に関して、「現行の法律では税金がかかりません。二重課税になるから」という主張がSNS上で見られることがあります。しかし、これは間違いです。
国税庁のホームページに掲載されている個人の所得税に関する通達(雑所得の通達35の1)には、次のように明記されています。
📌 国税庁通達(雑所得 35の1 かっこ7)
「法人の株主などがその株主などである地位に基づき、当該法人から受ける経済的な利益で、配当所得とされないもの」は雑所得に該当する。
つまり、株主としての地位に基づいて受け取るもので、配当金以外のもの(=株主優待)は雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。「非課税」という主張は誤りです。
また、「二重課税だから払わなくていい」という主張についても整理しておきましょう。
| 項目 | 配当金(二重課税に該当) | 株主優待(二重課税に非該当) |
|---|---|---|
| 企業側の処理 | 税引後の利益を分配 | 接待交際費・広告宣伝費などの経費として計上可能なケースもある |
| 法人税の課税 | 元の利益に法人税が課税済み | 経費計上されていれば法人税は課税されていない |
| 個人への課税 | 配当所得として課税(配当控除あり) | 雑所得として課税 |
| 二重課税の該当 | 該当する(配当控除で緩和) | 全てが該当するわけではない |
配当金については、企業が法人税(約30%)を支払った後の税引後利益を分配し、さらに株主に配当所得として所得税・住民税を課税するため、二重課税の側面があります。そのため、確定申告で「配当控除」という二重課税を排除するための措置が設けられています。
一方、株主優待は企業側が接待交際費や広告宣伝費として経費計上できるケースもあるため、すべてが二重課税にあたるわけではありません。大企業では交際費の損金算入に制限があるため、二重課税と言えるケースもありますが、一概には言えません。
⚠️ 注意
1か所勤務の会社員が株主優待を受け取り、その所得金額が年間20万円を超える場合は所得税の確定申告が必須です。給与所得と合算して超過累進税率で税金を計算します。課税所得が大きい方ほど、株主優待にかかる税率も高くなります。
株主優待を他人に譲った場合はどうなる?
株主優待を他人に譲った場合、原則として個人間の贈与として扱われ、受け取った人に贈与税がかかります。
📌 ポイント:贈与税の基礎控除
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。株主優待の金額は一般的に少額であることが多いため、この枠を超えるケースはほとんどなく、実務上はあまり気にする必要はないでしょう。
実際に申告している人が少ない理由と今後の動向
税法上は課税対象であるにもかかわらず、株主優待の所得を確定申告している人は実際にはほとんど見かけません。その理由としては、以下の点が考えられます。
- 株主優待の金額をいくらで評価するかが難しい(評価額の算定が複雑)
- 税務当局が少額の株主優待まで一人ひとり追いかけるのが実務上困難
- 結果として、課税されていないケースが多い
ただし、原則は税金がかかるという点は変わりません。また、政府のDX化が進むにつれて、こうした税逃れが明るみに出やすくなることも予想されます。
なお、日本特有の制度である株主優待は、米国などと同様に廃止する企業が少しずつ増えています。今後、優待を受け取る機会はますます減っていく可能性があります。
⚠️ 注意:NISAと株主優待の関係
2024年から始まった新NISAは、株主優待とは関係がありません。株主優待は配当所得ではなく雑所得であるため、「NISAを使っているから優待も非課税」とはなりません。この点はくれぐれもご注意ください。
📝 このセクションのまとめ
- 株主優待は雑所得として所得税・住民税の課税対象(国税庁通達に明記)
- 二重課税にはあたらないケースが多い(企業側で経費計上できる場合があるため)
- 年間20万円超の場合は確定申告が必要
- NISAを使っていても株主優待は非課税にならない
ポイント・マイルに税金がかかるケースとは
「ポイントやマイルに税金がかかるの?」と驚かれる方も多いと思います。ただし、課税されるのはごく一部の限られたケースです。大前提として、ポイントを保有している段階・もらった段階では課税されません。
課税のタイミングは、そのポイントを何かに交換・使用した時です。その時点で経済的利益が発生し、所得税・住民税の対象となります。
原則として、一般消費者が受け取るポイントは商取引上の値引きとして扱われるため、課税されません。普通にポイントを貯めている会社員や主婦の方は、まったく気にする必要はありません。
ただし、以下の2つのケースでは課税対象となるため注意が必要です。
| 課税されるケース | 所得の分類 | 対象者 |
|---|---|---|
| ポイント投資をした場合(投資信託・株式購入時にポイントを充当) | 一時所得 | ポイント投資をしている方全般 |
| 個人事業主がビジネスカードで獲得したポイントをプライベートに使用した場合 | 事業所得・雑所得 | フリーランス・個人事業主 |
📌 例外:臨時・偶発的に取得したポイント
ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなど、臨時的・偶発的に取得したポイントは、通常の商取引での値引きとは同様の性格を持つものとは考えられないため、そのポイントを使用した時点で一時所得として課税されます。
個人事業主がポイントを使う時の正しい処理方法
個人事業主・フリーランスの方は、事業で得たポイントの使い方に注意が必要です。
- 事業関連の経費に充当する:税金計算上、経費として計上できる金額が減少するだけで、雑収入として上げるのと同じ取り扱いになるため問題なし
- プライベートに使用する(NG):仕事と無関係な旅行・食品・おもちゃなどに使用すると、使用したポイント相当額が課税扱いになる
⚠️ 注意:税務調査での確認事項
カード明細に多額のポイントが記載されている場合、万が一税務調査が入った際には「このポイントを何に使いましたか?」と必ず確認されます。少額であれば見逃されることもありますが、税法上は課税対象であることを忘れないでください。
📝 このセクションのまとめ
- 一般消費者のポイントは原則非課税(値引き扱い)
- ポイント投資に使ったポイントは一時所得として課税対象
- 個人事業主が事業で得たポイントをプライベートに使うと課税される
- 事業ポイントは経費に充当するのが最も安全な処理方法
ふるさと納税の返礼品にも税金がかかる仕組み
ふるさと納税の返礼品も、ポイント・マイルと同様に一時所得として所得税・住民税の課税対象となります。
返礼品の評価額は時価で判断します。目安として、寄付した金額の約30%相当が返礼品の時価とされています。
一時所得の税金計算式は以下の通りです。
| 計算ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①総収入金額 | 入ってきた金額(返礼品の時価・ポイントの時価など) |
| ②支出した金額を引く | 収入を得るために使った経費(返礼品・ポイントの場合は基本ゼロ) |
| ③特別控除額を引く | 50万円を差し引く |
| ④1/2にする | 残額の2分の1が課税対象 |
| ⑤税率をかける | 所得税率(5%〜45%)+復興特別所得税(+2.1%) |
📌 ポイント:年間50万円までは税金ゼロ
一時所得には年間50万円の特別控除があります。返礼品・ポイントの時価の合計が50万円以下であれば、税金はかかりません。ふるさと納税の返礼品(寄付額の30%)で50万円を超えるためには、年間約167万円の寄付が必要です。
ふるさと納税の限度額が167万円程度になるのは、年収4,000万円超の方が目安となります(所得控除の内容によって変動します)。つまり、ほとんどの方は返礼品だけで課税されることはありません。
📝 このセクションのまとめ
- 返礼品は一時所得として課税対象(時価=寄付額の約30%が目安)
- 一時所得には年間50万円の特別控除があるため、ほとんどの人は課税されない
- 年収4,000万円超の高所得者は注意が必要
一時所得は合算して計算する:複数の収入がある場合は要注意
ここが最も重要なポイントです。一時所得の計算では、その年に獲得したすべての一時所得を合算して計算します。
たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。
| 一時所得の内訳 | 金額 |
|---|---|
| ポイント・マイルの年間獲得(時価) | 25万円 |
| ふるさと納税返礼品の年間合計(時価) | 30万円 |
| 合計 | 55万円 |
この場合、合計55万円から特別控除の50万円を引くと5万円が残り、その1/2の2万5,000円が課税対象の一時所得となります。給与所得などと合算して所得税・住民税が発生します。
📌 確定申告が必要になるライン
- 所得税:一時所得(ポイント・マイルなど)が年間90万円を超えると、50万円を引いて1/2した金額が20万円を超えるため、確定申告が必要
- 住民税:金額による制限なし。1円でも利益が出れば確定申告が必要
ふるさと納税については、確定申告書を提出すれば税務当局も寄付額を把握できるため、高所得者は特に注意が必要です。一方、ポイントやマイルに関しては、現時点では税逃れを追いかけるシステムが十分に整っていませんが、今後のDX化の進展によって状況が変わる可能性があります。
⚠️ 注意:一時所得は合算される
ポイント・マイルとふるさと納税返礼品は別々に50万円控除されるわけではありません。すべての一時所得を合算した上で、50万円の特別控除を1回だけ適用します。複数の一時所得がある方は、合計額で判断してください。
📝 このセクションのまとめ
- 一時所得はその年のすべての一時所得を合算して計算する
- ポイント・マイルと返礼品を合算して50万円を超えると課税対象になる
- 住民税は1円でも利益があれば申告が必要
- 高所得者・多くのポイントを獲得している方は特に注意
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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