簡易インボイスと少額特例を税理士が解説|領収書・免税事業者・経過措置の関係

簡易インボイスと少額特例を税理士が解説|領収書・免税事業者・経過措置の関係
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領収書やレシートは簡易インボイスになる?少額特例・経過措置との関係を整理します。

インボイス制度が仕入税額控除に与える影響

税務署に納税する消費税は、売上の消費税から仕入れや外注経費で支払った消費税を差し引いて計算します。この支払った消費税を差し引く計算のことを仕入税額控除と言います。

インボイス制度は、この仕入税額控除に新しいルールを設けました。どういったルールかというと、仕入税額控除をするためには適格請求書(いわゆるインボイス)を仕入先等から発行してもらって保存しておかなければならないということです。

📌 ポイント

「適格請求書」という名称ですが、請求書の形式でなくても構いません。必要な事項さえ記載されていれば、領収書やレシートでも適格請求書として認められます。

📝 このセクションのまとめ

  • 消費税の納税額=売上消費税-仕入税額控除
  • インボイス制度では仕入税額控除にインボイスの保存が必要になった
  • インボイスは「請求書」に限らず、領収書・レシートでも可

適格請求書(インボイス)に必要な記載事項

領収書やレシートが適格請求書として認められるには、必要事項がすべて記載されている必要があります。インボイス制度で新たに追加された項目は次のとおりです。

番号記載項目備考
インボイス登録番号「T」から始まる13桁の番号
書類の作成者の氏名または名称従来から必要
取引年月日従来から必要
税率ごとの対価の額の合計8%対象・10%対象それぞれ記載(新規追加)
税率ごとの消費税額または適用税率どちらか一方でも可(新規追加)
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称(宛名)従来から必要

これら①〜⑥すべてが記載されていれば、領収書やレシートであっても適格請求書(インボイス)として扱われます。

📝 このセクションのまとめ

  • インボイスで新たに必要になったのは「登録番号」「税率ごとの合計額」「税率または消費税額」の3点
  • ①〜⑥が揃っていれば形式(請求書・領収書・レシート)は問わない

簡易インボイス(適格簡易請求書)とは何か

飲食店や小売店など、不特定多数のお客さんを相手にする商売では、いちいちお客さんの名前を聞いて宛名を書き込むのは非常に煩雑です。そこで、こういった業種では適格請求書を簡便化した適格簡易請求書(簡易インボイス)が認められています。

📌 ポイント:簡易インボイスの最大の特徴

通常の適格請求書では必須の「宛名(書類の交付を受ける事業者の氏名または名称)」が記載不要です。また⑤の項目は、税率ごとの消費税額または適用税率のどちらか一方を記載すれば構いません(両方記載してもOKです)。

簡易インボイスを発行できる業種は次のとおり限定されています。

  • ① 小売業
  • ② 飲食店業
  • ③ 写真業
  • ④ 旅行業
  • ⑤ タクシー業
  • ⑥ 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限る)
  • ⑦ その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業

⑥の駐車場業については「不特定かつ多数の者に対するものに限る」という条件があるため、月極駐車場は対象外でコインパーキングが対象となります。①〜⑤の業種にはこの限定がないので、その事業を行っていれば簡易インボイスを発行できます。

⑦については現時点では税務署に個別確認して進めることになります。

⚠️ 注意

宛名が書いていない領収書を「インボイスではない」と早合点しないでください。簡易インボイスが認められる業種では宛名は不要です。また、受け取った領収書に自分で宛名を手書きするのは不正行為になりますので絶対に行わないでください。

📝 このセクションのまとめ

  • 簡易インボイスは宛名の記載が不要
  • 発行できるのは小売業・飲食店業・写真業・旅行業・タクシー業・コインパーキング等に限定
  • 受け取った側が自分で宛名を書き加えるのは不正行為

1万円未満の少額特例とは

飲食店や小売店などでは、取引金額が1万円に満たない場合も多くあります。そこで登場するのが少額特例です。これは領収書をもらう買い手側の特例で、消費税込み1万円未満の取引はインボイスがなくても、帳簿に記載さえしておけば仕入税額控除を認めるという経過措置です。

インボイスが不要ですから、免税事業者からもらう領収書やレシートでも仕入税額控除が可能ということになります。

少額特例における「1万円未満」の判定方法

国税庁のインボイスQ&Aが更新され、1万円未満の判定方法が具体的に例示されました。判定は1回の取引単位で行い、1商品ごとに判定するのではありません。

ケース内容判定
同時購入5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入(合計12,000円)対象外(1回の取引が1万円以上)
月額契約月額10万円の製造業務、稼働日数12日のケース対象外(日割りせず月単位で判定→1万円以上)
単発取引消費税込みで1万円未満の1回の取引少額特例の対象

📌 ポイント:少額特例の適用対象期間

少額特例は経過措置であり、適用対象期間は令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行われた取引のみが対象です。令和11年9月30日が事業年度の中途であっても、この日をもって終了となります。

📝 このセクションのまとめ

  • 少額特例は消費税込み1万円未満の取引が対象
  • 判定は「1回の取引単位」で行い、1商品ごとではない
  • 複数商品の同時購入は合計額で判定
  • 月額契約は日割りせず月単位で判定
  • 適用期間は令和5年10月1日〜令和11年9月30日

免税事業者からの仕入税額控除の経過措置

少額特例と同じく令和5年10月1日から令和11年9月30日までを対象期間とする経過措置として、免税事業者からの仕入税額控除の経過措置があります。

インボイス制度では、免税事業者から仕入れ等をする際に支払った消費税は本来は仕入税額控除ができません。しかし次のとおり段階的に一定割合の控除が認められています。

期間控除できる割合
令和5年10月1日〜令和8年9月30日(3年間)80%
令和8年10月1日〜令和11年9月30日(3年間)50%
令和11年10月1日以降0%(控除不可)

免税事業者からの仕入れ等について整理すると、6年間は80%または50%の仕入税額控除が可能で、さらに消費税込み1万円未満の取引に限っては少額特例により100%控除できるという構図になっています。

⚠️ 注意:少額特例は中小企業者のみ適用可能

仕入税額控除の経過措置はすべての事業者が適用を受けられますが、少額特例は中小企業者に限定されています。具体的には次のいずれかに該当する必要があります。

  • 2年前の事業年度の課税売上高が1億円以下
  • 前事業年度上半期の課税売上高が5,000万円以下

どちらか一方に該当すれば少額特例が受けられます。

3月決算法人を例に確認しましょう。令和5年4月1日開始事業年度(インボイス制度が開始した事業年度)で少額特例の適用可否を判定する場合、次のいずれかを満たせばOKです。

  • 2年前(令和3年4月1日〜令和4年3月31日)の事業年度の課税売上高が1億円以下
  • 前事業年度上半期(令和4年4月1日〜令和4年9月30日)の課税売上高が5,000万円以下

📝 このセクションのまとめ

  • 免税事業者からの仕入れは、当初3年間80%・次の3年間50%の経過措置あり
  • この経過措置はすべての事業者が対象
  • 少額特例(1万円未満100%控除)は中小企業者のみ対象
  • 中小企業者の要件:2年前の課税売上高1億円以下 または 前期上半期5,000万円以下

主要な経過措置・特例の全体像を整理する

インボイス制度に関連する経過措置や特例は複数あり、混乱しやすいです。主だったものを「基準期間(2年前の事業年度)の課税売上高」による適用要件で整理すると次のとおりです。

特例・経過措置基準期間の課税売上高の要件適用期間
2割特例(消費税納税額を売上消費税の2割に抑える)1,000万円以下3年間の経過措置
簡易課税5,000万円以下継続適用(経過措置ではない)
少額特例(1万円未満インボイス不要)1億円以下(または前期上半期5,000万円以下)令和5年10月1日〜令和11年9月30日
免税事業者からの仕入税額控除の経過措置要件なし(全事業者対象)令和5年10月1日〜令和11年9月30日

📌 ポイント:免税事業者からの仕入れに関するまとめ

免税事業者から仕入れた場合の仕入税額控除は、次の2つの特例が組み合わさります。

  • 取引金額が消費税込み1万円以上の場合:経過措置により80%または50%控除可(全事業者対象)
  • 取引金額が消費税込み1万円未満の場合:少額特例により100%控除可(中小企業者のみ)

📝 このセクションのまとめ

  • 2割特例・簡易課税・少額特例・経過措置は適用要件がそれぞれ異なる
  • 売上高が大きいほど使える特例が絞られていく構造
  • 免税事業者からの仕入れは、1万円未満なら少額特例(中小のみ)、1万円以上なら経過措置(全事業者)で対応

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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