小規模企業共済の契約者貸付を税理士が解説|低金利1.5%で即日入金・実質借りっぱなしOK

小規模企業共済の契約者貸付を税理士が解説|低金利1.5%で即日入金・実質借りっぱなしOK
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節税で有名な小規模企業共済に、実は低金利で即日借りられる融資機能があります。

今日の結論:こんな方に契約者貸付はおすすめ

今回のテーマは、法人の経営者・個人事業主向けの内容です。節税や老後の資金の貯蓄で有名な小規模企業共済ですが、あまり知られていない隠れた機能として「融資機能(契約者貸付)」があります。

昨今の物価高騰や中小企業の経営環境の悪化を踏まえ、資金調達の一手段として情報共有したいと思います。

📌 ポイント:こんな方に契約者貸付はおすすめ

  • 資金繰りに本当に困っている方
  • 高金利で銀行から融資を受けてしまっている方
  • 将来的に返済できる自信がある方

これらに当てはまるなら、小規模企業共済の契約者貸付という融資制度を使うのも選択肢の一つです。

📝 このセクションのまとめ

  • 小規模企業共済には節税以外に「融資機能」という隠れた機能がある
  • 資金繰りに困っている経営者・個人事業主が活用を検討すべき制度

小規模企業共済とは?基本をおさらい

小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業の経営者向けの退職金積み立て制度です。中小企業基盤整備機構(Kセーフティ共済と同じ機関)が運営しています。

加入できるのは、従業員数が一定数以下の小規模事業所の社長・個人事業主の方です。

項目内容
運営機関中小企業基盤整備機構
予定利回り1%程度
掛金(月額)1,000円〜70,000円(500円単位で増減可)
年払い前納一括払い可能
節税効果所得控除(所得税・住民税の節税)
解約受取退職所得または年金(雑所得)として税制優遇あり
満期特になし(廃業・死亡・65歳以上で解約可)

最大のメリットは、貯蓄をしながら節税ができるという点です。お金は社外にプールされますが、それでも所得控除として個人の所得税・住民税の節税効果があります。個人の所得が高く、適用税率が高い方ほど節税メリットは大きくなります。

なお、法人の経営者が加入する場合、支払いは法人ではなく個人の給与から行うため、節税効果は個人の所得税・住民税に対して生じます。

年払いを活用する場合、たとえば初年度に月額7万円で設定し、12月に年払いをすると、約84万〜160万円規模の所得控除を生み出すことができ、節税効果が高まります。

⚠️ 注意:解約時の落とし穴

  • 20年未満の任意解約は元本割れするため、最低でも20年以上かける前提で加入すること
  • 65歳以上での解約の場合、15年以上の掛金納付がないと受給権が消滅する
  • 解約時には課税される場合があるため、退職所得・年金受取の税制優遇を確認すること

📝 このセクションのまとめ

  • 小規模企業共済は個人事業主・中小企業経営者向けの退職金積み立て制度
  • 掛金は全額所得控除となり、所得税・住民税の節税効果がある
  • 20年未満の解約は元本割れ、65歳以上の解約は15年以上の納付が必要

iDeCoと小規模企業共済を徹底比較

個人事業主・経営者に人気の老後資産形成手段として、iDeCo(個人型確定拠出年金)もあります。どちらが良いのか、メリット・デメリットを比較してみましょう。

比較項目iDeCo小規模企業共済
節税効果あり(所得控除)あり(所得控除)
出口の課税退職所得・雑所得(税制優遇あり)退職所得・雑所得(税制優遇あり)
掛金上限(個人事業主)月額68,000円月額70,000円
掛金上限(会社役員)月額23,000円月額70,000円
運用自分で商品選択・スイッチング可予定利率約1%で安定運用
融資(貸付)機能なしあり(契約者貸付)
引き出し制限60歳まで引き出し不可融資制度で実質引き出し可能
掛金変更年1回のみ比較的柔軟に変更可
維持コスト月数百円程度かかるなし
破産時の差し押さえ対象外(保護される)対象となる可能性あり
障害・死亡保障障害給付・死亡保険ありなし

iDeCoのメリットとしては、自分で投資商品を選んで運用できること、スイッチング(商品の切り替え)が可能なこと、破産時に差し押さえされないこと、障害給付や死亡保険が備わっていることなどが挙げられます。

一方でiDeCoのデメリットも多くあります。

  • 口座維持コストが毎月数百円程度かかる
  • 60歳まで引き出しができない(融資制度もなし)
  • 掛金変更は年1回のみ
  • 投資なので元本割れリスクがある(地雷商品も存在する)
  • 特別法人税(現在凍結中)が復活した場合、利回りが大きく低下する可能性がある

特別法人税とは、年金を積み立てるための制度に対して課税する仕組みで、かつて存在していましたが現在は凍結されています。これが復活するとiDeCoの実質利回りは大幅に低下する可能性があります。

📌 優先順位のおすすめ

どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。まず安定性が高く融資機能も備わっている小規模企業共済を優先し、余裕があればiDeCoも活用するという順番がおすすめです。特に会社役員の方はiDeCoの掛金上限が月2万3,000円と低いため、小規模企業共済のメリットがより大きくなります。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社役員はiDeCoの掛金上限が月2万3,000円と低く、小規模企業共済(月7万円)の方が節税メリットが大きい
  • iDeCoには融資機能がなく、60歳まで引き出しもできない
  • まず小規模企業共済を優先し、余裕があればiDeCoも活用する順番がおすすめ

契約者貸付とは?制度の全体像を解説

ここからが本題です。小規模企業共済の貸付制度は大きく2種類に分かれます。

種類対象・条件金利
一般貸付要件なし(事業資金・生活資金など幅広く利用可)1.5%
緊急経営安定貸付(特別貸付)業績が悪化した時など特定の要件を満たす場合0.99%
傷病災害時貸付(特別貸付)災害・傷病時など0.99%
事業承継貸付(特別貸付)事業承継の際0.99%
廃業準備貸付(特別貸付)廃業準備の際0.99%

特別貸付は各種要件を満たす必要がありますが、金利が0.99%と非常に低く設定されています。一般的な経営者が使いやすいのは一般貸付(金利1.5%)で、特殊な事情がなければこちらを利用することになります。

なお、個人事業主が個人として借り入れ、その資金を自分が経営する法人に貸し付けることで、法人の資金繰りを安定させるという活用方法もあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 貸付には「一般貸付(1.5%)」と「特別貸付(0.99%)」の2種類がある
  • 特別貸付は要件あり。要件を満たさない場合は一般貸付を利用
  • 個人で借りて法人に貸し付けるという活用方法もある

一般貸付の借入条件・手続き・金利を詳しく解説

一般貸付の利用条件と手続きの詳細を確認しましょう。

項目内容
借入条件①12ヶ月以上の掛金を納付していること(前納分は含まない)
借入条件②貸付限度額が10万円以上に達していること
申込受付期間いつでも可能
借入窓口金融機関(商工中金が最もスムーズ
借入限度額積立額の70〜90%、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)
借入の用途事業に必要な運転資金・事業関連資金・生活資金(用途は問われない)
借入期間基本1年
返済方法期限一括返済
金利1.5%(金利は融資実行時に一括前払い・融資金額から差し引かれる)
担保・保証人不要
延滞利子6%

銀行融資と大きく異なるのは、借入の用途が一切問われないという点です。今まで積み立ててきた範囲内であれば、審査なしにスピーディーに融資を受けることができます。

手続きは商工中金が最も早く、印鑑証明・身分証明書・借入金額に応じた収入印紙を持参して窓口に行けば、即日入金が可能です。これは銀行融資とは比べものにならないほどのスピードです。

⚠️ 注意:延滞利子は6%

返済が遅れた場合の延滞利子は年6%と高めに設定されています。期限内の返済または適切な手続きを忘れずに行いましょう。

また、金利の経費計上については以下の通りです。

借入者の立場金利の経費計上
個人事業主必要経費として計上可能(節税効果あり)
法人の経営者(個人として借入)法人の経費への計上は不可(個人の借入のため)

📝 このセクションのまとめ

  • 1年以上掛金を納付し、貸付限度額が10万円以上あれば借入可能
  • 担保・保証人不要、用途も問われず、商工中金なら即日入金が可能
  • 個人事業主は金利を必要経費に計上できる。法人経営者の個人借入分は法人経費に計上不可
  • 延滞利子は6%と高いため、期限管理を徹底すること

最大の魅力:実質「借りっぱなし」が可能なタコ融資の仕組み

契約者貸付の最大のメリットが、実質的に長期間借り続けられるという点です。

返済方法は「期限一括返済(1年)」が基本です。「1年後に全額返済しないといけないのはきつい」と感じる方もいるかもしれません。しかし実は、1年経過後に全額返済できない場合でも、金利を支払えばそのまま継続できるのです。

📌 タコ融資と同じ仕組み

金融機関の融資で「短期転がし融資」、通称「タコ融資」と呼ばれるものがあります。これは短期融資を繰り返し借り換えることで、実質的に長期間資金を使い続けられる仕組みです。小規模企業共済の契約者貸付も、これと同じような使い方ができます。

「返さなくていい」とは言いませんが、しばらくは返さなくてもよいというイメージで捉えてください。これは資金繰り上、非常に大きなメリットです。

具体的な活用例を見てみましょう。

  • 500万円借りて、1年後に100万円だけ返済できる場合 → 100万円を返済し、残り400万円に対する金利を支払えば、残額をそのまま継続できる
  • 貸付限度額の範囲内であれば、借り換え時に追加で増額することも可能

このように、非常に融通の効く仕組みになっています。

なお、中小企業基盤整備機構から「掛金の納付状況および貸付限度額のお知らせ」という書類が届きます。この書類には今まで積み立てた金額と、現在借りられる最大金額(貸付限度額)が記載されています。手元にある方はぜひ確認してみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 1年後に全額返済できなくても、金利を支払えばそのまま継続できる(タコ融資と同じ仕組み)
  • 一部返済+残額継続や、限度額内での追加増額も可能
  • 機構から届く「貸付限度額のお知らせ」で現在の借入可能額を確認できる

契約者貸付がおすすめな理由まとめ

なぜこの契約者貸付が資金調達手段としておすすめなのか、改めて整理します。

メリット詳細
低金利一般貸付1.5%、特別貸付0.99%。市場金利と比較しても低水準
即日入金商工中金窓口で手続きすれば当日中に入金される
担保・保証人不要銀行融資のような審査や保証人が不要
用途自由事業資金・生活資金など用途を問われない
実質長期借入可能1年後に全額返済できなくても、金利支払いで継続可能(タコ融資と同様)
個人事業主は金利が経費に支払い金利を必要経費として計上でき、節税にもなる

財務基盤が強く、銀行からより有利な条件で融資を受けられる会社であれば銀行融資で問題ありません。しかし、金利1.5%が魅力的に感じる方、銀行融資の審査が通りにくい状況にある方にとっては、この制度は非常に有効な選択肢です。

📝 このセクションのまとめ

  • 低金利・即日入金・担保不要・用途自由・実質長期借入可能と、メリットが多い
  • 銀行融資より有利な条件が取れない場合に特に有効な選択肢

節税より大切なこと:資金繰りと黒字経営を最優先に

最後に、非常に大切な補足をお伝えします。お金に関する優先順位について、改めて考えてみてください。

📌 経営者が意識すべきお金の優先順位

  1. 事業をちゃんと回すこと(黒字経営)
  2. 資金繰りがうまく回っていること
  3. 節税(最後にやるべきもの)

節税は「おまけ」です。まず事業が黒字で、資金繰りに余裕があって初めて節税を考えるべきです。

資金繰りや業績が悪い状態で節税をして赤字を作ってしまうと、銀行から満足な条件で融資を受けられなくなったり、社員の採用もできなくなったりするリスクがあります。

小規模企業共済・Kセーフティ共済・生命保険などは、節税手段として使われるイメージがありますが、本来の目的は会社防衛です。

  • Kセーフティ共済:解約手当金の95%の範囲で融資を受けられる。金利は0.99%と非常に低い。ただし取引先が倒産した時の共済金は実質積立額没収に近い後払いとなるため注意が必要
  • 生命保険(解約返戻金のあるもの):契約者貸付制度があるが、金利がやや高め。また解約返戻金がなければ保険が失効するリスクがあるため、融資目的での活用は避けた方が無難

業績が好調なうちに節税をしながらこれらに積み立てておき、いざという時の会社・事業の防衛に活用することが、本来の正しい使い方です。

⚠️ 節税より黒字・資金繰りを優先すること

節税は業績が良い時にやるものです。赤字の状態で節税を意識しすぎると、銀行融資・採用・事業拡大の機会を失うリスクがあります。まず黒字経営と資金繰りの安定を最優先にしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 優先順位は「黒字経営→資金繰りの安定→節税」の順
  • 小規模企業共済・Kセーフティ共済の本来の目的は節税ではなく「会社防衛」
  • 業績好調なうちに積み立て、いざという時の資金繰りに備えることが正しい活用法

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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