節税対策

小規模企業共済の加入遅れで大損?税理士が解説する落とし穴と最適タイミング

小規模企業共済の加入遅れで大損?税理士が解説する落とし穴と最適タイミング
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小規模企業共済は節税と退職金準備を同時に叶える制度ですが、加入タイミングを誤ると大損します。

小規模企業共済とは?そもそもどんな制度か

小規模企業共済は、個人事業主向けの退職金積み立て制度です。中小企業基盤整備機構という政府系の組織が運営しています。

加入要件は業種によって異なりますが、基本的には5人〜20人以下の中小企業の役員、または個人事業主・フリーランスが対象です。会社役員の方も加入できますが、個人の税制に関わる制度です。

📌 ポイント

小規模企業共済は「退職金の積み立てをしているのになぜか節税になる」という、個人事業主・フリーランスにとって非常に優れた制度です。ただし、加入のタイミングと解約の仕方によっては大きく損をする落とし穴があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 政府系機関(中小企業基盤整備機構)が運営する安心感のある制度
  • 個人事業主・フリーランス・中小企業役員が対象
  • 退職金積み立てと節税を同時に実現できる

小規模企業共済の3つのメリット

小規模企業共済には大きく分けて3つのメリットがあります。

  • 節税メリット:掛金全額が所得控除になる
  • 貯蓄メリット:予定利率約1%で運用される
  • 貸付メリット:積立額の範囲内で低金利で借り入れできる

① 節税メリット:掛金全額が所得控除

掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。経費とはニュアンスが異なりますが、掛けた分だけ節税効果が生まれます。

項目内容
掛金の最低額月額1,000円
掛金の最高額月額7万円(年額84万円)
変更単位500円単位で増減可能
前納(一括払い)可能
節税効果の計算式年間掛金総額 × 所得税率(+住民税率)
最低税率(所得税5%+住民税10%)15%
最高税率(所得税45%+住民税10%)55%

つまり年間最大84万円の掛金に対して、最大55%の節税効果が得られます。やめる時(解約時)には課税されますが、退職所得や雑所得として扱われるため、税制上の優遇があり大きな税負担にはなりません。

会社経営者や個人事業主には退職金がありませんので、自ら準備する必要があります。そこに節税効果まで加わるのは、まさに一石二鳥です。

② 貯蓄メリット:予定利率約1%で安全に運用

小規模企業共済は予定利率約1%で運用されます。満期はなく、好きなだけ掛け続けることができます。解約できるタイミングは以下の通りです。

  • 個人事業を廃業したとき
  • 亡くなったとき
  • 会社を解散・閉鎖したとき
  • 65歳以上になって一定の要件を満たしたとき

📌 iDeCoと比較したらどちらが優先?

よくある質問として「iDeCoと小規模企業共済、どちらを優先すべきか?」があります。答えは小規模企業共済一択です。iDeCoは自分で投資先を選ぶ必要があり、運用次第でマイナスになる可能性があります。一方、小規模企業共済はそのリスクがなく、安全性が比較的高いです。さらに後述する「貸付メリット」がある点でも、自営業者にとっては小規模企業共済の方が優先度が高いと言えます。

③ 貸付メリット:低金利で即日借り入れが可能

小規模企業共済の大きな特徴が、この貸付メリットです。自身が積み立てた額の範囲内で、金利0.9〜1.5%でお金を借りることができます

  • 返済方法:一応は期限一括返済だが、金利さえ支払えば借りっぱなしもOK
  • 金融機関の当座貸越のような使い方が可能
  • 基本的に即日入金される
  • 政策公庫の創業融資などが2〜3%台に上がっている中、1.5%で借りられる

自営業者にとって資金繰りは命綱です。資産運用もできて、いざという時に資金調達もできるこの貸付メリットは非常に大きいと言えます。

📝 このセクションのまとめ

  • 節税・貯蓄・貸付の3つのメリットがある
  • iDeCoよりも小規模企業共済を優先すべき
  • 低金利・即日の貸付は自営業者の資金繰りに強力な武器になる

加入が遅れると発生する4つのデメリット

節税・貯蓄・貸付とメリットだらけに見える小規模企業共済ですが、加入が遅れれば遅れるほど損失が積み重なります。具体的には以下の4つのデメリットが生じます。

  1. 節税メリット最大化のチャンスを失う:加入が遅れた年数分、所得控除が受けられない
  2. 緊急時の資金調達額が少なくなる:貸付は積立額の約7割までのため、積立が少ないと助けてもらえない
  3. 資産運用メリットが少なくなる:利回り約1%でも長期間の複利効果は大きく、期間が短いほど将来の退職金が減る
  4. 将来の退職金が減少、場合によってはもらえなくなる:これが最大のデメリット

⚠️ 注意

特に見落とされがちなのが「将来の退職金が減少・消滅する」リスクです。目先の節税効果だけを見てなんとなく加入してしまうと、解約時に積み立てた額より受取額が少なくなるケースがあります。これを知らずに加入している方が多いため、必ず「出口」を考えてから加入を検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 加入が遅いほど節税・運用・貸付の全メリットが小さくなる
  • 最大のデメリットは「退職金が積立額より少なくなること」
  • 入り口(節税効果)だけでなく、出口(解約時の受取額)を必ず確認すること

小規模企業共済のやめ方3パターンを徹底解説

小規模企業共済の解約方法には3つのパターンがあり、どのパターンで解約するかによって受取額が大きく変わります。

共済金A:最も優遇されるパターン

以下のいずれかに該当する場合に受け取れる共済金で、3パターンの中で最も優遇されています。

  • 個人事業主が廃業したとき
  • 個人事業主が亡くなったとき
  • 会社を解散・破産したとき

⚠️ 注意

共済金Aは優遇されていますが、掛金納付月数が6ヶ月未満の場合は1円も受け取れません。完全な掛け捨てになってしまいますので、ご注意ください。

共済金B:65歳以上・役員退任などのパターン

以下のいずれかに該当する場合に受け取れる共済金です。共済金Aほどの割り増しはありません。

  • 65歳以上になって一定の要件を満たしたとき(老齢給付)
  • 会社役員を退任したとき
  • 会社役員が亡くなったとき

⚠️ 重要な注意:老齢給付には180ヶ月(15年)の加入が必要

65歳以上になって働き続けている状態で老齢給付として受け取る場合、掛金の納付月数が180ヶ月(15年)以上なければなりません。例えば50歳から加入した場合、65歳でちょうど15年となります。50歳より遅く加入すると、この要件を満たせない可能性があります。また共済金Bも、掛金納付月数が6ヶ月未満の場合は1円も受け取れません

解約手当金:任意解約・強制解約のパターン

廃業・死亡・退任などの正規の理由がなく、単に資金が必要になったなどの理由でやめる場合(任意解約)、または掛金を滞納して強制解約になった場合がこのパターンです。

⚠️ 最大の落とし穴:任意解約は20年かけないと元本割れ

任意解約の場合、掛金納付期間が20年未満だと受取額が積立額を下回ります。つまり、20年間かけてようやく積み立てた金額がそのまま戻ってくる計算になります。また、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合は一切解約手当金を受け取れません

📝 このセクションのまとめ

  • 解約パターンは「共済金A(廃業・死亡等)」「共済金B(65歳以上・退任等)」「解約手当金(任意解約)」の3種類
  • 老齢給付(共済金B)は15年以上の加入が必要
  • 任意解約は20年未満だと元本割れする
  • 6ヶ月未満(共済金A・B)または12ヶ月未満(解約手当金)は受取額ゼロになる

具体的な数字で見る「損する金額」のシミュレーション

実際にどれくらい損するのか、具体的な数字で確認しましょう。まずは月額1万円で掛けた場合の比較です。

掛金期間積立総額共済金A共済金B解約手当金
5年60万円62万1,400円61万4,600円48万円
10年120万円102万円
15年180万円166万5,000円
20年240万円278万6,400円265万8,800円240万円(元本回収)

任意解約(解約手当金)の場合、5年では積立額の約8割しか戻らず、20年かけてようやく元本が回収できることがわかります。

次に、月額7万円(上限)で掛けた場合の任意解約シミュレーションです。

掛金期間積立総額(年84万円)解約手当金(目安)損失額(目安)
5年420万円約330万円約90万円の損
10年840万円約714万円約126万円の損
15年1,260万円約1,163万円約100万円の損
20年1,680万円約1,680万円損なし(元本回収)

⚠️ 注意

月額7万円(上限)で掛けていて任意解約した場合、5年で約90万円、10年で約126万円、15年でも約100万円の損失が発生します。中途半端な期間(10年・15年・18年など)で任意解約すると大きく損をしてしまいます。

解約時の税金:退職所得控除にも注意

共済金を一括で受け取る場合は退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されます。この控除額は以下の通りです。

掛金支払い期間退職所得控除額(1年あたり)
20年以下40万円 × 年数
20年超800万円 + 70万円 × (年数 − 20年)

20年以下で解約すると退職所得控除が小さくなり、税負担も大きくなりがちです。この点でも、長期間かけ続けることの重要性がわかります。

📝 このセクションのまとめ

  • 任意解約は20年未満だと元本割れ。月7万円なら最大126万円の損失になる
  • 廃業・死亡等(共済金A)なら期間が短くても元本は確保される
  • 退職所得控除も20年を境に有利になる

手遅れになる前に確認すべき最適な加入タイミング

これまでの内容を踏まえると、小規模企業共済を最大限に活用するための最適な加入タイミングと注意点は以下の通りです。

📌 若い方・事業開始間もない方へ

退職金も積み立てたいし節税もしたいという方は、できるだけ早く加入することが鉄則です。加入が遅れれば遅れるほど、節税メリット・運用メリット・貸付メリットの全てが小さくなります。事業開始直後からの加入が理想的です。

⚠️ 50代・60代から加入を検討している方へ

例えば50歳から加入した場合、老齢給付(共済金B)の要件である15年(180ヶ月)を満たすのがちょうど65歳になります。任意解約で元本を回収するには20年かけて70歳まで必要です。加入を検討する際は、「どんな形で解約するのか」という出口戦略を先に考えることが非常に重要です。

廃業や死亡・役員退任といった正規の解約事由がある場合は期間が短くても共済金Aとして受け取れますが、「単に資金が必要になった」「やめたくなった」という任意解約では大きく損をします。自分がどのような形で解約する可能性が高いかを事前に想定しておくことが重要です。

iDeCoもそうですが、入り口での節税効果ばかりを強調して、やめる時にどうなるかという最後のストーリーを説明してくれないケースが多くあります。何十万円・100万円以上損することのないよう、加入前に必ず出口まで考えて判断してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 若い方・事業開始直後の方はできるだけ早く加入するのが正解
  • 50代以降から加入する場合は「出口戦略」を必ず先に考える
  • 任意解約の可能性が高い場合は、20年間かけ続けられるかどうかを慎重に検討する
  • 節税効果(入り口)だけでなく、解約時の受取額(出口)まで必ずシミュレーションすること

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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