小規模企業共済で最大45%節税|税理士が解説する所得税・住民税の削減術
国公認の制度で退職金を積み立てながら、所得税・住民税を最大45%節税できる方法を解説します。
円安・インフレが進む中、老後の資金に不安を抱える経営者や個人事業主の方は多いのではないでしょうか。会社から退職金が出るわけでもなく、中小企業の経営状況は日々変わるため、将来の見通しが立てにくいという声もよく聞かれます。そこで今回は、そうした悩みを持つ方にぜひ知っておいてほしい制度、小規模企業共済について詳しく解説します。
小規模企業共済とはどんな制度?
小規模企業共済は、常勤の従業員数が20人以下の個人事業主や会社の役員などが加入できる共済制度です。将来、事業を廃止したときや、65歳以上で一定の要件を満たしたときなどに、退職金としてお金を受け取れる仕組みになっています。
毎月掛け金を積み立てていく制度で、国の機関である中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しています。毎月の掛け金の支払い時や、退職金として受け取る際に、税制面での優遇措置が受けられるのが最大の特徴です。
📌 ポイント
国の機関が運営しているため信頼性が高く、資産運用残高は約10兆8,847億円に達します。加入者数も年々増加しており、安心して活用できる制度です。
加入者数の推移を見ると、毎年コンスタントに10万人前後が新規加入しており、2017年に約140万人だった在籍人数が、2021年には160万人まで増加しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 在籍人数(2021年) | 約160万人 |
| 資産運用残高 | 約10兆8,847億円 |
| 共済金の平均受給額 | 約1,128万円 |
| 共済金受給者の平均在籍年数 | 約19年 |
平均的な加入者は、約19年間積み立てて平均1,128万円の退職金を受け取っています。約160万人の中小企業経営者・個人事業主がこの制度で退職金の準備をしているということです。
📝 このセクションのまとめ
- 従業員20人以下の個人事業主・会社役員が加入できる
- 国の機関(中小機構)が運営する信頼性の高い制度
- 全国で約160万人が加入し、平均受給額は約1,128万円
最大のメリット:掛け金が全額所得控除になる
小規模企業共済の最大のメリットは、掛け金の全額が所得税・住民税の控除対象になる点です。掛け金を支払うことで、課税対象となる所得額を直接減らすことができます。
所得税は所得額が高くなるほど税率も高くなる累進課税の仕組みになっているため、年収が高い人ほど節税効果が大きくなります。
掛け金の金額は月額1,000円から7万円の範囲内で自由に設定・変更できます。月最大の7万円を1年間かけた場合、年間84万円分の所得控除を受けられます(7万円×12ヶ月=84万円)。
| 年間所得 | 月額掛け金 | 年間掛け金 | 年間節税額 | 30年間の節税総額 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 7万円 | 84万円 | 約36万7,000円 | 約1,101万円 |
年間所得が1,000万円の方が月7万円・年間84万円を30年間積み立てた場合、年間約36万7,000円、30年間で合計1,101万円もの節税効果が得られます。手元に残るキャッシュが1,101万円増えるということです。
📌 節税効果は約45%
30年間の積立総額は2,520万円(7万円×12ヶ月×30年)。そのうち節税額が1,101万円ですので、積立額に対して約45%もの節税効果があることになります。銀行に預けておくより圧倒的にお得です。
📝 このセクションのまとめ
- 掛け金の全額(月1,000円〜7万円)が所得控除の対象
- 年間最大84万円の所得控除が可能
- 年収が高いほど節税効果が大きく、30年で最大45%近い節税効果
掛け金が増額されて戻ってくる:受取額のシミュレーション
小規模企業共済は節税効果だけでなく、払い戻しの際に掛け金が増額された金額で受け取れるという魅力もあります。長期間加入していると、積み立てた掛け金よりも多い金額が戻ってくるのです。
具体的なシミュレーションとして、2020年7月から加入して2040年6月に退職・共済金を受け取るケース(月額掛け金3万円、加入期間20年)を見てみましょう。
| 受取理由 | 受取額 | 掛け金合計(720万円)との比較 | 増額率 |
|---|---|---|---|
| 廃業(共済金A) | 835万9,200円 | +115万9,200円 | 約16.1%増 |
| 退職(老齢給付) | 797万6,400円 | +77万6,400円 | 約10.7%増 |
どちらの場合も、積み立てた掛け金よりも10%以上多い金額が戻ってきます。退職金を積み立てながら節税もでき、さらに増えて返ってくるという、非常に魅力的な制度です。
📝 このセクションのまとめ
- 20年間積み立てた場合、廃業時は約16.1%増、退職時は約10.7%増で受け取れる
- 節税効果に加えて元本以上の受取額が期待できる
柔軟な掛け金の払い方:月払い以外のオプションも
小規模企業共済は基本的に月払いですが、経営状況に合わせた柔軟な払い方が可能です。
- 半年払い・年払い:売上の入金が半年単位・季節単位の方は、入金のタイミングに合わせて掛け金を払い込める
- 払込停止:掛け金の払込が困難な場合は、半年または1年間、払込を止めることができる
- 減額:申請すれば掛け金の減額も可能
- 前納(まとめ払い):翌年分まで一括で支払うことで、今年度の所得控除額を増やすことが可能
⚠️ 前納(まとめ払い)の注意点
前納で翌年分まで支払うと、翌年度の所得控除額がその分減ってしまいます。臨時的に利益が多かった年に前納を行うのは税金対策として効果的ですが、翌年度のことも考えて計画的に行う必要があります。
また、掛け金の払込が困難な場合の停止や減額ができる一方で、減額した場合は少額ではありますが減額分の「減額部分に相当する解約手当金」が受け取れる仕組みになっています。中小企業は経営状況が変わりやすいため、こうした融通の利く設計はとてもありがたい点です。
📝 このセクションのまとめ
- 月払い以外に半年払い・年払いも選択可能
- 経営が苦しい時は最大1年間の払込停止や減額が可能
- 前納(翌年分の一括払い)は節税に有効だが、翌年の控除額が減る点に注意
iDeCoとの違いを比較:どちらを選ぶべきか?
老後資金・退職金の積立制度として、小規模企業共済と並んでよく名前が挙がるのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。両者の主な違いを整理しておきましょう。
| 比較項目 | 小規模企業共済 | iDeCo |
|---|---|---|
| 加入対象者 | 従業員20人以下の個人事業主・会社役員など | 20歳以上60歳未満であれば誰でも加入可 |
| 途中解約 | 可能(加入12ヶ月以上で解約手当金を受取) | 原則60歳まで不可(資金拘束あり) |
| 運用リスク | 運用を気にする必要はなく安心感がある | 運用商品を自分で選ぶリスク資産運用 |
| 資産の自由度 | 高い(途中解約・借入も可能) | 低い(60歳まで原則引き出せない) |
一番大きな違いは加入対象者です。小規模企業共済は名前の通り、比較的規模が小さな企業や個人事業主が対象です。加入要件を満たせない場合にiDeCoを選ぶ方もいます。
もう一つの大きな違いは途中解約の可否です。iDeCoは加入者が死亡した場合や障害状態になった場合などの例外を除き、60歳になるまで途中解約が原則できません。お金が長期間拘束されてしまうため、これをデメリットに感じる方も多くいます。
📌 ポイント
小規模企業共済はiDeCoと異なり、途中解約が可能で資産としての自由度が高い点が特徴です。また運用リスクがなく、安心感があるのも魅力の一つです。加入要件を満たす方であれば、まず小規模企業共済を検討することをおすすめします。
📝 このセクションのまとめ
- iDeCoは誰でも加入できるが、小規模企業共済は加入要件あり(従業員20人以下など)
- 小規模企業共済は途中解約が可能で資産の自由度が高い
- 小規模企業共済は運用リスクがなく安心感がある
受け取り方は「一括」がお得な理由:退職所得控除を活用
共済金(積立金)の受け取り方には、次の3つの選択肢があります。
- 一括受け取り:全額をまとめて受け取る
- 分割受け取り:年金のように分割して受け取る
- 一括と分割の併用:一部を一括、残りを分割で受け取る
この中で最もお得なのは、一括で受け取る方法です。その理由は、小規模企業共済が退職金の積立制度であるため、一括受け取りをした場合に税制上優遇されている「退職所得」として扱われるからです。
退職所得の計算式は以下の通りです。
| 計算ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①退職所得控除を計算 | 勤続(積立)年数に応じた控除額を算出 |
| ②課税対象額を算出 | (受取額 − 退職所得控除額)× 1/2 |
| ③税額を計算 | ②の金額に対して所得税・住民税を計算 |
受取額から退職所得控除を差し引いた後、さらに1/2にした金額にしか課税されません。積立期間が20年であれば、場合によっては税額がゼロになることもあり得ます。何か特別な事情がない限り、一括で受け取るのが最もお得な選択です。
📝 このセクションのまとめ
- 受け取り方は「一括」「分割」「併用」の3種類
- 一括受け取りは「退職所得」扱いとなり税制上の優遇が大きい
- (受取額 − 退職所得控除額)× 1/2 が課税対象となり、場合によっては税額ゼロも可能
もしもの時の借入制度:低金利で即日貸付も可能
小規模企業共済には、積立金を担保にした貸付制度も用意されています。
- 掛け金の払込月数に応じて、掛け金の7〜9割程度を借り入れできる
- 借入可能額は10万円以上2,000万円以内
- 低金利で利用できる
- 即日貸付にも対応している
- 様々な種類の貸付メニューが用意されている
📌 ポイント
コロナ禍のような予期せぬ事態が起きたとき、迅速に事業資金を借り入れできる手段として、この貸付制度を把握しておくことは非常に重要です。実際に使わなくても、選択肢の一つとして持っておくだけで大きな安心感につながります。詳しくは中小機構の公式サイトをご確認ください。
📝 このセクションのまとめ
- 掛け金の7〜9割を低金利で借り入れ可能(10万円〜2,000万円以内)
- 即日貸付にも対応しており、緊急時にも頼れる
- 万一の事態への備えとして、制度の存在を把握しておくことが重要
元本割れを防ぐための注意点と加入手続き
小規模企業共済はメリットが多い制度ですが、注意すべきポイントもあります。最も重要なのは解約のタイミングです。
⚠️ 元本割れに注意
掛け金の払込期間が20年未満で任意解約した場合、受け取れる金額が掛け金の合計額を下回ります(元本割れ)。また、掛け金を12ヶ月以上滞納した場合も同様に扱われます。任意解約とは、廃業・退職などの正当な理由ではなく、自己都合でやめる場合を指します。
元本割れを防ぐためには、65歳まで役員を続けるという前提で共済を継続することが重要です。そのためにも、無理なく払い続けられる金額に掛け金を設定することをおすすめします。将来のための積立が現在の生活の負担になってしまっては本末転倒です。
加入手続きは、中小機構が業務委託契約を結んでいる団体または金融機関の窓口で行えます。
窓口に持参する書類は次の通りです。
- 個人事業主の場合:確定申告書の控え
- 法人の役員の場合:履歴事項全部証明書など、役員として登記されていることが確認できる書類
⚠️ 加入は早めに検討を
事業規模が大きくなると加入要件から外れてしまう場合があります。創業・開業後できるだけ早めに加入を検討することをおすすめします。
小規模企業共済が特におすすめな方は次のような方です。
- 退職金を自分で用意したい経営者・個人事業主
- 毎年の所得税・住民税が高くて節税策を探している方
- ある程度の余裕資金がある方
📝 このセクションのまとめ
- 払込期間20年未満の任意解約は元本割れになるため注意
- 無理のない掛け金設定で長期継続することが元本割れ防止の鍵
- 加入手続きは金融機関窓口で可能。個人事業主は確定申告書の控えを持参
- 事業規模が大きくなる前に早めに加入を検討することが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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