小規模企業共済とは?個人事業主必見の節税制度を税理士が解説
聞いたら入会がマスト。節税の代表格「小規模企業共済」を徹底解説します。
小規模企業共済とは?制度の概要
小規模企業共済は、積立てによる退職金制度です。個人事業主は会社員のように退職金という制度がない代わりに、この小規模企業共済という制度を使って退職金を積み立てていきましょう、というものになります。
この制度は国が出資して運営しているものです。運営先は中小企業基盤整備機構というところが担っています。国が出資しているという点で安心感があり、人気の節税方法となっています。現在、全国で約161万人以上が加入している制度です。
📌 ポイント
小規模企業共済とは、一言でいうと「会社員のように退職金がない個人事業主やフリーランスの方が、廃業や退職時の生活の備えとして積み立てておくもの」です。さらにこの制度を使うことで節税もできるため、非常に人気があります。
📝 このセクションのまとめ
- 国が出資・中小企業基盤整備機構が運営する公的制度
- 個人事業主・フリーランス向けの退職金積立制度
- 全国約161万人以上が加入
加入資格と対象者
小規模企業共済に加入するには、資格要件があります。基本的なルールは常時使用する従業員の数が20人以下であることです。ただし、業種によって従業員数の上限が異なりますので、以下の表で確認してください。
| 業種区分 | 従業員数の上限 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 一般業種(製造業・建設業など) | 20人以下 | 個人事業主・会社等の役員 |
| サービス業・宿泊業・娯楽業・商業 | 5人以下 | 個人事業主・会社等の役員 |
| 共同経営者 | 2名まで | 個人事業主と共に事業を行う共同経営者 |
一方、加入できない方(NG)の代表例も確認しておきましょう。
- 給与所得者(会社員)
- 配偶者等の専業従事者
- 当該法人に役員登記がされていない役員(役員でも登記がなければ加入不可)
⚠️ 注意
会社等の役員は加入できますが、役員登記がされていない役員は加入できません。自分が登記上の役員かどうかを事前に確認してください。また、サービス業・宿泊業・娯楽業・商業に該当する方は従業員数の上限が5人以下と異なりますのでご注意ください。
📝 このセクションのまとめ
- 一般業種は従業員20人以下、サービス業・商業等は5人以下が条件
- 共同経営者は2名まで加入可能
- 役員登記がない役員・給与所得者・専業従事者は加入不可
掛金の設定と自由度
小規模企業共済の掛金は、自由度が非常に高いという特徴があります。具体的には以下のとおりです。
- 月々1,000円から70,000円まで自由に選択できる
- 500円単位で設定が可能
- 加入後も増額・減額をすることが可能
ビジネスの状況に合わせて変更できる点が、この制度の大きな魅力です。ビジネスの規模がまだ小さい時には1,000円や1万円でスタートしておいて、ビジネスがうまくいき徐々に伸びてきた時に掛金を5万円・7万円という風に上げることができます。逆に厳しい時には掛金を下げることもできます。
📌 ポイント
掛金の増減はオンラインでも対応可能になっています。窓口に行かなくてもインターネット上で手続きができるので、非常に便利です。
📝 このセクションのまとめ
- 月1,000円〜70,000円の範囲で500円単位で設定
- 加入後も増額・減額が自由に可能
- 掛金の変更はオンラインでも手続きできる
加入のメリット
小規模企業共済に加入することで得られるメリットは主に3つあります。
- 掛金が全額所得控除の対象になる
- 貸付制度を利用できる
- 退職金代わりになる(受け取り方法を選択できる)
① 掛金が全額所得控除になる
これが節税の代表格と呼ばれる最大の理由です。掛金が全額所得控除になるため、節税効果が非常に高くなります。
② 貸付制度を利用できる
貸付制度にはいろいろな種類・パターンがあります。緊急に資金が必要な時、まとまったお金が必要な時に、一定月数(年数)の掛金をかけていれば、それを担保としてお金を貸してくれます。窓口に行って申し込みをすると現金で出してくれます。通常の借入れは審査などでタイムラグが発生しますが、この制度を活用することで急な資金需要に対応できます。
③ 退職金代わりになる(受け取り方法を選択できる)
老後・廃業時に積み立てた共済金をどのように受け取るか、受け取り方法を選択することができます。
| 受け取り方法 | 所得区分 | 確定申告での扱い |
|---|---|---|
| 一括受け取り | 退職所得 | 退職所得として確定申告 |
| 分割受け取り | 雑所得 | 年金と同様に雑所得として確定申告 |
| 一括+分割の併用 | — | それぞれの区分で申告 |
📌 ポイント
受け取り方法によって確定申告の所得区分が変わります。一括受け取りは「退職所得」、分割受け取りは「雑所得」です。将来の受け取り時にどちらが有利かも含めて検討しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 掛金全額が所得控除→高い節税効果
- 緊急時に貸付制度が利用できる安心感
- 一括・分割・併用から受け取り方法を選択可能
- 受け取り方法によって所得区分(退職所得・雑所得)が異なる
加入のデメリットと注意事項
メリットが大きい一方で、デメリットや注意事項もしっかり把握しておくことが重要です。
- 掛け捨てのリスクがある
- 元本割れのリスクがある
- 解約は可能だが資金がロックされる
- 所得税が0円の方には節税メリットがない
それぞれの詳細を以下で確認してください。
| 条件 | リスク内容 |
|---|---|
| 積立期間が6ヶ月未満で廃業・死亡した場合 | 掛け捨てになる |
| 積立期間が12ヶ月未満で廃業・死亡以外の理由で共済金請求・解約した場合 | 掛け捨てになる |
| 積立期間が240ヶ月(20年)未満で任意解約した場合 | 受取金額が掛金合計額を下回る(元本割れ) |
⚠️ 注意
小規模企業共済はある程度の長期間かけないと、かけた金額より少なく戻ってくることがあります。独立開業してまだ日が浅く、2〜3年先に廃業する可能性がある方や、ビジネスがうまくいかなかった場合に会社員に戻るかもしれない方は、加入を少し待った方がいいかもしれません。
ただし、掛金は自由に設定できますので、厳しい時には1,000円でも継続していれば大丈夫です。基本的に長期でかけるものだと思って取り組んでください。
また、どうしても支払いが厳しい時には「掛け止め」という方法もあります。一定の理由がある場合に、6ヶ月または12ヶ月の一定期間、支払いを停止することができます。解約してしまうよりも掛け止めの方が有利なケースが多いため、困った時はまず窓口に相談してみてください。
⚠️ 注意:経費と所得控除の混同に注意
掛金は全額所得控除の対象ですが、事業の必要経費ではありません。事業の必要経費に計上してしまうと、確定申告でさらに所得控除を適用した場合に二重控除になってしまいます。これはルール違反です。
経理処理の際は「所得控除」として正しく処理してください。
📝 このセクションのまとめ
- 積立期間6ヶ月未満の廃業・死亡は掛け捨て
- 積立期間240ヶ月(20年)未満の任意解約は元本割れのリスクあり
- 支払いが厳しい時は解約ではなく「掛け止め」(6〜12ヶ月)を検討
- 掛金は「所得控除」であり「経費」ではない(二重控除はNG)
- 所得税が0円の方には節税メリットはない
共済金の受取額シミュレーション
実際にいくら掛けたらどれくらい増えて戻ってくるのか、中小企業基盤整備機構が公表しているシミュレーション表をもとにイメージを確認しましょう。
共済金にはA・Bの2種類があります。
- 共済金A:事業を廃止した場合や死亡した時に受け取れる共済金
- 共済金B(老齢給付):65歳以上で180ヶ月(15年)以上納付している場合に受け取れる共済金
以下は月額1万円を掛けた場合の受取額イメージ(中小企業基盤整備機構の資料より)です。
| 積立期間 | 掛金合計額 | 共済金A(廃業・死亡時) | 共済金B(老齢給付) |
|---|---|---|---|
| 5年 | 60万円 | 約62万円 | 約61万円 |
| 10年 | 120万円 | 増加 | 増加 |
| 15年 | 180万円 | 増加 | 増加 |
| 20年 | 240万円 | 増加 | 増加 |
| 30年 | 360万円 | 増加 | 増加 |
📌 ポイント
5年間・月1万円(合計60万円)でも、受取額は共済金Aで約62万円と掛金より多く戻ってきます。期間が長くなるほど受取額は増えていきます。掛金が全額所得控除になる節税効果と合わせると、非常に有利な制度です。
📝 このセクションのまとめ
- 共済金AとBの2種類があり、受け取れる条件が異なる
- 長期間かけるほど受取額が増える仕組み
- 節税効果+受取増加の両方が期待できる
節税効果のシミュレーション
掛金が全額所得控除になることで、実際にどれくらい節税できるのでしょうか。中小企業基盤整備機構が公表している試算表をもとに確認しましょう。
ここでいう「課税される所得金額」とは、売上から経費を引いた残った金額のことです。
| 課税所得 | 月額掛金1万円 | 月額掛金3万円 | 月額掛金5万円 | 月額掛金7万円 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円 | — | — | — | — |
| 400万円 | 約3万6,000円 | — | — | 約24万1,300円 |
| 600万円 | — | — | — | — |
| 800万円 | — | — | — | — |
| 1,000万円 | — | — | — | — |
例えば所得400万円の方が月額1万円を掛けると、年間で約3万6,000円の節税になります。同じく月額7万円(上限)を掛けると、年間で約24万1,300円の節税効果があります。
📌 ポイント
上記の表はあくまでも目安です。より詳しく計算したい方は、中小企業基盤整備機構のホームページにシミュレーターが用意されていますので、そちらで実際の数字を確認してみてください。また、制度の詳細やよくある質問もホームページに掲載されています。不明な点は電話での相談窓口も設けられています。
📝 このセクションのまとめ
- 所得400万円・月1万円の掛金で年間約3万6,000円の節税
- 所得400万円・月7万円(上限)の掛金で年間約24万1,300円の節税
- 掛金が多いほど節税額も大きくなる
- 詳細は中小企業基盤整備機構のシミュレーターで確認できる
まとめ:個人事業主なら加入を検討すべき理由
小規模企業共済は、個人事業主やフリーランスにとってデメリットよりもメリットの方が大きい制度です。税理士の多くも自身で加入しており、顧問先にも積極的に勧めている節税方法の代表格です。
この小規模企業共済を知ったら、基本的には入会がベストです。ただし、近い将来に廃業や会社員への転職を検討している方は、積立期間が短いと元本割れや掛け捨てのリスクがあるため、タイミングをよく考えた上で加入を検討してください。
普段、税理士をつけていない方や自分で確定申告をしている方は、こういった制度の情報が入ってきにくいものです。「同業の仲間から小規模企業共済という言葉を聞いた」という方は、ぜひ中小企業基盤整備機構のホームページで詳細を調べてみてください。
📌 ポイント
小規模企業共済のポイントを最終確認:
- 国が出資する安心の退職金積立制度
- 掛金(月1,000円〜7万円)が全額所得控除→高い節税効果
- 緊急時の貸付制度も利用可能
- 受取時は一括・分割・併用から選択可能
- 掛金は「経費」ではなく「所得控除」として処理する
- 長期継続が前提。短期解約は元本割れリスクあり
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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