社会保険の被扶養者から外れる年齢とは?年の差夫婦は特に注意【専門家が解説】

社会保険の被扶養者から外れる年齢とは?年の差夫婦は特に注意【専門家が解説】
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収入がなくても一定の年齢になると被扶養者から外れ、自分で保険料を払う必要が生じます。いつ、どの保険料が降りかかってくるのか、事前に把握しておきましょう。

年金の被保険者は3種類に区分される

年金に加入している被保険者は、第1号・第2号・第3号の3種類に区分されます。それぞれの違いを確認しておきましょう。

区分対象者保険料の扱い
第1号被保険者自営業者・学生・無職の人全額自己負担(免除・猶予制度あり)
第2号被保険者会社員・公務員など厚生年金加入者事業主と折半。給与から天引き
第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者保険料負担なし(厚生年金制度全体で負担)

国民年金には「扶養」という概念がありません。そのため、自営業者などの第1号被保険者に扶養されている家族(子供・親など)は、それぞれが自分で国民年金保険料を納める必要があります。

📌 ポイント

厚生年金は2階建て構造になっています。1階部分(基礎年金)が国民年金にあたり、2階部分(報酬比例部分)が厚生年金の上乗せ分です。厚生年金加入者は、同時に国民年金の被保険者にもなっています。

第3号被保険者は「主婦年金」とも呼ばれ、配偶者だけがなれる制度です。保険料を払わなくても国民年金を受け取れるため、多くの方が扶養に入れるよう働き方を調整しています。この制度が労働不足の一因にもなっていると言われています。

📝 このセクションのまとめ

  • 年金の被保険者は第1号・第2号・第3号の3種類
  • 第3号被保険者(扶養配偶者)は保険料負担なしで国民年金を受け取れる
  • 国民年金に「扶養」はないため、子供・親は自分で保険料を払う必要がある

第3号被保険者でいられる期間には上限がある

居心地のよい第3号被保険者ですが、ずっとその状態でいられるわけではありません。夫が会社員・妻が専業主婦の夫婦を例に見ていきましょう。

  • 夫(会社員)が加入する厚生年金は、70歳になるまで加入を続ける必要がある
  • 夫が国民年金の第2号被保険者でいられるのは65歳まで(60歳ではない)
  • 妻が国民年金の第3号被保険者でいられるのは60歳まで(国民年金の加入期間が満了)

第3号被保険者の加入要件は、「国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者で、20歳以上60歳未満の人」と定められています。

⚠️ 注意

夫が65歳になって国民年金の第2号被保険者から外れると、妻は第3号被保険者の要件を満たさなくなります。つまり、妻が第3号被保険者でいられるのは、夫が65歳になるまでの間だけです。

📝 このセクションのまとめ

  • 妻の第3号被保険者資格は60歳で終了(国民年金加入期間の満了)
  • 夫が65歳になると第2号被保険者でなくなるため、妻の第3号被保険者資格も同時に終了する
  • 夫が65歳の時点で妻がすでに60歳を超えていれば問題ない

年の差5歳以上の夫婦が直面する問題

夫が65歳になった時点で、妻がまだ60歳未満であれば問題が生じます。これが「年の差5歳以上の夫婦」に特有の注意点です。

具体例として、夫が65歳になった時に妻が58歳だったケースを考えてみましょう。

時点夫の状況妻の状況
夫65歳・妻58歳第2号被保険者から外れる第3号被保険者の要件を失う
妻58〜60歳の間厚生年金に引き続き加入第1号被保険者として国民年金保険料を自己負担
妻60歳国民年金の加入期間が満了

このように、妻は58歳から60歳になるまでの2年間、第1号被保険者として自分で国民年金保険料を納めなければなりません。

📌 ポイント:加給年金という制度

年の差夫婦にとって不利な面がある一方で、加給年金という制度も存在します。夫は妻が65歳になるまでの間、年間約40万円を年金に上乗せして受け取ることができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 年の差が5歳以上ある夫婦は、夫が65歳になった時点で妻がまだ60歳未満になる可能性がある
  • その場合、妻は60歳になるまで第1号被保険者として国民年金保険料を自己負担する必要がある
  • 一方で加給年金として年間約40万円の上乗せを受け取れるメリットもある

種別変更手続きを忘れると年金が減額される

第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更手続きは、お住まいの市区町村役場の年金窓口に届け出をして行います。

⚠️ 注意:3号不整合記録問題

過去には、届け出をせずに第3号被保険者のまま年金記録が管理されていたケースが驚くほど多数ありました。これを「3号不整合記録問題」と呼びます。年金記録が第3号被保険者のままで管理されていたため、国民年金保険料を納めていないにもかかわらず、納めていたものとして取り扱われ、国民年金が過大に支払われていたのです。

現在は再発防止策が取られています。第1号被保険者への種別変更手続きをしないと、保険料が未納扱いになり、将来の年金受取額が減額されたり、無年金者になったりすることにもなりかねません。

夫が65歳になったら妻は第3号被保険者でなくなるという事実を知っている人は、ごくわずかです。この手続きを忘れないよう、夫の65歳の誕生日が近づいたら必ず確認するようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 種別変更手続きは市区町村役場の年金窓口で行う
  • 手続きを怠ると保険料が未納扱いになり、将来の年金が減額・無年金になるリスクがある
  • 過去に「3号不整合記録問題」が多数発生した経緯があり、現在は再発防止策が講じられている

健康保険の被扶養者から外れるタイミング

続いて健康保険についても確認しておきましょう。

自営業者などは国民健康保険に加入していますが、国民年金と同様に国民健康保険には「扶養」という概念がありません。保険料は家族全員の所得を合計した金額を基準に決定され、家族全員分が世帯主に請求される仕組みです。

「健康保険の扶養に入る」とは、会社員が加入している健康保険の被扶養者になることを意味します。年金と異なり、健康保険は子供や親などの家族も扶養に入ることができます。また、被扶養者が何人いても会社員が支払う健康保険料は変わりません(保険料は給与額で決定されます)。

年齢夫(会社員)の状況妻(専業主婦)の状況
74歳健康保険に加入夫の健康保険の被扶養者(保険料負担なし)
75歳健康保険を脱退し後期高齢者医療保険へ移行被扶養者の資格を同時に失う
夫75歳以降後期高齢者医療保険に加入(保険料自己負担)75歳になるまで国民健康保険に加入して保険料を自己負担
妻75歳後期高齢者医療保険に移行(保険料自己負担)

⚠️ 注意:後期高齢者医療保険に扶養はない

75歳になると全員が後期高齢者医療保険に移行します。後期高齢者医療保険には「扶養」という制度がないため、妻も自分で保険料を払う必要があります。

具体例として、夫より3歳年下の妻の場合を考えてみましょう。

  • 妻が健康保険の扶養に入れるのは71歳まで(夫が74歳の時点)
  • 夫が75歳になると夫は後期高齢者医療保険へ移行し、妻は被扶養者資格を失う
  • 妻は72歳から75歳になるまでの3年間、国民健康保険に加入して保険料を自己負担

📌 ポイント:特に注意が必要なケース

75歳までに会社を退職して夫婦ともに国民健康保険に移行するのが一般的です。ただし、自分で会社を経営している人や、特にマイクロ法人を設立して健康保険料を抑えている人は、今回ご紹介したケースに該当することがあるため、注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 健康保険は75歳まで加入可能。75歳以降は全員が後期高齢者医療保険に移行する
  • 夫が75歳になると同時に妻も被扶養者資格を失い、国民健康保険への加入が必要になる
  • 後期高齢者医療保険に扶養制度はなく、妻も自分で保険料を払う必要がある

介護保険の被扶養者から外れるタイミング

最後に介護保険について確認しましょう。

年齢区分保険料の徴収方法
40〜64歳第2号被保険者健康保険料と合わせて徴収
65歳以降第1号被保険者健康保険料と切り離され、年金から天引きまたは口座引き落とし

40歳になると介護保険に加入する義務が生じます。64歳までは第2号被保険者として健康保険料と合わせて徴収され、65歳になると第1号被保険者に移行して、介護保険料は健康保険料とは切り離されて個別に支払うことになります。

扶養されている妻についても同様です。40歳から64歳までは介護保険の第2号被保険者になりますが、保険料の支払いは一切不要です。

📌 ポイント:健康保険組合によって異なる扱い

一部の健康保険組合では、夫が第2号被保険者でない場合に限り、特定被保険者として妻の介護保険料相当額を夫に負担させているところがあります。なお、協会けんぽ(全国健康保険協会)ではそのような制度はありません

そして、被扶養者である妻も65歳になると第1号被保険者に移行し、自分自身で介護保険料を払っていくことになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 40歳になると介護保険に加入義務が生じる(第2号被保険者)
  • 扶養されている妻は40〜64歳の間、介護保険料の負担なし(一部の健保組合を除く)
  • 妻が65歳になると第1号被保険者に移行し、自分で介護保険料を支払う必要がある

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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