社会保険料を合法的に削減する9つの方法を税理士が解説

社会保険料を合法的に削減する9つの方法を税理士が解説
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社会保険料は給与の約30%。合法的に大幅削減できる9つの方法を具体的数字で解説します。

社会保険料の負担実態と「在職老齢年金」の落とし穴

会社の社会保障負担は2000年度の19.1兆円から2015年には25.7兆円程度まで膨らんでいます。社会保険料として給与の約30%が会社と従業員の合計で負担されており、それぞれ約15%ずつの折半負担というイメージです。

オーナー社長の立場から見ると、会社負担分も実質的には自分が出しているため、合計30%を負担していることになります。法人化すると1人社長の会社でも強制加入となるため、創業期には特に重くのしかかるコストです。

⚠️ 注意

在職老齢年金制度にも注意が必要です。65歳以上になっても経営者として働き続け役員報酬を受け取っている場合、その報酬額によっては年金の一部または全額が支給停止になることがあります。長年保険料を払い続けてきたにもかかわらず受給できないケースも珍しくないため、社会保険料の適正化への関心が高まっています。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険料は会社・従業員合計で給与の約30%(各15%)
  • 法人化すると1人社長でも強制加入
  • 在職老齢年金制度により、役員報酬が高いと年金が支給停止になるリスクがある

方法①退職金の活用

社会保険料の対象となるのは給与・賞与・手当です。一方、退職金は社会保険料の対象外となっています。これを活用することで社会保険料を削減できます。

具体的な方法は2つあります。

  1. 賞与の一部を削減し、退職金の原資として積み立てる
    ボーナスの一部を減らし、その分を退職金の積立に回すことで、社会保険料の算定対象額を下げることができます。
  2. 毎月の給与の一部を退職金に振り替える
    例えば給与から毎月2〜3万円を退職金の積立に回すと、標準報酬月額の等級が下がり、社会保険料を削減できます。

📌 ポイント

従業員から見ると手取りが一時的に減るように見えますが、退職金には分離課税・退職所得控除・1/2課税が適用されるため、給与や賞与で受け取るよりも長い目で見ると手取りが多くなります。従業員への丁寧な説明が不可欠です。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職金は社会保険料の対象外
  • 賞与の一部振替または毎月の給与の一部振替で標準報酬月額を下げられる
  • 退職金の税制優遇(分離課税・退職所得控除・1/2課税)により従業員の手取りも長期的に増える

方法②協会けんぽから組合健保への切替

国が運営している協会けんぽから、業界団体などが運営している組合健保(組合管掌健康保険)に切り替える方法です。

保険の種類一般保険料率(事業主)一般保険料率(被保険者)
協会けんぽ標準報酬月額の1/2標準報酬月額の1/2
関東ITソフトウェア健康保険組合(IT健保)標準報酬月額の42.5/1000相当標準報酬月額の42.5/1000相当

IT健保に切り替えると、トータルで10%以上の負担減になります。

具体的な試算例として、被保険者20名・平均標準報酬月額38万円・賞与は7月・12月ともに38万円という会社の場合を見てみましょう。

📌 ポイント

上記の条件では、協会けんぽと比較して年間約159万6,000円の節約になります。個人1人当たりでも年間約4万円の負担が減る計算です。10年間加入し続ければ、会社全体で約1,000万円以上の差になることもあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 協会けんぽから組合健保に切り替えるだけで保険料率が下がる
  • 20名規模・平均報酬38万円の会社で年間約160万円の削減効果
  • 長期加入で累計削減額は非常に大きくなる

方法③事前確定届出給与の活用

高額な報酬をもらっている役員の方が、年間の収入(年収)はそのままで社会保険料を削減できる方法です。

役員への賞与は原則として損金不算入ですが、会計期間の4ヶ月目までに税務署へ届出を行い、その通りに支給することで損金算入が認められます(事前確定届出給与)。

賞与に対する社会保険料には以下の上限が設けられており、上限を超えた分には保険料がかかりません。

保険の種類賞与の保険料上限
健康保険料年間573万円まで
厚生年金保険料ひと月あたり150万円まで

例えば役員報酬を月10万円に減らし、その分役員賞与を大幅に増額することで、年間の役員年収を変えずに社会保険料を削減することが可能です。

📌 ポイント

役員報酬を低く抑えることで、冒頭で紹介した在職老齢年金の支給停止を回避し、年金を復活させるメリットもあります。年収を変えずに社会保険料だけ削減できる点が大きな魅力です。

📝 このセクションのまとめ

  • 賞与の社会保険料には上限がある(健保:年573万円、厚生年金:月150万円)
  • 役員報酬を下げて賞与を増やすことで年収を変えずに社会保険料を削減できる
  • 在職老齢年金の支給停止解消にもつながる

方法④出張手当の導入/方法⑤借上社宅の活用

【方法④ 出張旅費規程を整備して出張手当を導入する】

出張手当とは、出張の際の食事代・交通費・宿泊費以外にかかる雑費等を、実費精算ではなくあらかじめ決められた額で支払うものです。妥当な額で支給されていれば、以下の3つのメリットがあります。

  • 会社にとって:本来費用として扱いにくい雑費を損金として計上でき、法人税の節税になる
  • 役員・従業員にとって:給与扱いにならないため、所得税・住民税の節税になる
  • 社会保険の観点:出張手当は社会保険の算定対象外のため、社会保険料がかからない

【方法⑤ 借上社宅の活用】

従業員が賃貸マンションに住んでいる場合、個人契約から法人契約に切り替えて借上社宅にすることで社会保険料を削減できます。手順は以下のとおりです。

  1. 賃貸契約を個人から法人契約に切り替え、会社が家主へ家賃を支払う
  2. 従業員にも一定額を自己負担してもらう(全額会社負担では削減効果なし)
  3. 自己負担額は「現物給与の価格の一覧表」をもとに計算する

例えば東京都の場合、住宅の利益の額は1畳につき2,830円です。居住部分が30畳のマンションであれば、30畳 × 2,830円 = 84,900円が現物給与の額となり、この金額を従業員が自己負担すれば社宅家賃に社会保険料はかかりません。

⚠️ 注意

従業員の自己負担分が現物給与の額(上記例では84,900円)に満たない場合(例:5万円しか負担していない場合)、その不足分は社会保険料の算定対象となる報酬額に含まれます。必ず正確な金額を自己負担してもらうことが重要です。

元々の家賃が15万円だった場合、家賃と自己負担分(84,900円)の差額約6万5,000円を給与から引き下げれば、標準報酬月額の等級も下がり、社会保険料をさらに削減できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 出張手当は社会保険の算定対象外。旅費規程を整備して導入することで法人税・所得税・社会保険料の三重の節約になる
  • 借上社宅は法人契約に切り替え、従業員に現物給与の価格一覧表に基づく額を自己負担させることで社会保険料を削減できる
  • 自己負担額が不足すると不足分が社会保険の対象になるため注意

方法⑥マイクロ法人の活用

個人事業とマイクロ法人(社長1人だけの小さな会社)を併用することで社会保険料を最適化する手法です。近年、社会保険料最適化の方法として注目されています。

例えば全体で1,000万円の利益がある場合、個人で900万円・マイクロ法人で100万円程度に分けることができれば、社会保険料を数十万円単位で抑えることも可能になります。

⚠️ 注意

  • 個人事業と法人は明確に別の事業として分けていないと、税務調査のリスクが生じます
  • 現在、社会保険制度の大きな改革が議論されており、早ければ来年から社会保険の加入者が大幅に拡大するとも言われています。この仕組みに規制が入る可能性があることを念頭に置いてください

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業+マイクロ法人の併用で社会保険料を数十万円削減できるケースがある
  • 事業の分離を明確にしないと税務調査リスクがある
  • 社会保険制度改革により今後規制が入る可能性がある

方法⑦4〜6月の残業を減らす/方法⑧昇給は7月以降にする

社会保険料は4月〜6月の報酬額の平均をもとに算出されます。これを標準報酬月額と呼び、その年の10月〜翌年9月まで保険料の天引きが行われます。この報酬額には基本給だけでなく残業代などの各種手当も含まれます

つまり、4〜6月に残業が多いと標準報酬月額の等級が上がり、その後1年間の社会保険料が高くなってしまいます

条件標準報酬月額の等級月々の社会保険料増加額
各種手当含む報酬総額27万5,000円21等級(28万円)基準
4〜6月の残業増で2等級以上アップ23等級(32万円)健康保険・介護保険:+4,728円
厚生年金:+7,320円
合計:+約12,048円/月

月々約12,000円の増加は、年間では14万円以上の差になります。これを会社と従業員で折半する形になるため、双方にとって大きな負担増です。

📌 ポイント:昇給は7月以降にする

4月に昇給すると等級が上がり社会保険への支払額も増加します。例えば報酬が24万5,000円の人が5,000円昇給した場合、等級が1つ上がり月の社会保険料が約6,000円上がります。昇給月を4月から7月以降に変更するだけで、1年間は社会保険料の支払いを抑えることができます。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険料は4〜6月の報酬平均で決まるため、この期間の残業を減らすことが有効
  • 残業増で2等級アップすると年間14万円以上の負担増になる
  • 昇給月を4月から7月以降に変更するだけで1年間の社会保険料を抑えられる

方法⑨入社は月初・退職は月末前日にする

社会保険料は月末に在籍しているかどうかが発生のポイントになります。この仕組みを活用することで、数日の違いで社会保険料を削減できます。

パターン入社日退職日社会保険料の負担期間
パターンA3月28日10月31日3月〜10月(8ヶ月分
パターンB4月1日10月30日4月〜9月(6ヶ月分

パターンAとパターンBを比較すると、数日の違いだけで2ヶ月分の社会保険料を削減できることになります。

⚠️ 注意

例えば退職日を10月30日にした場合、10月分は退職者自身が国民年金に加入する必要があります。後々トラブルにならないよう、事前に従業員へ丁寧に説明しておくことが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険料は月末在籍の有無で決まる
  • 入社は月初・退職は月末前日にするだけで2ヶ月分の保険料を削減できる
  • 退職者が翌月に国民年金加入が必要になる点を必ず説明する

番外編:育み基金(確定給付企業年金)の活用

最近話題になっている確定給付企業年金(通称:育み基金)も注目の制度です。退職金を自分の給与から天引きして積み立てるイメージで、iDeCoと似ていますが仕組みが異なります。

比較項目iDeCo育み基金(確定給付企業年金)
掛金の扱い所得控除(所得から差し引かれる)給与から天引き(給与が下がった状態になる)
社会保険料への影響削減されない標準報酬月額の等級が下がり削減できる
受取タイミング原則60歳以降退職時・給食時・育児介護休業時など

📌 ポイント

育み基金は給与から天引きされる形になるため、給料が下がったのと同じ状態になります。これにより標準報酬月額の等級が下がり、社会保険料を削減できます。退職時・給食時・育児介護休業時にも受け取ることができるため、必要なタイミングで引き出せる柔軟性も魅力です。一般的にはあまり知られていませんが、今後注目される制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 育み基金(確定給付企業年金)は給与天引き型のため標準報酬月額が下がり社会保険料を削減できる
  • iDeCoとは異なり社会保険料削減効果がある
  • 退職時・育児介護休業時など必要なタイミングで受け取れる

社会保険料削減を実施する際の注意点

9つの方法を活用する際には、必ず以下の2点に注意してください。

⚠️ 注意

  • 従業員・役員への説明と同意が必要
    給与の変更・入退社日程の調整などのルール変更を行う場合は、社員・役員に説明して同意を得ることが必要です。例えば退職日を月末前日にした場合、退職者が翌月に国民年金へ加入しなければならないことを必ず伝えてください。
  • 年金受給額が減額する可能性を伝える
    社会保険料を削減することで、将来の年金受給額が減額する可能性があります。削減によるメリット(手取りの増加)とデメリット(将来の年金減額)の両方を従業員にしっかり理解してもらうことが大切です。

社会保険料は中小企業にとって非常に大きな負担です。節税と同じく、適正な範囲でのコストカットを心がけつつ、従業員との相互理解を深めた上で取り組むことが重要です。

📝 9つの方法まとめ

  1. 退職金の活用(賞与・給与の一部を退職金に振替)
  2. 協会けんぽから組合健保への切替
  3. 事前確定届出給与の活用(役員報酬を下げて賞与を増やす)
  4. 出張旅費規程の整備・出張手当の導入
  5. 借上社宅の活用
  6. マイクロ法人の活用
  7. 4〜6月の残業を減らす
  8. 昇給は7月以降にする
  9. 入社は月初・退職は月末前日にする(+番外編:育み基金の活用)

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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