税務調査

個人事業主の赤字申告は脱税と疑われる?税理士が解説する法人との根本的な違い

個人事業主の赤字申告は脱税と疑われる?税理士が解説する法人との根本的な違い
e_zeirishi

個人事業主の赤字申告は、税務調査官から「嘘の申告」と疑われるリスクがあります。法人の赤字とは意味が根本的に異なるため、確定申告前に必ず理解しておきましょう。

この記事はどんな人向けの注意喚起か

まず最初にお断りをしておきます。この記事は、事業を頑張っている、努力をしている、でも様々な事情があって本当に赤字になっているという方向けの内容ではありません。

⚠️ 注意

この記事は、経費をたくさん計上して意図的に赤字を作り出しているという方向けの注意喚起です。そういった申告は税務調査に発展するリスクがあります。

赤字申告とは、確定申告書の「所得金額」の部分がマイナスになっているものを指します。もう少し補足すると、事業所得の決算書の段階で最終の数字が赤字になっている状態です。

📝 このセクションのまとめ

  • 赤字申告とは、決算書の最終利益がマイナスになっている状態のこと
  • 本当に赤字の事業者向けではなく、意図的に赤字を作っている人への注意喚起

法人と個人事業主の「利益」は意味が根本的に違う

ここが最も重要なポイントです。法人(会社)の利益というのは、社長自身の生活費とは一切関係のない、純粋な事業上の利益です。

一方、個人事業主の利益というのは、自分の生活費も含めた金額なのです。

📌 ポイント

個人事業主の「事業所得(利益)」は、そこから生活費を賄うことが前提の金額です。つまり、ここがマイナスになるということは「どうやって生活しているのか」という疑問が生じます。

具体的な数字で比較してみましょう。売上が1,000万円、経費が500万円の場合を例に挙げます。

項目個人事業主法人(会社)
売上1,000万円1,000万円
経費500万円500万円(経費)+役員報酬500万円
事業の利益500万円0円
社長・事業主の生活費の財源利益500万円(税引き後)役員報酬500万円

この表を見ると、個人事業の利益500万円と法人の利益0円は、数字は違いますが意味合いは全然違います。個人事業の500万円は税金を引いた残りが生活費の財源です。法人の場合、社長の生活費の財源は役員報酬であり、法人の利益が0でも社長には500万円の役員報酬が入っています。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人の利益は社長の生活費と切り離された純粋な事業利益
  • 個人事業主の利益は自分の生活費も含む金額
  • 同じ「利益0円・赤字」でも、法人と個人では意味が全く異なる

赤字が出た場合の法人と個人の違いを比較する

次に、経費が1,200万円かかってマイナスが出た場合を見てみましょう。

項目個人事業主法人(会社)
売上1,000万円1,000万円
経費合計1,200万円経費700万円+役員報酬500万円=1,200万円
事業の損益▲200万円(赤字)▲200万円(赤字)
社長・事業主の生活費の財源なし(赤字のため)役員報酬500万円(確保されている)

法人の場合、事業で▲200万円の赤字が出ていても、社長の生活費の財源である役員報酬500万円はきちんと確保されています。なんら問題はありません。

しかし個人事業主の場合、最終所得が▲200万円になると、当然ながら納税はありません(住民税の均等割を除く)。しかし問題は「どうやって生活しているのか」という点です。税務調査官からそう思われても仕方がないわけです。

⚠️ 注意

個人の貯蓄がたくさんある場合、相続で財産を得た場合、宝くじが当たった場合などは説明がつきます。しかしそういった事情がなければ、赤字申告は税務調査官に「嘘の申告」と疑われる大きな要因になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人が赤字でも、社長の役員報酬は別途確保されているため問題になりにくい
  • 個人事業主が赤字の場合、生活費の財源がなくなるため「どうやって生活しているのか」と疑われる
  • 法人と個人事業主では、赤字の「重み」が根本的に異なる

個人事業主の利益から支払わなければならないもの

個人事業主の場合、売上から経費を引いた利益(事業所得)から支払わなければならないものは、実はたくさんあります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 借入金の元本返済(融資を受けている場合)
  • 生活費(自分の給料)

📌 ポイント:借入金の元本返済について

融資を受けている事業者の方は注意が必要です。借りた時に売上(収益)にならないのと同様に、返した時も元本部分は経費になりません。経費になるのは金利(利息)部分だけです。元本の返済は、事業の儲けの中から行う必要があります。

これだけ多くのものを利益から支払わなければならないにもかかわらず、最終所得がマイナスになっているということは、税務調査官から「あなたはどうやって生活しているのですか」と聞かれても不思議ではありません。それだけ法人と個人事業主の場合の赤字の重みが違うということです。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業主の利益からは、税金・社会保険料・借入返済・生活費の全てを賄う必要がある
  • 借入の元本返済は経費にならないため、利益から返済しなければならない
  • これらを踏まえると、赤字申告は「生活できないはず」という疑念を生む

怪しい申告書・決算書の実例

実際にどのような申告書が「怪しい」と判断されるのか、具体例を見てみましょう。以下のような決算書は、税務調査官から見ると突っ込みどころ満載です。

勘定科目金額問題点
売上1,200万円全て丸い数字(0が並ぶ)
原価600万円ブローカー業なのに原価が高すぎる
旅費交通費200万円この事業規模でかけすぎ
広告宣伝費200万円この事業規模でかけすぎ
接待交際費300万円この事業規模でかけすぎ
給料賃金150万円社員がいないのに計上
経費合計1,200万円
最終損益▲267万円(赤字)作られた数字の疑い

この決算書の問題点を整理すると、以下のとおりです。

  • 全て丸い数字:売上・経費の数字が全て切りのいい数字で、0が並ぶようなことは実際にはまずありえない
  • 原価が不自然に高い:ブローカー業(仲介業)にもかかわらず、売上1,200万円に対して原価600万円は高すぎる
  • 各経費が事業規模に対して過大:旅費交通費200万円、広告宣伝費200万円、接待交際費300万円は、この規模の事業ではかけすぎ
  • 給料賃金が不自然:社員がいないと思われるのに給料賃金150万円が計上されている

⚠️ 注意

売上から経費まで全て丸い数字が並ぶ申告書は、作られた数字である可能性が高いとして税務調査官に疑われます。実際の事業では、数字がぴったり丸くなることはほとんどありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 全て丸い数字の申告書は「作られた数字」として疑われる
  • 業種に対して不自然に高い原価・経費は税務調査のきっかけになる
  • 実態のない給料賃金の計上は特に問題になりやすい

税金を抑えたいなら正当な節税方法を選ぶ

「そうは言っても税金を払いたくない、どうしたらいいのか」という方もいらっしゃるかと思います。しかし、グレーな経費をたくさん計上して不安な状態で確定申告をするのはお勧めできません。

法人ほどではありませんが、個人事業主にも正当な節税方法はたくさんあります。これらをうまく組み合わせて、正当な節税を行っていただきたいと思います。

📌 ポイント:個人事業主が活用できる正当な節税の例

  • 小規模企業共済への加入
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
  • 青色申告特別控除(最大65万円)の活用
  • 所得控除の漏れなく活用
  • 超累進課税の影響を受けないための所得分散

また、本当に赤字が出て困っているという真面目な事業者の方は、売上を増やす方法・売上原価を下げる方法・経費削減ができる方法を色々と考えてみてください。

売上を上げる方法としては、以下のように細分化して考えることができます。

  1. 客数を増やす:新規顧客の獲得
  2. 単価を上げる:商品・サービスの価格改定
  3. リピート数を増やす:既存顧客の購入頻度を上げる

これらの中でできそうな方法を組み合わせて、現状を打開していただければと思います。

📝 このセクションのまとめ

  • グレーな経費計上よりも、正当な節税方法を活用することが重要
  • 個人事業主でも活用できる節税方法は多数存在する
  • 本当に赤字で困っている場合は、客数・単価・リピートの観点から売上改善を検討する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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