個人事業主の確定申告・年内にやるべき準備3選を税理士が解説【2024年版】
確定申告の漠然とした不安を解消!個人事業主・フリーランスが年内にやるべき準備3選を、所得税の全体像から必要書類・会計ソフト選びまで徹底解説します。
確定申告とは?まず全体像を把握しよう
一般的に「確定申告」と言われるのは、所得税(個人のメインの国税)に関する申告のことです。法人税の申告や消費税の申告もありますが、個人事業主・フリーランスにとって最も身近なのがこの所得税の確定申告です。
確定申告の言葉の意味は、「所得税を自分で計算・集計して確定させ、申告すること」です。申告するだけでなく納税も必須で、これを「申告納税方式」と言います。
なお、個人の住民税・事業税・固定資産税は「賦課課税」と言い、一方的に通知が来るものです。所得税の確定申告をしていれば、住民税と事業税は別途申告する必要はなく、自動計算されます。
📌 ポイント:確定申告の対象期間と申告期限
- 対象期間:1月1日〜12月31日(暦年)
- 申告・納付期限:翌年2月16日〜3月15日
- 口座引き落とし(振替納税)の場合:4月23日
今回(令和5年分)の確定申告期限は令和6年3月15日です。口座振替を利用している方の引き落としは4月23日となります。
また、今回インボイスを取得して消費税の確定申告デビューとなった方も多いと思います。消費税の申告期限は3月末(日曜日のため繰り越して4月1日)、引き落とし日は4月30日です。手間を考えると、消費税の申告も所得税の申告に合わせて前倒しで行う方が多いです。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告=所得税を自分で計算・申告・納税すること
- 住民税・事業税は所得税申告と連動して自動計算される
- 令和5年分の申告期限は令和6年3月15日
- インボイス取得者は消費税申告も必要(期限4月1日)
所得税の計算の流れ:売上から納税額まで
確定申告で実際に何をするのか、計算の流れを順番に見ていきましょう。
- 売上の集計:商売で得た収入を集計する
- 必要経費の集計:売上を獲得するためにかかった支出(仕入れ・水道光熱費・ガソリン代・減価償却費など)を集計する
- 事業所得の計算:売上 ー 必要経費 = 事業所得(個人事業主の利益・儲け)
- 所得控除の適用:事業所得からさらに所得控除を差し引く
- 課税所得の計算:事業所得 ー 所得控除 = 課税所得
- 所得税の計算:課税所得 × 税率(超過累進税率)
- 税額控除の適用:住宅ローン控除・配当控除などを差し引いて最終的な所得税額を確定
「必要経費」と「所得控除」は、どちらも税負担を軽くするという点では共通していますが、その性質が異なります。
| 種類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 必要経費 | 事業に関連する支出 | 仕入れ・水道光熱費・ガソリン代・減価償却費など |
| 所得控除 | 個人の生活的事情を考慮したもの | 配偶者控除・医療費控除・生命保険料控除など |
所得税の税率は5%〜45%の超過累進税率が適用されます。所得金額が大きくなればなるほど税率も上がっていくという計算構造になっています。さらに、所得税額に対して復興特別所得税2.1%が上乗せされます。
住民税は一律10%、事業税は業種によりますがおおむね5%前後かかります。事業税は所得控除を適用する前の事業所得から一定の控除を引いて計算します。
| 税金の種類 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 5%〜45% | 超過累進税率 |
| 復興特別所得税 | 2.1% | 所得税額に上乗せ |
| 住民税 | 10% | 一律(地方税) |
| 事業税 | 5%前後 | 業種によって異なる |
節税の考え方:経費を増やせばいいわけではない
節税をするために所得税を減らすには、大きく3つの方向性があります。
- 売上を減らす
- 必要経費を増やす
- 所得控除を増やす
「売上を減らす」というのは商売の観点から本末転倒ですよね。そのため、一般的には「経費を増やす」ことを考える方が多いのですが、節税のしすぎには大きな弊害がありますので注意が必要です。
⚠️ 注意:節税しすぎると自分の首を絞める
事業所得(利益)からは、税金だけでなく以下のものも賄わなければなりません。
- 国民健康保険料・国民年金
- 生活費(自分の給料)
- 借入金の元本返済(利息は経費になるが元本は経費にならない)
節税しすぎると税金は減っても生活費が足りない・借金の返済ができないという事態になりかねません。節税すれば全てがハッピーというわけではないということを覚えておきましょう。
なお、確定申告書類の記載場所についても整理しておきましょう。売上から事業所得の計算までは「青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)」に記載し、それ以降の部分は「所得税及び復興特別所得税の確定申告書(基本2枚)」に記載します。
📌 ポイント:最も大変な工程はどこか
確定申告書自体に書く項目は実はそれほど多くありません。最も大変なのは青色申告決算書を埋めるための売上・経費の集計・計算の工程です。ここをいかに効率化するかが、確定申告を楽にする鍵になります。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税は超過累進税率5〜45%、さらに復興特別所得税2.1%が上乗せ
- 節税の手段は「経費を増やす」「所得控除を増やす」が主軸
- 節税しすぎると生活費・借入返済が賄えなくなる危険がある
- 集計・計算の工程が最も大変なので、そこを効率化することが重要
年内にやるべきこと①:必要書類を今すぐ確認する
直前になってから慌てて書類を探すと、紛失していたり間に合わなかったりするケースがあります。今のうちに手元に揃っているか確認しておきましょう。業種によってあるものとないものはありますが、主な必要書類は以下の通りです。
【事業に関する書類】
- 売上に関する資料(レジペーパー・売上請求書・支払調書・通帳など)
- 経費の領収書・請求書・クレジットカード明細
- 設備投資がある場合:店舗工事の請求明細・工事請負契約書・固定資産台帳の基礎資料
【所得控除に関する書類】
- 医療費控除を受ける場合:医療費の領収書
- ふるさと納税をした場合:寄付金の受領証明書
- 国民年金・生命保険料・地震保険料の控除証明書
- 国民健康保険料の支払い額(通帳の引き落とし記録または年間支払通知書)
【事業者ならではの書類】
- 小規模企業共済・iDeCoなどの払込証明書
📌 ポイント:国民健康保険料は控除証明書がない
国民健康保険料はなぜか控除証明書が発行されません。そのため、通帳の引き落とし記録を自分で集計するか、自治体から届く年間支払通知書をもとに計算する必要があります。国民年金と国民健康保険料は全額控除できるため、節税効果が大きいです。資料漏れ・記載漏れのないよう注意しましょう。
⚠️ 注意:クレジットカード明細だけでは消費税の仕入税額控除ができない
クレジットカード明細があれば、所得税の必要経費として計上することは可能です。しかし、消費税の仕入税額控除(インボイス対応)はクレカ明細だけではできません。クレジットカードで支払った経費についても、その際の領収書・インボイスが必要になります。この点は特に注意してください。
📝 このセクションのまとめ
- 売上・経費・所得控除の3カテゴリで必要書類を整理する
- 国民健康保険料は控除証明書がないため通帳等で自分で集計が必要
- 消費税の仕入税額控除にはクレカ明細だけでなく領収書・インボイスが必要
- 小規模企業共済・iDeCoの払込証明書も忘れずに確認する
年内にやるべきこと②:白色申告と青色申告の違いを理解する
会計ソフトを選ぶ前に、まず「白色申告」と「青色申告」の違いを理解しておきましょう。
| 項目 | 白色申告 | 青色申告(簡易簿記) | 青色申告(複式簿記) |
|---|---|---|---|
| 事前届出 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 帳簿の複雑さ | 簡単(収支内訳書のみ) | 損益計算書(PL)のみ | 貸借対照表(BS)+損益計算書(PL) |
| 青色申告特別控除 | なし | 10万円 | 55万円(電子申告で65万円) |
| 家族従業員の給与 | 制限あり | 届出範囲内で全額経費算入可 | 届出範囲内で全額経費算入可 |
青色申告は「頑張って帳簿をしっかり作って苦労した人に、いろんな節税の特典を認めてあげよう」という制度です。青色申告特別控除だけでなく、家族従業員(専従者)の給与を世間相場通りであれば届出した金額の範囲内で全額経費に落とせるなど、様々な特例があります。
📌 ポイント:65万円控除の節税効果
65万円の青色申告特別控除を受けられる場合、所得税と住民税を合わせた最低税率は約15%です。つまり65万円 × 15% ≒ 約10万円弱の節税効果があります。会計ソフトの導入コストや手間をかけても、それ以上の節税効果が生まれると考えてよいでしょう。
⚠️ 注意:青色申告には事前届出が必要
青色申告をするには事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。今から急に青色申告に切り替えることは、タイミングによっては難しい場合があります。申請のタイミングや書類の書き方は事前に確認しておきましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 白色申告は帳簿が簡単だが節税特典がない
- 青色申告(複式簿記+電子申告)は最大65万円の特別控除が受けられる
- 65万円控除の節税効果は最低税率15%で計算すると約10万円弱
- 青色申告には事前届出が必要なため、タイミングに注意
年内にやるべきこと③:会計ソフトを選んでデータ入力を始める
特にインボイスを取得して消費税の確定申告が必要になった方は、会計ソフトを導入しないと処理が非常に難しくなります。青色申告をしたい方も、会計ソフトの導入を強くお勧めします。
会計ソフトを使ったデータ入力の全体的な流れはこうなります。
- 売上請求書から売上金額を入力・計上する
- 仕入れ請求書から仕入れ金額を入力する
- 領収書・通帳・カード明細から諸経費を入力する
- 帳簿(仕訳帳)を作成し、毎月の残高試算表(月次決算書)を作成する
- 12ヶ月分の月次決算書をもとに決算書(PL・BS)を作成する
- 決算書をもとに税金の確定申告書を作成・提出する
銀行口座のネットバンキングやクレジットカード明細は、多くの会計ソフトで自動連携・自動仕訳ができるのが当たり前になっています。これらを積極的に活用することで、入力の手間を大幅に削減できます。
会計ソフトを使う主なメリットをまとめると以下の通りです。
- 簿記の知識がなくても複式簿記による帳簿作成が可能(簿記3級程度の知識があるとより楽)
- 入力した取引が自動的に転記・集計され、全帳簿が連動する
- 日付順に入力しなくても自動的に並び替えられる
- AIを使った自動仕訳で業務効率化が実現できる
- 青色申告・電子申告・消費税・インボイスにも対応している
主要な会計ソフトとしては、やよい会計・マネーフォワード・freeeなどが一般の方に多く使われています。操作感の好み・合う合わないは人それぞれあるため、一通り触ってみて自分に合うものを選ぶのがよいでしょう。
📌 ポイント:コツコツ入力が翌年以降を楽にする
今年初めての確定申告を終えたら、3月15日で力尽きるのではなく、翌年からはその月の入力をその月のうちに終える習慣をつけましょう。資料を溜め込まずにコツコツ入力し、毎月の業績を確認できるようにしておくと、会計ソフトを使うメリットがさらに高まります。
📝 このセクションのまとめ
- インボイス取得者・青色申告希望者は会計ソフトの導入が事実上必須
- 銀行口座・クレカの自動連携機能を活用して入力を効率化する
- 主要ソフトはやよい会計・マネーフォワード・freeeの3択が多い
- 申告後も毎月コツコツ入力する習慣をつけることが大切
年内にやるべき準備3選:総まとめ
ここまでお伝えしてきた内容を、年内にやるべき準備として3つに整理します。
| 順番 | やるべきこと | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 確定申告の全体像を把握する | 売上→事業所得→課税所得→納税額の流れを理解する |
| ② | 必要書類の確認・整理 | 売上・経費・所得控除の3カテゴリで漏れなくチェック |
| ③ | 会計ソフトの選定とデータ入力 | 自動連携機能を活用して効率化。コツコツ入力が鍵 |
余裕があれば、節税対策(青色申告特別控除・小規模企業共済・iDeCoなど)についても年内に検討しておきましょう。
📌 最後に:確定申告を早く終わらせる人の方が儲かっている
整理整頓・マネジメント・数字の管理ができている事業者とそうでない事業者では、業績が全然違います。例えば、厨房が綺麗なシェフのお店は業績が良い傾向にあり、整理整頓が行き届いていないお店は経営が苦しかったりします。確定申告も同じで、早め早めに終わらせて経営に先手を打つことが、事業の成長につながります。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
関連記事
会計ソフト不要!スマホだけで確定申告を完結する方法を税理士が解説
還付申告は3月15日を過ぎてもOK?税理士が解説する7つのケースと落とし穴
確定申告後に届く納税通知書を税理士が解説|住民税・事業税・国保の計算方法と資金繰り対策
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
