相続・贈与

生前贈与加算が7年に延長!税理士が解説する駆け込み相続税対策6選

生前贈与加算が7年に延長!税理士が解説する駆け込み相続税対策6選
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2024年から生前贈与加算期間が3年から7年に延長されます。まだ間に合う駆け込み相続税対策が6つ残っていますので、今すぐ確認しましょう。

相続税と生前贈与の基本的な仕組み

個人が亡くなったとき、財産が残っていれば相続税がかかります。そのため、財産をたくさんお持ちの資産家の方などは、相続発生時の財産を減らすべくさまざまな相続税対策を行います。その中でも最もポピュラーなものが生前贈与、つまりご生存中に財産を子供やお孫さんに移すことです。

贈与税は生前贈与を防止するための税金で、財産をもらった人(子供やお孫さん)が支払います。年間110万円までは贈与税がかかりません。この非課税枠を活用して毎年110万円の範囲で贈与を行い、財産を少しずつ減らしていくというのがポピュラーな生前贈与策です。

📌 ポイント

相続税には基礎控除があります。基礎控除額は 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円 です。この枠を超える財産がある場合に初めて相続税がかかります。すべての方が相続税の対象になるわけではありません。

ただし、法律上この贈与は成立し所有権も移転しますが、税金の計算上は一定期間内の贈与が無効となり、相続発生時の財産に「持ち戻し」、つまり加算されてしまいます。これを生前贈与加算といいます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続税対策として最もポピュラーなのが生前贈与
  • 年間110万円まで贈与税は非課税
  • 相続発生前の一定期間の贈与は「生前贈与加算」として持ち戻される
  • 相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人数×600万円)を超える財産がある方が対策を検討すべき

生前贈与加算が3年から7年に延長される詳細

令和5年度税制改正によって、この生前贈与加算の持ち戻し期間が3年から7年に延長されることが決定しました。適用されるのは2024年以降に行う生前贈与です。

項目改正前(現行)改正後(2024年〜)
生前贈与加算の持ち戻し期間相続前3年間相続前7年間
対策効果が発揮されるタイミング贈与から3年超贈与から7年超(2031年以降)
延長された4年間の特例4年間の合計100万円まで別途非課税

つまり、2024年以降に生前贈与を行う場合、その効果は7年後(2031年)を超えてからでないと発揮できないということになります。延長された4年間の部分については、その4年間のトータルで総額100万円までは別途非課税になる枠がありますが、微々たるものです。

生前贈与ができなくなったわけではありませんが、7年という長い期間を考えると、ご生存中できるだけ早い段階から贈与を行っていかないと、今までのように直前での相続税対策は非常にしにくくなります。お国の狙いとしては、より早く若い世代への財産の引き渡しを促して経済の活性化を目指すということです。

📝 このセクションのまとめ

  • 2024年以降の生前贈与から持ち戻し期間が7年に延長
  • 延長された4年間は合計100万円まで別途非課税
  • 直前の相続税対策としての生前贈与は非常に使いにくくなる

駆け込み生前贈与6選【その1・その2】

【対策①】孫・子の配偶者など生前贈与加算が適用されない親族への贈与

生前贈与加算の対象になるのは、あくまでも相続などで財産を取得した人です。法定相続人となりうるのは基本的に配偶者・子供・父母・兄弟姉妹です。お孫さんは原則として法定相続人ではありません。そのため、一段飛び越えて次の世代であるお孫さんに贈与したり、養子縁組をしていなければ相続人にならない子の配偶者に贈与することが有効な対策になります。

⚠️ 注意

お孫さんでも以下のケースでは生前贈与加算の対象になります。

  • 遺贈(遺言書による贈与)によって財産を取得した場合
  • 生命保険の受取人にお孫さんが指定されている場合

これらの例外的なケースでは、お孫さんも生前贈与加算の対象となりますのでご注意ください。

【対策②】2023年中に駆け込み贈与をする

生前贈与加算の期間が7年に延長されるのは2024年以降に行う生前贈与です。今年(2023年)中に駆け込みで贈与した分については、現行の3年ルールが適用されます。ただし、今年中に贈与しても来年すぐにお亡くなりになってしまった場合は加算の対象になってしまいますので、しっかり長生きしていただいて早め早めの対策を心がけることが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 法定相続人でないお孫さんや子の配偶者への贈与は生前贈与加算の対象外(例外あり)
  • 2023年中の贈与は現行の3年ルールが適用される

駆け込み生前贈与6選【その3】住宅取得等資金の贈与非課税特例

親または祖父母から、子やお孫さんが住宅(家)の購入または増改築をするための資金を贈与する場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例です。

住宅の種類非課税限度額暦年110万円との併用後
省エネ住宅1,000万円1,110万円
一般の住宅500万円610万円

この特例は通常の暦年非課税枠110万円と併用が可能です。フル活用すれば省エネ住宅で最大1,110万円、一般住宅で最大610万円まで非課税になります。なお、住宅ローン控除との併用も可能ですが、この特例を使った部分について調整計算が入り、ローン控除が縮小されますので注意が必要です。

主な適用要件は以下の通りです。

  • 受贈者(子・孫)の年齢が18歳以上であること
  • 受贈者のその年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
  • 住宅の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、床面積の1/2以上が居住用であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに物件を購入し、かつ贈与税の申告をすること
  • 住宅の取得・増改築のための資金であること(諸費用・投資用物件は対象外)
  • 親族関係者からの住宅取得は対象外
  • 平成21年〜令和3年度のそれぞれの申告でこの特例を受けたことがないこと

⚠️ 注意

この特例の期限は2023年(今年)いっぱいです。令和6年度税制改正でさらに延長となる可能性もありますが、現時点では不明です。家を買おうと考えている方はぜひ今年中に活用を検討してください。また、住宅ローン控除との調整計算は誤りが多いので、専門家に相談することをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 省エネ住宅1,000万円・一般住宅500万円まで非課税
  • 暦年110万円との併用でさらに非課税枠が拡大
  • 期限は2023年いっぱい(延長の可能性あり)

駆け込み生前贈与6選【その4・その5】教育・結婚子育て資金の一括贈与特例

【対策④】教育資金の一括贈与の非課税特例

親または祖父母から、子やお孫さん(30歳未満)の教育資金を一括で贈与する場合、1,500万円まで非課税になる特例です。この制度は期限延長があり、2026年3月31日まで使えます。

対象となる教育費用は幅広く、以下のものが含まれます。

  • 学校への支払い:入学金・授業料・入園料・保育料・入学試験の検定料・学用品の購入・修学旅行費・学校給食費など
  • 学校以外への支払い:学習塾・水泳教室などのスポーツ・文化・芸術に関する活動費
  • その他:通学定期代・留学のための渡航費など

📌 ポイント:「その都度贈与」との違い

教育費や生活費は「その都度必要なもの」であれば元々非課税です。この制度はあくまでも一括贈与のための特例です。1,500万円をまとめて贈与する場合に通常は課税されてしまうところを、この特例を使うことで非課税にできます。

手続きとしては、主に信託銀行などの金融機関と契約を結び、その金融機関の営業所を経由して「教育資金非課税申告書」を提出することが要件です。受贈者(子・孫)の合計所得金額が1,000万円以下であることも要件になっています。

⚠️ 注意

信託契約を結んで毎年教育費に充てる都度、領収書を金融機関に提出するなどの手続きが必要です。使い切れずに残った場合や、お子さんが30歳に到達した場合の未使用残額は、通常の贈与として課税対象となります。

【対策⑤】結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例

親または祖父母から、子やお孫さん(18歳以上50歳未満)の結婚・子育てに関する資金を一括で贈与する場合、1,000万円まで非課税になる特例です。この制度は2025年3月31日まで延長されています(富裕層優遇との批判もあり、2年経過後は撤廃になる可能性があります)。

用途非課税上限対象費用の例
結婚関連300万円(1,000万円中)挙式費用・衣装代・新居の家賃・敷金など
妊娠・出産・育児関連残額(最大700万円)不妊治療・妊婦健診・分娩費・産後ケア・子供の医療費・保育料・ベビーシッター代など

手続きは教育資金の一括贈与とほぼ同様で、信託銀行などの金融機関を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出します。受贈者の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。

⚠️ 注意

信託銀行等に預けた資金の未使用残高がある状態で贈与者がお亡くなりになった場合、未使用分は通常の贈与として課税されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 教育資金の一括贈与:1,500万円まで非課税、期限は2026年3月31日
  • 結婚・子育て資金の一括贈与:1,000万円まで非課税、期限は2025年3月31日
  • いずれも信託銀行等との契約・申告書提出が必要
  • 受贈者の合計所得金額1,000万円以下が要件
  • 未使用残額は通常の贈与として課税される点に注意

駆け込み生前贈与6選【その6】来年からリニューアルされる相続時精算課税制度を活用する

贈与税の計算方法には暦年贈与相続時精算課税の2種類があります。暦年贈与はこれまで説明してきた通り、年間110万円の非課税枠があるものです。

相続時精算課税制度とは、原則60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子供に対して適用される制度で、生涯にわたって2,500万円まで非課税で贈与できます(それを超えた部分には一律20%の贈与税がかかります)。ただし、この2,500万円は最終的に相続税の計算に全額加算されます。

項目暦年贈与相続時精算課税(改正後)
年間非課税枠110万円年間110万円(新設)+生涯2,500万円
生涯非課税枠なし2,500万円
超過分の税率累進税率(最大55%)一律20%
相続への持ち戻し相続前7年間(2024年〜)全額加算(ただし年110万円分は加算不要)
一度選択したら同一贈与者との間で暦年課税に戻れない

そして2024年からの大きな改正点として、相続時精算課税制度に毎年110万円の非課税枠が新設されます。この110万円分については相続時に加算しなくてよいとされています。期間の制限がなく、7年の持ち戻し計算もありません。

📌 相続時精算課税制度が特に有効なケース

  • 相続税がかからない方:財産が少なく相続税の基礎控除内に収まる方は、2,500万円を一気にスピーディーに移転できるメリットがある
  • 値上がりしそうな資産を持っている方:自社株や不動産など。持ち戻し計算はなくなった時の時価ではなく贈与した時の時価で計算されるため、株価・地価の固定効果がある
  • 長期的に相続発生ギリギリまで生前贈与を続けたい方:暦年贈与の7年縛りを気にせず贈与できる

また、生前贈与加算が関わってくる子供には相続時精算課税制度を使い、加算対象にならないお孫さんには引き続き暦年贈与を続けるという使い分けも有効です。これにより相続税対策のバリエーションが豊富になります。

⚠️ 注意

相続時精算課税制度は事前に届け出が必要です。一度この制度を選択すると、その贈与者との間では暦年課税制度を今後一切使えなくなります。取り消しができない選択ですので、慎重に検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 2024年から相続時精算課税制度に年間110万円の非課税枠が新設(持ち戻しなし)
  • 生涯2,500万円の非課税枠は維持
  • 値上がりしそうな資産(自社株・不動産)の贈与に特に有効
  • 一度選択すると同一贈与者との暦年課税に戻れないため慎重に
  • 子には相続時精算課税、孫には暦年贈与という使い分けも可能

駆け込み生前贈与6選の総まとめ

まだ間に合う相続税対策としての駆け込み生前贈与6選を整理します。

#対策ポイント期限・条件
孫・子の配偶者など生前贈与加算対象外の親族への贈与法定相続人でない人への贈与は加算対象外例外(遺贈・生命保険受取人)に注意
2023年中の駆け込み贈与現行の3年ルールが適用される2023年12月31日まで
住宅取得等資金の贈与非課税特例省エネ住宅1,000万円・一般住宅500万円まで非課税2023年12月31日まで(延長の可能性あり)
教育資金の一括贈与非課税特例1,500万円まで非課税2026年3月31日まで
結婚・子育て資金の一括贈与非課税特例1,000万円まで非課税2025年3月31日まで
相続時精算課税制度の活用2024年から年110万円の非課税枠が新設、持ち戻しなし事前届出必要・一度選択すると戻れない

相続税の計算は非常に複雑ですが、まずは自分の財産の洗い出しをしてください。現金・株・不動産・保険金などを把握した上で、実際に相続税がかかりそうかどうかを考えましょう。相続税の節税が必要だと判断した方は、今日ご紹介した6つの中から使えそうなものを検討してみてください。

📌 最初にやること

  1. 自分の財産(現金・株・不動産・保険金など)を洗い出す
  2. 相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人数×600万円)と比較して相続税がかかるか確認する
  3. 相続税対策が必要な場合、6つの対策の中から自分に合うものを選んで活用する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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