節税対策

専従者給与はいくらがベスト?税理士が解説する設定のコツと節税効果

専従者給与はいくらがベスト?税理士が解説する設定のコツと節税効果
e_zeirishi

家族への給与を経費にできる「専従者給与」、正しく設定しないと損をします。

専従者給与とは?基本ルールをおさえよう

個人事業主・自営業の方が家族に給与を支払う場合、原則として家族への給与は経費にすることができないというのが税務上の基本ルールです。

しかし、一定の要件を満たすことで、家族に対して支払う給与を経費として計上できる制度があります。これを「専従者給与」と呼びます。本来は経費にできないものを、特別に経費として認めてもらえる制度ですので、当然ながら条件・要件があります。

📌 ポイント

専従者給与とは、家族への給与を経費にするための特別な制度です。要件を満たせば節税につながりますので、しっかりとルールを確認して正しく活用しましょう。

専従者給与の4つの要件

専従者給与を使うためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 生計を一にしている配偶者その他の親族であること(「生計を一にしている」とは、同じ財布で生活費などを支払っているイメージです)
  2. その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること
  3. その年を通じて6ヶ月を超える期間、専従していること
  4. 青色申告の場合は、事前に税務署へ届け出を提出していること

3つ目の「専従」という要件が特に重要です。専従者給与という名前にもある通り、そのビジネス・お仕事に専従している必要があります。

⚠️ 注意

以下のケースは「専従」とみなされないため、専従者給与は使えません。

  • 18歳の大学生のお子さんが手伝っている場合(学生が本業のため、専従とは認められない)
  • 配偶者が外で正社員として働きながら手伝っている場合(正社員が本業のため、専従とは認められない)

📝 このセクションのまとめ

  • 専従者給与は、家族への給与を経費にできる特別な制度
  • 4つの要件(生計を一・15歳以上・6ヶ月超の専従・青色は届け出)をすべて満たす必要がある
  • 「専従」とは、そのビジネスにのみ従事していること。学生・他の正社員は対象外

青色申告と白色申告で専従者給与はどう違う?

専従者給与は、青色申告と白色申告とで制度の内容が異なります。白色申告の場合は、厳密には「事業専従者控除」という専門用語を使いますが、ほぼ同じ制度として理解しておいて問題ありません。

項目青色申告白色申告
上限額上限なし(常識の範囲内で設定)配偶者:年間86万円まで
配偶者以外:年間50万円まで
事前届け出必要(税務署へ提出)不要
節税メリット大きい上限があるため青色より小さい

白色申告の場合は事前届け出が不要な分、ハードルは低くなりますが、上限額が設けられています。一方、青色申告の場合は上限がないため、より大きな節税効果が期待できます。

📌 ポイント

白色申告の上限額は所得によって計算式が変わります。ご自身の所得に応じた上限額は、国税庁のサイト等でご確認ください。専従者給与を最大限活用したい場合は、青色申告の方がメリットは大きいです。

📝 このセクションのまとめ

  • 白色は上限あり(配偶者86万円・配偶者以外50万円)、届け出不要
  • 青色は上限なし(常識の範囲内)、事前届け出が必要
  • 節税効果を最大化したいなら青色申告がおすすめ

青色申告の届け出:提出期限と書類

青色申告で専従者給与を使うためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」をあらかじめ税務署に提出する必要があります。この届け出を忘れると専従者給与は使えませんので、注意が必要です。

提出期限と例外パターンをまとめると以下の通りです。

ケース提出期限
原則(既存の事業者)経費に算入する年の3月15日まで
1月16日以降に開業した場合開業から2ヶ月以内

たとえば令和6年から専従者給与を適用したい場合、令和6年3月15日(確定申告期限と同じ)までに届け出を提出する必要があります。この期限を過ぎてしまうと、早くても令和7年1月からしか適用できません。

⚠️ 注意

届け出の提出を見逃すと、翌年まで専従者給与が使えません。確定申告のタイミングで合わせて提出することをおすすめします。提出漏れがないよう、スケジュール管理をしっかり行いましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 提出書類:「青色事業専従者給与に関する届出書」
  • 原則の提出期限:経費に算入する年の3月15日まで
  • 1月16日以降の開業者は開業から2ヶ月以内が期限

専従者給与を使う4つのメリット

専従者給与を活用することで、さまざまなメリットが得られます。順番に解説します。

① 経費計上による節税効果

最も大きなメリットです。本来は経費にならない家族への支払いを経費として計上することで、所得(利益)を圧縮でき、税金を下げることができます。設定金額によっては非常に大きな節税額になります。

② 金額を自由に設定できる(青色申告の場合)

青色申告であれば上限がないため、状況に応じた金額を設定できます。ただし、常識の範囲内で設定することが重要です。たとえば配偶者が経理・秘書的なポジションで手伝ってくれる場合、外の会社でその仕事をした場合の相場が目安になります。月100万円など、外部の相場からかけ離れた金額は避けましょう。

③ 雇用に関する悩みが軽減される

外部スタッフを雇用すると、雇用手続きの書類・社会保険の負担・突然の退職リスクなど、さまざまな問題が生じます。最近では退職代行サービスの利用も増えており、経営者の悩みになっています。その点、専従者給与は家族(特に配偶者)に支払うものなので、突然やめるリスクが大幅に低くなります(100%ではありませんが)。

④ 配偶者のモチベーションアップ

いくら家族とはいえ、無償でお仕事を手伝うことに抵抗を感じたり、不満が溜まることは少なくありません。専従者給与として形あるお金を渡すことで、配偶者のモチベーションが上がるケースが多くあります。また、ビジネスで稼いだお金を生活費として家計に入れている場合、その一部を専従者給与として設定することで、節税しながら家計への貢献もできます。経営者側の負担軽減・配偶者のモチベーションアップと、双方にとってメリットのある制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 経費計上で所得を圧縮し、税金を下げられる
  • 青色申告なら金額を自由に設定できる(常識の範囲内で)
  • 外部雇用に比べて突然退職のリスクが低い
  • 配偶者のモチベーションアップにもつながる

専従者給与はいくらに設定すべき?3つの視点

専従者給与の金額設定には、大きく3つの視点があります。ご自身の状況に合わせて選びましょう。

視点①:源泉所得税の手間を避ける(月8万8千円以下)

専従者給与が月8万8,000円を超えると、支払い時に源泉所得税を差し引いて支払わなければならなくなります(源泉徴収)。差し引いた源泉所得税は、原則として毎月税務署に納付する必要があり、実務的な手間が増えます。なお、「納期の特例」を申請すれば年2回の納付にまとめることもできますが、それでも納付書の作成や窓口での支払いなどの手続きが発生します。こうした手間を避けるため、月8万8,000円以内に設定する方が実務上多い傾向があります。

視点②:所得税・住民税がかからない範囲に抑える

専従者給与を受け取る側(配偶者など)の税負担を考慮した設定方法です。

年間受取額税の影響
93万〜100万円超住民税がかかる(自治体によって異なる)
103万円超所得税がかかる

住民税の非課税ラインは各都道府県・自治体によって異なりますので、ご自身の自治体がいくらから住民税がかかるかを確認してください。所得税・住民税を一切負担させたくないという場合は、月8万円以内での設定が目安になります。もちろん、月5万円・月3万円といったより低い金額で設定する方もいます。

視点③:節税効果を最優先にする(月10万円以上)

ビジネスが成長して税金が高くなってきた場合、源泉徴収の手間や受取側の税負担よりも、節税を最優先にして金額を高く設定するという考え方です。

月額設定年間経費額
月10万円年間120万円の経費
月15万円年間180万円の経費
月20万円年間240万円の経費

たとえば月20万円に設定すると、年間で240万円の経費が発生します。節税効果としてはかなり大きなインパクトになります。

📌 ポイント

3つの視点をまとめると以下の通りです。

  • 手間を最小化したい→ 月8万8,000円以内
  • 受取側の税負担ゼロにしたい→ 月8万円以内(年間93〜103万円以下)
  • 節税効果を最大化したい→ 月10万円以上(常識の範囲内で)

📝 このセクションのまとめ

  • 月8万8,000円以内なら源泉徴収の手続きが不要で実務が楽
  • 年間103万円以内なら受取側に所得税がかからない
  • 節税優先なら月10〜20万円以上の設定も選択肢
  • 月20万円設定で年間240万円の経費が生まれる

源泉徴収税額表の見方

専従者給与が月8万8,000円を超えた場合に必要となる源泉徴収の仕組みを、国税庁の「源泉徴収税額表」で確認しておきましょう。

この表は国税庁のホームページからダウンロードできます。表を見ると、月額8万8,000円未満の欄はすべて「0円」となっており、この金額未満であれば源泉徴収が不要であることがわかります。

8万8,000円を超えると、金額に応じて130円・180円・230円…と細かく源泉徴収額が設定されています。この差し引いた源泉所得税は、原則として毎月税務署に納付しなければなりません。納期の特例を申請すれば年2回にまとめられますが、それでも納付書の作成や銀行窓口・税務署への支払いなど、地味に手間がかかります。こうした手続きの煩雑さが、月8万8,000円以内に設定する人が多い理由のひとつです。

📝 このセクションのまとめ

  • 月8万8,000円未満なら源泉徴収税額は0円(源泉徴収不要)
  • 超えた場合は毎月(または年2回)の納付手続きが必要
  • 源泉徴収税額表は国税庁ホームページからダウンロード可能

間違いやすいルール・よくある質問

専従者給与の運用でよくある間違いや、質問の多いポイントをまとめます。

① 青色申告は届け出の提出漏れに注意

青色申告の場合、事前に税務署へ届け出を提出しないと専従者給与は使えません。提出を忘れると翌年まで使えなくなりますので、確定申告のタイミングで必ず確認しましょう。

② 届け出に記載した金額を超えて支払うことはできない

届け出書には「給料月額」を記入する欄があります。この届け出で申請した金額を超えて支払うことはできません。たとえば月10万円で届け出をしていて月15万円に変えたい場合は、変更届け出を再度提出する必要があります。

📌 よくある質問:申請した金額より少なく払うのはOK?

はい、問題ありません。たとえば月10万円で届け出をしていて、一時的に月5万円にする場合は変更届け出は不要です。届け出の金額の範囲内であれば、自由に金額を変更できます。

③ 配偶者控除と専従者給与は同時に使えない

配偶者を専従者給与の対象として設定した場合、配偶者控除・配偶者特別控除は使えなくなります。二重に控除を受けることはできないルールになっています。確定申告書でうっかり両方を申告してしまうと、税務署から修正の連絡が入ります。

⚠️ 注意

専従者給与と配偶者控除(配偶者特別控除)はどちらか一方しか使えません。確定申告の際に両方を記入してしまうと、税務署から修正申告を求められます。この点は特に間違いやすいポイントです。

④ 配偶者が外で働いていることはデメリットではない

「配偶者が正社員として外で働いているから専従者給与が使えない」という状況を残念に思う方もいますが、外で収入を得てくれているというメリットがあります。どちらの働き方にもメリットがありますので、「使えないからダメ」と決めつけずに、ご自身の状況に合った選択をしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告は届け出の提出漏れに注意(提出なしでは使えない)
  • 届け出の金額を超えて支払う場合は変更届け出が必要
  • 届け出金額の範囲内で少なく払う場合は変更届け出不要
  • 専従者給与と配偶者控除は同時に使えない(どちらか一方)

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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